キル姫日記   作:やす、

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芭蕉扇

芭蕉扇と聞いて何を思い浮かべますか?と聞くと大体の人は西遊記かドラゴンボ⚪︎ルを思い浮かべると思う。

 

牛魔王という人物が二作共に芭蕉扇に関係しており燃える山の火を消すというもの。

 

ドラゴンボ⚪︎ルに関していうと亀⚪︎人が鍋敷きの代わりに使いワンタンのスープを溢して汚れたから捨てたという残念な扱いを受けているのだが。

 

 

そんな事は置いておいて西遊記関連であるという事は中華由来の神器なのだろう。今までに会った中華由来の神器をキラーズに持つキル姫達を思い返してみると方天画戟さんや青龍偃月刀さんだ。

 

二人の事を思い返すと芭蕉扇というキル姫も武将の血を引いているかもしれない。そう考えただけでクセが強い人だと想像がつく。

 

 

どうも、キル姫日記の主人公ことコウです!最近全く本誌の更新を行なっておらずふと見たら三ヶ月程放置しておりました。その代わり裏キル姫日記はコツコツと更新しておりますので是非そちらの方もよろしくお願いします。

 

 

「コウ君ーおはよーございます♪」

 

「おはようございますマリアさん」

 

 

そんな感じで久しぶりのマリアさんとのやりとりの後僕は芭蕉扇を探しに教会の前の広場へと来ていた。

 

そこで待っていてくれる芭蕉扇を見つけるために辺りを見ているのだが中々見つからず。それでも諦めずに探しているとようやくその様な人を見つけた。長い髪を袋みたいなので結び白と紫のワンピースの女性。何処となく漂う中華感を感じその人に話しかけてみることに。

 

 

「おはようございます、、。もしかして芭蕉扇さんですか、、?」

 

「そうよ。私が天界一高貴な霊宝、芭蕉扇」

 

(うわぁ、、)

 

 

もうこの言葉を聞いただけで芭蕉扇はプライドが高いという事を察した。そして気も強そうだと。

 

 

「おはようございます!僕コウって言います!今日はよろしくお願いしますね」

 

 

しっかりと頭を下げて挨拶をし顔を上げると満更でも無さそうな顔。確実に相手より自分が優位に立ちたい人だ。

 

 

「芭蕉扇様はもう朝ごはん食べました?」

 

「いや、まだよ。そうね、コウって言ったかしら?」

 

「はい」

 

「今日一日あなたに私の下端となる事を許可するわ。ありがたくおもいなさい」

 

「はっ!ありがたき幸せ〜」

 

「ふふっ。分かっているわね。それじゃあエスコートを頼んだわよ。もちろん私をエスコートするんだからそれ相応の準備はしてあるわよね?」

 

「・・・・?」

 

 

いつもその場のノリで動いているので準備とか言われると非常に困る。そして確実に準備をしていないと答えると芭蕉扇は機嫌を損ねるだろう。

 

なので一瞬の間に思考を張り巡らせ最適解なルートを探す事に。

 

 

「もちろんです芭蕉扇様。芭蕉扇様に今日一日を楽しんで貰えるよう考えてあります」

 

「そう、準備が良いわね。さぁ、私を満足させる事があなたにできるかしら」

 

 

再び満足そうな顔で僕を見てくれるのだが当然の様にハッタリなので芭蕉扇の顔を見るだけで背中を嫌な汗が伝うのを感じる。

 

 

「朝食の準備ができてます。どうぞこちらへ」

 

 

だが、僕はハッタリを一日押し倒すのだ。自分の身を守るために。

 

 

そんな芭蕉扇と共に来たのは近くに合った喫茶店である。

 

 

「どうぞお座りになられて下さい」

 

 

奇跡的に空いていた席へと行き椅子を引くとそこに芭蕉扇が座った。その後芭蕉扇と対面する形で席へと座る。

 

 

「どうぞ」

 

 

机の上に立てて置いてあるメニュー表を取り芭蕉扇に渡すと怪訝な瞳で僕を見た後メニュー表を手に取り目を通して行く。

 

 

「ほら、私は決まったわ」

 

 

返されたメニュー表へと目を通して食べたい物を選び店員さんを呼びメニューを伝えていた。

 

 

「それであなたは奏官を目指しているのよね」

 

「そうです!」

 

「良い志だとは思うけどあなたの様な貧弱な男に奏官が務まるのかしら」

 

 

じっとりとした目線を感じ苦笑いを浮かべているとつまらなさそうに頬杖を付き他のお客を眺めていた。

 

 

「芭蕉扇様はどんな奏官が理想なんですか?」

 

「そうね、私は身長が高くて頼り甲斐があって筋骨隆々とした奏官が好みよ。あなたとは正反対ね」

 

 

平然と告げる芭蕉扇に僕は苦笑いをする事しかできなかった。

 

 

それから届いた朝ごはんを食べながら芭蕉扇へ話を振るのだが適当にあしらわれ会話は続かず胃がキリキリしてしまいそうな朝食を終えて僕達は街へと来ていた。

 

 

「それでこれから何をするって言うのかしら」

 

「お買い物をしたいと思います!日用品とか思いついた時に買いだめしておきたいじゃないですか」

 

「買い物ねぇ」

 

 

ジトっと僕の顔へ向けられた目線に気が付き苦笑いをしながら芭蕉扇と共に某激安の殿堂へと行く事に。

 

 

個人的な意見なのだが某激安の殿堂はかなりイメージが変わった気がする。以前はヤンキーの巣窟みたいな印象だったのだが現在は誰もが訪れるスーパーになってしまっている気がする。何が言いたいのかと言うと尖った印象が丸くなったと言う事だ。まぁそれがどうしたと言う話なのだが。

 

因みにだけどこの店を僕は愛用していて商品が多いので暇つぶしに来たり他店より安い商品を買ってみたりゲームセンターに行ってみたりと。

 

 

「芭蕉扇様は何は何か見たいものありますか?」

 

「特に無いわね」

 

「じゃあ上から順に見ていきましょうか」

 

 

エスカレーターを使い二階へと上がり順に店内を回ってゆく事に。

 

 

「何処から見てまわります?」

 

「あなたに任せるわ」

 

 

そう言われて少し考えてキャンプ用品から見る事に。買う予定は無いのだけど見たくなるのだ。それからレジャー用品を見て馬車用品を見て工具を見て。それだけで時間が過ぎてゆく。

 

 

「・・・・」

 

 

そして振り返れば不機嫌そうな芭蕉扇の顔が。

 

 

「あの、、」

 

「ほんっとあなたって女性の扱い方というものを知らないわね。大体私がこんなおもちゃみたいな物に興味を持つと思っていたの?ずっと退屈してるんだけど」

 

 

一度不満を口にすれば止まらず芭蕉扇は僕を罵り続け僕が半泣きになったところで芭蕉扇の言葉はやっと止まった。

 

 

「ごめんなさい、、」

 

「あなたの様な何も知らない人にエスコートを頼んだ私がバカだったわね」

 

「はい、、申し訳ないです、、」

 

「良いわ。せっかく一日過ごすのだから私があなたを楽しませてあげる」

 

「えっ?」

 

 

芭蕉扇からの思わぬ言葉に僕はハテナを浮かべながら芭蕉扇の顔を見た。

 

 

「なに?不満なの?この私がせっかく楽しませてあげると言っているのに」

 

「いえっ!そんな事ないです!」

 

「じゃあ私について来なさい」

 

 

芭蕉扇に連れられて店内を歩いてゆく事に。

 

 

「あの、、、」

 

「何?この私の隣を歩くのよ?そんな下民が着るような服で私の隣を歩けると思っていたのかしら」

 

 

辿り着いたのは服を扱うお店でありそこでスーツを購入しスーツに着替えていた。なぜスーツなのかは分からないが初めて着るスーツに違和感しか感じない。

 

 

「ほらあなた。タイが曲がっているわよ」

 

 

更衣室で何度も結び方を見ながら結んだネクタイが曲がっていたようで芭蕉扇が少し屈み手を伸ばしネクタイを直してくれた。

 

 

「これでよしっと。何ぼーっとしているのよ、行くわよ」

 

 

そんな訳で芭蕉扇に連れられて店内を散策する事に。

 

 

「あなたはどんなものが見たいのかしら?」

 

「えっと、日用品かな?」

 

「ならそれを見にいきましょう」

 

 

二階から降り一階へと行き案内看板を見ながら日用品を探しにゆく事に。僕をリードする様に芭蕉扇が僕の前を歩いてくれるのだけどふんわりと漂うシャンプーの匂いにゴクリと息を飲む。

 

 

「どうしたのかしら?」

 

 

そんな邪な考えを見抜かれたのか芭蕉扇が振り返り僕の顔を覗き込む。

 

 

「えっと、、良い匂いだなって」

 

「当たり前じゃない。身嗜みは気を使っているしシャンプーだって。そうだ。良かったら私が使っているシャンプーを教えてあげるわ」

 

 

そう言ってもらい足の向きを変えシャンプーを売っている場所へ。そこで芭蕉扇が使っているシャンプーを教えてもらったのだが。

 

 

(うわっ、、高ぇ、、)

 

 

芭蕉扇が使っているシャンプーを見て目が飛び出そうになった。何故シャンプーが五千円近い値段で売られているのか。

 

 

「このシャンプーの良さは使わないと分からないわよ。まさか値段を見て躊躇なんてしていないわよね?」

 

「はい!買います!」

 

 

心の中で涙を流しながらシャンプーを買い物カゴへ。

 

 

「良い?使用する日用品は質で選ぶのよ。質の高い物に囲まれて生活をすれば自然と意識は向上するの」

 

「なるほど、、」

 

「その物の本質を見抜くとでも言いましょうか。例えばこのティッシュ。あなたならどちらを選ぶかしら」

 

 

芭蕉扇が指差すのは五箱でワンセットで売られているボックスティッシュが。同じボックスティッシュなのだが見比べて見ると値段に違いがある。

 

 

「えっと、安い方を買います」

 

「ほんとっダメね。ここを良く見なさい」

 

 

芭蕉扇が言う場所をよく見てみるのだがよく分からず困り顔で芭蕉扇を見た。

 

 

「良い?このティッシュは150組でこっちのティッシュは200組なの。確かに値段は安いかも知れないけどトータルで考えるとこっちの方がお得なのよ」

 

「なるほど、、」

 

「一箱で見たら50枚の差だけれどもセットで見ると250枚損している事になるわ。金額で言えばもう一箱買えるわね」

 

 

主婦の知恵を教えてくれる芭蕉扇に尊敬の眼差しを送っていた。

 

 

「芭蕉扇さんはどんなティッシュを使っているのですか?」

 

「私はこれ。花粉の季節だとこのティッシュが手放せないのよ」

 

 

芭蕉扇が言うティッシュは鼻セ○ブ。確かに鼻に優しいティッシュだ。

 

 

「次は食材を見に行くわよ」

 

 

芭蕉扇に連れられて次は生鮮食品売り場へ。売り場に行くとまずは野菜たちが陳列されているコーナーへと。

 

 

「あなたは夕食はいつもどうしているのかしら」

 

「キル姫達と食べて帰ったりたまに食べなかったり」

 

「どうせ体の事なんて何も考えずに食べているでしょ。今夜は私がご飯を作ってあげる」

 

「ほんとです?」

 

「本当よ。あなたの様な下民の為にこの私がご飯を作ると言っているのよ?泣いて喜んでもまだ足りないぐらいね」

 

「ありがとうございます!」

 

 

その後生鮮食品売り場を芭蕉扇さんの食材を選ぶコツを聞きながら周り僕は芭蕉扇に連れられて芭蕉扇の自宅へと来ていた。

 

 

「お、お邪魔します、、」

 

「楽にしてなさって。今から作るから」

 

 

何処となく中華な雰囲気のお部屋を恐る恐る歩いていると芭蕉扇が椅子を引き座れと。

 

引かれた椅子に座ると買い物袋片手に芭蕉扇はキッチンへと歩んでゆく。

 

 

(はぇぇ、、)

 

 

冷蔵庫に買ってきた物をしまうとエプロンを着て調理を開始した。その後ろ姿をただ見ていた。

 

 

その姿は優雅の一言。何度こうして料理を行えばこの立ち振る舞いが身に付くのか。

 

 

「何か手伝いましょうか?」

 

「私があなたに手伝わせると思って?邪魔になるだけだから大人しく座っていなさい」

 

 

ぴしゃりと言い切られ大人しく座り部屋を見渡す。置かれている家具は系統が統一されシックな雰囲気。そして見る限り埃一つ見つける事ができない程清掃が行き届いている。

 

それからしばらくすると部屋中に良い匂いが漂い始め良い感じに食欲を刺激してくれる。

 

 

「ほら、できたわよ」

 

 

芭蕉扇の言葉と共に机の上に料理が盛り付けられた大皿が。湯気を立て美味しそうな匂いを立てる料理に思わずため息が漏れる。

 

 

「まだあるからね」

 

 

そう言ってキッチンへと行くと皿を二つ持ちテーブルへと戻りお皿を置くと再びキッチンへ行きコップの四つと何かの瓶を持ち戻りやっと椅子に腰をおろした。

 

 

「あなた、お酒は飲めるかしら」

 

「飲んだ事無いんですよね。まだ未成年ですし」

 

「そう。ならこれだけにしといてあげる」

 

 

コップに何かを注ぐと僕へと渡してくれた。

 

 

「これは?」

 

「食前酒よ。アルコールには食欲を刺激する効果があるの」

 

「なるほど」

 

 

芭蕉扇が突き出したコップにコップを合わせてからそれを口へと運ぶ。

 

 

(んっ)

 

 

ほんの少しのアルコール感を感じた後爽やかなフルーティな味が口から鼻へと抜けてゆく。

 

 

「ほら、冷めないうちに食べてちょうだい」

 

「いただきます」

 

 

大皿に盛り付けられた料理を小皿へと取り分け一口。

 

 

「んっ!美味しいです!」

 

「当たり前の事言わないでもらえるかしら?誰が作ったと思っているのよ」

 

 

そう言うのだが芭蕉扇の顔は緩み柔らかな表情で夢中にご飯を食べる僕を見てくれていた。

 

 

「ちょっと、そんなにがっつかないでもっと味わって食べなさいよ」

 

「美味しくてつい、、」

 

「まぁ私が作った料理ですからね。そうなるのも無理はないわ」

 

「なんで料理なのですか?」

 

「青椒肉絲と炒飯よ。そうだ、レシピを教えてあげるから次は自分で作ってみなさい」

 

 

席を立ち別のテーブルへと行くとサラサラと紙に何かを書く音が。しばらくすると丁寧に折り畳まれた紙を僕に渡してくれた。

 

 

「ありがとうございます!」

 

「まっ、あなたが作った所で私の味を真似できるとは思えないけどね」

 

「精進します」

 

 

それから芭蕉扇と色んな事を話しながら楽しい夕食の時間が過ぎてゆく。

 

 

「ごちそうさまでした。食器洗いますよ」

 

「その気持ちは嬉しいけど、私の使っている食器は高いわよ?」

 

 

その言葉で僕は動きを止めて大人しく席に座り手際よく食器を下げ食器を洗う芭蕉扇の後ろ姿を見ていた。

 

それと同時に僕はキル姫を見る目が無いなと思い反省をしていた。

 

 

「はい、今夜のデザートよ」

 

「ありがとうございます」

 

 

食器を洗い終えた芭蕉扇がテーブルの上に置いてくれたのはアンがたっぷりとかかったみたらし団子。

 

白い団子が香ばしく焼き上げられカラメル色のタレの甘い香りが別腹を開けさせる。

 

 

「ほら」

 

 

串を持ち口を大きく開けてお団子を一口で食べる芭蕉扇。口の周りに付いたタレに気づく事なく咀嚼しまた口を開けてお団子を一口。

 

 

「何よ?私の顔に何か付いているっていうの?」

 

「いえ、頂きます!」

 

 

食べ終えた後も口の周りにタレを付けたままな事を言えないままお団子を一口口に運ぶと甘塩っぱいタレの後に香ばしい味が口いっぱいに広がり思わず唸ってしまう。

 

 

「それを食べたら帰りなさい。もう良い時間よ」

 

 

そう言われて時計を見ると時刻はいつの間にか20時を回っていた。楽しい時間は過ぎるのがあっという間である。

 

 

「ごちそうさまでした。本当にありがとうございました」

 

「お礼なんていらないわ。それと」

 

「それと?」

 

「夜は暗いから家まで送ってってあげる」

 

 

そんな訳で芭蕉扇に家まで送ってもらう事に。夜間のしんっとした夜道を二人で歩んでゆく。

 

 

「あの、芭蕉扇さん」

 

「どうしたのかしら?」

 

「どうしてここまでしてくれたんですか?」

 

「そうね。まっ、私の気まぐれとでも言っておきましょうか」

 

「あははは、、」

 

「でも久しぶりに誰かと一緒に居れて楽しかったわ。またご飯でも食べに来なさい」

 

 

気が付けば教会の宿舎の前だった。僕は深く頭を下げお礼を言っていた。

 

 

「お礼なんていらないわ。そうね。そこまでお礼が言いたいのなら私好みの奏官になりなさい」

 

 

お休みなさい。そう言って芭蕉扇は闇夜へと歩んで行った。その後ろ姿が見えなくなるまで見送り家に帰る事に。

 

 

「ただいまー」

 

 

誰も居ない部屋に呟きながら入りお風呂に入った後机に座り明日会う予定のキル姫の名を調べる事に。

 

明日はアクスレピオスというキル姫の様だ。それだけ調べてからベッドへと潜り込んでゆく。

 

 

「お休みなさい」

 

 

今日の事を思い出しながら眠りへと落ちてゆく。

 

 

 

 

 

 

 

 

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