HUGっと!プリキュア 鬼人の夢想曲 作:水無月 双葉(失語症)
「お姉ちゃん? 赤ちゃん?!」
いきなり声を掛けられて振り向くと妹のことりにお母さんが驚いて立っていた。
「何してるの?」
ことりが少し足早でやってくるとそれに驚いたはぐたんが愚図りだしてしまう。
「抱っこさせて」
お母さんが私に手を差しのべながらはぐたんを優しく胸に抱き上げる。
「どうしたの? よしよし」
お母さんが優しく問いかけながらはぐたんを包み込む、安心しきった様に笑い声を上げるはぐたん。
「笑った……どうして……」
「ところでこの子はそちらの男性のお子さんかしら?」
お母さんが木野さんに話しかけると、木野さんは優しい笑顔を浮かべる。
「いえ、自分は野乃さん達とちょっとした知り合いで木野八雲と言います」
「木野……八雲……さん……?」
お母さんが木野さんの名前を聞いて何かを考えだていると木野さんが話しかけた。
「その子の親は後ろの彼ですよ」
木野さんが何でもない様に話し後ろで人間モードになったハリーに押しつける。
「娘さんにえらいお世話になっております」
ハリーが顔を引きつらせながら挨拶をして木野さんを睨みつけるが、木野さんは笑顔のままだった。
「貴方がこの子の? どちらが親でも若いお父さんね」
お母さんはハリーを眺めながら感心しているようだった、ここままだと不味いと思った私は話題を変える為に少し大きな声でお母さんに話しかける。
「ママも動物園に来たの?」
「ちょっと取材、タワーにね」
のびのびタワー、はぐぐみ町のシンボルたるランドマークタワー、その展望エリアは街全体をそして遠くの山々まで望む事が出来る。
「──加音町の時計塔みたいなものか、しかし初めて戦ったあの時計塔が学校の建物とは思わなかったな……」
簡単な説明文を読んでいた木野さんがポツリと呟いた、前住んでいた街を懐かしんでいるのでしょう、今は何も言わずに聞かなかった事に、何時か話してくれるのを待ちます。
「貴女がさあやさんにほまれさんでしょう」
はなさんのお母様に声を掛けられて私は声のした方に体を向ける、はなさんは窓に近づいており嬉しそうに外を見つめている。
「はい」
「え、ええ」
私とほまれさんが返事をするとおばさまは慈愛に満ちた笑顔を向けてくれる。
「はなに聞いてるわ、とっても素敵な人達だって」
私達は思わず赤面してしまい、ちゃんとした挨拶が出来なかった。
「タワーに遊びに来たんですか?」
「んー、半分仕事って言うか」
「ママはね記者さんなんだよ」
私達の会話にはなさんの妹のことりさんが入って来て説明をしてくれる、その表情からおばさまの仕事に対する尊敬が見て取れて私は少し嬉しさを感じた。
「さっきも日本庭園見て来たんだよね」
「ママ達も行ったんだ」
はなさんが小走りにち近づいて会話に加わってくる。
「街を取材するならやっぱり名物ののびのびタワーよね」
話をしているうちにはぐたんが眠ってしまい、ハリーが驚きの声を上げる。
「寝よった、まるで魔法や」
「ちょっとコツがいるのよ」
ハリーの言葉におばさまがにこやかに話し出す。
「心臓の音を聞かせると落ち着くの、お母さんのお腹の中に居たころを思い出すらしいわ、だからこうして赤ちゃんの耳を付ける様にして抱くと良いのよ、はなとことりで慣れたものよ」
そう話すおばさまは慈愛に満ち溢れていて大人の女性の強さと美しさに輝いていて私は憧れを抱く。
「変わります」
「待って、まだ眠りが浅いからしばらくはこうやって落ち着かせないと」
ハリーの申し出を断り、おばさまははぐたんの眠りが深くなる様にゆっくりと歩き出す。
「寝顔も可愛い……」
顔を蕩かせた輝木さんとことりちゃんはおばさまの後に着いて行き窓に移動する。
何となくミライパッドを見てみると表示されていた点が私が思っていた事と違う事に気が付く。
「移動動物園じゃ無かったかもはぐたんをご機嫌にするものって、ほら光り」
説明をしながらはなさんにパッドを渡すとパッドを見ていたはなさんは光りの点をその位置に居る
おばさまを見比べる。
「これって、ママ?」
側に来たハリーにパッドを手渡し一緒に着いてきた木野さんも覗きこむ。
「お母さん凄い、やっぱり経験には敵わないね」
「うん、悔しいけど私まだまだ子供だな……」
「嫌でも大人になるんだ、子供は子供でないと出来ない経験が沢山ある、未来を夢見て今を一生懸命に生きて行けば良い、失敗や過ちを恐れる必要も無い、今のうちに沢山経験し自分の糧にするんだよ」
木野さんは何かを思い出しているみたいで、懐かしそうにしている木野さんの昔の話も聞きたいけれど私はもっと気になる事がある。
「ねえハリー、はぐたんのママは?」
私の質問にハリーは眉を寄せた後に少し目を伏せ人の居ない方に歩き出して行く、私とさあやちゃんそして木野さんも後に着いて行く。