HUGっと!プリキュア 鬼人の夢想曲 作:水無月 双葉(失語症)
「じゃあ何、木野さんはその夢だけを信じてはぐぐみ市まで来たの?」
「それもあるけど、前住んでいた街に雰囲気が少し似てたってのもあるし……」
「それだけじゃ信じられへんな」
木野さんの説明に納得がいかないハリーはずっと渋い顔をしている。
「そうか……ふむ」
瞳を閉じ考え込む木野さん、小さく息を吐くと目を開き窓を見つめる。
「時間……」
「時間?」
木野さんの呟きに思わず聞き返す。
「あぁ、止まったんだよ、一度な、その時に聞こえた赤ちゃんの泣き声と夢の泣き声が一緒だった、それで確信したんだ何かあるとね、だから住んでいた街を出た、信頼しろとは言わない信用して欲しい」
木野さんはそこまで言うと大きく息を吐く。
同じ体験をしていた木野さん、だからじゃないけど信じたい気持ちが強い。
「ハリー、私信じてみる」
「なんやて」
私の言葉にハリーが目を大きくする。
「だって昨日一緒に戦ってくれたし、悪い人には見えないもん、それに一番ははぐたんが嫌がって無いよ」
「わかった、はなを信じるさかいな、オイお前裏切ったら唯じゃおかんぞ」
肩をすくめ大きな溜め息を吐いたハリーは机の上にプリハートを3個置く。
「プリハートは後みっつある、まずは一緒に戦ってくれる仲間探しやな」
ハリーの言葉に机の上のプリハート、横目で見ると木野さんも少し眉間にしわを寄せている。
「プリキュアは私1人でやる、はぐたんは私は守る!」
「な、なんやて?!」
ハリーが思わずネズミに戻る、私は私の考えを話す。
「それに木野さんも居るし、プリキュアは1人の方が格好良いじゃん、目立つ!」
「ハリー、人型になってくれ」
木野さんがハリーに頼むと直ぐに人の姿になったハリーにはぐたんを渡す様に木野さんが指示を出す。
ハリーは文句を言いながらもはぐたんを抱っこし言われた通り部屋の隅に移動するのを見て振り向いた木野さんのにこやかな笑顔、でも少し怖い笑顔を私に向けてくる。
「戦う奴なんて放っておいても向こうから来ると思うが、端から1人で戦うってのは身の程知らず」
木野さんのキツイ言い方に少しムッとする。
「私プリキュアだよ、昨日強かったでしょう?」
「黙れ」
一言、その一言で私は尻餅をついて動けなくなる、胸が苦しくなって息がし辛い手足も震えてまともに動かない、木野さんの銀色の瞳に睨まれただけで怖くて怖くて……
「立てよ、プリキュアなんだろう?」
冷たい声、まるで直接心臓を掴まれたみたいに身がすくむ、喉がひり付いて言葉が出ない。
「あ……かっ……うぅぅ……」
「ハリー動くな、はぐたんが間合いに入る」
いきなりハリーに動くなって、動いて無かったよ……
長い長い時間が過ぎいきなり体か軽くなる。
「5秒だ、少し圧を入れただけでそのありさまだ、無理やり仲間を集めろとは言わない、だが仲間は必要だ」
木野さんは片手で私を引き上げるといきなり抱きしめた。
「え、ちょ、ちょっと」
「すまなかった、今少し気を入れる直ぐ楽になるからな、辛かったな良く耐えた偉いぞ」
全身がいきなり温かくなり不安な気持ちや震えていた手足に力が入る、それに気が付いたのか木野さんがゆっくりと私を解放する。
「お前、はなに何してるねん」
「ハリー、お前だってプリキュアが1人じゃ不安だったろう、少し現実を見せた殺気の数歩手前の圧をはなに掛けた」
ハリーに説明する木野さんの横顔は物凄く辛そうだったけど、私は少し木野さんが怖くなった。