HUGっと!プリキュア 鬼人の夢想曲 作:水無月 双葉(失語症)
話が途中でも良いよと言う方のみお読み下さい。
合わなかった方は何も言わずに閉じて下さい、なお、否定意見及び低評価等はお許し下さい、ですが誉めて頂けると泣いて喜びます。
作者のメンタルは濡れたトイレットペーパーより弱いです、宜しくお願い致します。
新たな戦い
嫌な夢を見る、静まり返る世界、止まっている時間、そして聞こえる赤ん坊の泣き声……
夜中に目が覚め全身が汗まみれになっている。
何より俺を焦燥させたのは石の様になってしまった響ちゃんと奏ちゃんの姿だった。
「またこの夢か……あの世界は……あの赤ん坊の泣き声は……」
キッチンに移動し水を一杯飲む、窓に目をやるとカーテンの隙間から朝日が入って来ている。
「どうするべきか……」
俺は虚空を見つめ呟いた。
「八雲兄聞いてる?」
響ちゃんが咎めるような声に我に帰る、顔を向けると頬を膨らましてジト目で見上げていた。
「ごめん、ごめん、ちょっと考え事してた」
「八雲さん、少し顔色が悪い気がしますけど、何かありました?」
「心配ごとなら相談に乗るわ」
奏ちゃんとセイレーンも心配そうに見て来る、俺は後頭部を掻きながら3人に話をしようと覚悟を決める。
「話をするからさ、皆の都合のつく時に家で話そう」
「赤ちゃんの泣き声?」
「静止する世界って……」
響ちゃんと奏ちゃんが眉を寄せ顔を見合わせセイレーンとアコちゃんは渋い顔をしている。
「でな、少し調べてみようかと思う」
「ヤクモまさか1人で行く気?」
俺の言葉にセイレーンが咎める様に聞いてくる、思わず目線を外し目の前のカップを眺めた。
「八雲兄?」
響ちゃんが泣きそうな声で尋ねてくるが、俺は目を瞑り何とか言葉を紡ぐ。
「皆、ごめん」
「ごめんじゃないよ! 八雲兄!」
「そうですよ! 何で1人で行くんですか!」
「私達は仲間なんでしょう!」
「3人ともうるさい、八雲、みんな怒っているんだよ、ちゃんと説明してよ」
俺はテーブルの上で手を組みながら1人1人ゆっくりと見渡す。
「まずは泣き声の調査になる、戦いになるか分らないし、何より皆は学校があるだろう加音町で戦うって訳じゃないんだ」
取って付けた様な言い訳をする自分が嫌になる、アコちゃんが鋭い視線で睨み付けてきた。
「今までだって、色々な所で戦ったじゃん、何で今回はダメなの」
響ちゃんの咎めるの様な声色に胸が苦しくなる。
「だから、まだ戦いになるか分らないって言ったよ、仮に戦いになって長期間になったらどうするの? 響ちゃん、ピアニストの夢と戦いを天秤にかけちゃ駄目だ、奏ちゃんだってそうだパティシエールになるんだろう? それにセイレーンはこれからもハミィと一緒に幸せのメロディを歌い続けるのだろう? その大切な役目を捨てる気か? ハミィをまた泣かせるのかよ、アコちゃんはメイジャーランドの次期女王だ、女王に向けての勉強も始まっているだろうが……」
「もういい! 勝手にいけば良いじゃん!」
アコちゃんがテーブルを叩き、脇目も振らず出て行ってしまい、セイレーンがその後を慌てて追いかけて行く。
「……八雲さん、いつ出発するの?」
「嫌な予感がする、出来るだけ早く出ようと思っている……」
奏ちゃんの問い掛けに少し考えて答えると響ちゃんが大きな溜め息を吐く。
「八雲兄さ、もう出る日決めているんでしょう、はっきり言ってよ」
響ちゃんに顔を向けると頬杖を吐いてそっぽを向いていた。
「……すまない、明日の早朝に加音町を出る」
「うん、分かった。奏帰ろう」
響ちゃんは俺を見る事は無く奏ちゃんの手を引いて帰って行く、その後ろ姿が一瞬石の様に動かなくなった気がして声を上げそうになったのを何とか飲み込んだ。