ダンガンロンパ・リバイバル ~みんなのコロシアイ宿泊研修~   作:水鳥ばんちょ

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第二章『沈黙の青春』
Chapter2 -(非)日常編- 6日目


 

 

 

「――おんぎゃあ!おんぎゃあ!」

 

 

 

 ビリビリと、鼓膜を揺らす赤子の産声。

 

 

 

 まだ生まれたばかりの、小さな小さな命の産声。

 

 

 

 目を閉じ、顔を赤く火照らせ、まるで自分が生まれたことを後悔するように声を張り上げる。

 

 

 

 ――見覚えがある…

 

 

 

 まだ何処の誰だかもわからない、雌雄さえも判別できない始まりの顔であるはずなのに。記憶の片隅に、一縷のひっかかりがあった。

 

 

 

 ――そして、始まりの命を抱きかかえる、“女性の姿”と“微笑み”。

 

 

 

 ――これもだ

 

 

 

 ――見たことがある

 

 

 

 だけど、それを制するように、拒むように、記憶の本流は流れを止める

 

 

 

「――――」

 

 

 

 女性が何かを口にする。だけど、酷くくぐもり、何を発しているのか……。

 

 

 

 ――何も聞こえない

 

 

 

 ――何も“聞こうとしない”

 

 

 

 喉を振動させ、口を上下に動かしているのに、その挙動を掴むことが出来ない。

 

 

 

 ――分かりたい

 

 

 

 ――だけど意識は相反する

 

 

 

 ――ちぢれ雲のように、徐々に徐々に霧散していく。

 

 

 

 ――そしてまた、ゆっくりと

 

 

 

 ――暗転する

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第二章 沈黙の青春

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ログハウスエリア:折木公平の部屋】

 

 

 

『キーン、コーン、カーン、コーン……』

 

 

 

『ミナサマ!おはようございまス!!朝7時となりましタ。起床時間をお知らせさせていただきまス!それでは今日も、元気で健やかな1日送りましょウ!』

 

 

 ――朝が来た

 

 

 分かっていたことだ。答えをの求める公式のように、選手が実力を引き出すためのルーティンのように、嫌という程、決まって日は昇る。

 

 ベッドの上でハリネズミのように身体を丸め横になって眠っていた俺は、日差しの届かない影の中、モゾモゾと身を動かす。決まった時間に流される朝のアナウンス、そして早めに起きる習慣。施設と身体に染みついた習性が、体全体を目覚めさせる。

 

 

 ――酷い倦怠感だ

 

 

 昨夜、贄波とペンタ湖でしばらく時間を過ごした後、俺はベッドに倒れ、沈むように眠った。文字通り、泥んこみたいに。…無理も無い話しだ。昨日は、あまりにも精神的疲労が多すぎた。

 

 

 “朝衣の殺人”、そして“陽炎坂のオシオキ”。

 

 

「っ…」

 

 

 突然のフラッシュバックに、脳に一抹の痛みが走る。震えるように、心臓が、早鐘を打つ。

 

 

 目をつぶり、1度だけ、大きく、深く、呼吸をする。少し、心が落ち着く。まだまだ不安定な箇所は見られるが、それでも、昨日よりは、全然マシだ。

 

 

 思い出すべきではない、非日常的な記憶だ。

 

 

 そう考えるのは良い…だけどまた思い出してしまうかもしれない……。小さな恐れを覚えた俺は、記憶を振り払い、ベッドから立ち上がる。

 

 

 考える時間を作らないように、流れ作業の如く、朝の支度を終える。そして今にも高鳴る寸前の腹の虫を満足させるため、誰でも良いから顔が見て安心したくて、俺は急いで炊事場へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

【炊事場エリア:炊事場】

 

 

 炊事場に着くと既に他の生徒達は全員到着しており、数名の生徒がこちらに顔を向ける。最後についたこと、加えて小さな注目を浴びたことに、若干の気恥ずかしさを感じる。

 

 

「あっ!来た来た!やっほー、公平くん!!今日はいつもよりお寝坊さんだったね!!」

 

「寝坊って言っても、私達パンピーからしたら十分早い時間ですけどね……ああ、眠気で今にもぶっ倒れそうですよ。誰かー、部屋のベッドに戻してー」

 

 

 照れ顔の“て”の字も見えない仏頂面の俺に、当たり前のように元気に駆け寄ってくる水無月と…その溌剌さにセーブをかけるような雲居。いつもなら煙たい気持ちになるが、今日だけはこの爛漫さと下向きさの案配に安心感を得る。

 

 周りを見回し、全員の表情を見てみる。昨日の事件があった故に、朝の様子はどのようなものかと思っていたが……。

 

 

「なぁ小早川~今日の朝飯はなんや?もう腹減って、腹減ってしゃーないで」

 

「鮫島さん…もうこれで5回目になりますよ……?おにぎりとお味噌汁です。ていうかもう、鮫島さんの目の前に並んでるじゃないですか」

 

「ええやないのぉ。朝昼晩のメシの献立は、話の種の王道中の王道なんやから。特に、料理がお得意な人にはなぁ~」

 

「にしては種を掘り返しすぎなんだよねぇ…。話題を投下するならせめて続ける努力をして欲しいんだよねぇ…」

 

 

 

 

「食前の紅茶は、やはり格別だね。自宅のバルコニーでの一時を思い出すよ」

 

「しょ、食前の緑茶も負けてないでござるよ!ほら、この濁り具合そしてこの深み!食欲の促進間違いなしでござる!!」

 

「そのお茶微妙だから~別のが良いよ~~。あっ、塩水おかわり~」

 

「エクストリームショック……でござる。…てっ塩水?」

 

 

 予想よりも、悪くない、リラックスした様子。必要以上に引きずるようなことは無く、昨日のお通夜のような状態よりは、まだマシな位に回復しているように、見える。

 そう、周囲の状況を見て回っていると、数人の生徒がこちらに駆け寄ってくる

 

 

「聞きなよ折木!昨日の落合の演奏、凄かったんだよ!どれ位凄いかっていうと……とにかく言葉で説明する以上に凄かったさね!」

 

「いやあねぇ…もう情緒がとんでもなかったんだよねぇ……音楽ホールでクラシックをしこたま聴いた後の寂寥感なんだよねぇ」

 

「うむぅ……詩といった芸術を嗜んだ経験皆無のワタシですら…涙無しには聞けなかったなぁ…」

 

 

 反町達が目元を赤く腫らし、訴えかけるように話しを持ち込んでくる。鼻まですすってしまっている様子に、何事かと思ったが…。確か昨日、落合が提案したライブだったか何かを開いていたんだったな……と思い出す。生憎、諸事情で俺は行っていなかったから、詳しい始終は知らないのだが…反町達の反応から見るに、ステージは予想以上の成功を納めたらしい。

 

 

「なに……僕はただ、人生の一端を僕なりの言葉で詩に収めただけ。吟遊詩人として、当たり前の事をしただけさ」

 

「な~に謙遜してるさね!背中シャンとさせて、胸張りな!…いや~アタシはアンタを誤解してたよ。その身なりから、只者ではないとは思ってたけどねえ……」

 

「本当に吟遊詩人だったんだ……って思わせてくれたんだよねぇ」

 

「…今まで何だと思ってたんだ」

 

「不審者か何かかと…」

 

 

 仮にも同級生だろ…。だけど…昨夜のライブ一つで落合の評価がここまでひっくり返るとは…、わがままかもしれないが…もう1度、キチンとした場で聞いてみたい気持ちが出てくる。

 そんな風に、感想を頭の中で漏らしていると俺を余所に、熱く落合の背中を叩いている反町の服をクイクイと引っ張る、風切。

 

 

「素直……お腹減った」

 

「おっ、熱く語りすぎて一瞬飛んじまってたさね。よしアンタら、メシの時間だよ!!たんと食べるさね!」

 

「皆、ちゃんとお手々を合わせて!いただきまーーす!」

 

 

 水無月に続き、他の皆もポツポツと手を合わせ、大皿に積まれたおにぎりを次々に手にとっていく。滞りなく、黙々とは言えない、かすかな会話の流れる食事が始まった。

 

 

「うん!おいしい!!やっぱりおにぎりと言ったら、鮭だね!」

 

「おっ、論争か?ウチ的には、筋子も悪ぅないと思うで~」

 

「この名探偵ニコラスバーンシュタインとしては、エビマヨを推させて貰うよ!キミ!」

 

「中々渋い所でござるな…拙者は梅干し派でござるな!この皺のついた見た目が、曾祖母を思い出すでござる」

 

「…あんたの好きの成り立ちが独特すぎて、地味に怖いです」

 

 

 俺としては…塩がベストだが……前に食べた、小早川の納豆おむすびが口に合っていたな。もお願いしたら、もう一度作ってくれるだろうか?

 

 

「せやけどこんな仰山のおにぎり……いつ作こうたん?」

 

「文字通り、に、山みたい、だよね」

 

「ああ…小早川のヤツが昨日の夜、しゃかりきになって握ってたからね……その名残だよ。……そういえば小早川、何個か竹皮に包んでたけど、あれどうしたんだい?」

 

「んぐ…それは、ええと…自分で、全部食しました!!はい!」

 

「結構な数持ってってたはずだけど……案外大食いなんだねぇ」

 

 

 “大食いなのは良いことなんです!”と、何か空回ったような気合いを見せる小早川。見たところ、落合の演奏を聴いていた様子も無かったし、本当に夜食を食べていたのだろうか?

 

 行儀は悪いが、他の皆の会話を耳を傾けながら、俺は無心におにぎりを頬張る。やった、塩だ。

 

 食べながらの私語も程ほどに、…事件が起きる前のように、何事も無く、平和的に食事を進めている…と。

 

 

 

「――くぷぷぷ…随分とたるんだ雰囲気の、お食事でございますねェ。あまりにもたるみすぎて、鼻で大笑いしそうになりますヨ」

 

 

 ポヨンと、召喚されるように、唐突に非日常の象徴が、モノパンが、食卓の真ん中に姿を表わす。その手中には、おにぎりが有り、口元には米粒が散乱していたため、既にいくつか頬張った跡が見えた。

 

 

「うぉ!!出よった、アホンダラァ!!あんさんの席、ここにはないでぇ!!」

 

「メシが不味くなるンだよねぇ!!どっか行くんだよねぇ、ぺっぺっぺっ!」

 

「悪霊退散!!南無阿弥陀仏!!かっーーーー!!!」

 

「zzzzz……」

 

 

 勿論俺達の殆どは条件反射の如く、椅子を引いて立ち上がり、テーブルから一定の距離をとる。…まあ、落合はまだ飄々としたように座っていたり、風切は机に突っ伏して寝てたり等、全員が全員同じ様では無かったが…。

 だけど、離れた大半の生徒達は、嫌悪感やら何やらをミックスしたマイナスの感情を、全力でモノパンへと向け、早く帰れと言わんばかりの形相を呈す。

 

 

「んぐんぐ、あんた何用ですか。今は食事の最中です、邪魔をするのも、テーブルの上に立つのも、マナー違反ですよ?」

 

「…メシは飲み込んでから話しな雲居。…でも、その通りだよ。アタシ達に何か話したいことがあるんだったら、地べたに足付けな」

 

 

 そのマイナスの心は、言葉へと変換され、モノパンの行動そのものに批判を込めていく。しかし、案の定の無視を決め込んだ態度で言葉を躱す。だけど、さすがにマナーが良くないと思ったのか、すぐにテーブルからヒラリと飛び降りる。

 

 

「ご安心下さい、ミナサマ。用事はすぐに終わりますかラ。ワタクシお知らせのためにやって来ましタ…」

 

「お知らせ?……はっ!また動機か何かでござるか!?」

 

 

 沼野の言葉に反応し、俺達は身構える。

 

 

「ノンノンノン、先走りは良くないですヨ?キミタチ。それに、情報というのは鮮度が大事なのでス。特に動機といったデリケートなものは…絶妙なタイミングで、小出しにしていくんです……つまり!今はそのときでは無い……ということです」

 

「じゃあ一体何なんだよねぇ!!」

 

 

 “良いパスですね、古家クン”そう言うと、バサリとマントを広げる。

 

 

「オホン…それでは新しい世界の解放でス!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *  *  *

 

 

【中央棟】

 

 

 俺達の目の前にそびえる“2”と巨大に刻まれた鋼鉄の扉…。息を整え、ぶつかる寸前まで身体を近づける。すると、ウィンと近未来的な音と共に…扉は開かれた。

 そして、パッ、パッ、パッと、白い光りが扉の向こう側にそびえる階段を照らしていく。ここまで見たところだと、エリア1と変わらない光景である。

 

 

「おお…ほんまに開きよったな…」

 

「今までつま先近づけても、ウンともスンとも言わなかったのにねぇ…」

 

 

 モノパンの言っていた“新世界”という言葉を思い出す。

 

 

「新世界…英語にすればニューワールド、ふっ……心が踊るじゃあないかぁ…」

 

「何不適にニタニタしてるですか。何が待ってるか見当もつかないんですよ?余裕を持ちつつ、警戒を怠らない……です」

 

「1度兜の緒は締め直しておいた方が良さそうでござるな……皆の者!今し方、念入りに、深呼吸でござる!はいまず吸ってーーー」

 

「さっさと行きな、鬱陶しい。忍者だろ?責任持って先陣切りな」

 

「ぬわぁ!!せ、背中は蹴らないで欲しいでござる!ていうか忍者が一番槍するの可笑しくないでござるか!?現代でいう諜報員でござるからな?」

 

「アンタ、バイトの忍者だろ」

 

 

 階段へと踏み出す一番手になるのか、わちゃわちゃと譲り合い、押し付け合いが始まる。まだ突入してすらいないのに手をこまねく姿に、若干の呆れが入る。

 

 

「とりあえず行ってみようじゃないか?キミ達。この名探偵である、ボクが先行しようじゃないか」

 

「そうそう!!名探偵だからね!レッツゴートゥーザヘル!!」

 

「縁起が悪い出だしは止めてほしいんだよねぇ!」

 

 

 

  *  *  *

 

 

【中央棟~エリア2:階段】

 

 

 カツカツ、ザッザッザ、14通りの足音を反響させながら、俺達は階段を一段また一段と、少しずつ目的の新世界へと近づいていく。

 その途中、ある生徒が、身体にじんわりと感じる些細な変化を口にする。

 

 

「なあ…なんかこう、服の中がじんわり湿っぽいっつうか…蒸し暑いっつうか……そんな感じせぇへんか?」

 

「確かに~、サウナの中に段々近づいている感じがあるね~」

 

「うう…蒸れますね…はぁ。和服には、かなりキツいですね」

 

 

 そう、暑いのだ。エリア1とは明らかに違う気温の変化に、俺達は手を団扇にして仰いでいたり、上着を脱いでいたりして対処する。

 そして、徐々に増していく暑さを傍らに、淡々とした登り運動を繰り返していくと、階段も終わりを迎え、

中央棟と同じ、大きき2と刻まれた扉が、目の前に現れる。

 

 

 ――そして

 

 

 ――開く

 

 

 同時に、けたたましい蝉の声と蓄えられたような暑さが一気にあふれ出す。

 

 

「熱っ!!後、うるさいです!!何ですかこのおびただしい声は!図書室だったら出禁モノですよ!」

 

「た、多分ミンミンゼミ、だね。幼虫が、美味しい、よ?」

 

「…経験者?」

 

 

 扉をくぐり、雲一つ無い炎天下にさらされる俺達。とんでもない熱量と声量に、口々に文句を垂れていく。

 

 

「扉からちょっとでただけなのに、もう汗がやばいんだよねぇ……ああ~この肌にひっつく感覚、気持ち悪いんだよねぇ」

 

「こ、ここが新しい、エリアって、ことなの、かな?」

 

 

 古家達の言うとおり、階段で感じていた暑さの比では無く、真夏レベル蒸し暑さがこのエリアを支配していた。上着を脱ぎワイシャツ姿になっても、肌から吹き出る汗の量は変わらない。

 

 

「なんか、カントリーサイドって感じやな。田んぼがいっぱいで、家が少ない!」

 

「…うん、エリア1とは違った赴き。…田舎くさい」

 

「最後の一言、いるかい?」

 

 

 入り口は、エリアの最低地よりもやや上に位置しており、軽くだが全体を見回すことが出来た。その全貌は正しく、“田舎”で、初めて来たはずなのに不思議と“懐かしい”、という気持ちが漏れる。

 

 

 

「遠目からだけど~、なんだかおっきな施設もあるっぽいね~~。見れば見るほど~新しい場所に来たって感じだね~」

 

「うんうん、冒険の匂いがプンプンするね!もう調べて下さいって、エリアにでかでかと書かれる感じがするよ!」

 

「探すところが多いのは厄介です。足を多く動かさないと行けないですからね」

 

「…同感」

 

「う~む、コレがインドア派の弊害でござるか…」

 

「風切さんはどっちかっていうとアウトドア派な気がするけどねぇ…」

 

 

 尖った森林が茂みの中に、大層な施設の頭がヒョコリと生えていた。丸や、三角、形は様々であり、実際に行ってみないと、一体何の施設なのか分からないことが分かる。

 

 

 

「諸君!何を足踏しているんだい?ふっ…そうか。そうなんだね!キミ達はこの名探偵…いや超名探偵のニコラスバーシュタインが言葉を待っていると見た!では高らかに宣言しようじゃ無いか、キミ達!!ボクに続き、このエリアの隅から隅まで、ありの巣一つ残さず、探索し尽くそうじゃ無いかぁ!!」

 

 

「……………もう皆行ってしまったぞ」

 

 

 声をかけ合う俺達の周りは、閑散とした空気が舞っていた。暑い空間のはずなのに、不思議と肌寒さを感じた。

 

 

 

「…そうかい…キミ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *  *  *

 

 

【エリア2:中央分岐点】

 

 

 エリアの入り口から数分歩くと、エリアの丁度中央に行き着いた。そこから道は4つの方向に枝分かれしており、道に行き着く先には施設が見られた。

 さらに全ての道と道の間には、今にも足が吸い込まれそうなほど肥沃な土壌と水が敷き詰められていた。そして、それぞれの土地からは、いくつもの二枚葉が土から直接生えており、農業に殆ど関わりの無い俺でも、豊作であると分かった。

 

 そして、目線の先に、道にしゃがみ、土壌と葉を凝視する級友の姿がそこにあった。

 

 

「あっ折木さん!」

 

「小早川、何か気になるものでもあったか?」

 

 

 砂利を踏みしめる足音に気づいた小早川が立ち上がり、こちらに目を向け、大きく左右に手を振るう。

 

 

「もう気になるものだらけですよ。…それにこれって、畑と水田…ですよね?」

 

「何か生えてるみたいだが……何の種類か分かるか?」

 

「え゛え゛…花を咲かせる植物だったら分かりますけど…これは、ちょっと…?乏しいというか…」

 

 

 首をかしげる小早川。さすがに華道家だからと、知識を頼りすぎるのはまずかったか?

 

 

「あっ…でもこの葉の形…カブみたいに見えますね……」

 

「………ふむ、カブと言われれば、それっぽく見えるように思えるな。だけど……何でここにそんなものがあるんだ?」

 

「ではその質問!ワタクシがお答え致しましょウ!!」

 

 

 朝の炊事場と同じように、モノパンは忽然と姿を現す。いきなり現れることに多少の慣れが出てきたのか、俺達は少し身体をゆらす程度で反応は終わった。

 

 

「くぷぷぷぷ、この作物はですねェ…名付けて、『畑のビュッフェ』!!」

 

「びゅ、びゅっへ…?」

 

「ノンノンノン…ビュッ“フェ”でス!」

 

「…そこを強調するのか」

 

 

 うまく口が回らない小早川に、モノパンは“フェ”だけ強調し、そう名前を繰り返す。まるであの青い猫の秘密道具を思わせるようなネーミングだ。

 

 

「だけど、その畑の何とか……ばかり育ててるのはなんでなんだ?特産物だとかか?」

 

「くぷぷぷぷ、まあ確かに。この施設の特産物とも言えますね。そしてこれはただの作物では無いと言わしめる、とんでもない秘密があるのですヨ」

 

「秘密…ですか?」

 

 

 そう俺達に告げると、モノパンはヒョイと畑に足をつけ、一つのカブを抜き取り、俺達へと見せつけるようにカブを掲げる。

 

 

「見ててくださいネ~?これはですね、実はこんな風に、半分に割れル」

 

「なっ……」

 

「ええーー!」

 

 

 その中身に、俺達は驚愕する。何故なら、中からは文房具やら、何やら、普通では考えられない代物がぎゅうぎゅうに敷き詰められていたのだから。

 

 

「な、何で…」

 

「…これは、とある“植物学者”と“農家”の方が共同開発した優れものでしてネ。種にチョチョーイと細工すると、このカブに収まる物限定で、“何でも”製造することが出来るのです」

 

 

 作物を説明するモノパン。だけど、説明が耳に入らないくらい、カブの中身は衝撃的であった。俺は耳から片方の耳へ情報が通り抜けてくような感覚に陥る。

 

 

「思い出して下さイ?あの倉庫に、無限に供給される代物の数々を…」

 

 

 一瞬の放心から目を覚ました俺は、思い出し、納得する。倉庫で取り出した食べ物が、次の日には補充されていることに。モノパンの説明が正しいのなら………この施設にある物品は全て、ココで作られ、量産されているということになる。

 

 

「だけど……な、何でそんなとんでもない物が、ここに?」

 

「そうですよ!これほどの大発明!

 

「くぷぷぷぷぷ、希望ヶ峰学園には、国には教えられない秘密の数々が眠っていますからねぇ…。まあこれもそんな秘匿された物の一つ、ということで」

 

 

 …恐るべし、希望ヶ峰学園。俺は改め、この学園に所属する超高校級の生徒の規格外さに、戦慄する。

 

 

「成程…」

 

「半分以上分かりませんが…成程」

 

 

 非現実的な技術を前に頭を痛めた俺達は、ふらふらと覚束ない足取りで別の場所へと移動しようとする。思わず、畑の方に倒れ込みそうにもなる

 

 

「あっちなみに、畑に土足で踏み込むととんでもない音量で“アラーム”がなりますので、お気を付けてくださいネ?」

 

 

 俺はそっと、道の端から足を離した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *  *  *

 

 

【エリア2:美術館】

 

 

 4つの分かれ道のウチ、一番左手の道を突き進む。道の最後には、とても歪な建物がそびえる。建物自体は四角形なのだが、屋根やら、壁面に三角形やら五角形の形がめり込むようにくっついている。良く言えば特殊で、悪く言えば前衛的な設備である。

 

 シンプルなガラス製の自動扉をくぐり、施設の中へと足を進める。施設内は、外観とは違い目立ったデザインはしておらず、壁側に歴史の変遷を表わすポスターや、古い文献、なにかのミニチュアが連なっていた。

 

 

「見たところ、美術館…か?」

 

「土足で踏み込むのにおこがましさを感じる清潔さ……美術館で間違いないかと」

 

「ああそのとおり…美しいモノと美しいモノが集い、美麗さを競うが如き博覧会が24の時が回り続ける限り続く…あの美術館さ」

 

「…この無駄に周りくどくて、もう何が言いたいのか分からない言い回し……やはり、落合。ココにいたのか」

 

「その恰好だと、…ええと、酷く浮いてみえてしまいますね。でも、逆に浮きすぎて美術品と思える次第です」

 

「僕は常に、自分のあるべき場所を探している…今回も、その例に漏れなかっただけさ…」

 

 

 シレッとした形で、畑から行動を共にすることになった小早川と俺は、相も変わらない口ぶりとギターを美術館に響かせる落合と出会う。どうやら、単独でこの施設の探索をしていたらしい。

 

 

「何か、気になるものでも見つかったか?」

 

「ここは、ただ美しさを見える形に落としこんでいだけでは無く…人の望みと望みが作り上げし希望の学園を学び直す、歴史的施設でもあるらしい…詳しくは、あのガラス見てみると良い」

 

 

 落合は、壁に寄せられた古い文献などの一品への接近を阻む様に佇む、ガラスの壁を指さす。俺と小早川は、微妙に首をかしげ、近づいていく。

 

 

「このポスターは……希望ヶ峰学園の、設立から現在までのことが、書かれているみたいだな?」

 

「そうみたい、ですね…あっ、成程。だから、学び直す、なんですね」

 

 

 また独特な表現をしていた落合に苦笑いをしつつ、ガラスをのぞき込む。遠目からは何を示していたか分からなかったが、ポスターに見えていたモノは年表らしく、設立から、俺達が入学する77期までの出来事が年度毎に記されていた。

 そして古い文献に見えていたモノは第一期希望ヶ峰学園の…すなわち高校初めての卒業証明書であった。名前の欄には当時の卒業生と思わしきどこの誰かの名前が印字されていた。

 

 …ここまで見てみると落合の言うように、美術館というよりも、歴史館のような印象を受ける。

 

 

「ミニチュアの希望ヶ峰学園もの方も、今にも動き出しそうな位、精緻に作れていますね…もはや芸術品の域に達しているようにお見受けします」

 

「…学園が動き出すのはさすがに怖いな…」

 

「ふっ、だけどそう思うの致し方ないことさ…創り上げたのが、学園の卒業生…超高校級のモデラーである“地獄谷 吾郎(じごくだに ごろう)さんなんだからね…」

 

「えっ!!何で分かるんですか!…それに何だか懐かしい響きです!」

 

「小早川…」チョンチョン

 

「えっ?………あっ…!失礼しました」

 

 

 俺は、制作者:希望ヶ峰学園66期生"超高校級のモデラー 地獄谷 吾郎" と丁寧に記されているネームカードを指さす。それを見て、落合の知ったかに気づき、少し顔を赤らめる小早川。…だけど、彼女の言うことも何となく分かる。俺も、初めて聞いたはずなのに、何度も耳にしたかのような懐かしい気持ちを受ける。

 

 

「それにしれも……こうやって上から俯瞰して見ると、希望ヶ峰学園って結構広いんですね……」

 

「僕の記憶の限りだと、本校舎が最も新しい思い出だ。ふふ…成程、つまり僕達若人が見たのは、巨大なる怪物の足下だけだった、ということなんだね」

 

「校舎のある北地区に、西地区、南地区、中央広場……よりどりみどりです。あれ?東地区にも校舎と書かれてる施設がありますよ?」

 

「“新校舎”…と刻まれているね…」

 

「……ホームページで見て知ったんだが、俺達が入学するよりも前に新校舎の建設がスタートしていたらしい…。確か、次の年には完成する予定とか、何とか……多分年表にもそう書かれているはずだが…」

 

「あっ本当ですね…だから、こんなに“はいてく”そうな身なりなんですね」

 

「そう考える、旧校舎は北地区に追いやられてる感じが否めないね……だけど、孤独というは悪くないものだよ…孤独は幸運の前触れだからね。いつかきっと、花開く時がくるさ……」

 

「校舎の人生相談をしてどうする…それに模型だし」

 

 

 まあ新校舎の設立以外にも、“予備学科設立”だとか、“海外分校建設”だとか細かい内容があるんだが…今の時点では要らない情報だな。

 俺達は、ミニチュアの観賞会に区切りをつけ、その隣のやたらと威厳のある肖像画の数々に目を向ける。豪勢な額縁と、名前の欄から見て、歴代の学園長の顔ぶれらしい。

 

 

「…へぇ、学園長は何度も交代してるみたいだね…。知らなかったよ」

 

「そりゃそうだろ…不死身じゃないんだから」

 

「だけど折木君、かの希望ヶ峰学園だよ?もしかしたら、もしかするかもしれないんじゃないかい?」

 

「……否定できないな」

 

「…私、実際に学園長の方々のお顔を拝見するの初めてなんです。…こんな渋い面構えのお方々だったんですね」

 

「一般とは違って、顔も名前はメディア露出が極めて少ないからな……俺も初めて拝むよ」

 

 

 ホームページにも、掲示板にも顔が載っけられていない程にだ。

 

 

 “神座出流”………“天願和夫”…そして、“霧切仁”。

 

 

 如何にも風格を備えた老人……眼鏡をかけた白髪の男性に、そして俺達の代の学園長である、凜々しい顔立ちの青年。同じ姿勢の同じ角度の写真であるはずなのに、それぞれ別のカリスマ性を感じられた。

 

 ふと、俺は霧切学園長と年表の就任した年とを見比べてみる。…引き継ぎがあったのはごく最近であることがわかる……そこで、俺は小さな違和感を見る。

 

 

 

 年表の…77期生入学以降……それが最も端っこにある歴史で、それ以上右には何も無いはず、だけどよく見てみると…何だか、はさみか何かで、切り取られたような…“跡”が…見えた。

 

 

 何だ?コレは?

 

 

 …まさか?

 

 

 …77期生入学の後に…何か…

 

 

 

 

 ――続きが、あるのか?

 

 

 

 

「あっ、折木さん!折木さん!見て下さい!これ何でしょう?」

 

 

 考えに没頭する寸前、いつの間にやら施設の真ん中に移動していた落合と、小早川に声をかけられ、ハッと我に返る。見ると、2人は館の中央に丁寧に鎮座された、長方形型のショーケースを囲んでいた。

 

 

「これって…ゴーグルに手袋ですよね?」

 

「爆弾に、名状しがたきピストルのようなものまであるね…」

 

 

 スコープの付いた“ゴーグル”に“手袋”、フックのようなモノが付いた“射出機”や“拳銃”、“2つの瓶”、頭に導火線のついた丸い“爆弾”、そして“鍵”………ここに並べられているのから、きっと美術品だと思えるのだが。前者はともかくとして、後者は物騒な匂いしかしない。

 ショーケースの中身を見ながら、3人で首をかしげる。3人寄れば文殊の知恵とは言うが、ヒネってもコネッても何も出てきやしない。

 

 そこで俺は…。

 

 

「呼ばれそうなので先んじて…ワタクシ、参上!!」

 

 

 確かに、これらが何なのかを聞こうとは思ったが、呼びたくはなかった。落合は表情が変わらないからよく分からないが、小早川は俺と同じように、うんざりとした表情をしている。

 

 

「…で、この物騒な品々はなんなんだ?」

 

「くぷぷぷ、これらはこの施設の中でも、特別に重要なモノなのでス…名付けて!!『怪盗7つ道具』!!」

 

「7つ道具…ですか?」

 

「煮え切らないですよェ?煮えたぎりきらないですよねェ?そんなキミタチのために、一つずつ、迅速かつ丁寧に紹介していきましょウ!」

 

 

 すると、急に部屋は暗転し、スポットライトが灯る。最初のライトが当てられたのはショーケースの端っこに座する、ゴーグルであった。

 

 

「エントリー№1!!『モノパン・ゴーグル』」

 

 

「赤外線放射機能を搭載し、どんな暗闇でも、どんな暗夜でも、何でも見通す究極のゴーグル!大好きなあの人の夜這いぴったリ!どうですか折木クン!使ってみまス?」

 

「使うか!!!!」

 

 

 

 

「エントリー№2!!『モノパワーハンド』」

 

 

「てこの原理やら何やらを駆使し、どんな小柄な人であろうと、軽々と自分より重い物を運ぶことが出来る超スーパーアイテム!!使いすぎで、ワタクシの腕の筋肉が半世紀分衰えてしまったは、あまりにも有名!」

 

「セールスポイント間違ってませんか…?」

 

 

 

 

「エントリー№3!!『どこでもワイヤー』」

 

「ある程度の距離の目的物に向かってワイヤーを放出し、くくりつけ、足跡を付けずに天空を渡れます!……オプションとして、ワイヤー移動用の滑車もおつけしまス!ハイ!」

 

「へぇ…鳥のまねごとができるのか……良いね」

 

 

 

「エントリー№4!!『ロシアンワルサー』」

 

「タダのピストルではございません!何と!リボルバーには5発しか弾丸が装填されていないのでス!!しかも、引き金を引けば、6分の5の確立で銃弾が出るのでス!」

 

「…つまりただのピストルか」

 

 

 

 

「エントリー№5!!『即効性絶望薬 and 遅効性絶望薬』」

 

「二つで一つ、一つで二つの劇薬!前者は服用後すぐに野垂れ死ぬ優れもの。さらに空気よりも軽いため、気化して部屋中にガスを蔓延させること間違いなし!後者は服用から8時間きっかりで効果が現れるため、アリバイ作りに持ってこい!」

 

「…段々雲行きが怪しくなってきましたね」

 

「…もう既に怪しい」

 

 

 

「エントリー№6!!『バグ弾』」

 

「爆弾に見えますが、爆発しても誰も傷つかない煙が凄いだけの超平和的アイテム!だけど周りの機械はおしゃかになるので注意!」

 

「それは凄いな!!」

 

「そこ褒めるんですか!?」

 

 

 

 

「エントリー№7!!『ヒミツの愛鍵』」

 

「何とこの鍵は差しては使いませン!閉まった扉に向けてここのちいちゃなボタンを押すだけで、開かずの扉をバンバンチャカチャカ開けられてしまう、万能キーアイテム!鍵だけに…」

 

 

 “…まぁ、こんなモノ無くても、ワタクシだったら何処でも空けられるんですけどネ”

 

 

 そう付け足し、紹介を終えていく。

 

 

 一瞬のうちに、膨大な情報がマシンガンの如く、頭にたたき込まれたために、頭はパンクすれすれまで膨れ上がる。隣の2人を見てみると、小早川はパンクを通り越してショートし、頭から湯気を出している。落合に至っては、途中から聞いておらず、ハーモニカを取り出し調音をし出している。

 

 

「…疲れないか?」

 

「少しィ……」

 

 

 1から7(8)までの、全ての道具を、一定のテンションで言い尽くした弊害か…俺達だけで無く、モノパンまで肩で息をしている。何なんだこの状況。

 

 

「で、でで、でも、それが、どうして、ええと…あの…あれ?何ですか?1から7で、8が7で?」

 

「落ち着け、バグってるぞ、一端外の空気を吸ってこい……だが、モノパン、その道具の内容を俺達に伝えて、何の意味があるんだ…」

 

「ふっ…無意味かどうかは、生きる上で考える必要は無いのさ。だってそう考えることこそが、無意味なんだからね」

 

「…お前もバグってるのか?」

 

「くぷぷぷぷ、それは勿論…キミタチに“使っても貰う”ためですヨ」

 

 

 “使う”の一言に、少し、冷や汗が流れる。もし俺の想像通りなら、その“使う”とはすなわち…。

 

 

「分かりませんでしたか?どんどん使って、ドンドンコロシアイをして貰うため…ですヨ?」

 

 

 ……コロシアイのための道具。

 

 

「ちなみに、1人二つまでですからネ?勿論名前は公開しませんかラ。それじゃあ誰が犯人なのか、分かっちゃいますからネ?あっ、早速1つお貸ししましょうか?」

 

 

「…いらん」

 

 

 モノパンのいらない一言に気分を悪くした俺は…そう言い残し、美術館から逃げるように、そそくさと外へと歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *  *  *

 

 

【エリア2:プール入り口前】

 

 

 美術館への道の隣の道を突き進み、少々急な階段を上った先には、楕円型の屋根を持つコンクリート造りの施設がそびえていた。

 そして、その施設の前には、なにやらしゃがみこんでいる生徒の姿が1人、ポツンと。

 

 

「……ああ、折木君に小早川さん…奇遇なんだよねぇ」

 

「古家…何やってるんだ?」

 

「はは、ちょっとした不幸が足に見舞ったから、その後処理中なんだよねぇ…」

 

 

 そう言うと、地面にあぐらをかき、靴の裏をのぞき込む。何かあったのかと、身体を斜めに傾け、のぞき込んでみると、そこにはおびただしいとまではいかないが、かなりの数の“トゲ”が刺さっていた。

 

 

「あー、コレは痛そうですね……救急箱もってきましょうか?」

 

「ああその必要は無いんだよねぇ…靴がガードしてくれて、あたし本体に別状は無いから大丈夫なんだよねぇ………ほらこの道の左右に木があるよねぇ?エリア1みたいに、何処かと繋がってるのなぁ…て思って、軽い気持ちで足を踏み入れたら…地面に靴を噛まれちゃったんだよねぇ…」

 

 

 古家の言う森に目を向け、アドバイスを参考して足を引っ込め、中を覗きこむ。森の奥の方は、茂みが深くてよく見えない…が、木の根元には、無数の茨が、地面に張り巡らされていた。そのトゲは、粗末な靴であれば簡単に貫通するほど鋭利に光っている。

 

 

「…ああ、ホントにトゲだらけだな…エリア1と違って、森の中には簡単に入れないようになっているらしいな」

 

「はい…私の草履だと、確実に血を見ますね…」

 

 

 俺達はゴクリと喉を濡らし、そのまま身体を引っ込める。このエリアの森には、よっぽどのことが限りは入らない方が良さそうだ、そう心に決める。

 

 

「気を取り直して…施設の方を見ていきましょう!」

 

「……この建物…他のと比べてみても…でかいな…」

 

「それに、とっても高いですね…」

 

「そこはプールみたいなんだよねぇ……ほら、看板の所見てるんだよねぇ」

 

「本当ですね。ご丁寧に“ぷ~る”って書いてあります」

 

「何故…ひらがな?」

 

 

 俺は戸惑う気持ちを余所に、一呼吸、そして思いを改める。

 

 

「じゃあ、中、入ってみるか…」

 

「お供します!」

 

「ふぅ…やっとトゲが無くなったんだよねぇ………アタシも同行するんだよねぇ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *  *  *

 

 

【エリア2:プール入り口】

 

 

「……扉が、2つ?」

 

 

 施設に入ると、二つの扉があり、向かって左側の青い扉には『男子更衣室』と、右側の赤い扉には『女子更衣室』と刻まれている。

 だけど、もっとも目に付くのは…。

 

 

「…何だあの馬鹿でかい銃は」

 

「存在感がえげつなくて、入り口より目立ってるんだよねぇ……」

 

「あ、あれは…ピストルのような発射口からして……科学兵器か何かですか?」

 

「…すまん。科学という言葉は余り使わないでもらえるか?頭痛が閾値を超えそうになる…」

 

「どんだけ機械嫌いなのかねぇ……言葉で顔を青くする人は初めて見たんだよねぇ…」

 

 

 まあ俺の体調については置いといて…。小早川の言う、物騒を体で表わしたような重火器が、何故雑然とぶら下げられているのか…。

 

 

「くぷぷぷ、気になル?気にならなイ?気にしてみル?それともあえて気にしてみなイ?これまた興味のジレンマ…まるで恋のよウ」

 

「……アレは何だ?」

 

「不思議なもんだねぇ…もう、一切の動揺がなくなっちまってるんだよねぇ…」

 

「…それに前置きについてはスルーしていくつもりみたいですね」

 

 

 武器については後回しにしようかと考えていたが…考える以上にモノパンはひけらかすのが好きなようで、ウズウズしたように身体をもじもじさせながら再び姿を現す。

 

 

「くぷぷぷのぷ……アレはですネ、勿論…防犯用のオシオキ銃でス」

 

「防犯用だったんですね…」

 

「にしては、過剰すぎに見えるんだけどねぇ?」

 

「ぜーんぜん過剰では無いですヨ。むしろこの銃に蜂の巣にされると見た目で分かるんですから、温情マシマシでス」

 

「温情が一欠片も見当たらないのはきっと気のせいなのかねぇ……?」

 

「くぷぷぷ、まあそんなことはどうでも良いんですよ。重要なのはいつ、どういうとき発砲されてしまうのか……この2つの扉にはですネ、実は電子ロック機能が搭載されているのでス」

 

「で、で、電子…何だ?」

 

「また“しすてまてぃっく”な匂いがします…!」

 

「“電子ロック”って…そこまで驚くほどマイナーな機能では無いと思うんだけど……そこら辺のホテルにありそうなモノなんだよねぇ…………じゃあ、モノパン?どうやったらこの扉を開くのかねぇ…」

 

「それこそ……キミタチの電子生徒手帳の出番なのでス」

 

 

 モノパンは俺達の足下までテクテクと身を寄せ、生徒手帳の入ったポケットをチョンチョンとつつく。

 

 

「あ、成程ねぇ…この黒い部分にコレをかざすんだねぇ」

 

「そうでス。すると、ドアのロックが自動で外れ、扉が開くって言う仕組みでス。そしてさらに、扉にはセンサーが搭載されており、男子か女子かを判別出来まス。もし、女子更衣室に男子が入ろう物なら…ドカンというわけでス」

 

「何だと!これが最先端技術か!!」

 

「現代科学がここまで便利になっていたとは!驚き桃の木です!」

 

「あんたらいつの時代の方々なのかねぇ?生まれる時代ちょっと遅すぎたんじゃ無いかねぇ?」

 

 

 何やらキレ気味に古家はツッコんでくる。仕方のない話しだ。コレほどまで人類は進歩していることに、きっと嫉妬してしまっているのだろう。なんせ、あまりにも進歩していて、古家とモノパンの話しを殆ど理解してないくらいだからな。

 

 

「……では、扉の機能に従うなら、私はこっち、ですね」

 

「明日を無事に迎えたいならそうだねぇ」

 

「また後で、だな」

 

 

 天井にぶら下がる機関銃に目をやりがら、俺達は扉を開いていく。…その近未来的装置にちょっと手間取ってしまったのは内緒だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

【エリア2:プール】

 

 

 

 更衣室を抜け、プール本陣へ入っていく。施設内は、外観通りかなりの広さを誇っており、四角い大きめのプールが手前に1つ、そして奥の方にもう1つ同じような形のプールが設置されていた。

 

 

「イッチ、ニー、サン、シ~」

 

「長門…?」

 

「ははは~…もうこの時点で入る気満々なのが伝わってくるんだよねぇ…」

 

「おお~折木くんに、古家くん~。2人ともさっきぶり~」

 

 

 俺達に気づいた長門は、こちらに顔を向けながらも、身体をねじったり、背中を伸ばしたりと入念な準備体操を続ける。

 

 

「湖を使って~水遊びしても~良いんだけど~、何か人目が気になっちゃうからね~」

 

「さすがにねぇ…湖は非合法感が漂ってるからねぇ…」

 

「そもそもあそこは水浴び用の施設じゃないしな…」

 

 

 ボートありきの遊び場だし。 

 

 

「そうなんだよ~だからね~もうワクワクが止まらないよ~」

 

 

 多少の時間を掛けた準備体操を終えた長門は、半被を脱ぎだし、中のウェットスーツを露わにする。そして、首にかけたゴーグルを目に装着し、そのままドボンと、しぶきを上げながらプールへと飛び込む。超高校級のダイバーらしい、綺麗な飛び込みだ。

 

 

「ああ~~気持ちいいよ~~~」

 

「本当に気持ちよさそうなんだよねぇ…」

 

「あの炎天下だ…そう感じるのも無理は無い」

 

 

 さっきまで暑いエリアを歩いてきたこともあって、その気持ちよさそうな姿に羨ましさを感じる。水着…持ってくれば良かったな。と今更になって考える。

 それでも、俺はその気持ちに一端のセーブをかけ、施設の探索を優先する。そして、しばらく、プールを漂う長門を横目に、俺と古家は周りを見回す。

 

 

「ふむ…プールとジャンプ台以外…目立ったモノはココには無さそうだな…」

 

 

 見ただけだと、手前のプールはいたってシンプルな作りをした遊泳用のプールで、かなりの深さがある。奥にあるプールは、3っつの飛び込み台が高さ順に並べられており、最高高度の飛び込み台はこの施設の半分くらいの高さまである。…常人であればただじゃ済まなさそうなレベルだ。

 

 

「本当にただの遊泳用プールなんだねぇ…もっと秘密の実験施設とか、薄暗い洞穴くらいあると思ったんだけどねぇ…」

 

「一体プールを何だと思ってるんだ?」

 

 

 そこまでぶっ飛んではいない思いたいが…イマイチ…分からん。

 

 

「ん~~?……ね~2人とも~。あのでっかい照明の隣の~金網はな~に~?」

 

「ん?あれ…?」

 

「上に何かあるのかねぇ??」

 

 

 仰向けになって水に浮かぶ長門は、腕を伸ばし天井を指さす。俺達は指に従い、上を見上る。すると、天井には学校の体育館にありそうな大きな照明の他に…橋のように金網が張られていた。奥の方の照明も然りだ。

 

 

「…多分、点検用の網かなんかじゃ無いかねぇ?ほら丁度ライトの側にかかってるし…」

 

「モノパンも宙には浮かべないだろうからな…」

 

「そっか~…宙に浮けそうな見た目してるのにね~」

 

 

 どんな見た目だよ…。

 

 

「……あれ?そういえば小早川さん、どうしたのかねぇ?全然来る気配を感じないんだよねぇ」

 

「更衣室を通るだけだから…もう来てても可笑しくないんだがな…」

 

「んならその疑問、ウチがお答えしようやないかぁ」

 

「「鮫島(君)!」」

 

 

 声がした背後、更衣室から出てきたばかりの鮫島が、ブーメランパンツ姿で仁王立ちしていた。その恐ろしくも男らしい、かつ遊ぶ気しか感じない姿に、唖然と顎が下がる。 

 

 

「鮫島…?今のはどういうことだ…というかその恰好…」

 

「プールがあるぅ聞いてなぁ…水無月と結託して、最速で水着を倉庫からかっぱらってきたんや…どや、似合ってるやろ…」

 

「「早い…」」

 

「ふふふ…そして、この第2の発起人こと水無月カルタちゃんも、既に水着に着替えているのだよ…」

 

「「早い……!」」

 

 

 女子更衣室側には、鮫島と同じく、フリフリの付いた黄色のワンピース水着に着替えた水無月の姿で、仁王立ち。流行ってるのかそのポーズ…?

 

 …というよりも。

 

 

「どうどう~?公平く~ん。カルタちゃんの生水着。似合ってる?結構気合い入れたんだよ?」

 

「くっ……不覚にも…似合っているとしか…!」

 

「不覚とは何だーー!ちゃんと褒めろーー!!」

 

「うーーん、驚きなのはちんちくりんだと思ってたのに、普通にスタイル良いことなんだよねぇ…」

 

「誰がちんちくりんだーー!!これでもお姉ちゃんよりは全然成長してるんだぞーー!!」

 

 

 俺と古家は頬を赤くし、意外なわがままボディを水着で晒す水無月から目をそらす。だけど言葉だけだと足りないと思い、ありがとうの意味を含めて、拍手を送っておいた。……しかし、その反応がちょっと気に入らなかったためなのか、水無月は俺に蹴りを入れてきた。

 

 

「て…ことは、小早川さんも?」

 

「あー、ええとね……水着も予備を持ってきたんだけど…サイズが全く合わなくてさ。水着がもう、パーン!てアニメみたいはじけ飛んでさ…それで“違うんです!水無月さんが悪くないんです!私が少し、ふとましいだけなんです!!ごめんなさーーーい”…て言って、出て行っちゃった…てへ☆」

 

「なんやとぉ!!!メインやろがぁ!!テコでも連れてくるんが人情っちゅうもんやろ!!!おんどれ人の心がないんかぁ!!」

 

「うわっキレた……思った以上のぶち切れ」

 

「知るかぁ!!飛んじゃったモノはしょうが無いじゃん!!」

 

「邪さしか感じない人情なんだよねぇ……でも、あたしもちょっとがっかりなんだよねぇ…」

 

 

 指と指を合わせて若干落ち込む古家。“カルタちゃんで我慢しろぃ!!”“ウチの純情弄ぶなや!!”と、バカップル染みた争いが始める2人。そして明らかにうるさそうな表情のまま浮かんでいる長門。

 

 …ぐだぐだになってきたな。俺はそう思い、一呼吸、挟む。はぁ…。

 

 と、いうことは。今小早川はどこかに飛び出し、どこかでこと垂れている…てことか。

 

 

「探索はどうするのかねぇ…」

 

「今やらなくても、今日の内に何とかすれば良いんじゃないか?報告するにしても、明日の朝とかだろうしな」

 

「…そうだねぇ」

 

「俺は、これから他の施設を見て回るが…古家はどうする?」

 

「あたしは、あの2人の仲裁をしてるんだよねぇ…危なっかしくてしょうが無いんだよねぇ…」

 

「そうか…じゃあ、また」

 

「うん、小早川さんのフォロー、宜しくなんだよねぇー」

 

 

 俺がか…?水無月の話しを聞いた限りだと、デリケートな問題だから、上手く励ませるのか自身が無いな…。まあ、何とかなるか…。

 

 俺はそう気持ちを新たに、プールを後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *  *  *

 

 

【エリア2:図書館】

 

 

「はぁ…」

 

「元気出せ……水無月もそんなに気にしてなかったぞ?」

 

「気にしちゃいますよ…、ああいうのって結構心に響くんです。皆さんに見られなくて本当に良かったですよ…」

 

 

 プールの側でシクシクと泣いていた小早川を拾い、俺達はまた別の道の探索を進める。その道すがらも、目的地に着いた今でも、機嫌というか、落ち込み具合を上向きにするのに苦心している。

 

 

「き、気を取り直して、な?……この施設を見ていこう。何か面白いものがあるかもしれないぞ?」

 

「……………そうですね…はい。ええもう大丈夫です。小早川梓葉ここに、地味に復活です!!さぁ、メッタメタに探索していきましょう!!たのもーーーー!」

 

 

 変なやる気スイッチが入り、小早川は身の丈の2倍ほどある扉をバタンと力強く開く。だがその気合いは、施設内の空を貫いた。

 

 

「あっ……図書館だったようです。静かに入るべきでした」

 

「…入り口すれすれだから、ギリギリセーフ…か?」

 

「アウトですよ…私の前でそんな愚行、見過ごすわけ無いです……早い話、図書委員の視野を舐めんなよってことです」

 

 

 目の前に下の方、雲居が親指を逆さまにし、様子の時点で俺達への有罪判決を下していた。こめかみに怒気を感じさせる皺が寄っており、かなりご立腹の様子だ。俺達は、廊下に立たされている気分で、雲居の前に棒立ちになる。

 

 

「申し訳ありませんでした…」

 

「すまなかった…」

 

「まあ…………ここだどんなところなのか分かってなかったようですし、初犯なので、今回だけはお咎め無しにしといてやるです。次からは気をつけるですよ」

 

 

 それでも温情はあるようで、雲居はため息を吐きながら怒りを取り下げる。俺達は、ホッと小さく一息。だけど、もし再犯をしてしまったら…何があるのか、少し気になるところだった。

 

 

「それにしても………すごいな」

 

 

 ……雲居に気をとられて見れていなかった、が…。施設の中は、包み隠さず、ありのままの気持ちを表現するなら……素晴らしいの一言に尽きる世界が広がっていた。

 

 

「折木…言いたいことはわかるです。図書委員としても、1人の読書家としても、この図書館は素晴らしいです」

 

 

 小早川とは逆側の隣に、訳知り顔の雲居が俺にニヒルな笑みを浮かべる。

 

 

「素人ながらの意見ですけど……とても手入れの行き届いた内装とお見受けします」

 

「誰がデザインしたかは分からないですけど、匠の技ですね。一介の図書委員として参考にしたいくらいです」

 

 

 図書館全体は球体の形状をとっていて、下半分が本棚、上半分は天井と窓で構成されている。本棚側は2段の階層に分かれており…1段目と2段目の壁側には本棚が設置されている。ちなみに、俺達が入ってきた出入り口は2段目に位置している。1段目へは、入口側と対角に位置する奥側にある階段を使って行けるようになっているらしい。

 そして施設の1段目中央には、読書スペースらしき区画があり、まるで泉に浮かぶ小島のように周りに水が張られ、小さな橋まで架けられている。これが景観向上の一端を担っている。

 

 俺達は、2段目の階層を弧を描くように、1段目へと落ちる棄権の無いように立てられた木製の手すりをスルスルなぞって歩く。

 水族館の海底トンネルを眺める感覚で…上を見回したり、どんな書物が納められているのかを眺めたりしている。

 

 

「……やはり綺麗だな、窓から差し込む太陽光も、本の背表紙の光沢をより際立たせている」

 

「水の反射もキラキラとしてて、見てて心地よく思えますね」

 

「景観だけがここの良さじゃ無いですよ。蔵書のラインナップも中々のものです」

 

「本当か…?」

 

 

 本棚に集中してみる。そこには隙間無く、されど過密に敷き詰められているわけでもなく…傷一つ見当たらない上質な書物が、整然と並べられている。俺は無作為に、直感的に、一冊の本を手に取る。

 

 

「おお…!『絶海の猟銃』」

 

「故郷の島を守るために、コンキスタドールを自称する海賊共の船へ、単身で乗り込んだの狩人の話しですね。斬新にも、殺された海賊目線で描かれているので…1人…また1人…と撃ち殺されていくクルーの恐怖を読者にも感じさせてくれる傑作中の傑作です」

 

「へぇ……視点が違うんですね」

 

「恐ろしいのは、これがノンフィクション小説だということだ…“超高校級の狩人”がモデルだと噂で聞く」

 

「ほ、ホントですか…!?アレ……でも、それならこの本って誰が書いたんですか?」

 

「………さらに恐ろしいのは、コレを書いた作者が不明な点だ……話しによると、匿名で編集部に届き…そのまま小説として世に出されたとのことらしい…」

 

「もしかして……海賊のおんね…」

 

「……この話はココまでにしておこう」

 

 

 “…はい”と口をつぐむ小早川。俺はさらに別の本を取り出す。

 

 

「むむむ…これはぁ…」

 

「『誰もいなくなった部屋』…ですね」

 

「有名なんですか…?」

 

「……とても有名な作品です……頭に“悪い意味で”が付くですけど」

 

「あらゆる伏線を張り巡らし、それを寸分の狂いも無く回収し尽くし、あわや大団円を迎えようとした矢先…全てが夢でしたというオチに加えて、目を覚ました主人公が急に服毒自殺を図る…という前代未聞の奇作だ」

 

「まるで最終回を迎える寸前で打ち切りにあった漫画みたいですね…」

 

「最悪なオチだ!こんな展開見たこと無い!…とストーリーが面白かっただけに賛否両論の嵐でした……もう作者が名作にしないよう、意図的にオチを変えたというのがもっぱらの噂ですけど」

 

「すこぶる捻くた感性をお持ちだったんですね…」

 

 

 …まったくもってそのとおりである。頷きながら、他の本を取り出し、俺は目を見開く。

 

 

「何と……浅森先生の『町 結人(まち ゆいと)シリーズ』も全巻揃っている……天国か?」

 

「地獄に仏とはまさにこのことですね…」

 

「浅森先生…?私も小耳に挟んだことがあります!確か有名な高校生推理小説だとか」

 

「折木が敬愛する小説家の1人ですよ」

 

「ふっ…握手会も、サイン会も、講演会も全てコンプリート済みだ」

 

「入れ込みように執念を感じますね…」

 

「やってることドルオタと何ら変わんないですけどね…本の事になると行動力が化け物染みてますよ」

 

 

 それに…超高校級つながりだと…これもだ。

 

 

「『ライアーマン・ショー』…世界一優しい大嘘つきである主人公が、とあるゲームを巻き込まれることから物語が始まる。一癖も二癖もある全登場人物達のために、ハッピーエンド迎えるために…嘘をつき続け、必要悪として活躍する、ダークヒーローものの小説だ……まあ、結局、主人公本人にとってはバッドエンドな終わりなんだがな…」

 

「何だか…暗い物語ですね」

 

「ああ…なんせ…作者は小説家ではなく、超高校級の脚本家であり、…バッドエンドの代名詞で有名なあの“三叉 寄人(さんさ よりと)"先生…だからな」

 

「あっ!私もテレビで何度かお見受けしたことがあります!」

 

「コレ一冊しか執筆していないのが…悔やまれるです。きっと小説家としても大成する人物でしたからね…」

 

 

 入学する際、是非ともお話をさせていただきたかった1人だ。確か…浅森先生と、同じ時期に希望ヶ峰学園に入学したと聞くが…?

 

 

「それにしても……本当だな。徐に手に取っただけでこのラインナップか……」

 

「まったくです。雨竜のヤツを見るですよ。あまりの蔵書率に目が眩んで、向こうで本を読みふけってるです…絵本をですけど」

 

「絵本をか…!?」

 

「何か懐かしい作品でもあったのでしょうか?」

 

「さぁ…話しかけてもガン無視されたんで…何を読んでいるのやら…相当思い入れのあることは確かですね…」

 

 

 雲居は“それにアイツもです”と、後ろを見るように中央の読書スペースへ親指を向ける。

 

 

「ちなみに、見えるとおもうですけど…あそこに贄波もいるですよ」

 

 

 そう言われて下を見下ろす。中央の椅子に座り、ポツンと1人読書に耽る贄波。視線に気づいたのか、彼女はは顔を上げ、小さく手をゆらゆらとゆらす。俺はそれに応えるように、振り返す。

 

 

「………」

 

「こ、小早川…急に真顔にならないで欲しいです…私何か悪いことしたですか?」

 

「えっ…あ、すみません。そんな顔、してましたか?変ですね…」

 

「…ふむ何にせよ…ここは要調査地点だな……全部の施設を見回り次第、もう一度来ることにするよ」

 

「私はここで読みあさり確定ですね。もう報告とかそんなもん度外視です…」

 

「清々しい位の宣言ですね……私はもう少し、折木さんにお供します。はい」

 

 

 名残惜しいが、ここまでだな。俺達はそう考え、図書館を出て行くことにした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *  *  *

 

【エリア2:温泉】

 

 

 4つ目の道、すなわち残された最後の道の先に待っていたのは…瓦作りの屋根に、木製の柱と、和を重んじる様相の平屋であった。入り口には暖簾が掛けられ、『温泉』と書かれている。 そしてそれを物語るように、建物の奥からは湯気が立ち上る。

 

 ガラガラと音を縦ながら引き戸を横にスライドさせ中へと足を進めていく。両脇には下駄箱があり、奥の方にはプールと似たように…『男』やら『女』やらと書かれた暖簾がかかった引き戸が、左右に設置されていた。幸いなことに…あのプールにあった、電子……なんたらの装置は付いていない。

 

 

「女湯に入るのは、もちのもちに禁止ですからネ~」

 

 

 番台に座るモノパンは、頬杖をつき、面倒くさそうに顔をたるませている。本当に……何処にでもいるな…前に愚痴っていた“ワタクシ結構忙しいんですよ”は本当なのかもしれない。明らかにサボっているような体勢だが。

 

 

「ではでは、私は女湯の方へ…。何か分かったら、後で教えて下さいね」

 

「ああ、後で落ち合おう」

 

 

 玄関と同じように、懐かしいような音を立てながらドアを開け、男湯へ。

 内装はとしては、銭湯なんかで目にする光景と変わらず…服置きや、体重計、足つぼマッサージのアレ、首振り扇風機……脱衣所といったらコレと言う物が多数配置されていた。

 

 今回は温泉に入る目的では無いので、そのまま服を着たまま直接温泉へ。ガラス製のドアを開けていくと、銭湯特有の、大量の湯煙が脱衣所へ流れ込む。

 煙たい気持ちを抑えられず、思わず咳き込む。

 

 すると、その声に気づいたのか、1つの影が、こちらへ。

 

 

「おお!折木殿ではござらんか!お主もこの雅な景色を見に来たのでござるか?いやぁやはり日本の温泉といったら、庭園でござるよなぁ!」

 

「……沼野か」

 

「…あからさまにがっかりした表情!!」

 

 ちょっと鬱陶しいと思ってしまったのは内緒だ。内緒になってないみたいだが。

 

 沼野の言う温泉を近くで見てみる。そこには白一色の温泉が1つ、それを囲むように石が並べられ、ちょろちょろと心地よい音を立てながら、流れる源泉。そして、入浴中も退屈しないための配慮なのか、手入れの行き届いた立派な庭園が、温泉の風景を彩る。

 

 

「ここは…お前1人で調査していたのか?」

 

「でござるよー。あ、でも女湯の方には、反町殿と風切殿が居るござる。さすがにあそこには拙者も入れないでござるからな」

 

「そうか。それなら丁度今、小早川も――」

 

「きゃあああああああ!!風切さん!こんなところで、そんな体勢のまま眠っちゃダメです!!溺れちゃいますよ!!」

 

「アホ!!どう転んだらそんな体勢になるさね!!ちゃんと起き上がるんだよ!!」

 

「……何が起こってるのでござるか?」

 

「マナー違反だが…見てみたい気もするな」

 

 

 女湯から漏れる悲鳴を気にしないよう、調査を進める俺達。しかし、温泉と庭園以外コレと行った発見は見られなかった。……これ以上は無駄骨か、と考え脱衣所へ向かおうとすると…。

 

 

「折木殿、折木殿…」

 

 

 こそこそと、ひそひそと、何やら密談でもしようかというように、腰をかがめながら沼野がこちらに近づく。顔から既に、碌でもない事を持ちかけようとしていることが容易に想像で出来た。

 

 

「実は……この温泉の仕切り板……藁でできているようなのでござるよ…。それに、少々荒い作りをしているらしく、小さな隙間が多数見受けられるのでござるよ……」

 

「お前…まさか」

 

「くくく…ここまで言えばわかるでござるな?折木殿…この温泉、“のぞき”が可能なのでござる…」

 

「お前……本気でそんな小学生まがいなことを…?アニメーションじゃ無いんだぞ?」

 

「折木殿!拙者らは超高校級の人間である前に、1人の男子学生でござる!!灰色のアルバムたる青春の一ページに、淡いピンク色をひとしお加えても、何も悪いことはござらん!!」

 

「普通逆だろ?…はぁ…天地がひっくり返っても…俺はのぞきに参加はしない」

 

「ええ~ノリが悪いでござるよ~。人型の塗り絵に灰色をぶちまけたような折木殿にこそ、このイベントはまさにうってつけでござる!さあ!情熱を!魂を!真実を!!今こそ解き放つときでござる!!」

 

「ひっつくな!むさ苦しい!そして誰が灰色だ!!どちらかというと墨色だ!母さんがそう言っていたんだ!間違いない!」

 

 

 服をブラブラとひっつかみ、ショッキングピンクな計画へと引きずり込もうとする沼野をぶら下げたまま、騒ぐ俺達は脱衣所から出て行く。すると丁度、反町、小早川が出てきたタイミングを鉢合わせる。俺は、急いで沼野を振り落とそうと、沼野の方を見るが…さっきまでの頬を緩ませた沼野はどこにも居らず…いつのまにやら、目の前に後ろ姿を晒していた。“い、いつのまに!”思わず口に出そうになる。

 

「男湯の方は調査完了でござる!……おろ?風切殿はいずこに?一緒ではござらなかったか?」

 

「…風切だったら…更衣室のマッサージ機に座って、夢と現実を右往左往してるよ」

 

 

 ~~~~~

 

 

「あ゛あ゛ーー…肩がほぐれる」

 

 

 ~~~~~

 

 

 

「……想像できるな」

 

「同感でござる…」

 

 

 それから、俺達は互いに調査した場所の簡単な報告をする。結局のところ、目星しいものは無かったとのことだった。そして、他の皆へは明日の朝食の折にでも報告することに……自然と、ここで1度解散しようか…という流れになる。

 

 

「さて、そろそろ頃合いだし、アタシは飯の用意でもしようかね……分かってると思うけど…遅れるんじゃないよ?随分と楽しそうなエリアみたいだからね、ここは」

 

「私もお手伝いします!折木さんはどうなさいますか?」

 

「俺は勿論、図書館だ。懐かしい小説がいくつかあったからな…久しぶりに読み直したい」

 

「拙者は、折角なのでひとっ風呂浴びてくるでござる。久しぶりの湯船でござる!!」

 

 

 そう言うと、沼野は2人に気づかれないよう俺にウィンクをする。

 

 

 “もう少し、しきりを調べてみるでござるよ!”そう言いたげなのが目に見えて分かる。……だから参加しないって。俺は間違った情熱を燃やす沼野から視線を外し…そのまま俺達はバラバラに外へと出て行く。

 

 

 それからしばらくの間、図書館で時間を潰していた………のだが、あまりにも施設が面白すぎたため、夕食がギリギリになってしまったのは、また別のお話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 *  *  *

 

 

【ログハウスエリア:折木公平の部屋前】

 

 

 

「……今日は一日疲れたな…」

 

 

 長々とした今日という日を総括するように…一言。

 

 夕食を終えた俺は、ログハウスエリアへの帰路についていた。そしてふと今日あった出来事を振り返る。新しい世界と告げられた場所…美術館にプール、図書館、温泉。エリア1と大きく装いの変わった別世界に建てられていた、真夏の娯楽施設。ツラい記憶を紛らわすのに、充分な位の新鮮さであった。あくまで、俺から全員を見ての…感想だが。

 

 ……ここに、朝衣や陽炎坂がいたら、どれだけ喜んでいただろう…なんて。1人になると、…そんなifを考えてしまう。

 

 ズルズルと、引きずりすぎな程、センチメンタルな気持ちを引きずり歩いていると、俺の部屋の前に誰かがいるのが見えた。

 

 遠目からだが…ニコラス?

 

 部屋へ向かおうとする俺に、既に気づいているようで…微笑む横顔と共に、背を向けながらこちらに手を振る。

 

 

「やぁ…ミスター折木。今日はお疲れだったね」

 

「ああ。新しいことが多くあったからな。そこそこ忙しかったな…」

 

 

 “結果は芳しくなかったけど…”と付けたそうと思ったが、暗い気持ちをこれ以上暗くしてどうする、そう考え、止める。

 すると、ニコラスは空を眺めつつ“…ミスター折木”と、神妙に顔つきでそうつぶやく。

 

 

「倉庫の中は見たかい?ミス朝衣の死体……片付けられていたよ。本当に何事もなかったみたいにね」

 

「………………そう、みたいだな」

 

 

 ニコラスの言葉を聞き、夕食頃のことを思い出す。習慣的な動作で倉庫の中に足を入れ、“何も無かったような”な光景を目の当たりにした。あのモノパンのことだ。そのまま死体を放置しておくとは思えなかったが…。

 朝衣の死体を思い出させる欠片を、一つ残らず無くなっていたことに、思った以上に、ショックを受けていた自分に、俺自身驚きを隠せなかった。

 

 

「結局…あの紙の行方も、分からず終いか」

 

「…………」

 

 

 朝衣の部屋で見つけた切り破られたメモ紙についても、陽炎坂は何も言っていなかった。もし倉庫に残っていたとしても、恐らく今はゴミクズになって燃やされているだろう…。

 

 

「フッ…では、浮かない表情の友人に1つ、贈り物を渡そうじゃないか…受け取りたまえ」

 

「おおっと……何だコレは…?」

 

 

 ヒョイと投げ渡されたニコラスからの贈り物。見た目は栄養ドリンクそのもので、褐色の瓶に液体が押し込められている。見た目は市販のものと変わらない、しかし貼られたラベルには何も書かれていないことに、かすかな不信感を持つ。

 

 

「だまされたと思って飲んでみなよ、キミ。きっと元気になるはずさ」

 

「元気が無いなんて一言も言ってないハズなんだがな………………て、苦っ!!」

 

 

 液体を口に含んだ途端、形容しがたいほどの苦さが舌に、そして喉に走る。苦さは強烈であり、まともにろれつが回らないほど、ビリビリと舌を痙攣させる

 

 

「な…なんら、これ…」

 

「ボクが片手間に配合した、特性の栄養剤ドリンクさ……実際に含んでもらったのはキミが初めてだけどね」

 

「んなんでそんな物を渡すんだ!」

 

「はは!安心したまえよ!身体に害は、あんまり無いさ!キミ」

 

「不安になる副詞を付けるな!」

 

 

 だまされたと思って飲んだのに、渡した本人は“ハハハ…”と笑い飛ばす始末。あまりにもあんまりな一連の行動に納得が出来なかった俺は、一つくらい文句を入れようと思った……だけど、これがニコラスなりの元気づけであることに気づき、思い止める。……ちょっと遠回しすぎるが。

 それに、ほんのちょっぴり摂取しただけだが、何だか、結構気力が戻ってきたような気もする。

 

 

「それでどうだい?多少なりとも……心の整理というやつは、ついたのかい?」

 

「……見てたのか?」

 

 

 頭の中で、昨日のペンタ湖の出来事を思い起こす。そして、贄波に背中を預け、1人情けない姿を晒したことも。

 

 

「ああ勿論。裁判後のキミは目に見えて疲弊していたからね……悪いけど、キミの後をつけさせてもらったよ。まあ……ボクの出る幕はなかったみたいだけどね」

 

「…贄波ならともかく、ニコラスにもか…さすがに恥ずかしいな」

 

「…ボクだけでは無かったみたいだけど、ね……………それはそれとして、誰かに頼るのは、悪いことじゃないさ。そのおかげか、昨日よりも、キミの顔色は幾分か良い調子だ」

 

「はは…幾分か、か」

 

 

 それでも快調では無いことに、若干の複雑な気持ちを持つ。でも確かに、贄波に頼っていなかったら、今日はもっと酷い状態だったかもしれない。そう考えると、ニコラス達の気遣いは、痛み入るモノだった。

 2人には大きな借りが出来たな、そんな感謝の言葉を浮かべる。

 

 

「なあニコラス。だったら、1つ、相談しても良いか?」

 

 

 そこで俺は一つ。誰かに、特に知識の豊富そうな誰かに、聞いておきたかったことを思い出す。

 

 

「…何だい?」

 

「……今更蒸し返すのアレなんだが……モノパンからの、手紙についてだ」

 

「ほお、それは実に興味深い議題だね。ではここで名探偵らしくその手紙の内容を当ててみようじゃないか…………ズバリ!キミのその“特待生”という肩書き、もとい、才能に関係すること…間違いないかな?」

 

「……よく分かったな」

 

「わざわざ深刻な顔で相談すること、かつキミという存在そのものを加味して考えると……内容を推測するのはそう難儀なことではないさ…」

 

 

 ニコラスの頭のキレを改めて目の当たりにした俺は、先日の裁判での把握力を含めて、驚きよりも怖さを覚える。だけど同時に、頼りがいも見えた。

 俺は1度部屋に入り、手紙を手に取る。そして、部屋の前まで戻ると、いつ間にやら、ニコラスはパイプのようなものを吹かし、口からはシャボン玉が上空へと射出していた。

 

 

「……話しを折って悪いんだが…それは?」

 

「ただのシャボン玉を出せるパイプさ。これを口にくわえていると落ち着いてね。暇があるときや、考えをまとめるときなんかに、よくこうやって吹かしているのさ。ちなみに、シャボン液はボクお手製だよ?キミもやってみるかい?」

 

「いや……遠慮しておく。とりあえず…コレが例の手紙だ」

 

 

 パイプでシャボン玉を作りながら、ニコラスは手紙を開き、一読。

 

 

 少し、瞳が揺れる。

 

 

「何か…心当たりはあるか?」

 

「……――成程ね」

 

 

 意味深そうな視線を手紙へと向けながら、一言…そして、すぐに目をつぶり微笑む。何か…確信めいた表情になり、その反応に俺は期待を寄せる。

 

 

「勿論……まったく分からないね!!!キミ!」

 

 

 貯めに貯めた結果の肩透かしの回答に俺はガクリと背中を折る。

 

 

「何だよ……殆どわかりきった表情だったじゃないか…」

 

「いやぁ!悪いねぇ!まあ、いくら世紀の名探偵だとしても、たどり着けない謎もあるにはある、というわけさ。勉強になったかい?ミスター折木」

 

「超高校級から段々ランクアップしてないか?……でも、分からないなら、しょうがないよな」

 

「折角の相談を無碍にするようで悪かったね。でも、もしひらめくときが来たら、そのときはキミに真っ先に伝えようじゃないか…大切なフレンドだからね?」

 

「真正面からそんなことを言われると…何だかこそばゆいな………。そういえばお前の手紙には何て書かれてたんだ?いや、まあ、見られたくない内容なら、良いんだが」

 

「ああ、これかい?キミの思うほど、深刻な内容では無いから、見たければご自由に」

 

 

 滑らかな手つきで、懐のポッケから封をされた手紙を取り出し、はいどうぞと、こちらへ差し出す。俺は、人差し指と中指で挟まれた手紙を手に取り、恐る恐るといった手つきで、手紙を開く。

 

 

 

 

 

『ニコラス様へ     

 

   

         正直その性格は、直した方が良いと思います。   

 

   

                                                

 

                              モノパンより』

 

 

 

 

 “何だコレ!”とツッコんでしまったのは俺だけでは無いはずだ。…だって、ただのクレームだったのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【モノパン劇場】

 

 

「少ない犠牲で、多を救う…何て言葉がありますよネ」

 

 

「漫画やアニメとか…特に“正義”をテーマに掲げる作品なんかでよくある命題ですネ」

 

 

「でも、考えてみて下さイ?そもそも何で自分がそのような立場に置かれてるのでしょうカ…?」

 

 

「どうしてそんな選択を押しつけられているのでしょうカ?」

 

 

「結局の話し、そんな愚かなことを迫る世の中が悪いと思うんですヨ」

 

 

「どちらか一つを決めてくれと、でもきっとキミなら、世界を取ってくれるよね?……そう多は耳元で謳うんでス」

 

 

「生き汚く、往生際も考えず…ただ生きることに執着していル」

 

 

「そんな世の中……見にくくありませんカ…?」

 

 

「だから、ワタクシは躊躇いなくそんな多を犠牲にしてみましょウ」

 

 

「自分にとって、本当に大切な人を救うために…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『生き残りメンバー:残り14人』

 

 

【超高校級の特待生】⇒【超高校級の不幸?】折木 公平(おれき こうへい)

【超高校級のパイロット】鮫島 丈ノ介(さめじま じょうのすけ)

【超高校級の忍者】沼野 浮草(ぬまの うきくさ)

【超高校級のオカルトマニア】古家 新坐ヱ門(ふるや しんざえもん)

【超高校級の天文学者】雨竜 狂四郎(うりゅう きょうしろう)

【超高校級の吟遊詩人】落合 隼人(おちあい はやと)

【超高校級の錬金術師】ニコラス・バーンシュタイン(Nicholas・BarnStein)

【超高校級のチェスプレイヤー】水無月 カルタ(みなづき かるた)

【超高校級の華道家】小早川 梓葉(こばやかわ あずは)

【超高校級の図書委員】雲居 蛍(くもい ほたる)

【超高校級のシスター】反町 素直(そりまち すなお)

【超高校級の射撃選手】風切 柊子(かざきり しゅうこ)

【超高校級のダイバー】長門 凛音(ながと りんね)

【超高校級の幸運】贄波 司(にえなみ つかさ)

 

 

『死亡者:計2人』

 

【超高校級の陸上部】陽炎坂 天翔(かげろうざか てんしょう)

【超高校級のジャーナリスト】朝衣 式(あさい しき) 

 

 




ご愛読ありがとうございました。

原作の設定が数多く出てきてたので、それとなく解説していきます。アニメを見ていない人もいらっしゃるかもしれないので。



【解説】

・希望ヶ峰学園“新校舎”
 ⇒希望ヶ峰学園旧校舎(無印の舞台)に変わる、新しい校舎。77期生入学直後は建設中。詳しい地理と外観については小説『ダンガンロンパ/ゼロ』と『ダンガンロンパ3 -絶望編-』をご覧下さい。


・予備学科
 ⇒ダンガンロンパ/ゼロにて判明した、希望ヶ峰学園のもう1つの学科。スカウトではなく、入学試験に合格すれば入れる。しかし学費は高額。本科の生徒との交流は全くなく、扱いにも雲泥の差がある。才能が認められれば、予備学科から本科へ編入できるシステムがあるにはある。76期生入学と同時に新設。


・海外分校建設
 ⇒77期生入学と同時に建設スタート。何処の国に建てられたかは不明。


・神座 出流(かむくら いずる)
 ⇒希望ヶ峰学園初代学園長。スーパーダンガンロンパ2にて少し登場。


・天願 和夫(てんがん かずお)
 ⇒元・希望ヶ峰学園学園長。詳しい人柄については、ダンガンロンパ3両編にて。


・霧切 仁(きりぎり じん)
 ⇒現・希望ヶ峰学園学園長。霧切響子の父親。各媒体でチマチマ出てきている。



【ここでしか言えなさそうだからする、元ネタ解説】


・畑のビュッフェ
 ⇒超高校級の植物学者、色葉 田田田(しきば さんた)(登場作品:霧切草)と超高校級の農家、万代 大作(ばんだい だいさく)(登場作品:ダンガンロンパ3 -未来編-)の共同開発によって作られた作物。
 元ネタは『ドラえもん のび太の日本誕生』に登場した『畑のレストラン』。


・絶海の猟銃
 ⇒白い死神こと『シモ・ヘイヘ』より。タイトルは劇場版名探偵コナン、絶海の探偵(プライベートアイ)より。

・誰もいなくなった部屋
 ⇒ゲーム『ゆめにっき』より。タイトルは小説『鍵のかかった部屋』より。

・ライヤーマン・ショー
 ⇒映画『トゥルーマン・ショー』より。

・『町 結人(まち ゆいと)シリーズ』
 ジャーナリストおよび推理作家のアーサー・モリスンが連載した、探偵『マーチン・ヒューイット』より。


【コラム】

エリア2の地図↓

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