キル姫日記   作:やす、

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8ページ目、グラム

グラム(Gram)は、北欧神話に登場する剣のひとつ。その名は古ノルド語で怒りを意味する。 古エッダではファフニールを殺すためにレギンからシグルズに与えられるが、『ヴォルスンガ・サガ』では出自が異なりオーディンからシグムンドへ与えられ、後に息子のシグルズに受け継がれたものとされる。石や鉄も容易く切り裂いたといわれている。鍛え直された後の長さは7スパン(およそ140センチメートル)あった

 

 

朝起きてから図鑑でグラムの事を調べて出てきた文だ。思いっきりコピペなのは目を瞑って欲しい。オーディンの名が出てくるって事は北欧神話の武器なんだね。

 

 

一つ賢くなったと思いながら図鑑を閉じて大きく背伸びをしていた。

 

 

コウ君ー起きてますかー?

 

はーい、おはようございます!

 

おはようございます♪今日はグラムの所に行ってきて貰いますからね♪

 

了解です!それでそのグラムさんはどこに居るのですか?

 

そうですね、今の時間だと山に居るんじゃないですか?

 

 

……疑問を疑問で返されても困るんだけどなぁ。

 

 

とにかく山に行けば良いのですね?

 

はい♪一応グラムが居そうな場所はリストアップしてあるので探して下さいね♪

 

はい!

 

 

そんな訳で僕は地図を片手に山を散策していた。倒木や草をかき分けながら山道を進んでいた。元からこういう道は慣れているので苦労はしないのだけど。

 

 

いたた

 

野薔薇に引っかかりながら進むと開けた場所にでた。その広場を見ると木漏れ日を浴びながら小鳥と戯れる一人の女の人の姿があった。

 

 

綺麗な人……そう思いながらその人を見ていると小鳥が僕に気が付いたのだろう。空へと飛び去ってしまった。

 

 

あっ、、

 

 

それを残念そうに見送りその後に僕の方へと振り向いた。

 

 

おはようございます、もしかしてグラムさんですか?

 

うん、私がグラム。竜殺しのグラムって覚えてね♪

 

僕、コウって言います!今日一日よろしくお願いします!

 

はーい♪君の事は教会から聞いているよ♪奏官の見習いをしているんだっけ?

 

そうです!まだまだ未熟者ですがお願いします!

 

うん、じゃあ一日相手をしてあげるね♪そのかわり、私のお手伝いをしてもらおっかな?

 

お手伝いですか?

 

うん、この山の奥に竜が居るんだ♪

 

はぇぇぇ

 

 

動物や異族が居るのは知っていたけどまさか竜まで居るのは知らなかった。その竜をどうするつもりなのだろう?

 

 

それでグラムさんはその竜をどうするつもりですか?

 

もちろん、乗りこなすんだよ♪

 

そこは殺さないんですね…

 

竜殺しは昔の呼び名だからね♪殺せって言われれば殺すけど?

 

殺さないで下さい

 

冗談だよ冗談♪じゃあ着いてきてね

 

 

そう言った後に山道を進んで行った。その後ろをついて行くことに。

 

 

………………

 

 

当然山を登るので少し上に視線を向ける事になる。なのだが僕の前をグラムさんが歩いている。それがどういう事か分からないと思う。今回のグラムは図鑑No.142のグラム。そう言うとわかりづらいと思うから覚醒できるグラムと記しておこう。

 

 

それを踏まえて説明をすると腰まである茶髪の長髪にその頭にちょこんと乗った真っ赤なベレー帽それによく分からないお腹が露出した上着?それに赤のチェックのミニスカート、それに黒のニーハイ。つまり上を見るとどーしてもスカートの中が見えそうになってしまうのだ。

 

 

見えそうで見えない。なんとも男心と欲望をくすぐる格好で坂の上を歩いているので非常に目のやり場に困っていた。

 

 

それで僕は何を手伝えば良いのですか?

 

そうだね、私が竜に乗れたって証人になってもらえれば良いよ♪

 

了解です!

 

 

そんな話をしながらグラムさんはまだまだ山道を進んでゆく。その後ろを息を切らしながらなんとかついて行く。

 

 

居た

 

何が、、、居たの、、、?

 

 

ゼーーーハーーと息を整えながら膝に手を置き呼吸をしながら前を向くと山の頂きに身体を丸めた竜が寝転んでいた。

 

 

逃げる訳でもなく攻撃体勢を取る訳でもなくただその竜は僕達を見つめていた。

 

 

今日こそその背中に乗せてもらうからね!持ってて!

 

うわっ!

 

 

そう言うと僕に剣を投げてグラムさんはその竜へと駆け出して行った。それに反応する様に竜が咆哮を上げて外敵を打ち払わんとその翼を大きく広げた。その姿はモンスター●ンターのリオレス●の様だ。

 

 

ヒィィィィィ!!

 

 

その咆哮の大きさに耳を塞ぎ座り込んでしまったけどグラムさんは怯まずに竜へと向かって行く。

 

 

今日こそその背に乗せてもらうよ!

 

 

繰り出される尻尾の薙ぎ払いや翼手のパンチを躱しながら接近し竜の首元に飛びついた。そのまま身体をくるりと回し首に跨るとするすると背中へと降りて行っていた。

 

 

グォォォォォォォ!!!

 

きゃあっ!!!

 

 

もう少しで背中にたどり着く時に竜が暴れグラムさんが宙に浮いた。その瞬間に竜が尻尾を振り回しグラムさんを打ち払った。

 

 

いったぁーーー!!!

 

だ、大丈夫ですか…?

 

 

尻尾に吹き飛ばされ僕の近くにあった木に叩きつけられそのまま地面へと力無く落ちていた。因みに赤色だった。

 

 

逃げましょう!

 

ーーーーーーー!!!

 

 

まだ何かを言っているグラムさんを抱きかかえて先程来た山道を駆け降りて朝にグラムさんと出会った広場まで逃げてきていた。

 

 

大丈夫ですか?

 

うん、なんとかね

 

 

そう言うと背中が痛むのかストレッチをしていた。それが終わるのを待つ事に。

 

 

グラムさんはいつからあの竜に乗ろうとしているんですか?

 

いつからだっけなー?もう忘れちゃったよ

 

そんなに?

 

うん、だって乗りこなしてやりたいじゃんか♪

 

剣は使わないの?

 

剣を使ったら殺しちゃうよ?私は剥ぎ取りがしたいんじゃなくて乗りこなしたいの♪

 

 

笑顔でそう言うグラムさんを見ながらリオレ●スから落ちる素材はなんだったのかを思い出そうとしていたが思い出せなかった。

 

 

じゃあ僕も手伝うよ?

 

その気持ちは嬉しいけどあの一撃を人間が受けたらタダじゃ済まないよ?ほら、キル姫と人間じゃ頑丈さが違うし

 

確かに、、、

 

 

どう考えてもあの竜の行動、攻撃パターンを見抜いて回避、接近ができる気はしなかった。

 

 

それに

 

それに?

 

ほら、私って何度も裏切られてきた経験からあるからさ。あんまり、その、初対面の人を信じられないんだよね

 

 

そう言われてしまった。だけど僕は言葉を続ける事に。

 

 

確かに信じられないって気持ちは分かるよ?僕だって初対面の人をいきなり信じろって言われても無理だし。それでも、今日一日は僕の事を信じてくれないかな?

 

 

グラムさんの目を真っ直ぐに見て瞬きもせずにそう言うと苦笑いをしてその後に照れた様に笑ってくれた。

 

 

そこまで言われたら、、、じゃあ少しだけ信じてみよっかなー?

 

ありがとね、グラムさんはご飯食べた?

 

私は、まだだよ?コウ君は?

 

僕もまだだよ、食べに行こっか?

 

そうだね♪

 

 

そんな訳で山を降りて適当なご飯屋さんに入る事に。

 

 

グラムさんは好きな食べ物とかあるの?

 

私は特に無いかな?コウ君は?

 

僕も特に無いかなー?なら好きな物は?

 

私は小鳥が好きなんだ♪さっきも見てたでしょ?

 

うん、小鳥と戯れる姿が可愛かったよ

 

またまたー♪褒めても何もでないって♪

 

 

そんなたわいも無い会話をしながら焼き鳥屋に行かなくて良かったと謎の安心感を秘めていた。しばらく話していると料理が運ばれてきた。

 

 

いただきまーす

いただきまーす♪

 

 

じゃああの竜に乗れたら一番にコウ君を後ろに乗せてあげるよ♪

 

ありがとね、楽しみにしてるよ

 

そういえば今日一日だけだったね、なら昼からまた竜の所に行くよー♪

 

あれだけやられたのに諦めないの?

 

諦めるなんてできないよ♪これはまぁ「グラム」だった時の記憶だと思うんだけどさ

 

ふむふむ

 

 

キル姫はやはりその武器だった時の性格を引き継ぐ様だ。それならレーヴァテインはめんどくさがりな剣だったのだろうか?この辺りの神話を調べてみるのも楽しいかも知れない。

 

 

竜を倒したシグルズは竜の心臓の血を舐め、鳥の言葉を理解するようになった。シグルズは、レギンが自分を殺そうと企んでいると鳥たちが話しているのを聞き、逆に彼をグラムで殺した。

 

 

今軽く調べたのだがこう出てきた。これがグラムの小鳥が好きって設定の元ネタなのだろう。こうして見てみると中々良く考えられている。

 

 

どうしたの?浮かない顔して

 

えぇっと、考え事かな?

 

悩みがあるなら考えずに行動すれば良いんだよ♪善は急げってね♪

 

 

明るくポジティブな彼女。輝く笑顔が眩しい。

 

 

そんな訳で僕達はご飯を食べ終えて再び竜の元へと戻ってきていた。

 

 

さーて、次こそ乗らせてもらうよ!

 

 

気怠そうに目を細める竜に宣戦布告をして向かって行った。その姿を後ろから見ている事に。

 

 

竜の攻撃を前転で躱し素早く立ち上がり接近していた。それを竜も読んでいたのだろう、後方へ下がり攻撃を仕掛けていた。

 

 

その様子を見ているとなんだか仲のいい友達。長年戦い続ける好敵手の様な、なんだろう、いいライバルって気がしてくる。

 

 

そんな二人を微笑ましく見ているとグラムさんが吹き飛ばされこっちに吹っ飛んできた。

 

 

ゲホッゲホッ!あーーっくそッ!!

 

大丈夫?

 

うん!次こそ乗りこなしてみせる!

 

 

そう言って駆け出して行った。そしてすぐにこっちに吹き飛ばされてきた。

 

 

怪我する前にやめておいたら?

 

いーーや!私は絶対に乗りこなしてみせるよ!それにコウ君と約束したからね!

 

 

あの時ご飯を食べながら言っていた竜の後ろに乗せてあげる。その約束を守る為にグラムさんは立ち向かっているのか、、、そう思い何か自分にできる事は無いのか探していた。

 

 

そうだ!

 

 

閃き次にグラムさんが吹き飛んでくるのを待っていると飛んできてくれた。

 

 

もー一回!!

 

グラムさん待って!

 

 

傷まるけでそれでも立ち向かおうとするグラムさんを呼び止め思い付いた事を話していた。

 

 

でもそれってコウ君が危ないよ

 

大丈夫大丈夫、信じてくれるんでしょ?

 

 

そう言うと「うん」っと頷き笑顔を返してくれた。

 

 

じゃあ行くよ!

 

頼んだよ!

 

 

僕が先行して前を走りその後ろからグラムさんに着いてきてもらっていた。それに竜が驚いた様な顔をしたがすぐさま攻撃態勢へと戻り翼を広げた。

 

 

はいっ!!!

 

そーーれッ!!

 

 

竜が攻撃を仕掛けようとした瞬間に僕がしゃがみ込みその両肩にグラムさんが乗った瞬間に立ち上がった。それに合わせて飛び上がったグラムさん。

 

 

いっけぇーーー♪

 

 

空高く飛び上がったグラムさんは空中で体勢を変えながら竜の背に飛び乗った。

 

 

どぉどぉ!!大人しくしてねー♪

 

 

それを暴れて振り払おうとしたがしっかりとグラムさんが抱き付き離れない。しばらく暴れていたが諦めて大人しくなっていた。

 

 

私の言う事聞いてくれる?

 

 

そう竜に問うと素直に返事を返していた。竜の言葉は分からないけどグラムさんに従ってくれるみたいだ。

 

 

コウ君、私やったよ!!

 

うん!すごくカッコ良かったよ!

 

 

竜に跨りポーズを決めるグラムさんに拍手を送っていた。それを照れながら笑顔を返してくれた。

 

 

じゃあコウ君乗って♪

 

えっ!?いきなり?

 

もう懐いたから大丈夫だよ♪ねっ?

 

 

グラムさんにそう言われて困った表情の僕と竜。凄く不安だけどその竜の背に乗せてもらう事に。

 

 

じゃあ竜で行く空の旅、一名様ご案内だよー♪

 

 

グラムさんの声の後にゆっくりと竜が羽ばたき空へと舞いがってゆく。硬いと思っていた竜の背は思ったより柔らかく意外と乗り心地が良かった。それに振り落とされない様にしっかりとグラムさんに抱きついておりその温もりも。

 

 

ここでサマーソルト♪

 

うおおぉっっ!!

 

 

謎の指示により空中で一回転。それに振り落とされない様にしっかりとグラムさんに抱きついていた。

 

 

あはははははは♪楽しいね♪

 

もーこわいよぉぉぉぉぉ!!!

 

まだまだ空の旅は続くよ♪

 

 

空に竜の咆哮とグラムさんの笑い声。それに僕の悲鳴を響かせながら空の旅は続く。その旅は日が落ちるまで続いた。

 

 

よーし♪ありがとね♪

 

ふぇぇぇぇ

 

 

暗くなり月が照らし始めた頃に教会の前へと下ろしてもらえた。その後舞い上がる竜を見送りグラムさんと夕ご飯を食べに行く事に。

 

 

すっごく楽しかったね♪

 

そうだね、初めて竜の背中に乗ったよ

 

 

適当な店に入りご飯を頼んでもまだ興奮冷めやらぬ様子。嬉しそうに、楽しそうに話すグラムさんの話を聞いていた。

 

 

やっと竜に乗れたよ♪

 

夢が叶ったってやつかな?

 

そーだね、私の長年の夢が叶った、だね♪

 

凄くいい場面に会えて光栄だよ

 

それもコウ君を信じたからだよ♪

 

そう言ってもらえて嬉しいよ

 

 

それでねっと話すグラムさんの話をうんうんと聞いてゆく。そんな時に料理が運ばれてきた、

 

 

いただきまーす♪

いただきまーす

 

 

なんの躊躇いもなくチキンステーキにナイフを入れるグラムさんを見ながらカレーを食べていた。聞くと大きい鳥にはなんとも思わないとのこと。

 

 

コウ君はキル姫一人ずつに会っているの?

 

そうだよ、良い奏官になる為にね

 

じゃあそのうち私の妹とも会うんだね、ちょっと控えめな子だからよろしくね♪

 

了解です!

 

 

キル姫にも姉妹とかあるみたいだ。これもその神話繋がりなのだろうか?

 

 

じゃあそろそろ帰ろっか、今日の事の復習もしたいし♪

 

まだ何かするの?

 

帰って鍛錬をするんだよ、ほら、明日には今日の自分を超えていたいからさ♪

 

 

そう笑顔で言っていた。この言葉は僕の胸に響いた気がする。

 

 

じゃあコウ君またね♪

 

はい!ありがとうございました!

 

 

そんな感じでグラムさんと教会の前で分かれることに。見えなくなるまで振り返り手を振ってくれるグラムさんに手を振り姿が見えなくなってから家に帰る事に。

 

 

シャワーを浴びて服を着替えて机に向かい図鑑を開く事に。次はアマダスってキル姫の様だ。それだけ見てからベッドに寝転がり今日の事を思い出していた。

 

 

赤色、それにあの柔らかな二つの感触。、、。じゃなくて、諦めない気持ちと誰かの助けがあれば事は上手くいくのかも知れない。僕もグラムさんの様に諦めない気持ちを持とう。

 

 

そう思い布団を被りティッシュを引き寄せていた。おやすみなさい。

 

 

 

 

 

 

 

私は鍛錬を終えて家に戻ってきていた。

 

 

ただいまー

 

おかえりなさい、随分と遅かったですね?

 

そーかな?それより今日は色んな事があったんだよ♪

 

はい、聞かせてくださいね?

 

まずは竜に乗れてそれから奏官の見習いの子に会ったんだよ♪

 

あの噂になっている子です?どんな子でした?

 

良い子だったよ♪それに久しぶりに人を信じた、かな?

 

グラムが人を信じるなんて珍しいですね

 

あんだけ真っ直ぐに言われちゃったらね♪そのうちバルムンクも会えると思うよ♪

 

楽しみだな、でも目立つのは嫌だけど

 

そんな目立つ様な子じゃないから大丈夫だよ♪それより

 

はい

 

 

グラスを重ねた後ゆっくりと口元へと運んでいっていた。その後グラムの話に相槌を打つバルムンクだった。

 

 

 

 

 

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