HUGっと!プリキュア 鬼人の夢想曲   作:水無月 双葉(失語症)

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公園で

「そっとしといてやれや」

 

 私がほまれちゃんを引き止めようとした時にハリーが私に声を掛けて来た。

 

「でも……」

 

 ほまれちゃんは出て行ってしまった。

 

「はな、さあや、行くぞ」

 

 振り返ると木野さんが何時も着ているジャケットを持っていた。

 

「何言うてんのや、この前お前がそっとしとけ言いたやろ、それに十分頑張っているやつに頑張れってのは酷やぞ!」

 

 ハリーが木野さんに食って掛かるけど木野さんはジャケットに袖を通している。

 

「ハリー気が付かなかったのか、輝木さん一瞬足止めたぞ」

 

「なんやて」

 

「それにな俺は頑張っている人間に頑張れって言う様な事はしない、そばに居て常に思ってくれる仲間がいる事を教えてやるだけだ、行くぞ」

 

 それだけ言うと木野さんも出て行ってしまう。

 

「木野さんの言う通りかも、このままじゃ……行こう、はなちゃん」

 

 さあやちゃんが私の手を握って来る、何だか少し勇気が湧いて来る。

 

「あんなほまれちゃんやっぱり放っておけない」

 

 私達は歩きだす、ほまれちゃんを励ます為に。

 

「やっと来たな」

 

 外に出ると木野さんが壁に寄り掛かって私達を待って居てくれた。

 

「どうして……?」

 

「はなが一番心配していると思ったからね、だから待ったんだよ」

 

 思わず尋ねると木野さんが私に教えてくれる、その優しい笑顔に私はこんな顔で笑うんだと思いちょっと嬉しくなった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 引き留められたのも構わずに私はビューティーハリーから逃げ出した近くの公園のブランコで何となく時間を潰していた。

 

「何で私こうなんだろう……みんな私の事心配してくれている、分かっているのに、あの頃の私に戻りたいな」

 

 頭に浮かぶのは常にスケートの事、こうなる前の自身に満ち溢れ未来を信じでリンクに立っていた私。

 

 

 

 

 

 

 

「はな、応援が痛い時もあるんだ……分かってやれ……」

 

「楽勝だね、な、輝木さん」

 

 

 

 

 

 

 

 ふたつの言葉を思い出す。何なんだろうあの木野って男、知った様な口をきいて……そう言えば褒められたの久しぶりだな……

 

 キィと金属の擦れる音がしてそちらを振り向くと野乃に薬師寺、そして木野さんが立っていた。

 

「ごめん、来ちゃった」

 

 そう言うの野乃は笑顔を浮かべており薬師寺と木野さんも笑みを浮かべていた、自然な動作で隣のブランコに座る野乃。

 

「ごめんね……」

 

 小さく謝った私の言葉に3人が驚いた顔をする。

 

「何が?」

 

「応援してくれたのに、きつい事言っちゃった」

 

 脳裏をよぎる昨日の帰り際、木野さんが止めなければ私はどんな酷い事を言っていたか分らない。

 

「私も、ごめん」

 

 野乃はそう言うとブランコを漕ぎ出した、油の切れた金属の擦り合わさる音が聞こえ少し懐かしい気分にさせた。

 

「何て言葉をかけて良いか正直分からなかった……もっとイケてる言葉言いたかったけれど、心がうーって成ってフレフレしか出来なかったの」

 

 まるで私に懺悔するかのように言葉を紡ぐ野乃、漕いでいたブランコを足で急制動を掛け止める。

 

「私、ほまれちゃんみたいに成りたい、美人でカッコよくて大人で……なのに、お子ちゃまだよねー」

 

 ブランコの鎖を掴み背中を反るその姿に私は不思議な気分に成った。

 

「変なの、私はアンタみたいに成りたいのに……」

 

 常に前向きで何時もキラキラ輝いている、私と違い毎日を精一杯生きているその姿に憧れる。

 

 私の言葉に驚いたのか野乃がブランコから滑り落ち尻餅を着く、私は野乃を起こす為にブランコから立ち上がると、手を伸ばしながら自分の気持ちを正直に話す事にした。

 

「明るくて素直でみんなアンタみたいな子好きでしょう」

 

 差し出さした手を取った野乃を引き上げると、野乃は少し照れらように頬を染める。

 

「そんな事ないよ、おっちょこちょいだし、グイグイ行き過ぎて引かれちゃうこと多いし」

 

 おどけながら話す野乃の姿が面白かったのかはぐたんが嬉しそうな声を上げると、野乃は慈愛に満ちた笑顔をはぐたんに向ける。

 

「はーぐたん」

 

 一生懸命に手を伸ばしていたはぐたんを抱っこしあやす野乃。

 

「全然そんな、みんなの好かれる方じゃないから、だけど私成りたい野乃はながあるの、だから頑張る」

 

 私の小さな言葉に精一杯の言葉を紡いでくれた野乃、はぐたんを抱っこして私に笑いかける笑顔はやっぱり眩しくてキラキラと輝いて見え、私の心をざわめかせる。

 

「私ほまれさんの事が好き、前よりずっと好きになった、私やはなちゃんに出来ない事がほまれさんには出来る」

 

 真っ直ぐな視線を向けて来る薬師寺、私はその瞳の輝きに息を飲む。

 

「輝木さん、君が思っているよりも君を大切に思っている人達が居るんだ、その事だけは心に留めて置いて欲しい」

 

 優しい笑みを浮かべ木野さんが私に伝えて来る、野乃に薬師寺と木野さん皆が私を大切に思ってくれている……怪我をした私と常に気にかけてくれた先生、私は何も見ようとして居なかったのかもしれない。

 

「ビューティーハリーも良い感じにオープン出来たしな」

 

 ハリーが照れくさそうに物陰から出て話しかけてくる。

 

「ほまれさんに出来ない事が私達には出来る、私達きっとすごく仲良くなれる」

 

「ほまれちゃんはどんな自分に成りたいの?」

 

「3人で笑いながら話している姿は素敵だったよ」

 

 野乃も薬師寺も木野さんもどうしてこうも私の心を揺さぶるの、私は恥ずかしくなってさっきとは別の意味で逃げたくなる。

 

 思わず走り出しハリーに抱っこ紐を押しつける。

 

「やめてよね! そのほまれちゃんってのなんか恥ずかしい、やめて」

 

 皆してポンポンポンポンと恥ずかしい台詞並べて、私の方が恥ずかしくなって思わず誤魔化してしまう。

 

「やっぱり、ほまれさんじゃない?」

 

「いっそ、ほまりんとか?」

 

「いや、ほまほまを押すね」

 

 薬師寺は良いとしても、オイ、野乃に木野、今何て言った? 

 

 当事者の私を放っておいて、好きかって言いだす三人に文句を言おうとした時に、空気が破裂するような音がしたと思ったら一瞬突風が吹いた。

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