HUGっと!プリキュア 鬼人の夢想曲   作:水無月 双葉(失語症)

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アンジュの鵬翼

 野乃さんが、ううん、キュアエールが戦っている相手の攻撃を綺麗なステップで避け続ける。

 

「アナタ達に未来は渡さない!」

 

 エールが信じられないほどのジャンプで相手を攻撃しようとしたら腕のクレーンが伸びて一気に上昇し攻撃を躱す、バランスを崩したエールを木野さん、獣鬼が横抱きに抱え地面に下ろす。

 

「エール、突っ込みすぎ。もっと落ち着いて」

 

 獣鬼は相手の攻撃を避けながら更にエールに声を掛けるが、エールは攻撃を避けるので必死になっていた。

 

「エール! お前は何のために戦う! 何を成し遂げるために戦うんだ!」

 

「私は絶対に未来を、はぐたんを守る!」

 

 エールの叫びに、私はさっきまでの会話を思い出す。

 

 

 

 

 

「未来は無限大何でも出来る何でもなれる! フレーフレーさあやちゃん!」

 

「薬師寺さん、あなたは、あなたでいればいい」

 

 

 

 

 

「何でも出来る、何でもなれる、私は私でいればいい……」

 

 小さな事かも知れないでも大きな事、凄く簡単で凄く難しい、私には勇気が必要な事、でも、私は未来を見つけた。

 

「心が……あふれる!」

 

 私の思いに呼応するかの様にはぐたんが淡い光を放ち出し私を包む、胸が熱くなりはぐたんが生み出す光りに導かれるように胸の熱さが光りと共に溢れ出し、光りが結晶になっていく。

 

 目の前に現れた青く美しい水晶、どんなものにも屈しないその輝きに私は魅了される、手を差し出すと水晶は私の手の中に納まり強い脈動を感じさせながらも、物静かな湖面をも連想させる。

 

「ミライクリスタルが生まれよった! プリキュアになるんや!」

 

 攻撃を避けた獣鬼が私のすぐ近くに来ると私の手のクリスタルを一瞥する。

 

「薬師寺さん、いや、さあや! 決めるのはお前自身だ!」

 

「私自身……私にそんな事出来るのかな……」

 

 獣鬼はそう叫ぶと腰から2本の棒を取り出し振るいだす。

 

「エール! 飛べぇ! 烈火弾!」

 

 獣鬼が棒を振るうと幾重もの火の玉が怪物に当たる。

 

「さあや。全ては心から始まる、決めるのは君だ。だがな状況に流されて答えは出すな、分かったな!」

 

 怪物を見据えたまま私に言葉を掛け獣鬼はまた怪物に向かって行く、怪物を蹴ろうとしたエール、だが寸前で避けられ攻撃を受けそうになるのを獣鬼が救いだす。

 

 頷き合う2人、また怪物に向かって行くその姿に私は、私は……

 

「出来るよねきっと、私の中にも勇気が……」

 

 溢れる思いと勇気を胸に心に従おう。

 

 

 

「ミライクリスタル! ハート・きらっと!」

 

「は~ぎゅ~・ぎゅ~・ぎゅ~」

 

「輝く未来を抱きしめて! みんなを癒す! 知恵のプリキュア!」

 

「キュアアンジュ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 青い光が私を包み体の中から力が溢れるのが分かる、自分の姿を確認すると思わず声が出る。

 

「変身出来た……」

 

「キュアアンジュ……」

 

 呟くエールの隣で獣鬼が少し思い詰めた表情をしている。

 

「ふざけるな! 行けぇ! オシマイダー!」

 

 ビルの骨組みの上にいる男の命令に従いオシマイダーと言われた怪物は私に向かって鉄骨を投げつけてくる、でも私は不思議と怖くは無くやるべき事が分かっていた。

 

「フレ! フレ! ハート・フェザー!」

 

 青く輝く羽が集まりハートを形作り鉄骨に対し押しだすと青いハートは簡単に鉄骨を弾き返す、エールと獣鬼に呼びかけながら走り寄る。

 

「キュアエール、獣鬼」

 

「「ありがとう!」」

 

 エールと獣鬼の言葉に頷くと自分の考えを話しだす。

 

「クレーンは重心が高いから、足元を狙えばバランスを崩すわ」

 

 オシマイダーが距離を空けながら両腕を伸ばして攻撃をして来る、咄嗟にハート・フェザーを展開させ攻撃を防ぐ。

 

「エール隙を作る、構えてろ」

 

 獣鬼はそう言うと私が弾いた鉄骨を持ち上げオシマイダーの足元に向かって投げつける、横回転しながら鉄骨は足に当たりオシマイダーは地響きを立て転がった、エールは獣鬼の作った隙を見逃さずに行動を開始しだしていた。

 

「フレ! フレ! ハート・フォーユー!」

 

 エールの作りだしたハートがオシマイダーを包み込み浄化させるとオシマイダーを操っていた謎の男はすでに消えていた。

 

 エールが私に笑いかけてくる。

 

「1人じゃ出来ない事も2人なら、2人で出来ない事は3人なら出来る!」

 

 エールの言葉がすんなりと胸に入って来て温かい気持ちになる、私が心に抱えていた不安が霧が晴れる様に消えていく。

 

「さっきのお願いの続き、さあやちゃん私と一緒にプリキュアやろう!」

 

「うん、よろしくね、はなちゃん」

 

 傾いた太陽に日に照らされエールは魅力あふれる笑顔を私に向けてくる、まだ少し怖いけどエールとなら頑張れそう。

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