キル姫日記   作:やす、

3 / 34
2ページ目、レーヴァテイン

目を覚まししばらくベッドの上でボーッとしてから着替える事に。今日はレーヴァテインってキル姫に会い行くんだ。

 

 

身体を伸ばしてからもう一度貰った図鑑でレーヴァテインの事をおさらいする事に。椅子に座り図鑑をめくりレーヴァテインを探してゆく。あったあった。

 

 

なになに?凄まじいポテンシャルを秘めているが全くやる気が無い。それと鶏が嫌い。らしい。もう少し調べるとゲーム内外で人気がありフィギュア化や人気投票でNo. 1だったりとかなりの人気を誇っている様だ。

 

 

どんなキル姫なのか凄く気になってきた、きっと美人で面倒見の良いお姉さんみたいな人なのだろう。勝手にそんな想像を膨らませていた。この僕の期待は一時間後に見事に打ち砕かれるのだけど。

 

 

コウ君ー起きてますかー?

 

はーい

 

 

そんな事を考えていたら受付の人、マリアさんが呼びに来てくれた、返事をしてドアを開けると眩しい笑顔がそこに合った。

 

 

おはようございます♪今日はレーヴァテインの所に行ってきて下さいね♪

 

はい!それでレーヴァテインさんはどこに居るのですか?

 

レーヴァテインなら教会を出て真っ直ぐ行ったところにある木の近くに居るはずですよ

 

ふむ

 

 

木の近くに居る?レーヴァテインは木が好きなのだろうか?

 

 

そんな疑問を持ちながら教会を出てレーヴァテインが居るという木を目指して歩いて行くと小高い丘の上に一本だけ生えている大きな木を見つけた。きっとこの木の事だろう。

 

 

おはようございます!今日一日よろしくお願いします!!

 

 

そこまで歩いてゆき大きな声で挨拶をしたのだが返事は無かった。他の木に居るのだろうか?でも周りを見回してもほかに木が生えているのは見えなかったしこの木で合っているのだろう。少しここで待つとしよう。

 

 

その大きな木を見ていると子供時代にこういう木を蹴ってカブトムシを落とす事を思い出した。懐かしいなぁ。そうだ

 

 

そのノリでこの木も蹴ってみる事に。勢いをつけて飛び蹴りを喰らわせるとドシンっと木が揺れた。うむ、我ながら良い蹴りだ。

 

 

ちょっと、なにすんのよ

 

???

 

 

何処からか声が聞こえた。周りを見渡しても人の気配は無い、でも声が聞こえるって事はどこかに居るのだろう。

 

 

はぁ、、、ここよ

 

 

そう言われて木を見上げると居た。太い枝に器用に寝転がる銀髪の女の人が居た。きっとこの人がレーヴァテインなのだろう。

 

 

おはようございます!僕コウって言います!

 

 

別にあんたの名前なんて聞いてないわよ、それより私のお昼寝の邪魔をしてただで済むと思ってんの?

 

 

そう言って僕に木の上から視線を向けた。紅く鋭い眼光で僕を睨み付けている。ただそれだけなのに僕は猫に睨まれたネズミの様に動けなくなっていた。

 

 

せっかく良い夢見てたのに、生きてるうちにあんな良い夢見ることなんてもう無いと思うんだけど。どう責任とるつもり?

 

 

あぁぁ…

 

 

どもる僕に「ねぇ」っと追い討ちをかけて来る。ヤバい、この人怖い。だけど何か話さないともっと怒ってしまいそうだ。頭をフル回転させて次の言葉を捻り出そうとしていた。

 

 

ねぇ、黙ってたら分かんないんだけど

 

ひゃっ、ひゃい!!

 

 

噛んだ、とんでもなく噛んでしまった。その事に動揺して言おうと思っていた言葉を見失ってしまった。まだ肌寒い時間なのに僕は背中に嫌な汗をかいてた。

 

 

良いから何かしゃべってよ、斬られたいの?

 

 

斬られる?と、言う事は木の上に居る人、レーヴァテインは僕に殺意を向けていると言う事だ。なら僕が発する言葉次第では命が危ないという事なのだろう。プレッシャーのあまり恐ろしい程心臓の鼓動が頭に響いていた。ドクン、ドクンと脈を打つのがまるで耳元で聞こえる様に。

 

 

黙ってたら分かんないんだけど、何か話しなよ

 

 

テンパる頭で考えて考え抜いた結果、僕の口から出た言葉は「ご飯食べに行かない?」だった。

 

 

はぁ?何言ってんの

 

お腹空かないですか?

 

別に、あんたと行かなくても自分の気分で食べるし

 

じゃあさ、一緒に食べに行こうよ

 

人の事起こしといて次はナンパなわけ?意味分かんないだけど

 

 

見上げると先程より殺気のこもった目で僕を見ていた。ここはとにかく勢いで誤魔化すしか無い。そう思い覚悟を決めた。

 

 

あぁ、そうだよ!ナンパだよ!一緒にご飯行きましょう!

 

やだ

 

そんなこと言わずにさ、美味しいご飯屋さん案内してよ

 

なんで私がご飯屋を案内しなきゃ行けないのよ、それに私はここから動きたく無いんだけど

 

そう言わずに一回だけで良いから!先っぽだけで良いから!

 

ふぅん、死にたいんだ

 

えっ?

 

 

焦りすぎて何を言ったか覚えてないけど僕はレーヴァテインをさらに怒らせる様な事を言ってしまった様だ。木の上から飛び降りてなんだかヤバそうな剣を僕に向けて居た。

 

 

安心して、苦しまない様にはしてあげるから

 

ひぃぃぃぃ

 

 

その言葉を聞いた瞬間に僕は悲鳴を上げながら丘を駆け降りていた。背後を振り返らず真っ直ぐ。その姿は脱兎の如く。

 

 

 

…………………………………………………

 

 

 

 

 

はぁっ、はぁっ、はぁっ、はぁっ…

 

 

荒い息を吐きながら走り疲れた身体を教会の塀に預けて息を整えていた。すっごく怖かった。あのままあそこに居たら殺されていたかもしれない。なぜあんな凶暴なキル姫が人気投票1位なのだろうか?僕の先輩の奏官達はドMしか居ないのだろうか?

 

 

んっ、はぁぁぁ…

 

 

このまま部屋に帰ってしまおうか、臆病風に吹かれそんな事を考えていた。僕だってまだ死にたくないしレーヴァテインと1日を過ごさなくてもまだキル姫は沢山いる。それにもっと優しいキル姫と1日を過ごしたかった。

 

 

そうだ帰ろう。

 

 

そう決めてため息を吐きフラフラと部屋へ歩き出そうとして一歩踏み出しその歩みを止めた。

 

 

だけど、ここで逃げたらきっと僕はこのままだろう。それに僕はまだレーヴァテインってキル姫の事を何も知らない。このまま逃げるのは失礼なんじゃないだろうか?

 

 

天使の僕と悪魔の僕が頭の上で喧嘩を始めていた。漫画の様に煙を上げながら戦って、そしてしばらくすると天使の僕が右手を突き上げながら立っていた。

 

 

よし、行こう。

 

 

そう意気込み僕が逃げて来た道を戻る事に。少し歩いた時に見つけた売店で少し買い物をしてレーヴァテインが居るその木まで戻って来た。

 

 

レーヴァテインさん、もう一度僕にチャンスをください!!

 

はぁ、また来たの?その根性は認めてあげるから早く帰って

 

嫌です!

 

ちっ

 

 

冷たい言葉と舌打ちを浴びせられ心が折れそうになったけど自身を奮い立たせ木を登りレーヴァテインが寝転がっている隣の枝に腰掛けた。

 

 

じゃあさ、気が済むまで側に居ていい?

 

いや

 

そんな事言わずにさ、飲み物買って来たからあげるよ

 

 

そう言って先程購入したジュースをレーヴァテインに差し出すと少しだけ目線を僕に向けた。

 

 

どっちが良い?

 

どっちでも

 

じゃあこれあげる

 

 

そう言ってコーラを手渡すと「んっ」と返事をしてくれた。僕もジュースの蓋を開けてそれを飲みながら枝に寝転がった。

 

 

なんでレーヴァテインさんはこんな所に居るの?

 

別に、あんたに関係ないでしょ

 

まぁそんなんだけどさ、木が好きなの?

 

木なんて別に好きじゃないし

 

じゃあ高い所が好きとか?

 

普通

 

ならどうしてこんな所に居るの?

 

一人で居たいから

 

 

ふむ、どうやらレーヴァテインは一人で居たいみたいだ、あれかな?何か悩みがあって一人で居たい気分みたいな?もしそうならこのまま大人しくしていよう。

 

 

そう思いながら目を閉じ細目でレーヴァテインを見ていたら僕が渡したコーラを開栓しようとしていた。寝転がったまんまお腹の上で。

 

 

最悪っ…ねぇ、喧嘩売りに来たの?

 

あわわわわわわわ……

 

 

僕が木に登った時に振られてしまったのだろう。パンって音と共に噴き出したコーラがレーヴァテインの服に垂れてしまっていた。

 

 

今年始まって1番嫌な気持ちにさせられたんだけど

 

そんなつもりは無かったんだよ…

 

この服、結構気に入ってるんだけど、どう責任とるつもり?

 

 

そう言ってどこからかハンカチを取り出し服を拭いていた。ってかこの人はなんて格好をしてしているのだろう?口元がすっぽりと隠れてしまう程に立った白いTシャツの襟、それになぜか横の部分だけが切り取られており横乳から脇へと続くボディラインが悩ましい程に見えていた。そして美脚を隠す事なくさらけ出すホットパンツ。はい、ありがとうございます。

 

 

そんな邪念を振り切り自分が寝転がりながらあけるからだよ、そう言いたかったけどその言葉を飲み込み代わりに謝罪の言葉を口から吐き出した。するとレーヴァテインの口角が上がった気がした。

 

 

なんか言う事聞いてもらうから、言っとくけど拒否権なんて無いから

 

はい…

 

 

一体僕はどんな事を言われるのか、あれかな?一晩枯れるまで付き合いなさいとか?私がしたい時に呼び出すから絶対来いとか?なんてご褒、、恐ろしいんだ。

 

 

今、最っ高にイラってしてるんだけど、そうだなぁ、、、

 

 

気怠そうな顔でコーラを一口口に含みそれを飲み込むと身体を伸ばしながらその命令を口にした。

 

 

お昼ご飯奢ってよ

 

 

?????

 

 

その言葉に理解が追いつかなかった。僕は一晩中搾精されてしまうんじゃ無かったのか?都合の良い時に呼び出されるんじゃ無かったのか?

 

 

何間抜けな顔してんのよ、さっさと行くよ

 

う、うん

 

 

木から飛び降りたレーヴァテイン、それに続き木を降りてその後をついて行く。

 

 

早く

 

はい

 

 

しばらく歩きたどり着いた店は教会のある街から少し離れた所にある街、サフランという街だった。知らない人も多いと思うから説明をするとこのラグナ大陸の商業施設であり耕民区クレナイから集められた生産品を加工したり売りに出したりと俗に言う大陸の台所らしい。まぁつまり栄えた街だって事だ。そんな街を僕はレーヴァテインの後ろについて歩いていた。

 

 

人がいっぱい居るよ……

 

 

因みに僕は耕民区クレナイ出身なのでこういう人混みには慣れていなかった、行き交う人々の群れに居るってだけで頭がぼんやりしてくる。

 

 

ほら、さっさと歩く

 

はひぃ…

 

 

そんな僕を気遣う様子も無く人混みを掻き分けて歩くレーヴァテインを必死に追いかけていた。しばらくすると今にも潰れてしまいそうなお店の前で立ち止まった。

 

 

入って

 

はい

 

 

レーヴァテインがドアを開けその店へと入って行った、その背後を恐る恐る入って行く事に。

 

 

はぇぇ…

 

 

店内も今にも潰れてしまいそうな外装と同じくボロボロで少し埃を被っていた。店内を見渡しても他のお客が居る訳も無くなんとか店と言う形を残しているお店。悪い言い方をすれば廃墟の一歩手前、良い言い方をすればレトロな雰囲気漂う店内。そんな店内をレーヴァテインは迷わず進み一番奥の席に座った。まるでここが自分の指定席かのように。そして僕もレーヴァテインと向かい合う席に少しだけ躊躇いながら座った。

 

 

おじさん、いつもの二つ

 

はいよ

 

 

僕にメニューを決めさせる事なく「いつもの」が二つ厨房に居る人に頼まれた。その言葉から察するにレーヴァテインはこの店の常連なのだろう。いや、立ち振る舞いからしても常連なのは明らかだ。

 

 

そして頬杖をつきながら視線を何処かへ向けていた。その視線を辿ると調理場へと向けているようだ。ご飯が待ちきれない程にお腹が空いているのかな?

 

 

レーヴァテインから視線を外し店内を見回して見る事に、先程も伝えたようにレトロな雰囲気漂う店内の片隅に立てかけてある小さな写真立てを見つけた。目を凝らして見てみると写真は日に焼けて分かりづらいが優しく微笑むレーヴァテインとその隣で笑うお爺さんのツーショットの写真だった。

 

 

気付かれないようにその写真と僕の前に居るレーヴァテインを交互に見てみるととても同じ人とは思えなかった。

 

 

お待たせしました

 

 

そう言って初老の男の人が料理を運んで来てくれた。見た目は普通のおじさん、だけど何処かに違和感がある。そうだ、足音が変なのだ、一つは靴の音、もう一つは硬い音。少し目線を落としておじさんの足元を見ると片足が義足だった。

 

 

別に珍しい事じゃ無い、きっとこのおじさんも異族にやられたのだろう。ただそれだけの事。

 

 

冷めるから早く食べなよ

 

うん、頂きます

 

 

そう言って運ばれて来た料理を食べる事に、見かけは普通のナポリタンスパゲティ。味は、何処か懐かしくて優しい味。母の手料理に似たような。

 

 

そんなスパゲティを二人で無言で食べていた。

 

 

ご馳走様

 

ご馳走様でした

 

 

ご飯を食べ終わり食後のコーヒーを飲んでいた。満足なお昼ご飯だった。

 

 

先戻ってるからお会計よろしく

 

 

そう言ってお店を出て行ったレーヴァテイン。それを見送りまだコップに残っているコーヒーを飲みながら僕もこういう行きつけの店を探そう。そんな事を思っていた。

 

 

それから少しだけのんびりと過ごしお会計をする事に。レジの前に行くとおじさんがパタパタと歩いて来てくれた。

 

 

1600ゼニーです

 

はい

 

 

財布からお金を取り出しお会計を終えて店の外に出ようとしたらそのおじさんに話しかけられた。

 

 

君はあのレーヴァテインのマスターなのかな?

 

いえ、僕は奏官の見習いをしているだけです

 

そうか

 

 

それだけ話して後は沈黙。だった、少し気まずい空気が流れ出したのでそそくさと退散する事に。

 

 

また来ます、そう言って店を出ると「レーヴァをよろしく頼むよ」そう聞こえた。その言葉に返事をする事なくドアを閉めてレーヴァテインが居るさっきの木を目指す事に。

 

 

美味しいご飯だったよ、ありがと

 

 

 

再び木に登りレーヴァテインの横の枝に寝転がっていた。色々聞きたい事があったけどわざわざ聞く必要も無いだろう。そう思い目を瞑る事に。

 

 

ねぇ、なんであんたは奏官なんかになろうとしてるの?

 

んー?じゃあ僕も質問良い?

 

答えられる事なら話してあげる

 

じゃあさっきのお店のおじさんはレーヴァテインとどんな関係なの?

 

あの人は私のマスターだよ、正確には「元」マスターだけどね

 

そうなんだ、どうして共鳴を解除したの?

 

あの人はもう戦場に立つ事が出来なくなったから、ただそれだけ。じゃあ次は私の質問に答えて、どうして奏官なんかになろうとしてるのよ

 

………

 

ちょっと、人の話聞いといて自分は話さないのは無しよ

 

そだね、昔僕の住んでいる村が異族に襲われたんだ、その時僕の妹が異族に殺されちゃってさ、だから、僕の様な思いをする人が一人でも減ればって

 

そうなんだ

 

そうなんだよ

 

 

それから僕達に会話は無かった、それよりも僕が気づいたら寝ていたのだけど。

 

 

ほら、そろそろ帰りなよ

 

うーん、、、そうするよ

 

 

心地良く眠っていたところを起こしてくれた、それで目を覚まし大きく身体を伸ばした。

 

 

あっ

 

 

寝ぼけていてここが木の上だと言う事を忘れていた。僕はバランスを崩し枝から真っ逆さまに落ちていた。

 

 

ほら、ドジなんだから

 

ありがと、助かったよ

 

 

地面に叩きつけられると思っていた身体はレーヴァテインに抱き抱えられていた。

 

 

はーあぁぁ、あんたを助けたらお腹空いちゃったんだけど

 

僕もレーヴァテインに助けてもらったらお腹空いちゃったよ、お礼に晩御飯奢らせて下さい

 

 

そうレーヴァテインの腕の中で言っていた。あれですよね、抱き抱えられているので僕の右半身に柔らかな物が二つ押し当てられているのですよ、はい。

 

 

ヘンタイ

 

うわっ

 

 

少しニヤけていたのを気づかれたのかそのまま手を離され地面に落とされてしまった。それでもお釣りが来るのだけど。

 

 

さっさと行くよ

 

はい

 

 

またあのお店に行くのかな?と思っていたけど教会の近くにあるラーメン屋に連れて来てくれた。あの襟を下げてラーメンを食べるレーヴァテインに見惚れてしまっていた。

 

 

何見てんのよ、伸びる前に食べなよ

 

あぁ、、、うん

 

 

ズルズルとラーメンをすすっていた、美味しい。

 

 

これ食べたら帰りなよ

 

うん、そーするよ

 

 

ズルズルとラーメンをすすりスープを一口、うん、美味しい。

 

 

ご馳走様、先に外いるから

 

うん

 

 

お会計を済ませて外で待つレーヴァテインの元へ。ドアを開けると僕にジュースの缶を渡してくれた。

 

 

ありがと

 

別に、お昼も奢って貰ったから

 

レーヴァテインさんの頼みだったからね

 

じゃ、そろそろ帰りなよ、もう暗いし

 

あのさ

 

なに?

 

もう少しだけ付き合ってよ

 

 

僕がそう言うと少しだけ気怠そうな顔をして良いよって言ってくれた。その後二人で近くにある公園のベンチに座っていた。

 

 

それで、どうしたの?

 

なんで僕に優しくしてくれたの?あの時怒ってたでしょ?

 

 

そう聞くと少し俯き口元を襟に隠した。

 

 

二人目

 

二人目?

 

ああやって追い払って戻って来た人は。一人はあの人で二人目があなた、少し懐かしかったから、それだけ

 

そうだったんだ

 

 

ありがとう天使の僕、ありがとう良く勇気を出したあの時の僕、心の中で自分を褒め称えていた。

 

 

それと、復讐の為に奏官になりたいのならやめときなよ、そんな気持ちで奏官やってると死ぬから

 

復讐なんて考えてないよ、僕の村を襲った異族はもう討伐されてるし、さっきも言ったけど僕みたいな思いをする人が少しでも減ったらって

 

なら良いけど

 

 

そう言いながら僕の顔を覗き込んだ。月明かりに輝く真紅の瞳で僕の目を真っ直ぐに見つめていた。その美しさに言葉を出せずただ見つめ合っていた。

 

 

良い目してるね、じゃ私行くから

 

う、うん、ありがとね

 

別に、私の気まぐれだから

 

 

そう言ってレーヴァテインは闇夜に消えて行った。その姿が見えなくなるまで見送っていた。

 

 

………そうだ、貰ったジュース飲も

 

 

レーヴァテインに貰ったジュースのプルタブを起こすと中身が吹き出してきた。その雫は僕のズボンを汚していた。

 

 

やられた。あの時のコーラの事根に持ってたんだ。少し笑いながら一気にジュースを飲み干し僕も家に帰る事に。

 

 

ただいま

 

 

誰も居ない部屋に挨拶をしてシャワーを浴びてパジャマに着替えていた。

 

 

さてと

 

 

椅子に座り図鑑に目を通す事に。次のキル姫はデュランダルって人の様だ。剣を使うキル姫。それだけ見て僕はベッドに寝転がった。

 

 

レーヴァテインか…

 

 

そう呟いて布団を顔までかぶって目を閉じた。おやすみ。

 

 

 

………………………………………………

 

 

あの後私はいつもの木の根元に居た。そして空に浮かぶお月様を眺めていた。

 

 

あの人とあんな奴を重ねてしまった自分を嘲笑いながら何も言わずに私を照らしてくれている月をただ見上げていた。

 

 

…………

 

 

あの時の事が脳裏にフラッシュバックするのを頭を振って揉み消し深呼吸をして家に帰る事に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。