HUGっと!プリキュア 鬼人の夢想曲 作:水無月 双葉(失語症)
「俺のいた世界もこうやった、明るくて笑顔と希望にあふれる世界だった、アイツ等クライアス社の連中に時間を止められるまではな、アスパワワを奪われて未来が無くなってもうた、俺以外は……」
眉間に深いしわを寄せ苦しそうに眼を閉じるハリーに私は言葉が見つからずに、すがる様にはぐたんを見つめた。
「何とか俺ははぐたんと一緒にミライクリスタルホワイトの力で逃げて来たけど、ミライクリスタルホワイトはそん時力を使こうてしもうた、はぐたんに8個のミライクリスタルの力を与えたらなた時間が動き出すんや」
ハリーの話を聞いて私の周りの温度がガクンと低くなった気がした、寒気がし出して足が震えだす、今になると木野さんに身の程知らずと言われたのが分かってくる。
「ミライクリスタルって……」
「はな達のクリスタルの事や」
「って事はあと6個……」
「ああ、見つけんとクライアス社の奴らを放っておいたらここも、俺の世界みたいに」
私は寒気が酷くなり涙が溢れそうになる、未来が無くなる幸せな家族が、大切な仲間達が石の様になって動かなくなって行く、少し前に夢で見た世界、それはもう恐怖しかない世界、私は……
「そんな事にはさせない」
力強い声、凍えそうな私の心を温めてくれた声の主は木野さんだった。
「未来は無くならない、幸せも悲しみも、辛さも喜びも全て抱いて人は生きて行くんだ。
俺はここに誓う、この戦いに勝利しはぐたんに、いや、はぐたんだけじゃない、はなにもさあやにも、ハリーにも未来をプレゼントして見せる、光り輝く未来を切り開く力となろう」
木野さんの言葉を聞いたハリーは一瞬目を潤ませるとそれを覚らせない様に窓の方を向く。
「ああ、頼むわ木野……力貸したって……」
「任せろ、約束は守る、絶対に」
小さく呟くハリーに優しくも力のある声を出す木野さん、私は男性2人のやり取りに胸が一杯になり先程までの恐怖を感じていなくなっていた。
「敵だ」
木野さんの呟きで私達は後ろを振り返る、展望台に居てもオシマイダーの頭が見え余りの大きさに息を飲む。
「クライアス社だ」
ハリーの小さな叫びと同時にのびのびタワーを揺らしだすオシマイダー、よろけそうになった私達を木野さんが受け止めてくれた。
「行こう」
木野さんは私達の耳元で小さく呟くと非常口の方に顔を向ける。
非常口から点検用の屋上に出た私達はたがいに頷き合った。
「「ミライクリスタル! ハート・きらっと!」」
「「は~ぎゅ~・ぎゅ~・ぎゅ~」」
「輝く未来を抱きしめて! みんなを応援! 元気のプリキュア!」
「キュアエール!」
「輝く未来を抱きしめて! みんなを癒す! 知恵のプリキュア!」
「キュアアンジュ!」
「鬼姫の使者! 音撃戦鬼! 獣鬼!」
変身の済んだ私達は同時にジャンプし同時にパンチするが防がれてしまう、そのまま近くの屋上に着地をしオシマイダーを睨みつける。
「出たな! プリキュア! それに変な鬼!」
オシマイダーを操っていた男の鬼気迫る声に私は怒鳴り返す。
「何でこんな事を!」
「組織で成り上がるには仲間を出し抜かなきゃ俺ちゃん1人でお手柄独り占めってやつ?」
男の下卑た笑いに私が怒鳴る前に獣鬼が声を張り上げた。
「なら、失敗も貴様1人で償うんだな!」
「うるさい! 行けぇ! オシマイダー!」
迫るオシマイダーを避けようとジャンプするがオシマイダーに私とアンジュは捕まってしまい、そのままビルに向けて弾きと飛ばされる。
碌な抵抗も出来ずに私とアンジュは飛ばされていく、ビルにぶつかると覚悟を決めた時に私達を包む感触に捕らわれるとビルに叩き付けられ違うビルの屋上に着地したがダメージは薄かった。
「じゅ、獣鬼!」
アンジュの声で振り向くと膝をついた獣鬼がいた、その姿を見て私はどうしてダメージを受けていないのか覚り血の気が引いた。
「ご、ごめんなさい獣鬼……」
獣鬼に駆け寄り謝るが獣鬼は立ち上がりながら笑うと私の頭を撫ぜた。
「そこはありがとうだろうエール、それより2人とも下を見てくれ」
「あぁ、あの人!」
獣鬼に言われ下を見るとほまれちゃんを殴ろうとして木野さんに止められたサラリーマンがアスパワワを奪われていた。
「オシマイダーを倒さないと元には戻らないだろうな」
「せいかーい、けど、おっさんだけじゃなくて、お前らみーんな明日は来ないから」
「オシマイダー!」
「人の時間を! 未来を奪って!」
掛け声と共に迫ってくるオシマイダーに怒りをあらわにするアンジュ。
「フレ! フレ! ハート・フェザー!」
オシマイダーを受け止めるハート・フェザー
「オシマイダー! 押せ押せ!」
オシマイダーがハート・フェザーの力を吸収しドンドンと大きくなる。
「流石に無理じゃね、どーよこのでかさ!」
上機嫌で叫ぶ男を無視して私と獣鬼は飛び出していた。
「「はぐたんの為にも!」」
私と獣鬼が叫ぶ、私は力いっぱい殴り付け、獣鬼が体を駒の様に回転させながら蹴りを入れる。
一度タワーの一番上に着地するとまた2人同時にジャンプすた。
「私はもっともっと大きくならないといけないから! イケてる大人に! カッコイイ大人に!」
「光り輝く道を切り開く! たとえどんなに困難でも! あの小さな手に! 未来へのバトンを渡すんだ!」
2人でパンチを決めオシマイダーを押し返すと、獣鬼はオシマイダーを足場にして操っている男に跳躍する。
「これ以上お前の好きにはさせない!」
掛け声と共に攻撃をするがギリギリでガードされるが男が思いっきり吹き飛んで行く。
私はその隙を逃さずにオシマイダーに最後の攻撃を仕掛ける。
「フレ! フレ! ハート・フォーユー!」