キル姫日記   作:やす、

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29ページ目 フライクーゲル

フライクーゲルとはゲルマン、ドイツの民話伝承に出てくる魔弾の事である。

 

 

フライとは無制限に、自由に動くという意味でクーゲルは弾丸を指す言葉だ。伝承によるとフライクーゲルは「自由に動く弾丸、悪魔の力により当たる弾丸」らしい。

 

 

つまり悪魔に操られ自由に動く弾丸という事か、ヤバくない?

 

 

まぁそんな事は置いておいてファンキルのフライクーゲルの話をするとファーストキラーズの一人でピンクの長髪に帽子、それに手にドラ●もんの空●砲を付けているイメージを持つ人が多いのでは無いでしょうか?因みにほとんどのイラストが手に何かを付けており素手を見せているのは海上編二種類、ロスラグの二種類、学園のみとなっている。そしてファンキルには初期から居るキル姫の一人で種類もかなり多い。一番僕が好きなのは聖鎖されているフライクーゲルだ。可愛いしカッコいいという隙が無いイラストなので是非一度見て下さい。

 

 

それと高確率で頭に帽子をかぶっているのだ。この理由は少し調べたのだが分からかった。でも何かしらの理由があるはず。

 

 

どうも、キル姫日記の主人公ことコウです!昨日はケラウノスに会う日だったのだけどマリアさんに止められて会う事ができずじまい。トライデントさんの妹という事で結構楽しみにしてたのに。

 

 

「おはようございます。もう準備はできていますか?」

 

「シャルウルさんおはようございます!もういつでも行けますよ。あれ?マリアさんはどうしたんです?」

 

「マリアは昨日私を怒らせたので少しお仕置きをしちゃいまして、しばらくお休みです」

 

「……………はい」

 

 

一体昨日何があったのだろう?気になるけど聞いてはいけない雰囲気がするのでやめておく事に。

 

 

「懸命な判断です。それとフライクーゲルなのですが先ほど教会前の広場に到着したようです」

 

「ありがとうございます!じゃあ行って来ますね」

 

「あとこれをお渡ししておきます。今日のお題と馬小屋の鍵です」

 

 

シャルウルさんにお礼を言って教会前の広場へと。広場を見渡しフライクーゲルさんを探すのだけど。

 

 

「ーーー♪ーー♪ーーーー♪」

 

 

やたら楽しそうな人が一人居た。楽しそうっていうか落ち着きがなく今にも走り出しそうっていうか元気のかたまりっていうのかなんていうか。

 

 

例えるなら陽キャかな。僕自身そんな人は苦手ですこーし関わりたくないので距離を取りフライクーゲルさんを探す事に。

 

 

「ハロハーロー♪げんきー?私はすっごく元気♪」

 

 

陽キャさんが見境なくいろんな人に話しかけている。これがコミュ力というものなのだろうか?因みに話しかけられた人の反応はほとんどがめんどくさそうな反応。それでも気にする事なく話しかけ続ける精神は少し見習いたい。

 

 

「んっと、私コウって子を探してるんだけど誰か知らないかな?」

 

 

悲報、陽キャさんフライクーゲルさんだった。そうなれば会いに行くしかないので覚悟を決めてフライクーゲルさんの元へ。

 

 

「おはようございまーす、フライクーゲルさんですよね?」

 

「イェス!私がフライクーゲルだよ♪君は、、、?」

 

「僕コウって言います!今日一日よろしくお願いします!」

 

「オーケー♪じゃあ今日一日ヘアピィにすごそうね♪」

 

 

とにかく笑顔で明るいフライクーゲルさんと無事に合流し本日の予定が書かれた紙を広げ読んでみる事に。

 

 

「えっと、本日の任務はクレナイにある村にミカンを買いに行く事です」

 

「ミカンね!オケェレッツゴー♪」

 

 

走って行こうとするフライクーゲルさんをなんとか引き留めて教会へ馬車を借りちょっとした小旅行へ。

 

 

「それでグリモワールが私に向かってバーン!って」

 

「そしたらなーんっと!ビックなベーンが!」

 

「もう堪らないよね!私もエキサイティンしちゃってさ♪」

 

 

しゃべるしゃべるしゃべる!教会を出てから一時間ほど経つんだけどノンストップで話し続けるフライクーゲルさん。まじでこれだけ話し続けられるのは才能だと思う。

 

 

「でさでさ!「でぇ?」って!あのちょっと怒った顔もキュートで可愛いんだよね♪」

 

 

そんなフライクーゲルさんの話に相槌を打ちながらゴトゴトと馬車に揺れてゆく。この人が静かになる時はあるのだろうか?そんな疑問を思いながら。

 

 

「ねぇコウ。そろそろお腹すいちゃったよ。ワッツターイム?」

 

「えっと、もうすぐ12時です。そろそろご飯にしましょうか?」

 

「イェス!コウは何食べたい?」

 

「んー、フライクーゲルさんに合わせますよ」

 

「ノンノン!自分の意見を言えない男はモテないよ♪アーユーオケ?」

 

「はい!じゃあカツ丼食べに行きましょ」

 

 

そんな訳でそれから少し走り見つけたそば屋さんへと。馬車をしっかりと木に繋ぎ二人で入店してゆく。

 

 

店内へと入りメニューを決めている間も話し続けるフライクーゲルさんなのだがご飯を食べている時は無言で美味しそうに食べていた。そのギャップが可愛らしい。

 

 

つかの間の休憩を終えて僕達は目的地である村へとやって来ていた。村の入り口から入ってゆくと家屋よりもミカンの木の方が多くミカンが好きな人にとっては堪らない光景だろう。

 

 

「イヤァ♪これだけミカンがあったら食べきれないよ♪」

 

「フライクーゲルさんはミカンが好きなんです?」

 

「んー♪ミカンはライクだよ♪皮を剥くのがちょっと嫌だけど」

 

「その気持ち分かります。でも手間がかかるから美味しいんですよね」

 

「そうだね♪皮を剥いて手に付いたミカンの匂いも乙なものだからね」

 

 

とりあえず先に任務であるミカンを購入し僕達もミカンの試食を行う事に。そこで良いミカン、悪いミカンの見分け方を教えてもらいザルに山盛りになっているミカンを頂いてゆく。

 

 

「へぇ、濃いオレンジ色のミカンが美味しいミカンなんだね」

 

「小さい方が美味しかったりヘタでの見分け方なんてあるんですね」

 

「でも残しちゃうのは可哀想だから私は全部食べちゃうよ♪」

 

 

そう言いながらザルから一つミカンを取り丁寧に皮を剥いてゆく。勝手な想像だとてきとーに剥いているって思っていたのだが白い繊維まで綺麗に取り一つ粒を口に運ぶと美味しそうな顔をしていた。

 

 

「デリシャス♪私もお土産に買って帰ろうかな」

 

「ミカンは日持ちするので良いと思いますよ?」

 

 

因みにだけどミカンについている白い繊維は健康に良いらしいので取らずに食べた方が良いみたいだ。

 

 

「じゃあそろそろ帰りましょうか?」

 

「そうだね。なんかリフレッシュできたよ♪サンキュ!」

 

 

大きく体を伸ばし笑顔を見せてくれた。それから僕達は馬車に乗り教会まで帰る事に。

 

 

「でさでさー♪」

 

 

帰り道もフライクーゲルさんの話を聞きながら帰ってゆく。本当によく喋る人である。おかげで楽しい時間が過ごせているのだけど。

 

 

「ーーーーー」

 

 

さっきまで笑顔で話していたフライクーゲルさんが急に真剣な顔となり手に空●砲を取り付けていた。

 

 

「それは?」

 

「静かに。異族だよ」

 

 

馬車の後方より迫る馬のような異族。騎型種と呼ばれる異族。それも単品では無く七匹の群れでこちらへと向かってくるのが見える。

 

 

「ヘェイ!フライクーゲルのマンマンショーの始まりだよ♪」

 

 

意気揚々と馬車の荷台に立ち異族を見て「シッツ」っと短く呟いた。

 

 

「どうしたんです?」

 

「コウはフライクーゲルの伝承を知っているかな」

 

「えっと、悪魔の力により当たる弾丸でしたっけ?」

 

「イェス。私の放つ弾丸は百発百中。だけどそのうちの一発は悪魔が望む場所に当たる。この意味が分かるかい?」

 

「つまり?」

 

「勘が鈍いね。私の放つ弾丸がコウに当たるかもしれないって事だよ。アーユーオケ?」

 

 

苦しそうに話す顔にいつものおちゃらけた雰囲気は無く。ただ手に付けた空●砲を見つめていた。

 

 

「分かりました。じゃあ全速力で逃げましょう!」

 

 

荷台を引く馬の背に乗りムチを入れ馬をけしかけてゆく。不安の中戦えばきっとそれは判断を鈍らせる。ならば逃げるが勝ちなのだ。

 

 

フライクーゲルの伝承通りなら放つ弾丸は六発までフライクーゲルさんの望む所に当たる。だが残りの一発は悪魔の望む場所に当たる。

 

 

伝説の武器としての記憶が戦う事を躊躇わせる。それならばと馬車を走らせてゆくのだが人が二人乗った荷台を引かせる馬に速度が出るはずもなく騎型種に追いつかれ並走されていた。

 

 

「フライクーゲルさん!」

 

「ノー、、、」

 

 

異族の数は七。六匹は倒せたとしても残りの一匹に弾丸が当たる保証は無く悪魔が望む場所へと弾丸は向かう。

 

 

「フライクーゲルさん、お願いです戦って下さい!」

 

「でも、、君を巻き込むかもしれないよ」

 

「このまま全滅よりマシです!それに僕は覚悟してます!」

 

「・・・・・」

 

 

振り返り叫ぶと帽子の間からキラリと輝く瞳が見えた。

 

 

「オケーッ!じゃあ私の弾丸が君を貫いたら一緒にヘヴンに行ってあげるよ♪」

 

 

背にかかる程の桃長髪を背に回し空●砲を向けると炸裂音の後並走する異族の上半身が消し飛んだ。そして。

 

 

「イヤァ!ナーイスショッ♪」

 

 

さらに左右を並走する異族に両手を向け同時に撃ち抜く。そのまま後方の異族を穿つ。

 

 

武器を振り上げ襲いかかる異族を消し飛ばし弾丸は残り一発。

 

 

「ゴーーーーーーーッシュゥ!」

 

 

最後七匹目の異族に向かい発砲。その弾丸は煌めきながら異族を撃ち抜いた。

 

 

「ミッションコンプリーッ!イェース!アイアムウィン♪」

 

 

夕日をバックにキラキラとした笑顔を見せてくれるフライクーゲルさんはとても可愛くて頼もしかった。

 

 

 

「ありがとうございました!」

 

「お礼を言うのは私もだよ。君のおかげで自信が持てた。サンキュね♪」

 

「僕は何も、、、全部フライクーゲルさんの力ですよ」

 

「ノンノン♪ユーアーヘァピィ?」

 

「へあぴい?」

 

「イェス!ヘァピィ?」

 

「ヘァピィ!です!」

 

 

そんな訳でフライクーゲルさんと教会の前でお別れ。長い旅だったけどずっと話しててくれたフライクーゲルさんのおかげで楽しかった。手を振りながら歩いてゆくフライクーゲルさんの姿が見えなくなるまで見送りお部屋へと帰る事に。

 

 

「えっと、明日は八咫鏡ってキル姫か、、、」

 

 

そこまで調べてシャワーを浴びて眠る事に。おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヘェーイ!グリモワール♪フライクーゲルが遊びに来たよ♪」

 

「もー何よこんな夜に、、、あんたには常識ってものが無いわけ!?」

 

「ノープロブレム!ミカンを買ってきたよ♪一緒に食べよ♪」

 

 

少し遅い時間にも関わらず笑顔で話すフライクーゲルを家へと招き入れコタツを囲みミカンに手を伸ばしてゆく。

 

 

「結構美味しいわね」

 

「でしょでしょ?だから君にも分けてあげたくてさ」

 

「気持ちは受け取ったわ。それともう少し喋る音量を考えなさい」

 

「ワッツ?」

 

 

笑顔でミカンの皮を剥くフライクーゲルにため息を吐くグリモワールであった。

 

 

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