離水から一時間後
敵領域太平洋上空12000m
飛行艇雷鳥機内
響「・・・(たしか・・・予定海域への到着時間は1900だったはず・・・18時間も飛ぶのか)三日月、今のうちに・・・」
三日月「スースー・・・」
三日月は響の肩に頭を置き眠っていた。
響も帽子を顔に被せ、眠りについた。
そして時は過ぎ、日が昇り始めた頃
響「スースー・・・ん?(朝、か・・・)んん~っ、いてて。(帰ったらマッサージに行こ)」
三日月「ん・・・あ、もうあひゃか~。おはよ~」
響「おはよう、三日月。でも、まだ到着しないよ」
三日月「そっか~。じゃあ、もうちょっと寝てる」
そう言って三日月は再び眠りについた。
響「・・・(やっぱり、この子には無理があるか・・・。ほぼ休みなしだったからね。帰ったらこの子分の休暇も出しとくか)」
響は隣で寝息をたてながら寝てる三日月を見ながらそう思った。
2人を乗せた機体は順調に飛行し、辺りが暗くなってきた頃に目的の海域に到着した。
そして、雷鳥搭載の小型ボートで目的の基地に向かった。
運転妖精「到着しました」
響「うん、ありがとう。三日月、準備はいい?疲れは取れた?」
三日月「うん!ぐっすり眠ったから大丈夫です」
響「そうかい。じゃあ、行こっか」
運転妖精「それじゃあ、お気をつけて、一特隊」
一特隊は第一特務中隊の略称のこと。
隊長の響の他には三日月の諜報課管理担当しかいないが特別な訓練を受けており、今回のような救助作戦などを主任務としている。
一特隊は基地内に潜入した。
敵はここが戦線から離れているため、見張りはほとんど置いておらず、簡単に入れた。
その後も順調に進み、目的の場所に着いた。
響「話が本当ならここのフロアにいるはず」
三日月「今は信じましょう・・・」
響「そうだね」
響と三日月は顔を見合って頷いた。
すると、隣から声が聞こえた。
???「あ、あの・・・」
三日月「ひゃいっ!?」
響「誰だ!」
???「えっと、ここに捕まっている由良といいます。助けてください」
響「・・・分かりました。三日月、鍵を」
三日月「は、はい」
三日月はピッキングで牢屋の鍵を開けた。
中から由良が出てきた。
由良「助かりました。ありがとう、ございます・・・」
響「歩けますか?」
由良「なんとか・・・」
響「それじゃあ、行きますよ。三日月、先導して安全の確保を」
三日月「了解」
三日月は頷いてから階段の方に走っていった。
その後ろをゆっくりと響と由良がついて行った。
そして無事、外に出て乗ってきたボートに乗り込み基地を後にした。
しかし、事はそう上手くいかなかった。
運転妖精「敵機!」
響「まずい、雷鳥に対空戦闘用意を」
運転妖精「了解!こちら回収班。敵機が本機へ接近中!対空戦闘用意!」
飛行妖精「了解!」
響「急いで戻るよ」
ボートは速度を上げ母機に戻った。
雷鳥に戻ると既に対空迎撃が始まっていた。
しかし、着水しているためミサイルと下部銃座が使えなかった。
ボートはなんとか機内に収容できたが敵の数が多く離水が困難だった。
響「離水はまだできない?」
飛行妖精「はい。今離水したら敵機と衝突する可能性があります」
響「ならば滑走状態で離脱、隙をついて離水して」
飛行妖精「了解!」
銃座妖精「直上急降下!回避不可!」
響「総員衝撃に備えろ!」
爆撃隊に集中砲火を浴びせ、敵を落とした。
しかし、爆撃機は墜落しながらも爆弾を投下し、雷鳥に直撃した。
響「被害報告!」
飛行妖精「右翼及び左舷後方直撃!三番エンジン大破!後部貨物庫及び格納庫より浸水!緊急発進します!」
響「了解!後部一帯を閉鎖!火災消火急げ!」
雷鳥は方向を変え、滑走を開始した。
だが、右翼からの火災と後部の浸水の影響で離水が難しかった。
しかし雷鳥はなんとか離水をした。
順調に高度を上げ、高度500mの所で下部銃座が展開、ミサイルも使用可能になった。
飛行妖精「よし、反撃開始!」
雷鳥は追ってくる敵部隊にたいして機銃掃射とミサイル迎撃を行った。
10時間後
敵海域上空5000m
敵はまだ追いかけてきた。
飛行妖精「しつこいな・・・」
索敵妖精「新たに右舷より12!後方6!下方3!左舷20!」
響「これで何機目?」
飛行妖精「えーと・・・693機ですね。ここまで追撃してくるとは・・・」
響「破損箇所の状況は?」
飛行妖精「三番エンジンの消化は終わりました。後部区画は全て閉鎖しています。本部との連絡は?」
響「すでにしてある。おそらくはそろそろ来るはずだけど・・・」
その時、機外からの通信が入った。
戦闘妖精「こちら空神攻撃隊。撤退の支援をします」
響「先にそっちが来たか」
由良「聞いたことのない機体・・・それもそこの基地しかないものですか?」
響「そうです。68式戦闘攻撃機空神」
68式戦闘攻撃機空神
長距離での戦闘を行う為に作られた単座型汎用攻撃機だ。
航続距離6000㎞を飛べ、速度も600㎞も出せた。
機動力は刃には及ばないが、零戦と互角の格闘戦が可能だ。
武装には13㎜機銃2門に、50㎜機関砲2門を搭載、爆装
も500キロ爆弾、50cm魚雷、250キロ爆弾、40㎜ロケット弾と、状況に応じて代えられた。
支援に来た空神20機は2機を護衛につけ、残りの機での突撃を仕掛けた。
その時、敵航空隊は一斉攻撃の為、集結中だったので対応が遅れた。
混戦に持ち込んだ空神隊は少しずつ退きながら戦った。
そして刃戦闘隊が到着すると空神は一斉に撤退した。
空神が撤退した直後に刃隊によるミサイル攻撃で敵は壊滅、撤退するしかなかった。
この空戦の結果は深海棲艦側は航空機742機撃墜、対して秋雪鎮守府側は空神1機墜落、2機損傷、雷鳥中破の結果で終わった。
鎮守府に戻った雷鳥は響達を下ろすと別にあるドックに向かった。
翌日の夜
秋雪鎮守府郊外の喫茶店
響「マスター、おかわり」
店長「俺はマスターじゃなくて店長な。でもこんなに飲んで大丈夫か?」
響「うん、昨日帰ってきた後に休暇届け出したから。一週間は休み」
店長「そんなに休めるんだな」
響「と言ってもさすがに1ヶ月とかは無理だけどね。それに、そんなに取ってもやることないし」
店長「それもそうだな。ほらよ、お待ち」
三日月「てんひょう~。もうひっぱい~」
隣で三日月が酔いつぶれていた。
店長「三日月ちゃん?飲み過ぎだよ」
響「飲み過ぎって・・・まだ一杯じゃん」
店長「響ちゃんは飲み過ぎだけどな。もう3本目って・・・」
響「そうかい?私はまだ大丈夫だよ」
店長「うん、君も顔赤いよ?」
響「そんなわけ・・・でも、眠くなってきた・・・」
響はそう言うとそのまま寝てしまった。
店長「・・・二人揃って寝てんのか。・・・基地に連絡しとくか。その前に・・・」
店長は奥に行くと毛布を持ってきて二人にかけた。
店長「さて、片付けるか」
店長は机の上にある食器や瓶などを片付け、二人を客間に運んだ。
店長「ふう、これでよしっと。もう寝るか。それじゃあ二人ともお休み」
店長はそう言って電気を消して扉を閉めた。