ダンガンロンパ・リバイバル ~みんなのコロシアイ宿泊研修~   作:水鳥ばんちょ

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Chapter4 -非日常編- 18日目 裁判パート オシオキ編

【学級裁判場】

 

 

「パンパカパーン!!!なんとなんとなんとなんと…!!!まさに驚天動地!!!」

 

 

 一体何度目だろう

 

 きっと、数えられるくらいの何度目

 

 でも数えたくもない何度目

 

 その何度目が俺達に思い知らせる

 

「圧巻の四連続の大、正、解ッ!凍てついた瞳で、凍り付いたように冷たい銃弾を古家 新坐ヱ門クンの脳へと差し向けたのは……」

 

 

 二度と聞きたくないと、思い続けきた

 

 裁判の中で、心の奥底で、何度も…何度も…

 

 でも無情な現実は、無情な答えは、目の前に現れた。

 

 

「超高校級のシスター、反町素直サンでしタ~!!」

 

 

 決まってしまったのだ。

 

 わずか数行にも満たない言葉数なのに…

 

 その言葉は寂寥と悲哀、今この瞬間、この空間にそれは満ちていた。

 

 息つく事さえも出来ないほどの、重さが、この空間に満ちていた。

 

 痛みをこらえるように表情を噛みしめるモノ、未だ信じられないと怯えた表情のモノ。

 

 

 そして――――

 

 

「………」

 

 

 何かに祈るように、目を閉じ続けるモノ。

 

 

「反町、貴様…!」

 

 

 雨竜からだった。怒りを筆頭とした、様々な感情を孕んだような第一声がこだました。

 

 

「……」

 

 だけど反町は沈黙を貫いた。顔を伏せ、拳を握りしめ続け、何も言葉を発するような様子は無かった。

 

 

「何故、なんですか…どうしてなんですか?今までコロシアイに真っ向から立ち向かってたアンタが、どうしてこんなことをしたんですか…?」

 

 

 確かで、もっともで、俺達が今知りたくて止まない疑問…雲居は押し殺すような、くぐもった声で反町に問いかけた。

 

 

「…………」

 

「……そ、反町、さぁん」

 

「答えるのだ!!!」

 

 

 沈黙を破らない彼女に、雨竜は声を荒げた。

 

 突然の大声もあって、贄波や、今も涙を静かに流す小早川は驚いたように、体が跳ねらせていた。

 今まで彼女の言動、今までの彼女の行動の数々、それらを顧みての態度だった。

 

 どうしてお前のようなヤツがこんな酷い事件を?

 

 何でこんなむごいことを?

 

 何でこんな冷酷なことを?

 

 

 ――――”信じていたのに”

 

 

 今まで積み重ねてきた信頼…それを裏切り、現れた、重い、決して言葉にしたくない声が俺達の中にあった。

 

 

「…………」

 

「……姉御」

 

「沈黙は言葉とも言う。だけどそれが伝わらなければ、何もないのと変わらない」ジャラン

 

 

 だが彼女は応えるは意思を見せなかった。一段と、雲居達の苛立ちが、いや焦りのようなものが増していくように思えた。俺自身も、すぐにでも、彼女の声を聞きたくてたまらなかった。

 

 すると――――

 

 

「…ミス反町。キミがここまでの凶行に走った理由。ある程度なら、見当はつくさ」

 

「ニコラス、くん」

 

「何故貴様が…?」

 

「…彼女も話したくないようだしね。ボクからこの事件の根底にあるモノを明るみにしても良いんだけど……構わないね?」

 

 

 反町に声を向けるが、何も返ってこない。口を閉ざしたまま、この世界が動くのを待ち続けていた。

 

 

「沈黙は肯定、とどこかの誰かが言っていたから話すとしよう。それにボク自身から話した方が手間が省けることもあるし、都合が良いはずだ。そうだろう?ミスター折木」

 

 

 そう言って、俺へと顔を向けるニコラス。

 

 俺は心の中で…

 

 

『このミスター古家の殺人事件…恐らくキミにとって、とても大きな意味を持つことになるだろう』

 

『それこそキミの才能に関する…重大な根幹がこの事件に内在している』

 

『そしてその真実が明かされた時、ボクはきっと、キミに謝らなくてはいけなくなるだろう』

 

 

 裁判が始まる前の様子のおかしかった彼の言動の数々を思い出していた。

 

 あの言葉は何だったのか、その真意を知りたかった。

 

 

「名探偵として禁忌とも言うべき憶測の域ではあるけど…限りなく答えに近い憶測であることは保障しようじゃないか。シスター反町がどうして、人を殺めようとしたのか…ミスター折木を殺そうとしたのか」

 

 

 反町があれだけの準備をし俺を殺そうとし、だけど古家が殺された不慮の事故。

 

 そんな”不幸”が起きた事件。

 

 俺は知りたかった。

 

 何故反町は俺を殺そうとしたのか?

 

 その根幹もまた、知りたくてたまらなかった。

 

 

「…………」

 

「それは

 

 

 

 

 

 ――――――――彼が、『超高校級の不幸』だから…そうだね?」

 

 

 

 

 

「……不幸?」

 

 

 

『超高校級の特待生である折木クン…実は――――――”超高校級の特待生”では無く、”超高校級の不幸”として希望ヶ峰学園に入学しタ』

 

 

 

 思い出されるのは、今回の動機と謳われた、あのアナウンス。

 

 

 そして同時に――――

 

 

 

『折木様へ

  

 アナタの真の才能は”超高校級の不幸です。

 

               モノパンより』

 

 

 最初に渡された1通の動機の手紙。その一文を思い出していた。

 

 だからこそ"――どうして”、と俺の口からこぼれた。

 

 

「…そうだろうね。キミからしてみれば、そう思っても仕方の無いことだろう」

 

 

 こぼれた声に気付いたのか、ニコラスはそう返す。だけどその言葉には"違和感”があった。俺自身のことなのに俺自身のことじゃないような、蚊帳の外に立たされているような、そんな言葉のように感じた。

 

 

「いや不幸がどうたらって言われても……それが何がどう関係してるって言うんですか」

 

「その通りだ。確かに今まで折木の肩書きに違和感は感じてはいたが…今更"不幸”がどうたらと晒されて、何がどう転べば殺すに至るというのだ」

 

 

 雨竜達も同様だった。今更明かされた、秘密の暴露と謳われたあのアナウンス。

 

 俺自身の事なのに、何も汲み取れなかったあのアナウンス。

 

 それがどうして、反町の殺意の引き金になったのか?これもまた汲み取れなかった。

 

 

「不幸と言われて明察できなくても無理は無いさ……でも超高校級の不幸の、"本来の名前"を耳にすれば、キミ達は理解出来るはずさ」

 

 まるで道化師のように、またのらりくらりと知っていることをお預けに、この場を回していく。いつもだったら、また始まったと流せるはずなのに、今回ばかりは焦りと苛立ちを抱える自分がいるのが分かった。

 

 

「…本来のって、どういう意味?」

 

「1つ、君が何を言おうとしているのは…超高校級の不幸はあくまで、仮の名前…迷い人たる僕らの知らない何かが不幸というモヤの中に渦巻いている…それは決して晴らしてはいけない黒い霧」ジャラン

 

「だからそれを勿体ぶらずに言えと言っているんです!」

 

 

 その苛立ちが伝染したように、雲居達も声を荒げる。

 

 

「ああそうだね。これは、いつかは言わなければいけないことだったはずさ。それは近い未来だったことも、分かっていたさ」

 

「……?」

 

 

 そう呟くニコラス。

 

 …いつも通りでは無い、余裕の中で生きている彼らしくない、何かに怯えたようなそんな独り言のように聞こえた。

 

 

「……」

 

 

 帽子のツバを持ち、ニコラスは俺達と向き合う。…これまでの高揚ぶりとは正反対の、とても真っ直ぐで、それでいて張り詰めたような視線で俺達を射貫く。

 

 普段とは違う様子に気付いた生徒達は、反町を除いた全員がニコラスの言葉を待った。シン…と息を呑むような音さえ聞こえそうな程の沈黙が走った。

 

 そして…

 

 

「ミスター折木の才能である超高校級の不幸……

 

 

 

 

 その本当の名前は――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――――――"天災"

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その単語を聞いた瞬間、この学級裁判場全体が、ゾクッと、脈動するような感覚が走ったように感じた。

 

 俺自身がそうだったわけではなく、客観的に、この世界が冷たくなったと、そう感じた。

 

 

「天、災…?」

 

 

 

 『天災』

 

 

 俺自身は、何処か聞き覚えのあるその単語に、一瞬、何の事だったかと記憶を巡らした。

 

 そしてその一瞬の間に、呼び起こされた。

 

 それは確か、1度目の学級裁判の翌日に開かれた、朝の会議。そこで浮上した…

 

 

 日本に蔓延る『3つの未解決事件』

 

 

 ――――ジェノサイダー翔

 

 

 ――――才能狩り

 

 

 そして…

 

 

 『厄災であり、人災であり、"天災”』

 

 

 そう、"天災"

 

 

 会議の後に、”ニコラス”から教えて貰った、議題に”何故か”上がらなかった最後の未解決事件。

 

 

 俺は思い出した。

 

 

 それでも"――――まだ腑に落ちなかった”

 

 俺が…天災?

 

 超高校級の不幸ではなく?

 

 ニコラスの言葉を論理的に考えても、何度も何度も反復させても…実感も、経験も、心当たりも、何もかもが無かった。

 

 だけど――――"周囲は違った”

 

 見てみると…

 

 

「!……」

 

「な…!」

 

 …未だ沈黙を続ける反町、発端であるニコラス、そして俺以外の、雨竜、小早川、雲居、風切、落合、贄波は顔を青ざめさせ、怯んでいた。今まで以上の、それこそコロシアイを強要されたときと同じほどの震撼だったように見えた。

 

 

「天災、だと……?」

 

 

 雨竜は視線を、俺に向け、そう繰り返した。

 

 気付いたのは、その視線には、今まで向けられていたものとはまるで違っていたこと。

 

 何故なのかは分からなかったが

 

 その視線に含まれているのは、明らかな”怯え”あるように見えた。

 

 他の生徒達も同じだった。恐れるように、まるで得体の知れないモノを見るような視線を投げかけているのが分かった。

 

 

 ……どういうことだ?

 

 ……何を怖がっている?

 

 ……そして何で皆――――

 

 

 ―――"天災を知っているかのような反応をするんだ?”

 

 

 

 

『これはジェノサイダー翔を遙かに上回る都市伝説中の都市伝説なんだ、そういう眉唾な話に詳しい人間から又聞きしたものしかない。つまり信憑性に欠けるものなんだ』

 

 

 

 あの時ニコラスは、まるで知っている人間が限られているような口ぶりだった。

 

 でも周りの生徒達は、全て知っているような、そんな反応をしているようにしか見えなかった。

 

 まるで孤島に突然放り投げられたような、足下が宙に浮いてしまったような感覚に陥った。

 

 疑問の尽きない彼らの反応。疑問の尽きない違和感だらけの現状に呑まれている中で…

 

 

 

「天災とは文字通り、災害そのものなのさ」

 

 

 ニコラスはそう言葉を紡ぎ始めた。

 

 

「以前にもボクはキミに、天災についての話しをしていたよね」

 

 

 

―――『10数年ほど前に旅客機の事故や、大津波、暴力団グループによる抗争なんかがニュースで頻発していたことを覚えているかい?』

 

 

「ああ…覚えてる」

 

 

 今からしてみればなんてことも無いのに、随分前に聞いた些細な話しだった。でも不思議と頭の中には残っていた"天災”の話し。

 

 

「多くの事故が起こって、ソレが全て誰かの干渉によるものかもしれない…だったか?」

 

「ああそうだとも。そしてその話しには、実は詳細があってね。申し訳ないが、あえて伏せさせて貰ったんだ」

 

「しょ、詳細って…!何で…!」

 

 

 何で教えてくれなかったんだ、そう言おうとした。だけどニコラスは俺の言葉を手で制止させた。

 

「その話しは後だ。でも必ず理由は説明する。……だから今だけはボクの話を聞いてくれ」

 

「………」

 

 

 ニコラスの口から、初めて懇願のような言葉を聞いた気がした。俺はその言葉に、納得できずとも、頷くことしか出来なかった。彼らしくない、まるで後悔するような声色が心を締め付けるようだったから。

 

 

「…始まりは13年前。ボクがまだ4歳の時だ。とある町で何の前触れも無しに、”大津波”が押し寄せた。その結果町は壊滅し、そこに住む半分以上の人々が海に呑まれ、亡くなってしまった。しかも原因は不明。――――何も無かった場所から、災害が生まれたようだ…そう言われていたよ。これはミス長門のとき、同じような話しをしていたから記憶には新しいだろうね」

 

 

 町、大津波、大勢の死者。確かに、長門の事件は記憶に新しい。そしてそれが天災が関わっているだなんてことは"初耳"だった。

 そして感じたのは、ニコラスは何故か”13年前”という数字に、いやに強調している様にも聞こえた。

 

 

「それから"4年"が経ち、日本上空を飛行していたとある旅客機にハイジャック犯が侵入した。だけど鹵獲された飛行機は、”偶然にも”隕石が落ちてしまい、墜落。幸い人の居ない山中ではあったけど…乗客の殆どが死亡……まるで不幸に不幸が重なったような事件が再び起こった」

 

 

 これもだった。こんな余りにも大きな事件であったはずなのに――――俺は知らない。そして気付いた。この話しを聞いた、周りの生徒達が、痛みをこらえるように、ニコラスの話しを聞いていることに。

 

 まるで"忘れてはいけないことだ”と、心に刻み込むように。

 

 そして"4年後"と、また数字を強調させていることにも。俺はこの数字に大きな意味を込めていることを、改めて理解した。

 

 

「それからまた"4年”が経ち、巨大な豪華客船が、沈没。原因が不明だったこともあり、船員含め、乗客の非難が遅れ、多大な死亡者をだしてしまった」

 

 

 これもまた同じだった。ニュースや何かで、大々的に放映されていたも可笑しくない情報の数々。そして厄災ともいうべき多くの事故の詳細。

 

 その全てが俺には何も覚えが無かった。俺以外の生徒達は…忘れるわけないと、そんな様子なのに。

 

 ……ニコラスが何を言いたいのか…ようやく分かった気がした。いや、最初から分かっていた。でも、そう確信したくなかっただけだのだ。

 

 

「さらに4年後。つまり……昨年だ。大型スーパーにて"また"原因不明のガス漏れが発生、"不幸"にも引火し巨大な爆発が起こり、炎上。取り残されたおびただしい人々が命を落とす結果となった」

 

 

 ニコラスは言葉を切った。そして俺と向き合った。

 

 ここまで言えば、分かるだろ?

 

 今まで多くの交流をしてきたからこそ察することが出来た、友人としての言葉の無い言葉。

 

 だけど俺には沈黙で返すことしか出来なかった。

 

 

「……全ての人々は恐れたさ、まるで神からの裁きのような天災の数々が”4年”刻みで起こるのだからね、ジンクスを感じてしまったんだ。"知らない人間がいない”程のジンクスをね」

 

 

 俺はまだ何も言えなかった。言葉にできなかった。

 

 自分自身が心を、今何を思っているのか…表わすことが出来なかった。

 

 

「そこで誰が端を発したのか、この災害の数々は、とある"1人"の人間によって引き起こされていると。ああその通り、まるで都市伝説さ。でも人々は信じ、気付けば、根本に在る何かを"天災"と呼ばれるようになった」

 

 

 だけど分かること。

 

 絶対と言って良い、非現実的なこと。

 

 

『一連の現象は1つの事件であり、コレは何者かの手によるモノだと』

 

『だけど1つ、その事件の話しをした者達は口を揃えて、黒幕の名をこう呼んだよ

 

 

 

 ――――――"天災”とね

 

 

 

 

 

 それが俺自身であること。

 

 そしてその事実を

 

 

 

 ――――――忘れてしまっているということを

 

 

 

 

 

 

 超高校級の不幸という真実の肩書きが、俺にその事実を突きつけていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『決して逃れることの出来ない"天災”が、世界に降りかかっているのかも知れないね?」

 

 

『…どんなことがあったのか分からないけど…けど。でも私達がこの施設の中に閉じ込められている間に外の世界では…』

 

 

『何かが起こってしまったってねぇ。それこそ落合君の言う"天災”に近い何かが、ねぇ?』

 

 

『"また”…起こって仕舞ったんでしょうか?…あの…"天災”が』

 

 

『断定という言葉は…安易には使いたくないけど…"あの世の中”だ、可能性がないわけじゃない』ジャラン

 

 

『でも"時期”がねぇ…バッチリ?っていうからねぇ…どうしてもねぇ…勘ぐっちまうんだよねぇ』

 

 

 思い出すのは…3回目の裁判が終わった次の日

 

 炊事場エリアで話していた"あの会話”

 

 あのとき彼らは何を言っていたのか。俺の知らない何かが飛び交っていて、何も分からなかった。

 

 どうして怯えたように目と、言葉を交わし合うのか、何も分からなかった。

 

 でもニコラスの話しを聞いてようやく理解した。

 

 

 ――――彼らは天災を知り、そして天災そのものの話しをしていた

 

 

 でも

 

 

「折木貴様、まさか…」

 

 

 ――――俺自身が知らなかった

 

 

 きっと誰もが知っていて、誰もが言葉にしなくてもわかるような

 

 

 そんな当たり前の事実を

 

 

 知らない人間がいないわけない事実を

 

 

 もし…天災という言葉すら知らない人間がこの世にいるとするなら

 

 

 

 ………

 

 

 

 ようやく…生徒達が俺にあんな視線を送る理由が、分かった気がした。

 

 

 まるで異端者を見るような視線を送る理由が

 

 

 足下が崩れるようだった。

 

 

 ガラガラガラと

 

 

 落ちているようで、だから動けなくて、何も出来なくなるような

 

 

 …ただ呆然と立ち尽くすだけ。

 

 

 世界に1人、取り残されてしまったような…

 

 

 何も無い暗い部屋に、1人きりでいるような…

 

 

 

「ミス反町」

 

 

 

 ポツンと、現実と混乱の間でユラユラと揺れる俺を引き戻すように、ニコラスがまた口を開いた。

 

 

 そして――――

 

 

「キミは”天災”の引き起こした災いの被害者…だね?」

 

「……!」

 

 

 その言葉に青ざめると同時に…俺は見開いた目を、反町へと向けた。冷たい血が指先まで流れる感覚が、ハッキリと感じられた。

 

 

「…………」

 

 

 反町に反応は無かった。

 

 …いや違う。

 

 心なしか、拳を握る力が強くなっているように見えた。

 

 

「……ほ、本当なんですか?姉御」

 

 

 風切が、押し殺したような声を絞り出した。

 

 

「………」

 

「反町…」

 

「………そりま」

 

「――――ああ。そのとおりさね」

 

 

 裁判が終わって数10分。俺が呼びかけようとした瞬間、初めて、反町は沈黙を破った。

 

 だけどその初めてその言葉は、低く、深く、そして苦しさにまみれたような一言だった。僅かに、涙をこらえているような、くぐもった声にも聞こえた気がした。

 

 だけどその一言は、俺を絶望に落とすには、充分な程の重さだった。

 

 

「被害者、だと…?」

 

「で、でも反町さんの身には何も…」

 

「…実害を受けているヤツだけが被害者と限らないさね」

 

 

 "実害を受けているヤツだけじゃない”

 

 その言葉の先に何が紡がれるのか、誰だって想像できた。

 

 

「災いの所為で"大切な誰かを失った”…それだけでも立派な被害者さね」

 

「…失った?」

 

「アタシには……家族が居たんだよ」

 

 

 

 "家族"…一般的な家庭であったら、両親とか、姉弟とか、そう連想できる血の繋がりを差しているのだろう。だけど、反町だけは…

 

 

 

 

「大事な、大事な……大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な大事な…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 "子供達"っていう家族が…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……!」

 

 

 言葉にしたくなかった。

 

 そんな気持ちが詰め込まれたような一言だった。

 

 締め付けられるような、嗚咽のような何もかも吐き出してしまいそうな痛みが体を走る。

 

 

「…ニコラスが話してた、1年前の大型スーパーのガス爆発事件の時…そのスーパーの中にはガキ共が居たんだ」

 

「スーパーの中に…だと?」

 

 

 どうして施設の中に居たんだ。その言葉を発する前に、反町は握りしめられた拳の中から、先の曲がった十字架のペンダントを取りだした。

 

 

「………まさか」

 

 

『このペンダント、実は1回壊した事があってね』

 

『あのガキ共、勝手にこのペンダントをくすねて、修理に出しちまったんさね。生意気にも、自分たちの小遣い出し合ってね』

 

 

 思い出すのは、ジオペンタゴンに連れてこられて初めての日に交わした反町との会話。

 

 

「アイツらはアタシの壊れたペンダントを…勝手に持ち出した、そして勝手にスーパーの中にある修理屋に持ち込んだんだよ」

 

 

 そして思い出す度に、反町の言葉を聞く度に。心と体が、ボロボロと崩れていくような錯覚をする。

 

 もう聞きたくない、もう何も言わないでくれ。

 

 そう悲鳴を上げているように思えた。

 

 

「そして…災いが起こった。燃えさかる炎の中でアイツらは泣き叫んだはずさね。きっと…助けを呼んでいた」

 

 

 でも聞かなければならなかった。

 

 知らなければならなかった。

 

 

「……アイツらの焼死体はまるで山のように積み上がっていたさね。まるで中心にある"何か"を守るように、積み上がっていたいたんさね」

 

 

 やり場の無い怒り、やり場の無い哀しみが込められた反町の言葉を、悲鳴を。

 

 何も知らない、何も記憶の無い。

 

 それが…俺にとっての使命のように思えたから。

 

 

「その”何か”ってのが…これってわけさ」

 

 

 ひしゃげたペンダントのチェーンを掴み、俺に見せつけるように垂らす。

 

 全ての話しを聞き終える。涙ぐむ小早川、沈痛に顔を歪める雨竜、雲居。

 

 落合でさえ、帽子を目深に被り、表情を隠していた。

 

 

「……ははは、本当に、なんてヤツだって話しさ」

 

 

 ――――存在そのものが罪に等しい悪

 

 ――――存在するだけで全てに不幸を振りまく厄災

 

 ――――存在するだけで人々に不和をもたらす人災

 

 

 ソレが天災

 

 

 この世界に居る全ての人々に、災いをもたらす…”張本人”

 

 

 だけど原因たる本人は、その罪に気付いていない

 

 

 今も、今までも、ノウノウと食卓を囲み、罪の無い生徒達の日常を蝕んでいる

 

 

 まさに無自覚の巨悪

 

 

「ここまで人の心を弄ぶなんて、まるで神様みたいじゃないか。……まぁアタシに言わせてみれば、バカ言うんじゃないよって話しだけどね」

 

 

 余りの怒りに、何の脈絡も無い笑みさえこぼれてしまう反町。ペンダントをしまい、何か、ポケットをまさぐり始める。

 

 

「アタシの知ってる神は、アタシの信じている神様は…大切な家族を奪うような…バカじゃ無いんだよ」

 

 

 

 そして――――

 

 

 

「――――――だから」

 

 

 

 

 

「――――――だから!!!!」

 

 

 

 

 瞬間だった。

 

 

 

「アタシは天災を殺すって誓ったんさね!!!神様にね!!!」

 

 

 

 カチャリと鳴り響く金属音。

 

 

 その俺自身に向けられた手元には、懐から取り出されたであろう拳銃が握られていた。

 

 

 ギリギリと、形を変えてしまうのではないかというほど、強く強く握りしめられていた。

 

 黒金色の銃口は俺に向けられていたのだ。

 

 

「そ、反町ぃ!!何のつもりだ!!!」

 

「動くんじゃ無いよ!!」

 

 

 映画のワンシーンのような、そして常套句の如く、そんなセリフを吐いた。

 

 でもこのワンシーンは、見覚えがあった。あのときと同じ。

 

 俺は、あの光景をフラッシュバックさせていた。

 

 俺が殺されかけ、古家が殺された。あの吹雪の中の光景を。

 

 犯人が、俺に銃口を向けた光景を。

 

 そして理解した。

 

 本当に、本当に犯人は反町だったのだと。銃を握りしめるその姿が、あのときの犯人と重なったから。

 

 …”躊躇うよう”に、銃を握りしめるその姿と重なったから。

 

 

「シスター…忘れたのかい?その銃はロシアンワルサー。6発中1発は空砲の欠陥品。今までは運良く空砲を引き当てず弾丸を放てていたけど…」

 

「…それに、弾丸をもう2発撃ってるはず。…だから、その拳銃に残されてる残弾は3発。空砲の可能性は高くなる」

 

 

 風切達の指摘に、はっ!と反町は些事であるかのように鼻を鳴らした。

 

 

「アンタら良い事を教えてやるよ。このロシアンワルサーってのは、一度美術館に返して、もう一度預ければ、銃弾は元の5発に補充されるんさね」

 

「ぬわんだとぉ!!本当かぁ!!!!」

 

「……てへ♪まんまと補充しちゃいましタ」

 

「てへじゃねえですよ!!」

 

 

 …弾数がリセットされる。それはすなわち、俺の命は今6分の5の確率で失われ、6分の1の確率で救われる。俺にとって圧倒的な不利な条件。

 

 今にでも逃げ出さなければならない。

 

 そんな警鐘が全身に走る。

 

 だけど俺には視線の延長線上にいる、反町からの殺意に動けずに居た。

 

 あのとき…エリア4で犯人と対峙したときと同じように。

 

 

「折木…アタシはアンタが憎くて仕方ないさ。憎くて憎くて憎くて、何も知らないように突っ立ってるアンタを殺したくてたまらないんだよ」

 

「………」

 

 

 視線から放たれるのは本気の殺意。今にでも引き金を引いてやるという、覚悟があった。

 

 

「アタシにとって、天災は怨敵なんさね。自分の人生を賭けてでも復讐しなくちゃならない程のね」

 

 

 だけど引き金を引かないのは、躊躇うのは…彼女の良心か、それとも俺との思い出があるからなのか。

 

 

「たとえアンタ自身が自覚がなくても…アンタは…アンタが……アタシの家族を……」

 

 

 ……俺は、動くことが出来なかった。

 

 

 

 いや…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――動こうと…しなかった

 

 

 

 

 

「………」コツコツ

 

 

 そのとき――"誰か”の足音が聞こえた。

 

 

「…?」

 

 

 

 コツコツコツと、地面をならす小さな足音は近づいていき、やがて、俺の目の前で途切れた。

 

 

 

 気付くと…。

 

 

 

 目の前に――――"贄波”が立っていた。

 

 

 

 両手を広げ、俺を背にして、守るように。

 

 立ち上がっていた。

 

 

 

「贄、波……」

 

「どういうつもりだい、贄波」

 

「どういう、つもり、も…ない」

 

 

 殺意を纏った低い声で反町は贄波に問いかけた。だけど贄波は明確な答えを示さず、そのまま返した。

 

 

「悪い事は言わないさね……どきな、贄波」

 

「どか、ない」

 

 

 贄波の意思には、言葉には、姿には、強靱さがあった。目の前にある人殺しの道具に臆さず、逃げないと誓ったように、彼女は銃口と対峙していた。

 

 

「このまま引き金を引けば、アンタ、死ぬことになるんだよ?」

 

「………」

 

 

 本当に撃つ、その意思が乗せられた言葉を聞いても、贄波は決して退かなかった。

 

 

「もう一度言うよ…退きな、贄波」

 

「…………」

 

 

 反町の所為なのか、贄波の所為なのか、誰一人として、この裁判場で動く人間はいなかった。

 

 

「反町、さん…あなたは、間違ってる…」

 

 

 そんな中で贄波は、余りにも素直で、真っ直ぐな言葉を口にした。人を傷つけてしまうのではないか、そう思ってしまうほど真っ直ぐすぎる"間違っている”と、それだけを残した。

 

 

「……間違ってないさね」

 

「違う」

 

 

 間違ってないと、ハッキリ答えても、贄波は否定する。光りの反射のように、鋭く。

 

 

「間違って、ないんだよ…!」

 

「ううん…間違ってる。それに、わかってる。この行いで、誰も救われないことも……あなたは気付いてる」

 

「分かったような口をきくんじゃないよ!!!!!」

 

 

 反町の怒号にも似た叫びが、響き渡った。

 

 

「………」

 

 

 贄波は何も言わなかった。だけどその表情で、まだ”間違っている”と、反町の言葉を否定しているのは分かった。

 

 

「……間違ってない…ああ、何も、間違ってないんさね」

 

 

 反町は息を震わせながら、俯き、そう呟いた。

 

 

 

「間違ってない」

 

 

 否定の言葉を。

 

 

「間違ってない、間違ってない」

 

 

 贄波の言葉を否定する言葉を。

 

 

「間違ってない、間違ってない、間違ってない、間違ってない…」

 

 

 

 何度も何度も何度も何度も何度も…呪詛のように呟き続けた。自分に、刻み込むように。

 

 

 

「……間違ってなんかない」

 

 

 ~~~~

 

 

――――古家を殺してしまったことも

 

 

 ~~~~

 

 

「間違ってること何てありゃしない」

 

 

 ~~~~

 

 

――――今、また人を殺そうとしていることも

 

 

 ~~~~

 

 

 

「ああ、間違ってるハズなんてないんだよ」

 

 

 ~~~~

 

 

――――これから先に待っていたかもしれない、幸せな未来も、アイツらの笑顔も…奪われたんだ

 

 

 ~~~~

 

 

 

 見開かれた瞳で、何か"大事なモノ”が掛けてしまったような瞳で…俺達を射貫く。

 

 

 

「ああそうさ……きっと

 

 

 

 

 

 

――――――――ガキ共もコレを望んでいるはずなんだからね」

 

 

 

 

 反町はゆっくりと、その引き金を引いた。

 

 

 "躊躇いなく”、ゆっくりと。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――――カチッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――そんな乾いた音が、裁判場に響いた

 

 

 

 

 引き金は間違い無く引かれた。

 

 

 だけど銃弾は放たれなかった。

 

 

 

 空砲…6分の1を…引き当てた。いや、引き当ててしまった。

 

 6分の1の生死を…乗り越えた。

 

 乗り越えてしまったのだ。

 

 

「ぐぬ…うおおおおおおおお!!!!」

 

 

 その空砲を聞いたからか、雨竜は反町に接近し、その手から拳銃をはたき落とした。

 

 確実に放たれる次の弾を撃たせないために。

 

 カラカラカラと、拳銃は勢いのまま滑るように裁判場の隅へと流れていった。

 

 

「馬鹿者ぉ…!馬鹿者!!」

 

 

 はたいた手を、怪我をしていた利き手を震わせながら、雨竜は声を荒げた。間違いを再び起こそうとした友人のために、涙ぐんだ声で、声を響かせた。

 

 

 周りが騒然とする中…

 

 

 ――――目の前に居る贄波は、微動だにしていなかった。

 

 ――――まるで分かっていたかのように

 

 ――――撃たれる事なんてありはしないと、分かっていたように

 

 

「……え?何で?」

 

 

 空砲が放たれてから、初めて漏れた反町の声はそんな疑問に満ちたような声だった。

 

 

「…どうして?どうして?」

 

 

 贄波とは対照的に、反町は今何が起こったというのか、まるで分かっていないかのように、そう続けた。

 

 

「……何で?」

 

「シスター。真実は目の前にあるはずだ。キミは、6分の5の確率に負けたんだよ」

 

「……え?…え??……え???」

 

 

 もう二度と使わせないように拳銃を拾い上げたニコラスは改めて、ロシアンワルサーが不発に終わった事実を伝える。だけど、やはり分かっていないように、疑問を巡らせる反町。

 

 

「何で?何で?」

 

「…君が誓ったという神様はこう言ってるんじゃないかな?…もう人殺しをするなと、これ以上その手を罪に濡らしてはいけないと、言葉だけでは無く、現実として、止めようしたんじゃないかな?」ジャラン

 

「……姉御」

 

 

 撃つ瞬間、約束を誓ったという神様を引き合いに、落合、そして風切も反町に言葉をかける。優しく、決して傷つけないように。

 

 

「神様だけじゃないですよ。子供達も、アンタが罪人になることなんて望んじゃいないはずです」

 

「そ、反町さん!!もう、もう止めましょう!!もう…これ以上……うう」

 

 

 加勢するように、雲居も、小早川も反町を説得する。もう止めて欲しい、と、仲間として、友達として、親友としての叫びを沈むように頭を抱える反町へ向ける。

 

 だけど――――

 

 

「何で?何で?何で?何で?」

 

  

 反町は、さっきから、変わらない言葉を並べ続けるままだった。

 

 

「……反町?おい貴様、大丈夫か?」

 

 

 様子の変わらない、いやおかしい反町に雨竜はそう問いかけた。

 

 

「何で?何で?何で?何で?何で?何で?何で???」

 

「そ、反町…さん?あの…」

 

 

 同じように小早川は反町に近づき、俯く反町の肩に手を置こうとした。

 

 

「何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で何で……」

 

「ひっ…」

 

 

 それがスイッチだったかのように、間違っていない、呪詛のように並べ続けたあのときと同じように、何度も同じ言葉を呟き始める。

 

 

「ど、どうしたというのだ!!おい!反町!!」

 

「は、ははは、はははははははは……はははははははははははは」

 

「…こ、今度は……笑ってる」

 

「笑顔は心に癒やしをもたらし、やがて安寧へとつながっていく。…うん、どうやら何もかもから開放され、笑える余裕が出てきたみたいだね」

 

「これが安寧をもたらすにも限度があるですよ!?平和ボケってレベルじゃない開放具合じゃないですか!」

 

 

 呟くのを止めた途端、反町は笑いながら喉を鳴らす。だけどそれは雲居のいうように、通常では考えられない限度を超える感情の浮き沈みだった。

 

 

「……はははは…アイツらも、望んで?無かった?」

 

 

 笑いながら、雲居達の言っていた言葉を繰り返す。

 

 乾いた笑いを溢し、肩を揺らす。

 

 

「はは、はははははははは、じゃあ。じゃあ、じゃあ…終わった?終わった?……何もかも、何もかも?」

 

「反町、さん…!!」

 

 

 明らかに正常では無かった。いつもの反町とは似ても似つかないような、それこそ追い詰められた時の長門と同じかそれ以上の乱れぶりだった。その変容に、恐怖がこみ上げる。

 

 

「大事な家族を、友達を守るために、こんなことまでしでかしたのに……結局、何もできずに、古家の命だけ奪うだけ…」

 

 

 ボソボソと、自分に言い聞かせように、刻み込むように、今までの自分がしでかした事を繰り返した。

 

 

「は、ははは……ははははははははははははははははははははは……」

 

「……シスター反町、もうこれ以上自分を責め続けるのはよすんだ」

 

「そうだ!!落ち着くのだ!!」

 

「反町さん!!!」

 

 

 

 生徒達が、いつも通りの彼女に戻って欲しい、その一心で声を掛けつづけた。

 

 

 

 

 

 

 瞬間――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「はははははははははははははははははははははははははははああははははははははあはははははははははははははははははははははははははははああははははははははあ!!!!!!!!」

 

 

 

 ――――――爆発した

 

 

 狂気的に、猟奇的に、血走った瞳を開け放ち、何もかもを吹き飛ばすような笑い声を反町は部屋中へ響き渡らせた。

 

 

「神様ぁ!!!アタシは、アタシはようやく理解出来たよ!!!罪の重さが!!!!命を重さが!!!!!」

 

 

 その酷すぎる変わりように、俺達は開いた口を塞ぐことができなかった。

 

 

「これが!!!!これが!!!!人を殺した事の罪の重さってやつなんだね!!!!!!!!」

 

 

 一体何を言っているのか、何を思ってそんな事を口にしているのか。

 

 その姿を見て、驚きとか、恐怖とか、哀しみとか、そんな一般的に表現できるような感情は、俺達の中に無かった。

 

 表現できるほど、俺達の中に、余裕なんて無かった。

 

 

「ようやく……ようやくようやくようやくようやくようやくようやく」

 

 

 唯一、その俺達の状態を、的確に表現するなら。

 

 

「アタシは死の意味を理解出来た!!!!心で感じとれた!!!!」

 

 

 ――――諦観

 

 "もう、彼女はダメになってしまった”

 

 そんな、怠惰にも思える言葉が、全てだった。

 

 

「ありがとう!!!ありがとう!!!!!!」

 

 

 今まで接してきたハズの反町の姿も、声も、。狂気の中に、飲み込まれてしまった。

 

 何処かへと消え去ったってしまったのだから。

 

 

「っは、あは、っはあはははは、ははははははははははははははははははっはあははっはははあはははははははははははは」

 

 

 きっと俺達は、彼女を、そして反町自身が取り返しのつかないほどまで追い込んでしまったのだ。

 

 全てが、裏目に出てしまったのだ。

 

 

「ああ~、これじゃあもうお話にもなりませんネ。ていうか、お話できない感ジ?ていうか」

 

 

 1人の仲間の意識が消えてしまったことに愕然とする中で、今まで黙り続けていたモノパンはそう口を開いた。

 

 

「これ以上延長しちゃうと、彼女の意味も中身も無い変な啓示と、バカみたいな笑い声だけが続きそうなので……終わりにしちゃいましょうカ?」

 

「――――!!!え…ちょっ、ちょっと待って下さい!!」

 

 

 モノパンのその一言から分かること。そんなのこれまで裁判を経験してきた俺達には容易に想像できた。

 

 

「こんなのあんまりです!!!こんな結末なんて…イヤです!!」

 

「イヤも、たい焼きもありませ~~ん。ワタクシ自身がタイムリミットなので~ス。つうかまた殺人起こせそうなほどまで猶予をあげたんですかラ、これ以上は冗長すぎるって感じでス」

 

「だって!!反町さん!!!」

 

「ははははははは!!!!!神様!!!!神様!!!!!!!!」

 

 

 小早川の必死の抵抗も、反町には何も聞こえてなかった。ただ狂気を孕んだ言葉を、何度も何度も繰り返すだけ。

 

 

「ぷははははははははハ!!これが絶望ってやつですネ、実に心地よいですネ!!ええそうですとモ!!」

 

「そ、反町、さん……」

 

 

 小早川はへたり込む、なすすべなどない、そう改めて理解したように。呆然と、救いを叫び続ける反町を見つめながら。

 

 

 そして――――

 

 

「超高校級のシスター(堕)である反町サンのために、スペシャルなオシオキをご用意しましタ!!」

 

 

 無情に言い放たれる処刑の宣告。運命の結末。

 

 

「あはははははははははははは!!!!!!神様!!!!神様!!!!!!」

 

「では、張り切っていきましょウ!!おしおきターイム!!!」

 

 

 反町の姿をした、壊れた誰かには、何一つとして聞こえない。

 

 

 もう二度と――――永遠に。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

    GAME  OVER

 

 

 

 ソリマチさんがクロにきまりました。

   おしおきをかいしします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――ポツンと、1人の女性は立っていた。

 

 

 修道服を身に纏い、何が可笑しいのか微笑みを浮かべる女性、"反町素直"が1人、ライトの中心に立っていた。

 

 

 くっきりと、切り抜いたようにライトが当てられた彼女の周辺は…何があるのか分からない程の、暗闇だった。

 

 

 壊れてしまったように微笑みを崩さない反町は、何も見えない周囲を警戒した。

 

 

 狂気で埋め尽くされていたハズなのに、何故かその動きには無駄が無かった。

 

 

 理由は簡単だった。本能的に、彼女はここが処刑台であると明確に察知していたから。

 

 

 いつ何時、何が飛びかかってくるのか、分からないと本能が囁いたから。

 

 

 ――――死にたくない

 

 

 僅かにでも、そう思ったから

 

 

 人殺しという大罪を背負っていながら。

 

 

 愚かにも、反町は生きることを諦めていなかったのだ。

 

 

 

 

 

 超高校級のシスター 反町素直のオシオキ 

 

  『主よ、愚かな私に永遠の休息を』

 

 

 

 

 

 反町を中心としたライトは、爆発するように大きく広がり始め、世界を照らした。

 

 

 目の前に並ぶのは木製の長椅子。まるで整列した子供のようにいくつも奥まで並べられていた。しかし彼女の立つ場所から視線の先にある扉までには何も無く、レッドカーペットだけが敷かれていた。

 

 後ろには巨大な十字架と、神様をモチーフにしたステンドグラス。光りに照らされ、神々しさを演出する。

 

 

 まさに教会だった。

 

 それも反町の守り続けた故郷とも言うべき場所に他ならなかった。

 

 

 周りをよく見てみると、あるのは場所だけでは無かった。

 

 

 子供のコスプレをした沢山のモノパン達。

 

 似ても似つかない、子供のフリをしたモノパン達

 

 

 彼らは十字架の足下で、身を震わせながら祈りを捧げるように怯えていた。

 

 

 ――――バン!!!

 

 

 すると視線の先に佇む扉が勢いよく開け放たれた。

 

 

 現れたのは、肩パッドに改造学ラン、世紀末的な野党共の恰好をした大量のモノパン。釘バットにメリケンサック、時代錯誤な武器を携え、罰当たりにも教会に殴り込みをかけてきたのだ。

 

 

 反町は迷わなかった。

 

 

 彼女は子供のフリをした、ニセモノだらけのモノパン達の前に立ったのだ。

 

 

 ――――子供達なんてもうこの世に居ないのに

 

 

 だけど狂気に犯された彼女の中に、ニセモノという四文字は無かった。

 

 

 見えるのは守るべき子供達の姿のみ。見えるのは倒すべき悪漢達の姿のみ。

 

 

 反町は、応戦しようと駆けだした。

 

 目には目を歯には歯を、殴り込みには殴り込みを。

 

 子供達を守るために、悪漢達に拳を振るい続けた。

 

 頭から血を流しながら、体の至る所に青あざをつけながら、子供達を守ろうとし続けた。

 

 

 そして――――何と彼女は全ての敵を倒し尽したのだ

 

 

 右肩を抱えながら、息をしながら体を揺らす。

 

 

 体への無数の傷が、その戦いの熾烈さを物語っていた。

 

 

 その姿はヒーローだった

 

 

 誰よりも勇敢で、誰よりも勇猛で、誰よりも勇壮なまさにヒーローの姿がここにあった。

 

 

 

――――――ザク

 

 

 体と視界が、揺れた。

 

 

「…え?」

 

 

 鋭い痛みが、体の中心に走った。

 

 突然、何が起きたのか、分からなかった。

 

 だけど目の前にある事実を見て…理解した。

 

 

 …剣が、体を貫いていたのだ。

 

 

 口から血を垂らし、震えた瞳を、後ろに向けた。

 

 

 子供の服装をした、一匹のモノパンが、微笑みを浮かべ剣を反町に突き立ていたのだ

 

 その後ろには、何匹ものモノパンが1本1本、銀色の剣を構えていた

 

 そして…

 

 

 ――――――ザク、ザク、ザク!!

 

 

 続くように、剣は反町の体を貫いていった。

 

 

 無数の鋭い痛みが体中を走る。

 

 

 そしてモノパン達は、まるで首を取ったかのように反町を掲げた。

 

 

 痛い、痛い

 

 

 血がだらだらと床にしたたり落ちていく。

 

 

 普通なら即死のはずだ。

 

 

 だけど不幸にも剣先は全て急所を避けていた。

 

 

 無数の痛みを抱えながら彼女は僅かに生きていた。

 

 

 モノパン達は揚々と神輿のように上下させ、反町の体を弄ぶ。

 

 

 血はまた少しずつ落ちていく。

 

 

 痛い、痛い、痛い

 

 

 意識はまだあった。

 

 

 何度も痛いと思い続けた

 

 

 ――――するとモノパン達は 祭りが終わったように動きを止めた

 

 

 すると突然……発火した

 

 

 火は剣を伝っていき、反町へと燃え移る

 

 

「あが…が…」

 

 

 燃える、燃える、燃える…

 

 

 虚ろに天に見え上げる彼女は、その日に呑まれていく。

 

 

 燃える、燃える、燃える、燃える…

 

 

 剣の痛みなんて忘れてしまうくらいの激痛が体中を包んでいく

 

 

 何も見えなくなる程の、業火に包まれていく

 

 

 

 同じように燃えて亡くなった、愛すべき子供達のように

 

 

 炎の中で、反町は…

 

 

 巨大な十字架に祈りを馳せながら

 

 

 燃え尽きていった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その空間に言葉はなかった。

 

 部屋の隅にすらないほどの静謐が流れ続けていた。

 

「………」

 

 

 それは決して心地よい静けさでは無く。まるで心が死んでいくようなほど、衰弱した静けさが、この世界を支配していた。

 

 

「反、町、さぁん……」

 

 

 へたり込みながら、涙ぐんだ声をこぼし、天井を見上げる小早川。寸前まで反町の正気を信じ続け、空しい引き留めを叫びながらも、猶予すら無く、人格を失った反町は、炎の中に呑まれていった。

 

 自責に呑まれ、罪に呑まれ、狂気に呑まれていったのだ。

 

 そんな彼女の最期の姿を見て…俺は――――

 

 

「はぁ…いやはや、本当に残念なことでス」

 

 

 ハッ、っと一瞬の夢から目を覚ますように、全ての元凶であるモノパンは、ため息をつきながらそう感想を漏らした。

 

 心底つまらない…そう言いたげに。

 

 

「まさかこんな…ありきたりで、稚拙で、何の面白みも無い、発狂エンドで終演してしまうだなんテ。もっともっとドロドロな結末を期待していただけに、失望の一言でございますネ」

 

「ひ、酷い…何で、そんな酷いことを言うんですかぁ…」

 

「何が面白みがないですか…反町の生涯をこき下ろす権利なんて、あんたには1つたりとも無いんですよ!!」

 

 

 死人となった反町への罵倒に雲居が怒りをの声を上げる。

 

 

「くぷぷぷぷぷぷぷ、批評に権利なんていらないのですヨ。映画を見た人間が感想を言うように、ワタクシはいち意見を述べたまででス。つまらないものは、つまらない…とネ」

 

「貴様ぁ…!!!その汚い口を閉じろぉ!!」

 

 

 まるで反町の人生を作品のように扱うその言葉に、怒髪天を衝く雨竜。俺自身も、余りの言いように声を張り上げそうになる。

 

 

「………モノパン。キミはシスター反町に何を吹き込んだんだい?」

 

 

 声を上げようとする寸前。ニコラスは、酷く落ち着き払った声でモノパンに問いを投げた。

 

 

「……何を?…どういうこと?」

 

「反町さんが殺意に駆られた理由。その一端にモノパンが大きく関わり、この事件の結末へとレールを押し進めていった。ニコラス君の中に、何か、核心めいたものがあるんだろうね」

 

 

 落合の言葉に、俺達はキッと、疑いの視線をモノパンへと向ける。だけどモノパンはくぷぷぷ、と笑みを溢すばかり。

 

 

「くぷぷぷぷ、ワタクシは何もしちゃいませんよ。ただ動機を提示して、そこに"補足情報”を加えてあげただけですヨ」

 

「補足、情、報?」

 

 

 如何にもな言い回しに、贄波は反復させる。聞き逃してはいけない、そう直感させた。

 

 

「覚えておりますカ?ワタクシが一番最初の動機…真実を綴ったあの手紙をミナサマにお送りさせていただいたことヲ…」

 

「……あの手紙が、また関係しているというのかい?」

 

「ええ、ええ!そうですとモ!!!どうせ反町さんは死んでしまった訳ですかラ、手紙の内容でも公開でもしちゃいますカ」

 

 

 そう言って、モノパンはマントの内側から、1通の手紙を取り出した。宛名には、"反町様へ”…そう書き記されていた。モノパンは手紙の封を取り、便箋を広げ、俺達に見せつけた。

 

 

『反町様へ

 

 

  ミナサマの中に、"天災"が紛れ込んでおります

 

  

                   モノパンより

 

 

「……!!」

 

 

 確かに、その手紙はそう綴れていた。

 

 "天災"と

 

 俺が思い出すことすらできなかった二文字が

 

 知らなかった二文字が

 

 こんなにも始まりに近い時に配られていたのだ

 

 

「その手紙を受け取ってすぐ、彼女はワタクシに問い詰めてきましタ」

 

 

~~~~~~

 

 

『…それで?態々こんな所に呼び出して、何か御用ですカ?』

 

『……あの話し…手紙に書かれた事は本当なんだろうね…!』

 

 

 とても平常では無い、実に取り乱した様子の彼女はワタクシを呼び出しそう言ってきましタ。

 

 

「はぁ…態々呼び出して何かと思えば、そんなことでしたカ。何だか拍子抜けですネ」

 

「……御託はよすさね!!アタシにとって、これは…これは……!!」

 

 

 そう言って、勝手にシリアスになって、まるで昔の約束を噛みしめるように、言葉を並べていましタ。

 

 

「………ああ、そうですよネ。アナタにとっては、とても重要な事でしたよネ。…申し訳ない、此方の無配慮でしタ。ええ、この通りでス」

 

「……」

 

 

 ですがワタクシとしては実に当たり前で、今一度確かめる事すら億劫なことだったんですけど…社交辞令として、一応謝るポーズだけは取らせていただきましタ。ここら辺、ワタクシって紳士ですよネ。

 

 

「勿論、全て事実ですヨ?"あの時”話したことも、今まで話したことも…全て。ワタクシは世界一の正直者なのですからネ」

 

 

 そして、肯定させていただきましタ。たったそれだけのことなのに彼女は絶望したように、表情を変えませんでしタ。そのときだけは、ちょっと面白い、そう思えましたネ。

 

 

「くぷぷぷ…まぁそう何度も聞いてしまうのも仕方ありませんよネ?……何せ、"これは"アナタにとっての重要事項…いや、決して見逃してはいけない――――"忘れてはいけない記憶"なんですからネ」

 

 

~~~~~

 

 

「そう、ワタクシは彼女の確認に、okと判子を押しただけ…さて、これが何かを吹き込んだことに当たりますカ?」

 

「……それだけじゃないんだろう?そこにキミは、例の"補足情報”とやら加えたんだろう?」

 

 

 まるで見てきたかのように、ニコラスはモノパンを問い詰める。

 

 

「……くぷぷぷぷ、察しが宜しいようデ。ええそうですとも、実はここからが重要だったりするのでス」

 

 

 まるでサプライズプレゼントを渡す瞬間のように、頬を歪ませるモノパン。正解と、言葉も無く肯定しているのと同義だった。

 

 

「くぷぷぷ、彼女が折木クンを私怨だけで、殺せる人間だとお思いですカ?彼女の義理人情の塊のキャラクターから考えてありえないじゃないですカ」

 

「何、を、反町さん、に……」

 

「答えて下さい!!!」

 

 

 その様子に、今までは考えられない怒りと哀しみを込め、小早川は叫んだ。

 

 

「…あのとき、反町さんがワタクシを問い詰めてきた時、彼女は天災についてこう聞いてきました」

 

 

 

~~~~~~~

 

 

 

『――――じゃあ天災を殺したってかまわないのかい?』

 

 

 

 超高校級のシスターとは思えないその言葉に、ワタクシは珍しく驚いてしまったのでス。

 

 

『……そうですネ…ええ…まぁ。それについては、ふむ、どうなんでしょうね…?肯定も否定もする気はありませんガ』

 

『煮え切らないね』

 

 

 ええ、確かに煮え切りませんでした。だって内心驚愕に満ちていたんですからネ。もちろん天災が子供達を災いに巻き込んだ件は知っていましたが、まさか殺すなんて言葉が即座に出てくるほどの恨みを抱いてるとは、そこはシスターらしく、割り切っているのものだと思っていたのですかラ。少々舐めていたといえますかネ。

 

 

『……ですが。それが可能であったとしテ。アナタにそれを実行に移す勇気があるのですカ?』

 

『……』

 

 

 殺すということは、この世界のミナサマを敵に回すという事。そんなことが心根の優しい彼女にできるのかと、そう思いましタ。案の上、迷われているのが明白でした。

 

 

『…くぷぷ、やはり口ではそう言っても、迷われているようですネ。無理もありませン。だってそんな酷いことは…この世界で、決して、決して、やってはいけない事なのですかラ』

 

『………』

 

 

 でも、そこはこの世界の施設長らしく、決して法を犯してはいけないと、しっかりと言い聞かせてあげたのでス。いや、実に紳士なワタクシですよネ。

 

 

『ですが…そこまで迷われているのであれバ……思いきって…やってみれば如何ですカ?ええ、勿論。まぁ、やれる物なら、やってみろ…と前置きは言わせていただきますけどネ』

 

「……!?」

 

 

 そしてコロシアイの主催者らしく、少しばかり煽ってもみました。これもら、実に紳士らしいワタクシでス。その言葉を聞いて、何を思ったのか、彼女はこう聞いてきましタ。

 

 

『…もしも、もしもアタシが天災を殺すことが出来たら…何が起こるって言うんだい』

 

「えっ?もしも…ですカ?」

 

 

 そんなifの話しを聞いてきたのでス。彼女からしてみれば、ワタクシにとって天災は何か重要なものなように直感しての、一言だと思いまス。

 

 

「そうですネ。もしもアナタにそれが出来たのであれバ……このゲームは…いや、コロシアイは――――――」

 

 

 

 …ええ、その直感はとても感度がよろしい。大当たりと言うべきでしょうカ。

 

 

 

「――――――きっと、終わりを迎えてしまうのでしょうネ」

 

 

 

 大当たりのご褒美に、そう教えて差し上げたのでス。

 

 

~~~~~~~

 

 

 

「遠回しに、ワタクシは教えて差し上げたのですヨ。このコロシアイゲームを終わらせる、"裏技"というやつヲ」

 

「終わりを…迎える……だと?」

 

 

 ……は?

 

 

 モノパンの、決して聞き逃してはいけないその言葉を聞いて、反射的に声が漏れてしまった。

 

 それはつまり――――

 

 

 

 

 

「もしも"天災”である、折木公平クンを殺すことが出来たなら――――このコロシアイというゲームを終わらせても良い…そうワタクシは反町サンにお伝えしたのでス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲームが…終わる?」

 

 

 

 

 意味が分からなかった。天災と言われ続けている俺を殺すことで、何故そんな結末を迎えられるのか。

 

 何故?

 

 何故??

 

 何故???

 

 モノパンは何を考えているんだ?

 

 モノパンは天災と何の関係があるんだ?

 

 ――――俺は、モノパンと何の関係があるというんだ?

 

 

「そう、反町サンはヒーローになろうとしたんでス。自分自身を犠牲にして…小を捨て、多を救う、正義の味方になろうとしたんでス」

 

「……ヒーロー?」

 

 

 モノパンは唐突に、反町の事をそう揶揄した。まるで馬鹿にしたように、死んだ反町を皮肉るような表現だった。

 

 

「自分の復讐の相手を殺すことで、ミナサマを裏切るのでは無く、救うことが出来る方法を躊躇いなく取ったのでス。しかも、その事実すらも、自分の口に出すことすらせずに……実に健気ですネ」

 

 

 "ふざけるな”

 

 今までだったら、雲居や、雨竜、そして贄波がそう言い返していたのだろう。

 

 だけどモノパンの言う裏技――――"俺を殺すことがコロシアイを止める近道”という事実が大きすぎて、全員が動揺を隠せずにいた。

 

 

「ですがそのヒーローのおかげで、こうやって、このコロシアイ宿泊研修の核をたる事実を知ることができたのでス。…いや一部…?いやもうメインディッシュのような、劇場版のラスボス第1形態のようなモノが!!」

 

 

 モノパンはそう言って、俺に目を向けた。俺は死んだような心で、その視線と相対した。

 

「まぁ、その本人には記憶なんてないのですけどネ」

 

「……っ!」

 

 

 俺は何も言えなかった。

 

 

『折木…アタシはアンタが憎くて仕方ないさ。憎くて憎くて憎くて、何も知らないように突っ立ってるアンタを殺したくてたまらないんだよ』

 

『アタシにとって、天災は怨敵なんさね。自分の人生を賭けてでも復讐しなくちゃならない程のね』

 

『たとえアンタ自身が自覚がなくても…アンタは…アンタが……アタシの家族を……』

 

 

 記憶の無い、そんな俺に恨みを向ける反町が、頭をよぎった。

 

 もう止めてくれ、もうこれ以上何も言わないでくれ

 

 そう心が悲鳴を上げているようだった。

 

 

「……ミナサマも薄々勘づいておられると思いますが…第2の事件、その犯人足る長門凛音サンの身の上話覚えて折られますよネ?彼女は幼少期に大津波の被害にあっておりまス」

 

 

 

『私はね~その災害の、被害者だったんだ~』

 

 

 決して忘れる事の無い、長門のあの言葉。彼女もまた天災で家族を失った。彼女の過去の言葉が、俺自身を傷つけていく。

 

 

「…彼女の故郷が波に呑まれたのは、天災がその町に住んでいたからなのでス。そうつまり!折木クンという天災と長門サンは同郷だったということになるでス。……勿論折木クン本人にその記憶は無いのでしょうけどネ」

 

「どう、して…記憶に無いって、言える、の?」

 

「くぷぷぷぷ、人は許容量を超えると、自衛手段として本能的にその記憶を封印しまス。それこそ悪夢のような、地獄のような人々が無情にも海に呑まれていく光景なんて、子供のアナタからしたらトラウマモノですからネ」

 

 

 この学園に入学するずっと前から。、多少の不幸があることはあった。野良犬に良く吠えられたり、テストのヤマを張っても当たった試しが無かったり、電話をしようとすると何故か電波障害が発生したり。

 

 些細な不幸ばかりだと思っていた。

 

 そんな中で

 

 

――――昔はもっと酷かった

 

 

その両親の言葉がよぎっていた。

 

 

「くぷぷぷ、言うまでも無く、一部記憶が無い時はありませんカ?」

 

 

 否定できなかった。そんな昔のことなんて、記憶にも残っていないのだから。

 

 

「なら何故なのだ。折木が死ぬことと、貴様がコロシアイを終わらせる事に、何の繋がりがあるというのだ!!」

 

 

 雨竜は食ってかかる。その天災と、モノパンとの関係性に。

 

 

「おっと、そこは一部のネタバレライン外ですのでネ。それは各自持ち帰るという形で、宿泊研修らしく言うなら、ここでの生活を重ねることで導かなければいけない課題と思っていただいて結構でス」

 

 

 だけど答えない。肝心な事を、俺が知りたくてたまらない真実を、また隠す。

 

 モノパンは"ふぅ”と、1つ呼吸をおいた。

 

 

「…話せるだけお話ししましたのデ、ワタクシはここでお暇とさせていただきましょうかネ」

 

 

 モノパンは全てを話しきったと、そう言うようにこの場から去ろうとしたのだ。

 

 与えるだけ与えて、ほったらかしにして、掴みきれない俺達が迷う姿をまた愉しもうとするために。

 

 

 すると――――

 

 

「待って」

 

 

 贄波が待ったを掛けた。強く、深く。

 

 

「あなた、は…何者なの?どうして、全部知っているの?…どこまで、知っているの?」

 

「…………」

 

「…ワタクシは何なのかっテ?…くぷぷ、そうですネ」

 

 

 

「――――ワタクシはただのAi」

 

 

 

「――――天災と一心同体の傀儡」

 

 

「――――天災が居なくなるとき…共に命を散らす…運命共同体」

 

 

「言うなれば、ワタクシはそんな存在なんですヨ」

 

 

 長い沈黙だった

 

 それぐらいに、モノパンは覚悟を持ったように、言い切っていたから

 

 ……数秒か、数十秒か、もっと長い時間のような沈黙がながれ続けた。

 

 

「……おっと、少々しつこかったので、つい熱くなってしまいましたネ。ですが今の問答に、しっかりとした答えなんてできないことは既にわかりきっているハズでス。そして解決するための、ヒントは既にお渡ししているハズですヨ?」

 

 

 何がヒントなのか、何が問題なのかすらまとめられていないというのに。全てが追いつかないまま、モノパンはそう締めくくる。

 

 

「くぷぷぷぷ、ではまた真実を語り合うときがきたら、お会いしましょウ」

 

 

 無数の謎の呑まれた俺達を残し、モノパンは消えてさってしまった。

 

 どこかへと、俺達のコロシアイを、再び起こすために。

 

 

[newpage]

 

 

 1人と1匹がいたハズの空間に取り残された生徒達。1人1人の声が、くっきりと聞こえ、目立ってしまうほどの張り詰めた静けさが流れる中。

 

 

「…モノパンのヤツも姿を消した。ならば裁判もコレにてお開きということなのだろうな」

 

 

 雨竜が、改めてこの裁判の、事件の終結を言葉にした。疲れ切った、精神的にも参ったような声だった。

 

 

「だが……疑念は多いに残っている。ワタシ達が今この場で追求すべき疑念がな」

 

 

 その通りだった。いくつもの真実が残され、今にも逃げ出したいと思っている俺が居る中、今こそがその追究をするべき時間なのだ。

 

 

「…勿論折木については議論の余地しか無い」

 

 

 俺自身にその疑念の声は向けられる。

 

 俺は覚悟した。糾弾され、追求され、全ての信頼を失う覚悟を。

 

 …そう、思っていた。

 

 だけど雨竜はその細く長い指は…

 

 

 

「…だが1番の問題は

 

 

 

 

 ――――ニコラス、貴様についてだ」

 

 

 ニコラスへと、差し向けられた。驚いた俺は、微かに笑みを浮かべるニコラスへと視線を向けた。

 

 

「…ああ、だろうね」

 

 

 雨竜の言葉と共に生徒達の視線はニコラスへと集中した。本人は、分かっていたように、そう呟いた。

 

 不思議とその声色は明るく、自分の立場が分かっているのかまるで分からない飄々さが見えた。俺は追いつけないままに、雨竜、そしてニコラスへと交互に視線を送る。

 

 

「これまでの貴様の言動、そして行動。今の貴様の不気味さはモノパンと同等だ」

 

「はは、あの人形と同等と揶揄されるだなんてね。バーンシュタイン家始まって以来の恥だね、キミ」

 

「問い詰められてる側のくせに、何でそんなひょうきんな態度でいられるんですか」

 

 

 今までの様に…いや今までよりも余裕はなさそうだったが、いつも通りの軽口を叩くニコラス。その返答に、雲居は少し安心感のようなものを持ちながらも、苛立ちを交えながら返していく。

 

 

「何を聞いても答えられるからさ。今更隠し事するほど、ナンセンスな人間ではないからね」

 

「…言質とった」

 

「では存分に聞かせて貰うぞ。まず第1に、貴様は何故、”超高校級の不幸”が、天災であると知っていた。加えて、いつから知っていた…いつから折木が天災であると知っていた」

 

 

 ニコラスは帽子の鍔をつまみ、目元を隠す。

 

 

「……核心だね。ヘタなジャブも無しの、実に素直な質問だ」

 

「御託はいいんですから、素直に答弁するです」

 

「ああ、そうだね。そう約束したんだからね」

 

 

 言葉だけでは簡単そうなのに…だけど何かを躊躇っている。答えにくいのか、結んだ口を無理矢理開こうと、葛藤しているようにも見えた。

 

 

「…リクエストにお答して、最初に"超高校級の不幸"が"超高校級の天災”であることを何故知っていたのかについて、だったかな。それを話すには、少しばかりの前哨が必要なんだが、話しても良いかな?」

 

「…手短になら」

 

 

 "ありがとう”、そう呟いたニコラスは鼻で嘆息し、小さな間を置き、口を開いた。

 

 

「始まりは、1本の電話からだったよ。我が母国たるイギリスにて、研究室にこもり、薬品を溶かしたフラスコと化学式の描かれたホワイトボードと向き合うボクに、突然――」

 

 

 

『……君に、頼みたいことがある』

 

 

「出るや否や、名も名乗らずそんな電話がかかってきた」

 

「…知らないヤツからだったんですか?」

 

「いいや、とてもよく知っている、ボクが以前世話になったことがある人物。……他でもない――――それは"希望ヶ峰学園”現学園長からの電話だったのさ」

 

「学園長だとぉ!?」

 

 

 そのビッグネームに雨竜達は驚きの声を反響させた。以前にも、美術館で同じ名前を耳にしていが故に、記憶に新しかった。確か、"霧切仁”…だっただろうか?

 

 

「……どうして一端の化学者と学園長に繋がりがあることは気になるですけど。それよりも、その学園長とやら直々に何を頼まれたんですか?」

 

「"依頼"さ。『とある人物の評価をしてほしい』そう言われたさ。詳細は伏せられたまま、もし受けるなら具体的に話しをする、と付け加えてね」

 

 

 "評価”という言い回しに、少しばかり違和感を持った。

 

 

「あんたのことですから…その依頼を一も二も無く受けたってわけですね」

 

「ああそうだね。そんな途轍もない地位に座り、かつ親交のある彼からの直々の頼み…決して無碍にはできない。……まぁ最初は普通に断ったけどね」

 

「……断ったんだ」

 

「ちゃんと蔑ろにしているであろうが」

 

「どう、して…断った、の?」

 

 今まで自分の事を名探偵と言いふらし続けていた彼らしくない判断に、贄波は少しばかり脱線するような質問を飛ばした。

 

 

「今やこんな風に、化学者兼探偵のように立ち振る舞うボクは、その電話の時点で探偵なんてとっくのとうにやめて、化学者としての夢を追おうと心に決めていたからね。いくら学園長からの頼みでも、"最初は”拒否したさ。どうせ碌な頼みでもないと考えてもいたしね」

 

「酷い言い様ですね」

 

「でも……」

 

「――――ああそうだとも、ミス贄波。最終的には、受けることになったさ。何故ならその依頼こそが…『超高校級の天災』に関してのモノだったから」

 

 

そこで出てきた『天災』という2文字、瞬間緊張が走った。

 

ゴクリと、反射的に唾を飲み込んだ。

 

俺自身、自分の事なのに、自分の事では無いような、不思議な気持ちになっていた。

 

 

『…君はこの事件に、そしてこの存在に興味を持っていたはずだ』

 

『………』

 

 

 

「その通り、ボクは日本に蔓延る未解決事件に強い興味を示していた。『ジェノサイダー翔』、『才能狩り』、『天災』…その中でも特に、『天災』という存在にね。…そんなボクに彼は、こう言ってきた」

 

 

 

『"天災"…我々はその存在を突き止めた』

 

 

 

「その場で心臓が止まってしまうかとかと思ったさ。興味の対象が切り変わる瞬間というのを、ハッキリと意識できた気がするよ、だからこそ、ボクはその依頼を受けた」

 

「突き、止めた?」

 

「ああ、そして彼は――――

 

 

 

『そして、ボク達希望ヶ峰学園は、その天災と思わしき人物に招待することにした。"特例中の特例"という理由で』

 

 

 

「その人物を"特例中の特例で”招待する…そう言っていた」

 

 

 俺は血が冷たくなるのを感じた。ゾッとするような悪寒が。

 

 何故なら頭の中には、入学証書に書かれていた――――"特待生”という文字が浮かんでいたから。

 

 あの言葉の裏に、そんな思惑が隠されていたなんて、想像できなかったから。

 

 

「でも、特例中の特例、なら…なんで超高校級の不幸、なんて…」

 

「実に純粋な疑問だ。むしろこれがキミ達を混乱させるポイントだろうね」

 

 

 "だけどこれは実に簡単かつ、単純な答えだったりするんだ”そう付け加え、続けた。

 

 

「ご存じの通り、希望ヶ峰学園はボクら生徒に肩書きを付している。超高校級の陸上部、超高校級の天文学者、超高校級の幸運…」

 

「……」

 

「そしてミスター折木も同様だった。だけど天災だなんて肩書きはあり得ない、そこで彼ら希望ヶ峰学園はある主のコードネームとしての"超高校級の不幸”と隠語を作った」

 

「…ならそのまんま超高校級の不幸として入学させれば、こんなややこしいことには」

 

「良いかい?考えてもみておくれよ。その入学した生徒に『アナタは超高校級の不幸として入学しました』だなんて…聞こえが悪いと思わないかい?」

 

「…確かに」

 

「だから希望ヶ峰学園は、学園自身と、入学する本人の体裁を保つために改めて名付け、それを表向きの名前とした。特例中の特例で入学させたのさ。特別待遇の生徒……そう『超高校級の特待生』として」

 

 

 呆れる位に厳重な言葉の重なりだった。

 

 だけど納得するしか無かった。そうしなければならない程の、俺の才能には、大きな意味があったから。

 

 拳を握りしめる。

 

 

「…そして本題である彼の依頼は。最初に言ったとおり"評価”だった。その天災と思わしき存在の判定…」

 

「…判、定。何を、判定する、って、言うの?」

 

「……ははっ、ボクも同じ質問をしたさ。でも彼は依頼人としては絶望的に不親切なタイプでね。"その謎も込みの依頼だ”と、言われたさ」

 

「何て雑な…」

 

 

 とても依頼人とは思えない情報の少なさ。彼が始めに依頼を断った理由が何となく分かったような気もした。

 

 

「そういう才能を試すのが好きなんだろう。依頼内容の中に、当の人物の名前も、入学する際の肩書きも入っていなかった。これぐらい、難なくこなしてもらわなくては困る、そう言われているようだったよ」

 

 

 まるで懐かしむように、彼はそう言葉を溢した。

 

 

「………そしてボクはこの学園に入学し。一転、依頼内容に無い、こんな監禁生活を強いられ、そして――――」

 

 

 俺へと視線を向けた。

 

 

「ミスター折木。"超高校級の特待生”であるキミが…目の前に現れた」

 

 

 

 依頼を望まれた。評価すべき対象が目の前に現れた。

 

 

 だけど――――

 

 

 

「いつからだ…」

 

 

俺は声を絞り出した。握血が滴るほどの、強く、拳を握りしめた。

 

 

「いつから…俺の…事を…」

 

 

 特待生というだけで、すぐに分かるものなのか。そんな少ない情報で、彼が特待生が天災であると結論づけるとは、ニコラスの慎重さを考えれば、あまりに早計すぎると思ったから。

 

 

「……最初に疑問に思ったのは、2回目の会議の時」

 

 

 3つの未解決事件が議題に上がった後、確か俺が3つ目の事件、天災について聞いたときだ。

 

 

「キミは……"天災"を知らなかった。天災とは、この世界に生きる人間ならば…誰もが知っている災いの筆頭」

 

 

 もしも知らない人間がいれば、と言葉を切った。

 

 

 そんな初めから気付いたんて、思いもよらなかったから。言ってくれなかった辛さ、そしてそんな中でノウノウとしていた自分に苛立ちが同時に湧き出る。

 

 

「…そしてソレが確信に変わったのは…キミが、あの手紙を渡してくれたとき」

 

 

 

『折木様へ

  

 アナタの真の才能は”超高校級の不幸です。

 

               モノパンより』

 

 

 

 

「ボクはあの手紙を見て、超高校級の不幸は、希望ヶ峰学園が天災を隠すための、偽りの肩書きであると直感した」

 

 

 

 

 今この場で、全てを吐き出したくなるほどの、苦しみが、心を支配していた。心が握りつぶされるほど、痛くなった。痛くて痛くて、仕方無かった。

 

 

 

 

「何で…言ってくれなかった」

 

「……」

 

「何で言ってくれなかったんだよ!!!!!」

 

 

 

 言えるハズなんてないのに、そんなことは分かっているはずなのに、俺はその苦しみ耐えられなかった。

 

 苦しさを全て巻き込んだ慟哭がこだました。

 

 

 

「お前の疑いの裏には…信頼があるって。そうお前に教えてもらった、それを、俺は信じてた」

 

 

 

 何度も何度も、俺は裁判の中で、ソレを信じて、真実を突き詰め続けていた。

 

 

「でも、本当は………俺を信じてなかった」

 

 

 ニコラスには初めから疑いしかなかった、突き詰めた先にはそんな事実しかなかった。

 

 

「………すまない」

 

 

 その言葉を、黙って受け止め続け、その先に出てきた言葉がそれだった。

 

 

 ――――謝って何になる。謝って何が救われる。謝って何が変わる。

 

 

 ニコラスの言葉に、俺は自分自身の頭に血が上っているのが分かった。

 

 

「すまない……じゃねぇよ……」

 

 

 

 だからこそ俺らしくない、言葉を荒げるような口ぶりをしてしまった。

 

 

 余裕なんて何処にも無かったから。

 

 

 でも、それ以上に何も言えなかった。

 

 

 

 ――――何故それほどまでに、お前が辛い顔しなければならないのか

 

 

 ――――疑うなら、疑い切れよ

 

 

 ――――冷酷に、残忍に

 

 

 ――――名探偵なら、そんな顔するなよ

 

 

 

 あるのは、行き場の無い怒りのような、哀しみのような、悔しさのような、失望のようなモノが…渦巻いているようだった

 

 

 

「……っ!」

 

「折木さん!」

 

「折木、くん!」

 

 

 

 小早川、そして贄波の制止も聞かず、俺は…"逃げるように”裁判場を後にしようとエレベーターへと乗り込んでいった。

 

 

 一刻も早く、こんな所から、出て行きたかったから。

 

 

 

 この場に居ても、何を信じれば良いのか分からなかったから。

 

 

 

 この場に居ても、誰を信じれば良いのか分からなかったから。

 

 

 

 

 ――――どこに居ても、俺自身が、俺を信じて良いのか分からなかったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『生き残りメンバー:残り8人』

 

 

【超高校級の特待生】⇒【超高校級の不幸】折木 公平(おれき こうへい)

【超高校級の天文学者】雨竜 狂四郎(うりゅう きょうしろう)

【超高校級の吟遊詩人】落合 隼人(おちあい はやと)

【超高校級の錬金術師】ニコラス・バーンシュタイン(Nicholas・BarnStein)

【超高校級の華道家】小早川 梓葉(こばやかわ あずは)

【超高校級の図書委員】雲居 蛍(くもい ほたる)

【超高校級の射撃選手】風切 柊子(かざきり しゅうこ)

【超高校級の幸運】贄波 司(にえなみ つかさ)

 

 

『死亡者:計8人』

 

【超高校級の陸上部】陽炎坂 天翔(かげろうざか てんしょう)

【超高校級のオカルトマニア】古家 新坐ヱ門(ふるや しんざえもん)

【超高校級の忍者】沼野 浮草(ぬまの うきくさ)

【超高校級のパイロット】鮫島 丈ノ介(さめじま じょうのすけ)

【超高校級のチェスプレイヤー】水無月 カルタ(みなづき かるた)

【超高校級のダイバー】長門 凛音(ながと りんね)

【超高校級のシスター】反町 素直(そりまち すなお)

【超高校級のジャーナリスト】朝衣 式(あさい しき)

 

 

 




お疲れさまです。そしてお久しぶりです、水鳥ばんちょです。
社会人生活やら、公務員試験の勉強で忙しかったので、最新話が大幅に遅れてしまいました。
もう少し頻度を上げ、完結できるよう、頑張っていきたいと思います。
宜しくお願いいたします








〇名前由来のコーナー




反町 素直(そりまち すなお)



作者から一言:意外なほどまろやかなキャラクターになってました


 コンセプトはヤンキー系シスター。名字の反町は、俳優の反町隆史さんから。名前は、可愛らしい名前にしたかったので…素直に、『素直』と名付けました。個人的に一番好きな名前です。
 最初はもっと言動も荒くて、生徒の胸ぐらを掴むようなイメージだったんですけど、周りがフリーダムすぎたので、最終的には肝っ玉母ちゃんみたいになりました。



デッド・ボックス・ヒーローズ

 名前の由来は、洋楽の『ジュークボックスヒーロー』から。ヒーロー”ズ”にしてるのは、本編を見れば分かると思います
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