HUGっと!プリキュア 鬼人の夢想曲   作:水無月 双葉(失語症)

3 / 22
キュアエール

 怪物を目指しひたすら走る、状況が状況だ。かまっていられないと感じた俺は屋根を上を走る事にした。

 

 怪物が何かを攻撃する様に足踏みをし地響きがする、奥歯を噛み締め更に走る速度を上げる。

 

 怪物を射程に捕えた時、足元にはそれを使役しているであろう男と、それに対峙する様に1人の女の子が両手を広げ立ち塞がっている、その女の子の足元には小さな赤ちゃんが泣いており彼女が赤ちゃんの為に立ち塞がっているのは容易に理解出来た。

 

「ちぃ、間に合えぇ」

 

 肢体に更に力を漲らせ2人を助ける為に俺は飛び出した。

 

 明らかに足元の女の子達を踏みつぶす為の怪物のジャンプに合わせ飛び蹴りを怪物の横っ腹にねじ込む、空中いる状態での予期せぬ一撃に怪物は横に吹き飛ぶ。

 

 女の子の側に着地すると、その子に向かい強い口調で声を掛けた。

 

「早くその子を連れて逃げろ!」

 

「逃げない! ここで逃げたら格好悪い、そんなの……私のなりたい野乃はなじゃない!」

 

 はなの心からの叫びに答えるかのように彼女の周りに光と力が溢れだす、その光景はまるで……

 

「心が……溢れる!」

 

 はなの胸から更に光が溢れ美しい水晶が生み出される。

 

「ミライクリスタル! ハート・きらっと!」

 

「は~ぎゅ~・ぎゅ~・ぎゅ~」

 

「輝く未来を抱きしめて! みんなを応援! 元気のプリキュア!」

 

「キュアエール!」

 

 溢れ出した光が彼女の周りに集まり野乃はなと名乗った少女はプリキュアに変身した。

 

 余りの光景に俺は言葉を失う、立っていたプリキュア、キュアエールはメロディ達と同じくチアガールの様な恰好をしていたからだ。

 

「めっちゃイケてる!」

 

「プリキュア……キュア……エール……」

 

 エールの第一声に力が抜けそうになるが対峙していた男は明らかに狼狽をしており気になる言葉を発していた。

 

「2人まとめて、叩き潰してくれる! 行け! オシマイダー」

 

「黙れ!」

 

 気合を入れ言葉に力を込め相手に叩きつける、身をすくめる謎の男。

 

「お前の目的なんてどうでもいい、だが、無関係な人々を襲い年端もいかない赤子をも手にかけようとする! 絶対に許さない!」

 

「許さなければどうする! プリキュアでも無いお前が何が出来るってんだ!」

 

 騒ぐ男に対してホルダーから音角を取り出し展開させ胸の前で構える。

 

「戦う力はプリキュアだけじゃない、見せてやる……俺の力を! 鬼人解放!」

 

 音角を弾くと周りに澄んだ美しい音が響き渡り俺の体を炎が包み鬼へと変える。

 

「鬼姫の使者! 音撃戦鬼! 獣鬼!」

 

「鬼人? 鬼? へ……」

 

 後ろで驚くエールに対し少しだけ顔を向けて話をする。

 

「大丈夫、俺は味方だキュアエール、今は目の前の敵を倒す!」

 

 オシマイダーがジャンプをし、その針で出来た拳を振り落としてくる、俺は一歩前に出ると右腕で受け止め攻撃を防ぐ、空いた腕で攻撃を仕掛けてくるがその攻撃はエールが苦も無く受け止める。

 

 エールと頷き合い腕を掴んだまま同時に高くジャンプしオシマイダーを地面に叩きつけた。

 

 エールの気合が充実しているのが分かる。

 

「行け! エール!」

 

 エールの腕の飾りが手に移動するとエールの挙動が始まる。

 

「フレ! フレ! ハート・フォーユー!」

 

 腕を大きく振り大きなハートを作るエール。

 

 エールの合図でピンク色のハートは打ち出され時計塔の怪物を包み込むと浄化させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 エールが慌てて側にいた赤ちゃんを大切そうに抱きしめると、側にいたネズミの様な生き物の側に置いてあったケースが開きピンク色のスプーンがエールの手元に渡されるとミライクリスタルがセットされそこから光が溢れ赤ちゃんに注がれる。

 

「ミライクリスタルはアスパワワの結晶、はぐたんにパワーを上げるんはプリキュアにしか出来へん」

 

 赤ちゃんはどうやらはぐたんと言うらしいが、そのはぐたんが機嫌良く笑うとエールも笑顔を見せる。

 

「はぐたんにアスパワワを与えてもまだミライクリスタルが光っとる、こいつの心にはどんだけのアスパワワがあるんや……これなら未来も……」

 

 1人で驚愕しているネズミみたいな生き物の呟きから何となく状況が読めてくる、少し目線をそらし考えているとはぐたんが俺に手を伸ばそうとしているのが見える。

 

「はぐたんだっけ? 笑っているけど俺の事怖くは無いのかね?」

 

 はぐたんの顔を覗き込むとご機嫌で笑う、その笑顔に俺も何となく笑ってしまうがはぐたんが俺の顔に手を伸ばす。

 

「……あの……はぐたん、ツノ離して貰っても良い? お願い引っ張らないで取れないから、ツノ取れないからぁ」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。