HUGっと!プリキュア 鬼人の夢想曲   作:水無月 双葉(失語症)

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ビューティーハリーにて

 その後私達は子供たちにせがまれ一緒にバスケをする事になり、みんなが笑顔の中、輝木さんは何度か辛そうな表情を覗かせていました、結局私達ははぐたんのミルクの時間近くまでバスケを楽しみました。

 

 帰り際はなちゃんが輝木さんに対して大きな声を掛ける。

 

「ほまれさん、超格好良かった! 運動神経抜群、めちゃイケてた!」

 

「アンタの方がイケてるよ」

 

 こちらを振り返らずに答える輝木さんにはなちゃんはキョトンとする。

 

「ほまれちゃん!」

 

 ちゃん付けされた事に輝木さんは振り返り戸惑いの表情を見せた。

 

「私、ほまれちゃんと仲良くなりたい! またね!」

 

 満面の笑みで手を振るはなちゃん、輝木さんは何も言わずに行ってしまいましたが、その表情は少し柔らかくなっており、私は胸の中が少し温かくなりました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 次の日の放課後、ビューティーハリーの開店準備の休憩中に少し前の記事を探す。

 

 はなちゃんは私が見ているミライパッドを覗きこみ、木野さんは手すりに背中を預け腕を組んで目をつぶっていた。

 

「この記事ですね……どうして辞めちゃったんだろうってずっと気になっていたんだけど……」

 

 目当ての記事を見つけ目を通す。

 

「はな、音読」

 

「へっ、何で?」

 

 木野さんの唐突な提案にギョッとするはなちゃん、木野さんは態度を全く変えずに口を開く。

 

「国語の勉強、あの小テスト見たぞ、もう少し頑張ろうな……」

 

「めちょっく!」

 

「ごめんな、わざとじゃないんだ、はぐたんが引っ張り出して遊んでたからさ、まあ、良いから早く読む」

 

「はーい、どれどれ、宙とぶ期待の星、天才輝木ほまれ──……ジャンプ失敗、怪我による長期休養へ──……」

 

 はなちゃんが記事を読み終わると大きく息を吐く木野さん、はなちゃんは遠くを見つめ眉を寄せている。

 

「怪我してたんだ……バスケはあんなに凄かったのに、本当はまだ足が痛いのかな」

 

「はな、違うよ」

 

「そうですね、痛いのきっと……」

 

「さあや」

 

 木野さんに小さく名前を呼ばれ私は言葉の続きを飲みこんだ、そのやり取りを見ていたはなちゃんは私達を見つめた後に何かを感じたらしく目を伏せた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……敵だ」

 

 木野さんが唐突に少し大きな声を出し置いてあるバイクに向かう、住まいをビューティーハリーに移すまで私達は木野さんがバイクに乗っている事を知りませんでした。

 

「早く!」

 

 木野さんが私達にヘルメットを放りエンジンを始動させると、辺りにエンジンの重低音が響く。

 

 私とはなちゃんがヘルメットを被りながら慌ててバイクに向かい、はなちゃんがサイドカーに座ったので私は後ろに座り少し恥ずかしいけど木野さんの腰に手を回す。

 

「なんや、どうしたんや?!」

 

「敵だ、行って来る!」

 

 ハリーが慌てて出てくると木野さんが短く言い切り、バイクを発進させた。

 

 バイクで現場に着くと輝木さんが茫然と立っている。

 

「ほまれちゃん、何でここに?!」

 

「そんな事より先生が!」

 

 切羽詰まった声で輝木さんが上を指さすと先生が宙に浮いておりトゲパワワを放出していた。

 

「助けなきゃ……」

 

「オシマイダー」

 

 輝木さんが呟くがオシマイダーが迫ってくる、一歩後ずさる輝木さん。

 

「どうすれば……」

 

 私達はバイクから飛び出すとプリハートを握りしめ輝木さんの前に陣取る。

 

「大丈夫、さあやちゃん」

 

「ええ」

 

「プリキュアに任せて!」

 

「「ミライクリスタル! ハート・きらっと!」」

 

「「は~ぎゅ~・ぎゅ~・ぎゅ~」」

 

「輝く未来を抱きしめて! みんなを応援! 元気のプリキュア!」

 

「キュアエール!」

 

「輝く未来を抱きしめて! みんなを癒す! 知恵のプリキュア!」

 

「キュアアンジュ!」

 

「プリキュア……」

 

「来たなぁ、やっちゃって!」

 

 呟いた輝木さんに被せる様にクライアス社の男が軽く命令をするとオシマイダーはその巨大な手を振り落として来た。

 

 私とエールで受け止め一気に弾き返す、よろけたオマイダーにエールが一気に飛び込んで行き私もそれに続きます。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「またこのパターンか、まったく……」

 

 ぼやきながら歩いてきた最近良く見る男性、確か木野さんだったかな、が悠然と構える。

 

「アンタ、何か知っているの? あの2人がプリキュアだって」

 

「あぁ、見ての通りだよ……ん、あの動き……今までのと違う? ……まずいな……」

 

「説明になって無いよ!」

 

 怒鳴る私に木野さんは腰から変な物を取りだし広げて握る。

 

「悪い輝木さん、後でちゃんと説明するから今は先生を助けるのが先だ」

 

 私を少し見て手に持った物を指で弾くと周りに澄んだ綺麗な音が響く、その道具をゆっくりと額に持って行くといきなり体が紫色の炎に包まれ私は息を飲んだ。

 

 腕を振るい炎を飛ばすとそこに立っていたのはどう見ても……

 

「鬼姫の使者、音撃戦鬼、獣鬼」

 

 やけに耳に残る声を残し物凄い跳躍で敵に向かって行った鬼、獣鬼に、私は数日前の戦いを思い出し胸が熱くなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何とかオシマイダーの投げたボールを避けジャンプしたがオシマイダーは直ぐに次のボールを私に投げて来る、ボールが当たる直前、私は獣鬼に片腕で抱かれ敵の攻撃でダメージを受けていたアンジュの側に着地する。

 

「ありがとう」

 

 また飛んできたボールを獣鬼が弾くとダメージがあるのか腕を押さえて私達を見てくる。

 

「気にするな、注意しろあの敵はこちらを調べつくしている」

 

「データはばっちりなんだよ!」

 

 獣鬼の言葉を裏付けする様に自慢するクライアス社の男に獣鬼は小さく舌打ちをした。

 

「そうかよ、ならデータ以上の動きを見せてやる」

 

 獣鬼が今まで見たことの無いスピードでオシマイダーを翻弄する、私もそれに続いて攻撃するが防がれて地面に叩きつけられる。

 

「エール! しまっ」

 

 私を気にした獣鬼も攻撃をまともに受けてしまい私達の側に叩きつけられる、せまるオシマイダーのバットの追撃にアンジュが立ち塞がる。

 

「フレ! フレ! ハート・フェザー!」

 

 オシマイダーのバットをハート・フェザーが受け止める、拮抗すると思われたハート・フェザーが歪みだす。

 

「させるか!」

 

 獣鬼が言葉と共に飛びだしハート・フェザーを支えるが歪みは大きくなる。

 

「エール、アンジュ逃げ……ぐぅあ!」

 

 獣鬼の奮戦空しく吹き飛ばされる私達、地面に叩きつけられる寸前に獣鬼が私達を抱え込みクッションに成ってくれたが私達のダメージも大きく動けそうにない。

 

「エール……アンジュ……」

 

「大……丈夫……」

 

「獣鬼こそ……私達の為に……」

 

 ユラリと立ち上がった獣鬼は幽鬼の様で私は恐怖すら感じていた。

 

「下に見ていたつもりは無かったが……いささか慢心だった……」

 

 獣鬼は足を踏ん張ると獣の様な咆哮を上げた。

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