ダンガンロンパ・リバイバル ~みんなのコロシアイ宿泊研修~   作:水鳥ばんちょ

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第五章『探偵と言う勿れ』
Chapter5 -(非)日常編- 19日目


 

 

 ”これ”もまた夢であることは、最初っから分かっていた

 

 現実であるかのようで、ないような

 

 自分に意思があるようで、ないような

 

 自分のことなのに、自分のことでないような

 

 そんな曖昧で、フワフワしてて、でもちゃんと認識出来る世界

 

 でも

 

 今自分が見ている"この光景"は、決してただの夢と片付けられない

 

 いつかあったこと

 

 ずっと昔にあったこと

 

 自分の記憶の奥底に焼き付けられた記憶

 

 忘れようとしても、自分が忘れてはいけないと、そう叫ぶように

 

 "罪"とも言える記憶を自分は呼び起こしている

 

 

 

 ――――海の上で

 

 ――――ボートに揺られて

 

 

 目の前の

 

 いやもっともっと遠くで

 

 劇場を観覧するよりも遠く、大空に届くほど高い山を眺めているよりも近い場所で

 

 炎を纏い、流砂に呑み込まれていくように

 

 "大きな船"が沈んでいく

 

 何千人ものの乗客を乗せていたはずの船は、沈んでいく

 

 ――――覚えている

 

 自分はあの場所に、あの大きな船に乗っていた

 

 でも、何かが起こった

 

 自分の知らない何かが起こって

 

 決して逃れられない何かが起こって

 

 それで――――――

 

 

 自分はココにいたのだ

 

 

 この光景は、自分の故郷が、大波に呑まれた時と良く似ていた

 

 

 周りの誰もが夢を見ているかのように世界を眺め続け

 

 

 周りの誰もが自分が今生きていることに安堵している

 

 

 自分も、同じだった

 

 

 自分も夢を見ているかのように眺め続けていたのだ

 

 

 そうだ

 

 自分には何もできないと

 

 自分にはどうしようもないものなのだと

 

 

 そう思い続けながら

 

 

 ――――眺め続けていたんだ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

第五章 探偵と言う勿れ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【ログハウスエリア:折木公平の部屋】

 

 

 

『キーン、コーン、カーン、コーン……』

 

 

『ミナサマ!おはようございまス!!朝7時となりましタ。起床時間をお知らせさせていただきまス!それでは今日も、元気で健やかな1日送りましょウ!』

 

 

 いつもように鳴り響くチャイムの音で俺は目を覚ました。

 

 4度目の裁判が終わりを迎えた俺は、どうやら知らないうちに自室のベッドの上で寝ていたようだった。

 

 あれから自分はどうやって部屋まで帰ってきて、そしてどうやって眠ってしまったのか、まるで覚えていなかった。

 

 どんな表情で、どんな歩幅で、どんな気持ちで、ここまで戻ってきたのだろう。

 

 俺は、今までどんな夢を見ていたのだろう。

 

 一欠片たりとも覚えていない

 

 ――――いや、だとしたら…もしかして

 

 実は今までのことは全部夢で、扉を開けてみたら、朝衣も、陽炎坂も、鮫島も、長門も、沼野も、水無月も、古家も、反町も、全員生きていて。

 

 炊事場に行ってみたら、元気に食卓を囲んでいて、コロシアイなんてことも無くて…。

 

 ただただ、1日、一夜だけ、長くて、悪い夢を見ていた。

 

 だから覚えてないのだろう。

 

 きっとそうにちがいない。

 

 きっと……

 

 きっと…………

 

 

 なんて

 

 

 ……そんな、バカみたいな想像。

 

 

 

「………っ」

 

 

 ああ、そうだった。

 

 俺達は昨日、また2人の仲間を失ったんだ。古家が反町に殺され、そんな反町がクロとして処刑されたんだ。

 

 俺達の手で吊したんだ。

 

 

 再び叩きつけられる事実に、俺は思わず顔をしかめてしまう。

 

 

 

「………」

 

 

 …思えば、ここで初めて目が覚めたとき

 

 

 

『ああああ!!やっぱり居たーーー!最後の生存者はっけーーーん!!』

 

『なんやなんや?おっ!ほんまにおるやんけ!』

 

『ちょっと君たちねぇ……いきなり人の部屋に侵入するのはマナー違反じゃないかねぇ?』

 

 

 

 初めて出会ったのはあの3人だったな…。

 

 今となっては懐かしい出来事だ、本当にコイツらが希望ヶ峰学園の生徒なのかと初対面ながら思ってしまった。でもある意味で肩透かしを食らって、自分で勝手に作っていた変な壁も無くなったようだった。

 

 …でもみんな、居なくなってしまった。

 

 元気に人の部屋を土足で駆けずり回る、声も、表情も、姿も、二度と見ることはなくなってしまった。

 

 

「…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――天災

 

 

 

 昨日、突然言い渡された、俺自身の知らない、俺の本当の才能。

 

 

 打ちのめされるハズの真実を告げられたはずなのに。

 

 

 涙すらも流れない。

 

 

 俺の責任だと、負わされた実感も、しでかしたという感触も何処にも無い。

 

 

 だからこそこの曖昧さが気持ち悪くて仕方なかった。ただただ重い自責の念に押しつぶされそうになっているだけ。

 

 なぜ巨大な災悪今まで知ることすらも叶わなかったのか。これまでの記憶の中にある日常にすら、疑問が尽きなかった。

 

 

 だけど、それ以上に

 

 

『……すまない』

 

 

 昨日、ニコラスのあの言葉を紡がせてしまったことが、友達にあんな顔をさせてしまった自分が、情けなかった。

 

 アイツにだって事情はあったはずだ。自分が希望ヶ峰にきた経緯を話せなかった理由が。

 

 なのに

 

 

『でも本当は……俺を信じてなかった』

 

『すまない……じゃねぇよ……』

 

 

 口をついて出てしまった。反町のオシオキが執行された直後、あれだけ見知らぬ事実を叩きつけられ、自分自身の気も立ってた。

 でも彼の言葉の数々から、最初っから信じていなかったと伝えられた気がして、怒りが先走ってしまった。愚かな言動だったと思う。

 

 ただ落ち着いて考えてられている今でも、まだ何かを隠しているんじゃないか、本当に彼は真実を、全て話しきったのだろうか。そんな信頼以上の溢れる疑いが湧き続けている自分がいる

 

 ……そんな、同じ過ちを犯そうとする自分に怒りすら覚える。

 

 

「…もう容量オーバーだよ」

 

 

 何処かへ向けた悪態を漏らし、寝返りを打つ。

 

 それに悩みのタネは昨日の件だけじゃない

 

 以前に突きつけられた、記憶をなくしてしまっているかもしれないという可能性だって答えは出ていない。

 

 それに写真。世界が荒廃していたという写真の件だってまだ終わってない。

 

 

 曖昧で、不確かで、想像の中でしか議論できない問題の数々が重なって、余計にキツい。

 

 何か文章とか、データとか、目に見えるような情報がほしい。ヒントが欲しい。答えに行き着けるようにしてほしい。

 

 ただそう都合の良いことを思い続ける。

 

 

 直後――――

 

 

「――――やはり、塞ぎ込んでしまっているようですネ」

 

 

「………!!!」

 

 

 悶々と、自分の部屋で、自分の考えを巡らせている中で。まさにこの世界の病巣とも言って良い存在が、再び目の前に現れた。

 

 俺は本能のままに飛び起きた。

 

 

「…何のようだ」

 

 

 鍵を掛けているハズなのに、誰もどこからも入れないハズなのに。コイツは忽然と姿を現した。どこかに抜け穴でもあるのではないか、そう疑ってしまうほど不気味な登場だった。

 

 

「自分が"天災"であると聞かされたアナタが、いったいどんな寝起きをするのかドッキリをしかけに参りましタ!」

 

「…ふざけるな」

 

 

 朝から間もない冗談に苛ついた声をぶつける。モノパンは表情に怯まず、気持ちの悪い笑みを崩さない。

 

 

「くぷぷぷ、ふざけてなんておりませんヨ。事務連絡がてら、ひどいお顔でも見て上げようと思いましてネ」

 

「…事務連絡?」

 

「今朝ミナサマ全員に報告させていただいたことなのですが、流石にお仲間はずれは可哀想だと思った次第でしてネ」

 

 

 逆撫でるような言葉を並べ続けるモノパンに、本当にひどい寝起きになりそうになるが、耐える。無理矢理、事務連絡と言っても何の事だろうか、そっちに意識を向ける。

 

 

「実はですね、真実の闘技場である学級裁判を4度もクリアした特典として、"エリアの開放”を伝えにきましタ」

 

 

 事務的に連ねたモノパンの"エリアの開放”という言葉に俺は眉をひそめた。以前までなら、そんな反応なんてする必要もなくすんなりと受け入れられた事なのに。

 

 何故なら中央棟にある扉は”4つ”しか無かったはずだから。これ以上、何処を開放するというのか、腑に落ちなかった。

 

 

「大方の予想通り、合点がいっていないようですネ。それもそのはず、何故なら今回の"エリア5”はまさに秘密の隠しエリアなのですからネ。RPGでいうとEXステージのようナ」

 

「エリア…5?」

 

 

 頭痛が痛いような言い回しにひっかかりはしたが、エリア5というのはモノパン曰く特別な場所であること、そしてその開放がトピックスであることが分かった。

 

 

「…どこにあるんだ」

 

「この施設の、上、になりまス」

 

 

 モノパンはステッキで上空を差す。釣られて思わず見上げてしまう。

 

 

「上?」

 

「中央棟の中心に大きな柱があったでショ?彼処がエリア5へと続くルートとなりまス」

 

「…あの柱には、裁判場に続く扉しかついていなかったはずだ」

 

「赤い扉のついている反対側に、急遽もう一つ扉を付けさせていただいた次第でございまス」

 

「急遽?」

 

「まさか4連続で裁判をクリアするとは思わなかったものですかラ」

 

 

 本当に緊急で用意したのか、元々の予定通りのことだったのか定かではないが、コイツの不敵な笑みに腹が立つことだけは間違い無かった。

 

 

「ですガ、探索をするかしないかは折木クンの意思にお任せしまス」

 

 

 くぷぷぷ、とまたほくそ笑む。今となっては耳障りな笑い声に、顔をしかめる。

 

 

「ではワタクシは報告義務は終えたのでおいとまさせていただきますネ。この先も"永遠"と続く健やかな学園ライフを送ってくださイ」

 

 

 永遠、と余計に強調しながらモノパンは姿を消していった。まったくと言っていいほど進展しない問題の数々の件もあり、その2文字の重みは冗談で済ませられるものではなかった。

 

 ゆえに機嫌は朝から最悪だ。

 

 

「……何なんだよ」

 

 

 

 与えられた行き場の無い怒りをベッドを叩いて散らしていく。されど衝撃は吸収されるだけで、何の解消にもならない。頭の中の黒いモヤは、ずっと晴れることは無かった。それこそ、永遠に晴れる気すら起きなかった。

 

 

「……エリア5」

 

 

 素直な話、行ってみたい気持ちはあった。もしかしたらこれまでの切れ端のような問題を解く鍵が手に入るかも知れない。だけどきっと、俺と同じようにモノパンに伝えられたニコラス達も探索にいっているはずだ。

 …もっと素直な話、今はアイツらと顔を合わせたくはなかった。顔を合わせても、いつも通りの態度で接することができないだろうから。

 

 

 天災と突きつけられた時の、あの時の彼らの表情が忘れられなかったから。

 

 

「………」

 

 

 俺はまた外と隔絶するようにシーツで体を包みこむ。逃げ込むと言っても良かった。それほどまでに今は何も考えたくなかった。

 

 

 はたから見れば、ふて腐れたように写るのだろう。そんなのは分かってる。

 

 

 でも今この日、この時、この瞬間だけは…眠って、全てを忘れたかった。逃げたかった。

 

 

 俺は無理矢理目をつぶり、再び寝息を立てていった。

 

 

 

 

 

 

 

  *  *  *」

 

 

 

 

 

 

 

 …はずだったのだが、2つ問題が発生した。

 

 

「眠れない」

 

 

 まず1つはこれだ。あれから眠ろうと何度もトライして、瞼の裏をさまよってもみたのだけれど、意識を手放すどころかガッチリと握手してる有り様。気晴らしに本も読もうとしても、棚にあるのはモノパン関連のフィクション作品しかなく、碌なモノがない。

 

 

 そしてもう1つの問題…

 

 

 ぐぅぅぅぅ

 

 

「…腹減った」

 

 

 どんなに打ちのめされても、どんなに辛い現実から逃げようとも、人は栄養を求める。むしろ、何かに悩んでいるときの方がお腹の減りが早いように思える。

 

 

「………」

 

 

 外は西日の所為か、既に赤く焼けている。現実から目を逸らそうと躍起になっている間に、既に夕方。時計を見ると6時を示していた。

 結局現実から逃げられず、嫌な時間の過ごし方をしてしまった。

 

 

「…炊事場にでも行ってみるか?」

 

 

 今の時間帯なら炊事場に人は居なさそうだし、とそう思い立った俺は、立ち上がり、ドアの前へ。

 

 ドアノブに手を伸ばす。

 

 

 そこで……止まる。

 

 

 思い出すのは、雨竜達のあの瞳。怯えるような、今までの信頼を覆してしまうような、あの視線。タイミングを間違えれば、またあの眼差しをもう一度受けてしまうかもしれない。

 

 そう思うと…揺らいでしまう。俺自身が怯えてしまう。

 

 

「……でも背に腹はかえられないよな」

 

 

 文字通りの言葉をつぶやき、思い切ってドアを開けてみる。

 

 

 ――――すると

 

 

「きゃっ!」

 

「うわっ!」

 

 

 丁度良くなのか、丁度悪くなのか、ドアの前に人が立っていたのだ。

 

 

「に、贄波?」

 

「あ…お、おは、よう?」

 

「……もう夕方だよ」

 

 

 贄波だった。開けた勢いで少し後ずさっている彼女がそこに居たのだ。

 

 

「いやそうじゃなくて…すまん、人がいるとは思わなかった」

 

「ううん、気にしない、で」

 

 

 怪我がなくて良かったと安堵する一方で、見ると、彼女の両手にとっての付いたおぼんが握られており、その上には幾らかの食事が載せられていることに気付いた。

 

 

「贄波…そのトレー」

 

「あ、えっと、これは、ね?小早川さん、が、作ってくれた、料理、だよ?」

 

「小早川が?」

 

「うん」

 

「態々そんな…」

 

「えと、これは、夕食なんどけど…それだけじゃなく、て、朝とか、昼も…全部作って、ココに置いてくれて、たんだ、けど」

 

「……そうだったのか」

 

 

 気付かなかった。反町がクロとしてあんな最期を遂げてしまったことに彼女自身も打ちのめされているはずだというのに。まさか昨日の今日でそこまでのことをしてくれるなんて。

 本当に申し訳ないし、感謝の気持ちが溢れて仕方無かった。そして、それに気付けず、徒然に閉じこもっていた自分が恥ずかしかった。

 

 

「…?」

 

 

 ただ少し疑問に思うのは。贄波は朝と昼と夜に食事を届けていたと言っていた。つまり朝、昼の飯は何処行ったんだ?ということ。時間帯的に贄波が持っているのは夕飯と見られる。

 

 

「贄波はそれを届けに来てくれたのか?」

 

「………そんな所、かな?」

 

 

 えらく間を開けながら、些細な質問に応えていく。怪しく思った俺は少しつついてみる。

 

 

「……本当は?」

 

「勿体ないから、食べようと、持って行こうと、した、かな」

 

 

 お前はネズミかと思ったが、失言と思い心の中に留める。この様子からきっと朝と昼のご飯は彼女が持って行ったのだろう。いや別に怒っているわけではない。彼女の言うとおりご飯が勿体ないし、小早川の厚意が無碍になってしまうのは忍びなかった。むしろ無駄にしなくてありがとうと言いたかった。

 

 

「でも、食べる人がいる、なら、どうぞ」

 

「……ありがとう」

 

 

 名残惜しそうに手放す贄波に、相変わらずの健啖家ぶりだと思わず頬をひきつらせながら食事を受け取った。

 

 

 

 *  *  *

 

 

 

「今日は、さ、部屋で何してた、の?」

 

 

 約半日ぶりの食事を頬張る俺は、折角だからと贄波を部屋へと招き、椅子に座りながら話しをしていた。そんな中で贄波はそう切り出してきた。

 

 

「部屋でずっと休んでたよ。今だけは、外に出たくなかったからな」

 

「うん…それは、そう、だよ、ね」

 

「……でも、休むにも限度があってな。全然眠れないから気晴らしに備え付けの本でも読もうとしたんだが…」

 

「本?備え付け?」

 

「ああ。贄波の部屋には置いてないのか?」

 

「うん。私の部屋、には、本棚が無いから」

 

 

 他の生徒たちの部屋を捜査したときに思っていたが、やはり多少なりとも部屋に置かれているものには差異があるみたいだな。

 

 

「 どんな、本が、置いてある、の?」

 

 

 そう聞いてきた贄波に、部屋に置いてあったその本を渡してみた。

 

 

「……うん、面白く、ない、ね」

 

「即答だな」

 

 

 モノパンの姿がでかでかと載せられたその表紙を見ただけで贄波はそう言い切り、スッと元の場所へと戻していく。彼女もあからさまに表には出さないが、相当モノパンを嫌っているのがよく分かる。

 そんなふうにして、どこか気まずそうにしながらも、俺達は互いに会話を繋いでいった。好きな物とか、趣味とか、本当に色々、今日一日溜まっていた分を吐き出すように話していく。俺自身口が上手いわけではないのだが、贄波が親身に聞いてくれるからか、とても話しやすい。

 

 

「……なあ贄波」

 

「?」

 

「お前は何とも思わないのか?」

 

「何の、こと?」

 

「天災について。俺が…その、引き起こしたかもしれないっていう」

 

 

 …だからこそ、俺は天災について、素直にぶつけてみた。彼女なら、明け透けの無い言葉を貰えると思ったから。多少なりとも、姿も形も見えない罪の重さをマシにしてくれるかもしれないと思ったから。

 

 だけどその思いに反して、贄波は質問に困ったような笑みを浮かべる。

 

 

「……えっと、ね。言いづらい、んだけ、ど。率直に、よく分からなかったな、って、思った、かな」

 

「よく分からない?」

 

 

 思いもしなかった感想に、オウム返しをしてしまった。

 

 

「実はわたし、そういう、のに触れた事がしばらく、ない時が、あって、ね?」

 

「どっかに旅行に行っていたのか?」

 

「…そんなところ、かな?それで、ね。皆が、言ってる、ことについて行けなかった、んだ」

 

「そうなのか」

 

 

 少し歯切れは悪かったが、天災について本当は知っているのに誤魔化しているという雰囲気では無さそうだった。だからこそ、少し安心感のようなものを感じた。

 

 

「よく分からない者、同士、お揃い、だね」

 

「…そうだな」

 

 

 あんまり嬉しくないペアルックだと思ってしまったのは内緒だ。

 

 

「じゃあ、そろそろ、行く?」

 

「………え?」

 

 

 ご飯を食べ終えたタイミングの俺を見て、贄波は何かを提案してくる。主語が無かった故に反応が遅れてしまった。

 

 

「新しい、エリアのこと、一日、部屋にいたなら、よくわからない、でしょ?」

 

「ああ。新エリアのことか」

 

「今なら、皆、好きなところに、いると、思う、から…良いタイミング、だと思う、よ?」

 

 

 昨日のこともあって複雑な立ち位置の俺へ、贄波なりに気を遣っての提案だとすぐに分かった。確かにこの時間帯なら全員部屋に戻っているかもしれないし、彼女の言う通り頃合いだと思えた。

 

 思い立ったらなんやらと、俺たちは、すぐさま立ち上がる。

 

 

「それじゃあ、行こ?」

 

「ああ、そうだな」

 

 

 食後のトレーを炊事場へと戻し、俺達は中央棟へと向かっていった。

 

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 

 

【中央棟】

 

「…本当にこんな所に扉が」

 

 モノパンの言ってたことは比喩か何かだと思っていた。だって何もなかったまっさらな壁に急に扉が現れるなんて、そんな映画じゃあるまいしと。

 だけど本当に、大きな柱の裏側に5と刻まれた扉が出現していた。

 

 

「中は、ね?裁判場に行くの、と同じ、で、エレベーターになってるん、だ」

 

「…みたいだな」

 

 

 扉の側のボタンを押して、中を確認すると、確かに室内は長方形の無機質な空洞が広がっていた。裁判場へのエレベーターよりも格式張った装いは無く、至って普通のエレベーターという感じだった。

 

 

「行くか」

 

「うん」

 

 

 ただただドアを潜るだけだというのに、俺は緊張した面持ちでエレベーターへと入っていった。

 

 

 

 *  *  *

 

 

 

【エリア5:廊下】

 

 ――――チンと、目的地に着きましたと伝える音が鳴る。

 

 裁判場への鉄格子でできたエレベーターとは違う、滑らかな速度で扉が開いていった。

 

 いまだ緊張を抱えたままエリアに入り、最初に目に入った来たのは薄い水色の壁。ロボットアニメに出てきそうな、近未来的な質感の光沢を放っている。

 

 左右を見渡してみると、内側へと食い込むように曲がる廊下が延びていた。

 

 

「……」トコトコ

 

 

 まずはざっくりと、廊下の形の通りに歩いてみて分かったことは2つ。1つはこのエリアは円の形をしており、ドーナツ状に廊下が繋がっていること。そしてもう1つは廊下の内側、つまりエレベーター側の壁には、何かの部屋へと繋がっている扉が5つあったことだ。ちなみにそれぞれの部屋にはネームプレートが張り付けられており、それぞれ『武器庫』、『化学室』、『モノパンルーム』、『生物室』、『資料室』と書かれていた。

 

 それ以外は何の変哲も無く、扉の側に小さな排気口があるくらいだった。

 

 

「廊下は、他に変わった箇所は見受けられないな」

 

「うん、わたし達も、ここは、つぶさに、調べてみた、けど、収穫はなかった、かな」

 

「なら、次は部屋の中だな」

 

 

 廊下を一周し、エレベーターの前まで戻ってきた俺達は、再生するように同じ経路を辿り始める。そして、すぐ側にあった『武器庫』と穏やかではない名前が書かれた扉を開けていった。

 

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 

 

【エリア5:武器庫】

 

「……名前の通り予想はしてたが、緊張感のある部屋だな」

 

 

 部屋に入っての第一声がそれだった。

 

 部屋の中には金属のラックが設置されており、その上には銃火器や弾丸、爆弾と武器庫に恥じない品々が整然と並べられており、最初に出会う部屋としては不相応な雰囲気であった。

 

 まず始めに銃火器類の棚を見てみる。ラックにはエリア3の射撃場にあるモデルガンとは違う、本物らしき銃火器が置かれており、拳銃、ライフル、マシンガン。様々な種類の銃が黒く光っていた。

 

 

「一応聞いておくんだが、これは本物なのか?」

 

「うん、風切さんが銃の中身を、確認してくれて、ちゃんと弾は込められてる、って」

 

「風切が調べたなら、確定か」

 

 

 あくまで競技用だが銃の知識に長けている彼女が言うのなら、間違い無いのだろう。できれば本物じゃないと断定して欲しかったのは俺だけじゃないと思う。

 

 

「ここは、ね。風切さんと、落合くん、が、調べてたんだ」

 

「あの二人が?変わらず仲は良さそうなんだな」

 

「うん、落合くんが、風切さんのこと、結構励ましたりしてくれてる、から、昨日は、ずっと二人で、居た、よ?」

 

「あの落合がか」

 

 

 つい驚いたような声を出してしまう。

 

 今までの彼は孤高で、浮世離れしてて、神出鬼没なやつというイメージで、誰かと居る姿はあまり想像できなかったからだ。

 

 

「……憶測、だけど、多分、古家くんの、事件が、関係してるのかな、って、思うんだ」

 

「どうしてそう思うんだ?」

 

「今日も、探索が終わってすぐ、に、エリア4に行ってたみたい、だから……」

 

「……そうだったのか」

 

 

 あの事件は落合が口調を崩し、頭を下げてまで解決を願い出た事件だった。風来坊のような今までの雰囲気とは違う、通常の様子ではなかったのもあり、アレは強く印象に残っている。

 

 

「……」

 

 

 …贄波の言うとおり、もしかしたらあの事件は彼にとって、何か大きな心境の変化を生んだ契機だったのかも知れない。俺が計り知れることではないのだろうが。

 

 

「探索、再開するか」

 

「…うん」

 

 

 少ししんみりとしてしまった空気を切り替えるために、探索へと意識を戻す。

 

 

「こっちは爆弾のブースか」

 

 

 銃火器とは別の、爆弾とおぼしき物が几帳面に並べられているラックに目を向ける。並んだ爆弾は中々のサイズを誇っており、爆発すれば小屋1個は吹っ飛ばせそうな存在感を醸し出している。

 

 

「数は…1、2、3…5個あるみたいだな」

 

 

 しかもご丁寧なことに、側には『絶望的なお馬鹿にでも分かる爆弾の使い方』と、説明書らしきモノまで置いてあった。試しに説明書を開き、目を通してみる。

 

 

『画面の側にある矢印ボタンを押して時間を設定し、赤いボタンを押せばセッティング完了!時間が経てばすぐにドカン!!憎いアイツをタイミング良くあの世へ送れるぜ!!!』

 

と書かれていた

 

「確かに素人の俺でも使えそうだな」

 

「でも使う勇気は、起きない、よね」

 

 

 モノパンのことだ、ありえないと思っていても、これらの武器を使わせるように仕向けてくるはずだ。俺たちにできることは、できればそんなことはあって欲しくないと願い続けることか、使わないという強い意志を持ち続けることくらいだ。

 

 

「武器はここにあるので全部なのか?」

 

「うん。在庫も無い、みたい」

 

「そうか」

 

 

 そう相づちを打ながら、見落としがないか部屋をさらりと見回してみる。

 

 

「……ん?」

 

 

 すると奥の方に扉があることに気づく。部屋の隅っこにあったために、危うく見過ごすところであった。

 

 

「奥に部屋もあるみたいだな」

 

「あ……うん、そこ、は、ね?落合くん、が、調べてたんだけ、ど…」

 

「……どうかしたのか?」

 

 

 少し言いづらそうに言葉を詰まらせる贄波。

 

 

「落合くん、が、珍しく、青い顔をしながら、出てきて…」

 

「アイツが?」

 

「『荒れ狂う激流はどんな物質でさえも蝕んでいく、だけど清らかな清流もまた、ゆっくりと大地を削り、壁を侵していく…まさに今の僕はそんな気持ちだ』って言ってた、よ?」

 

「……その様子なら大丈夫そうだな」

 

 

 あの飄々としたアイツが顔色を変えるなんて、と心配したが、その言動ができるなら平常運転だ。問題無いだろう。そう思いながら、扉に手をかける。

 

 

「…結構重い扉だな」

 

 

 扉に手をかけてすぐの感想がこれだった。思ったよりも厚みがある。重すぎる程ではないが、少し体力の要りそうな、スイカを持ち続けるような、無視できない労力が必要な重さも感じた。

 

 俺は扉を引っ張り、中へと入っていった。

 

 

 *  *  *

 

 

【エリア5:ホワイト・デッド・ルーム】

 

 

「……なんだこれ」

 

 

 部屋の中には本当に"何もなかった”。

 

 何も無いどころの話じゃない。"何も無さすぎる"のだ。

 

 真っ白の床に真っ白な壁。無いにも限度があるレベルの白さ。見ているだけで頭痛が起きてしまうほどの"無さ"であった。

 

 

「…これは、あの落合が気分を悪くするのも頷けるな」

 

「うん、ちょっと発光してる感じが、してるのも、目が疲れる、感じ」

 

 

 確かに、言われてみてみると全体的に水銀灯のようで薄く光っているような軽い眩しさもある。だけどそう意識した途端、余計に眩しく映る。

 

 

「……俺も何だか気持ちが悪くなってきた」

 

「私、も」

 

「これ以上調べても何もなさそうだし、さっさと別の部屋に行こう」

 

 何もない部屋を調べても何も無いという結果が出てくるしかない。

 それに長くいればいるほど気分を悪くしそうだった俺達は、そそくさと武器庫から外へと出て行った。

 

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 

 

【エリア5:化学室】

 

 

 ”化学室”の名前が書かれた部屋に入り、すぐに鼻に飛び込んできたのは微かなアルコールのにおい。

 

 

「…理科の実験室みたいだな」

 

 

 待っていたのは、ありきたりながらもそうとしか言えない部屋の様相。

 

 奥の壁に並べられた薬品の入った金属製の棚。部屋の中央には埃一つ無い大きめのテーブル。その上には顕微鏡に、何らかの抽出が行われている最中のようなフラスコやビーカー群。

 

 見るからに、文系の俺には縁の無い分野の部屋だとわかった。

 

 

「ここ、は、ね?ニコラスくん、が調べてたん、だ」

 

「……そうか」

 

 

 少し過敏になってるのかもしれないが、思わず口ごもったように返事をしてしまう。正直今その名前を聞きたくは無かったから。

 

 

「それでニコラスくんが、ね?」

 

『その棚の薬品には迂闊に手を出さない事をオススメするよ。キミ』

 

「って、言ってたんだ」

 

 

 そう言いながら、贄波は奥の方にある薬らしきものが詰められた棚を指さした。

 

 

「何か問題でもあったのか?」

 

「あの棚には、ね、毒薬、とか、他に、も、睡眠薬、とか、強力な酸化剤、も入ってるみたいだから、だって」

 

「また、随分と危険な薬が沢山」

 

 

 棚の中を見てみると、確かにドクロマークの付いた物や、開封厳禁とシールが貼られたビンが敷き詰められていた。元から棚に手を付けることすら考えてもなかったが、化学者を目指していたアイツがそう忠告するのなら本当に手は出さない方が良さそうだな、と思えた。

 

 

「ここに置いてあるものについては何か言ってたか?」

 

 

 俺はテーブルの上のフラスコや顕微鏡を観察しながら贄波に尋ねていく。

 

 

「ううん、別段、気にしなくて良さそうだって」

 

「そうか」

 

 

 あいつがそう判断したのなら、これ以上の詮索は必要なさそうだ。そう考え、部屋を出ようとしたとき。

 

 

「…?ここにも奥に部屋があるみたいだが」

 

 

 武器庫と同じように部屋の隅っこに張り付けられた金属製の扉を見つける。

 

 

「ええと、そこは、ね?気になって、調べようよしたんだけ、ど。鍵が掛かってるみたい、なんだよ、ね」

 

「鍵は無いのか?」

 

「どこにも、ない、かな」

 

 

 ”そうか”と言いながら、確認のタメに扉に手をかけて、引っ張ってみる。

 

 

「………うん、開かないな」

 

 

 確かにビクともしなかった。武器庫の扉とは比べものにならない手が痛くなるようなほど重い扉だと思った。

 

 

「それにしても、随分冷たい扉だな」

 

 

 ただ同時に触ってみて思ったのは、この扉がとても冷たかったこと。冷凍庫に手をつっこんだような冷たさ。

 

 

「……何があるんだ」

 

 

 訝しむように扉を見つめても、何も起きたりしない。気になったが、これ以上は調べようもない故に、俺達は部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 

 

【エリア5:モノパンルーム】

 

 

「……何だ?ココは」

 

 モノパンルームと書かれていた、想像もつかないがロクでもない場所であることは分かる部屋に入ってみた。

 

「壁一面に画面が張り付けられてるな」

 

 

 部屋の奥にはテレビの画面らしきものがところ狭しと取り付けられており、部屋の中央にはやたらと図体のでかいコントロールパネルらしきものが鎮座しているこの部屋は今までの2部屋とはまったく違う雰囲気の、まるでテレビ局の裏側のような内装だと思った。

 

 

「うん。しかも、画面には、この施設の様子が、映ってる.みたい」

 

 

 画面の中身を見てみると、エリア1の炊事場、ペンタ湖。エリア2のプールや図書館。エリア3のモノパンタワーの内部にゲームセンター。エリア4のホテルペンタゴンの内部など、この施設の全てが画面に映し出されていた。

 

 …つまりここは

 

 

「……監視カメラのコントロールルーム、といったところか」

 

「うん、多分ずっと、ここで、わたし達の事、を…」

 

 

 俺達の動きを捕捉してたんだろう。今までタイミングの良い場面でヤツが出てきた理由も、どうやって全ての事件の真相を把握していたのか、その理由がよく分かる。

 

 

「…まさか部屋の中にもついてるのか?」

 

「ううん、プライバシーの観点で、つけてない、らしい、よ?」

 

「そこは律儀に守るんだな」

 

 

 そうは言ってみるが、自分で作ったルールの穴をついて反則をしてくるやつのことだ。その事実が本当かどうかは定かじゃ無い。

 

 

「それよりも…」

 

 

 奥にある、画面の張り付けられた壁の中央。滝を割るように佇む、モノパンの顔の描かれた扉だ。場違いというデザインではないが、目立つというか、如何にも気にしてくださいというような顕示欲が見える。だからこそ、気になる。とても気になる。

 

 

「でも、そこ、も、鍵が掛かってて、開かない、みたいだよ?」

 

「……そうみたいだな」ガチャガチャ

 

 

 また念のためドアノブを回してみても、ビクともしない。武器庫のように重みがあるわけでもなく、化学室の開かずの扉のように変な感触もない。極めて普通の扉だった。

 

 

「……」

 

 

 だけど何故か、このまま放って置いてはいけないような、そんな気持ちが治まらなかった。

 

 

「他に、何か気づいたことは?」

 

 

 その気持ちを遠ざけるように、部屋について贄波に質問を飛ばしてみる。贄波は少し思案してから、コントロールパネルへと近づいていく。

 

 

「ココは、小早川さんと、調べてたんだけ、ど、ここにあるパネルで、画面を切り替えられる、とか、くらい、かな?」

 

 

 贄波はコントロールパネルを適当にいじりだす。画面に目を向けると、その1つに白い線が走り、別の場所へと切り替わった。

 

 

「成程…じゃあ部屋はこのくらいか」

 

「……あ、そういえ、ば」

 

「どうしたんだ?」

 

「モノパンが、コソッと、言ってたんだけ、ど、深夜に動き回る生徒、が多いから、休憩が中々取れない、とか、言ってた、な」

 

「なんだ…俺達への文句か」

 

 

 だけど贄波を通して遠回しに、夜更かしせずに寝ろと言われているような気がした。まあ夜時間なんて度外視で行動するやつが多いから、仕方のない話だが。

 

 実際、俺自身も夜に図書館に出かけたりすることもあるから、文句を言われる立場にいるのかもしれない。

 

 …夜時間くらいは部屋でおとなしくしておいてやるか。そう今更考えながら、俺達は次の部屋へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 *  *  *

 

 

 

 

 

 

【エリア5:生物室】

 

「ここはやけに寒い…というか冷たい部屋だな」

 

 生物室と書かれた扉の中へと入って感じたそんな感想。名前からして、化学室のような、まさに研究室という雰囲気を連想して入ってみたら、天井と床は青く、実に寒々しい装いで、まるで独房のようだと思った。

 

 中に置いてあるモノもテーブル1つだけ。あまりにも質素であった。

 

 だけど

 

「この奥にある扉はなんだ?」

 

 

 やたらと目に付く壁に埋め込まれた長方形型の小さな鉄の扉。数は16つある。扉の側には赤く光るであろうランプが取り付けられており。そのうちの"8つ”は赤く光り続けていた。

 

 気になった俺は、恐る恐る扉に付けられた取っ手を掴もうとする。

 

 すると…

 

 

「その扉、開けない方が、良いと思う、よ?」

 

 

 伸ばそうとした手を、贄波に止められる。見てみると今までの表情とは比べ物にならない、警告するような顔つきであった。

 

 

「…この扉の中には、何が入ってるんだ?」

 

 

 素直に暗い表情の彼女に聞いてみる。そしてとても言いづらそうに、口を開いた。

 

 

「そこには、ね、――――死体が、入ってるん、だよ」

 

「……死体」

 

 

 そう言われて、すぐに思い至る。ここは、死体の安置室だということに。なぜ8つのランプが光っているのか、その理由も分かった気がした。

 

 

「うん。これまでに、殺された、朝衣さんや、古家くんの、死体が、その扉の中に…あるの」

 

 

 言葉にするのも辛そうだった。きっと彼女は、俺が今しようとしてたように、好奇心のままに扉を開いて、そこで死体を確認したのだろう。

 暗い表情になるその気持ちがよく分かる。改めて、彼らの死が現実であると、無理矢理、理解させられているようなものだから。

 

 

「開けて…確かめてみたんだな」

 

「今朝、雨竜くん、が、そのうちの、1つ開けてみた、の。でもその中に入っていた、のは…長門さん、の、死体で……」

 

「……」

 

 

 長門と言えば、確かにサメに食い殺されるという、凄惨な処刑方法で死んでしまったはずだ。

 …だとするなら死体も相当ショッキングな姿だったはずだ。初めに引く上で、1番最悪の選択のように思える。

 

 

「私は、すぐに、目をそらしたから、一瞬だけ、見ただけ、だった、けど…」

 

「雨竜のヤツは大丈夫だったのか?」

 

「…凄くきつそうだった、よ。でも…」

 

「…?」

 

「確認だからって…全員分の、死体を、診てた、よ」

 

「……全員の?」

 

「皆の家族に、ちゃんと、伝えるために、だって。曖昧なまま、死んだって、伝えても、きっと納得できないはずだから…って」

 

 

 その行動を聞いて、最初はなんでわざわざそんな辛いことを、そう思った。だけどすぐに、その雨竜の言葉を聞いて、その通りだと思いなおした。

 

 俺達は高校生だ。これまでの被害者も、クロも、殆どの生徒に家族が居る。

 

 この趣味の悪いデスゲームで、事故に巻き込まれて死んでしまった、そんな結果だけを彼らに伝えても、きっとやりきれない。俺が家族の立場だったら、絶対に納得できない。もしかしたら生きてるかも知れないなんて、都合の良い幻想にとらわれてしまうかも知れない。

 

 雨竜は、己のやるべきことをまっとうしようとしているんだ。すべてを記録して、伝えられるだけのことを伝えようと。

 

 アイツには計り知れない、過酷な役割をさせてしまったみたいだ。

 

 

「なら、ここの探索は必要ないな」

 

「…うん」

 

 

 雨竜が懸命に調べたんだ。これ以上の探索は、彼の努力を疑っているとも取れる。まったくもって申し訳が立たない。

 

 俺達は生物室を後にした。

 

 

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 

 

 

【エリア5:資料室】

 

 資料室と書かれた扉を開けてみると、部屋の中には天井にくっつくほど高い大きいラックが3つ並べられていた。

 

 ラックの中には大量のファイルが置かれており、背表紙にはなにやらタイトルが書かれているのが分かった。

 

 

「図書室…ではないよな?」

 

「うん、ここ、は新聞のスクラップ、とか、希望ヶ峰学園の歴史、とか、いろんな資料が格納、されてる、みたい」

 

 

 確かによく見てみると、ファイルの背表紙に年表が張られていたり、『希望ヶ峰学園の変遷』、『海外分校について』などタイトルが張られていた。

 

「……」

 

 俺は何気なしに1つのファイルを手に取ってみた。

 

 背表紙には『2015年 上半期』と書かれている。

 

 俺は、その内容に目を走らせる。

 

 

『大型スーパー 火災』

 

『死傷者 大多数』

 

 

 白黒の写真と共に、デカデカと見出しが載せられていた。写真には激しく燃え上がるスーパー、消火活動を行う消防士隊員達、野次馬と思われる人々が写っていた。

 

 

 コレが……学級裁判で知らされた反町が、俺に復讐心を持つに至った事件。天災の引き起こした厄災の1つ。

 

 記事には、「天災」の2文字は書かれていなかったが、その陰を思わせるような内容であった。

 

 スクラップされた記事の中には、被害者遺族の一覧が載せられたものもあった。

 

 とても、子供の被害者が多いことが見て取れた。

 

 

「……」

 

 

 だけど、この資料を見ても、自分は何も思い出せない。

 

 俺はファイルを閉じ、また別の、1つのファイルを引っ張り出す。

 

 

『原因不明の大津波』

 

『死傷者数 約1万人』

 

 

 これも。

 

 十何年も前の、長門が家族を失うきっかけとなった、原因不明の厄災ともいうべき事件。この事件も被害者遺族の一覧がスクラップされている。

 

 長門 道夫(ながと みちお)

 長門 六実(ながと むつみ)

 

 

 長門の両親とおぼしき名前がそこに記されていた。

 

 

「……」

 

 

 やはり思い出せない。

 

 また、1つのファイルを引っ張り出す。

 

 

『航空機事故 隕石直撃』

 

『ハイジャック犯 死亡』

 

『死傷者 多数』

 

 

 …これも。

 

 ニコラスが「不幸に不幸が重なったような事件」と言っていた、その記事だ。犯人グループの名前に加え、事件、事故に巻き込まれた乗客全員の名簿が記されていた。

 

  折木 公平(おれき こうへい)

 

 …冗談であってほしいと思っていたが、確かに俺の名前が記されていた。

 

 俺自身、こんな大事件に巻き込まれた事なんて何一つ記憶にないのに。

 

 

「……なんで、こんな大事な事も…俺は」

 

 

 忘れてしまっていたのだろうか。そう呟いた。

 

 誰からも答えは返ってこなかった。贄波も、その答えを持っていなかった。

 

 誰にも、俺自身ですらも、その答えが分からなかった。

 

 また、もうひとつのファイルを取り出す。

 

 

『豪華客船 沈没』

 

『死傷者 行方不明者 多数』

 

 

 これも、またそうなのだろう。

 

 写真に写るのは、炎上する大型船。そして、それを呆然と眺める、ボートに揺られる乗客のシルエット。

 

 巻き込まれた中で、生存者がいる分まだマシなように思えてきた。安堵する感覚が、麻痺してきているように思える。

 

「……」

 

 …思い出せない、何も思い出せない。

 

 俺は、次のページに手をかけようと…

 

 

「折木、くん。もう良いんじゃない、かな」

 

 

 …したところで、贄波にその手を止められた。

 

 俺は贄波の、布をかけるように添えられた手から、彼女の哀しい瞳へと目を移した。

 

 もうこれ以上は止めておけ。そう訴えているようだった。

 

 

「ああ……そうだな。もう、止めておくよ」

 

 

 俺は言い聞かせるように頷き、ファイルを閉じる。少し、いやかなり自分を追い込み過ぎていたかもしれない。何も知らない自分に苛ついて、無理矢理事実を羅列して、思い出せと、自分にムチを打っていた。

 

 そんな風に贄波には見えたのだろうか。いや、実際にそう見えていたから、止めたのだろう。

 

 

「…ありがとう」

 

「うん」

 

 

 気分を変えよう、そう思いもう少し部屋の中を見て回る。

 

 

「パソコンも置いてあるのか」

 

 

 部屋の隅っこにちチョコンと添えられたように置かれたパソコンとサーバー。資料に気を取られていたが、これはかなり重要な設備なのではないだろうか。

 

 

「…もしかして」

 

「インターネット、には、繋がらない、みたい、だよ?」

 

 

 ほんの一瞬の期待ではあったが、儚くも贄波に打ち砕かれる。それもそのはずだ、繋がっていたら、雨竜達が大騒ぎしていたはずだろう。

 

 

「蛍ちゃん、が、粘り強く、にらめっこ、してたみたい、だけど…」

 

「収穫は無しだったみたいだな」

 

「…うん」

 

 

 懸命に探索していた雲居の姿が目に浮かぶ。でもアイツもアイツで、脱出するための炎が消えていない。そのバイタリティーは流石だと思った。

 

 

「……」

 

「折木くん、は、触らない方が良いじゃ、ない、かな」

 

「……どうしてだ?」

 

「壊れそう、だから」

 

「……そうか」

 

 

 贄波にもこんな事を言われるとは、俺自身に何か妨害電波が発生してると思われているのだろうか。ただ単にコンピューターに疎いだけなのに。

 まさかこの体質も、その天災とやらに関係して…。

 

 

「関係はしてないんじゃ、ない、かな?」

 

「…心を読むな」

 

 

 指摘された俺はパソコンの起動を諦める。

 

 

「ココにも奥に部屋があるんだな」

 

 

 ラックとラックの間を突き抜けるように、また扉が張り付けられている。これで4つ目。5分の4の割合で、このエリア5の個室にはもうひとつの部屋がある。

 

 

「うん、でも…」

 

 

 贄波の言い回し的からして、どうやらここも鍵が掛かっているみたいだった。探索をしようにも、探索しきれない。歯がゆい状態だ。ここまでくると、卑怯にも思えた。

 

 自由に探索して下さいといいながら、結局重要な部分は伏せたまま。

 

 でも今までと違うのは、資料室の扉にはその部屋の名前が書かれていたことだった。

 

 

「『重要資料室』……か」

 

 

 読んで字の通り、ここにある資料よりも、さらに秘匿性の高い情報が格納されてるのだろうか。ここに格納されている以上の重要資料なんて、いったいどんな情報が収納されているのやら。

 

 だけどもしも、この部屋の中を見ることが出来たのなら、俺の記憶に関するヒントくらい出てくるだろうか。

 

 それでも…

 

 

「開かないなら、仕方無い…よな」

 

 

 逃げるような声色だったと思う。とても大事な事であるはずなのに、諦めてしまう。既にここにある情報だけで、自分が打ちのめされているからだろうか。

 

 

 ”戻ろう”

 

 

 俺はそう言いながら、贄波と共に探索を終了させた。

 

 

 

 

 

 

 

 

  *  *  *

 

 

 

 

 

 

【ログハウスエリア】

 

 

 

「…今日はありがとうな、贄波」

 

 

 すっかり日の落ちて、街灯だけが照らすようになった帰路につきながら、俺は贄波にそう溢した。

 

 今日1日、部屋を出ずに悶々と過ごす可能性はあった。でも運良く、贄波に鉢合わせたおかげで、新しいエリアの全体を見ることが出来た。口には出さないが、他の生徒達が相手だったら、ここまで円滑にいかなかっただろう。

 

 それらの事を含めての改めて、ありがとうと、今のうちに贄波に伝えたかった。

 

 

「ううん。全然、御礼なんて、私も、楽しかった、し」

 

 

 と彼女は微笑みを見せる。ただ探索していただけなのに、変わったヤツだなと俺も小さく微笑み返した。何度目か分からない、穏やかな時間がまた流れ始めるを感じた。

 

 

 だから

 

 

「なあ、贄波」

 

「?」

 

 

 ”皆は、俺の事を何か言っていたか?”この時間の中で、そう聞いてみたかった。

 

 今朝、恐らく贄波達は炊事場エリアに集まり、そこで話合いの場も設けられたハズだ。新しいエリアについてもそうだが、きっと俺の事も議題に上がったと思う。昨日の今日だから、敢えて触れなかった可能性もあるが…それでも”天災”と告げられた俺に、彼らは何と言及していたか、少しでも知りたかった。

 

 

「……」

 

 

 だけど…皆が、どんな言葉を交わしあったのか、気になるけど、聞きたくないような。そんな気持ちもあった。むしろ後者の方が気持ちが強いかも知れない。…もしかしたら、もう二度と折木とは会わないようにしようとか、否定的な発言もあったかもしれないと思ったから。今までの死線をくぐり抜けてきた、戦友とも呼べるアイツらに、拒絶されるのが怖かったから。拒絶の言葉を言われた事実を、知りたくないから。

 

 そう思ってしまうくらい、俺はアイツらに仲間意識を感じてしまっているから。

 

 

「……」

 

 

 だから、声に出すことはできなかった。とてもじゃないが、たった1日を経ただけで、聞き出そうという気持ちになれなかった。

 

 今は、止めておこう。

 

 あっさりと、心の中で決めてしまう。先送りにしてしまうとも言い換えれた。

 

 そんな葛藤をつゆとも知らず、キョトンとする贄波。声を自分から掛けた手前、何を言ったら良いだろうか。呼び止めた以上何か聞くのが筋というモノだ。

 

 

「あーー、そうだな…」

 

「?」

 

 

 迷走している。自分の中で分かっているが、上手くまとまらない。

 

 

「お前、好きなやつとかいるのか?」

 

「…………へ?」

 

 

 まとまらないままなんだから、まとまっていない変な質問をしてしまうのは自明の理というもの。以前水無月に同じ質問をされたから、そこから引っ張り出された言葉を反射的に出してしまったのかも知れない。

 

 

「……」

 

 

 やはりこうなる。考え得る限り1番してはいけない質問を彼女にしてしまった。もしかしたら、俺みたいに今まで死んでしまった中にいたかもしれないし。さっきまでの穏やかな時間に戻りたくて仕方無かった。行き当たりばったりに、無理に呼び止めた自分を呪いたかった。

 

 すぐに撤回しよう、変に思われるだろうが、これ以上変に思われるよりはマシなはずだ。そう思った。

 

 

「す、すまん。変な質問をした。忘れて――――」

 

「いる、よ」

 

「え?」

 

「いるよ、好きな、人」

 

 

 そう思ってすぐに、その答えが返ってきた。思いよらない返事に、思わず言葉を失ってしまった。しかも言い方からして、現在進行形で生きている中か、もしくは外の世界に居る人であることも分かってしまった。

 

 

「……そうなのか」

 

 

 きっとニコラスや水無月だったら、ここで上手い返しをすることができるのだろう。『へぇ!それは耳寄りだ。是非ともキミの心を射止めたジェントルマンに聞いてみたいモノだ』とか『教えて教えて!!司ちゃん教えて!!』とかそんな感じで。でも俺自身口足らず故に、5文字で返事をすることしかできなかった。自分の性分を恨んだ。

 

 正直、もの凄く気になる。刹那的な感情なのだろうが、アイツらが自分の事をどう思っているかよりも聞きたいかも知れない。

 

 

「なあ…それって」

 

「…いるけど、今は言えない、かな」

 

「……そうか」

 

 

 自分の何故か少し残念な気持ちになってしまったのは意外だったが、それよりも、変に機嫌を損ねないことが良かったという気持ちだった。デリカシーが無いかも知れないが、内心安堵する。

 

 

「でも贄波に思われるだなんて。ソイツは幸せ者だな」

 

「え?…そう、かな。幸せ者かな」

 

「ああ、俺が保障する」

 

 

 気が楽になった分、軽くなった口で、割と無責任な言葉を並べる。でも本心だ。あの人に食べさせる物とは思えない料理さえどうにかすれば、彼女の人柄からして、幸せ者に決まっている。決まっていると言ったら決まっているのだ。

 

 

「嬉しいな、うん、凄く、嬉しい」

 

 

 頬を染めながら微笑む彼女を見て、再び安堵する。どうやら、悪くない受け答えだった様だ。口下手ながらよく頑張ったと思う。

 

 

 

『キーン、コーン、カーン、コーン……』

 

 

『えー、ミナサマ!施設内放送でス!…午前10時となりましタ。ただいまより“夜時間”とさせて頂きまス。まもなく、倉庫、購買部への出入りが禁止となりますので……速やかにお立ち退き下さイ。それではミナサマ、良い夢を……お休みなさいまセ』

 

 

 

 タイミング良く、夜時間のアナウンスが流れる。気がつくと、周囲はログハウスエリアの光景が広がっていた。着いていたしまったようだ。

 

 

「えと、今日は、解散、かな?」

 

「そうだな」

 

 

 名残惜しいが、自然と解散の雰囲気が流れる。

 

 

「えと、じゃあ、また明日、ね?」

 

「ああ」

 

 

 そう、流れのままに、お互いの部屋へと戻ろうとした。そして部屋へと戻ろうとする。

 

 

 

 

 戻ろうとする彼女の"後ろ姿"を見て――――

 

 

 

「………」

 

 

 

 その時、ふと、思い出したことがあった。突然だ。思い出し、気になったこと。本人に、直接、聞きたかったこと。さっきの恋愛話みたいに考えもしないことではなく、純粋に、疑問に思ったこと。

 

 

「なあ、贄波」

 

「?」

 

 

 部屋へと戻っていこうとした贄波は呼び止められ、振り返る。コテンと首を傾げる贄波を見て、俺はその疑問を口にした。

 

 

「あのとき…反町に拳銃を突きつけられたとき、何でお前は、銃口の前に立てたんだ?」

 

 

 裁判のとき、最後の足掻きともとれる反町の行動。俺自身、呆然としていた中で、迷いなく贄波は立ちはだかった。

 

 古家のこともあったのに、危険なことであるは間違いなんてなかったのに。一発は空砲であったとはいえ、6分の5の確率で即死の運命が待っているのに。

 無謀とも言えるあの行動。どうして、そんなギャンブルに身を委ねたのか。今、そうふと思ったのだ。

 

 その質問に、贄波はまた微笑む。先ほどとの照れたモノとは違う、不思議な微笑みを俺に向けた。

 

 

「……簡単、だよ。私は、確信、してた、から」

 

「確信?」

 

「私は、確実に、6分の1の、空砲を引けるっていう、確信」

 

「……」

 

 

 それは自信だった、何かに絶対的な信頼を置いているとしか言えない、自信が見えた。思いも寄らないことに、俺はまた言葉を失ってしまった。

 

 

「…どうして、そこまで言い切れるんだ?」

 

 

 贄波は"超高校級の幸運"としてこの学園に来ている。でも、いくらなんでも命を預けられるほどの幸運なんて、ありえるのだろうか。何故、その幸運な自分自身に、そこまでの確信を持てるのか分からなかった。

 

 

「だって私は――――絶対に死ぬことなんてないから」

 

 

 その一言は、今までの裁判からだけじゃなく、このバカみたいなデスゲームすらも生き残れる。そう言っているような言葉にも聞こえた。微笑みながら口にしているからこそ、余計にそう思えた。

 

 

「それじゃあ、また、明日、ね?」

 

 

 そう言い残し、彼女は部屋へと戻っていった。俺は、その背中を、見届けることしかできなかった。

 

 

『私は絶対に死ぬことなんてないから』

 

 

 そう言い切る贄波からは、今までとは違う、超高校級たる姿を垣間見たような気がした。

 

 

「……」

 

 

 …でも、僅かに、そう言い切る彼女の声色からは…そしてあの微笑みからは、何故か"哀しそう"で、"諦めてる"ような、そんな機敏も感じた。

 

 何故彼女はあんなにも確信を持てたのか、何故あんなにも哀しそうだったのか。

 

 その理由は俺には分からなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【モノパン劇場】

 

 

「時々、自分の人生を悲観する方っていらっしゃいますよネ」

 

 

「何も考えずに高校に入って、何となく大学に行って、そして何となく仕事を始めて、そして辞めて、また始めテ」

 

 

「隣の優れた友人の人生と比較して、なんで自分はこんな人生を歩んでいるんだろう、そう思う人っていたりしますよネ」

 

 

「ワタクシからしてみれば、何を言っているのかよく分からないでス」

 

 

「だってそれがアナタの人生の結果なんですかラ。どんなに後悔しても仕方ないんですヨ。後悔しても道が大きく変わるわけなんてないんでス」

 

 

「でもよく考えてもみてくださイ」

 

 

「今までのその人の人生は、その人だから歩めた道なんですヨ」

 

 

「その人の友人が同じ親を持つことなんてありませんシ、まったく同じ道を歩いてきたわけでもなイ」

 

 

「それに、どんなに頭が良くても、どんなにお金を稼いでも、どんなに良い服を着ても」

 

 

「人類皆、死んで灰になるのが到達点なんでス」

 

 

「灰になるために我々は生き抜くしかないんでス」

 

 

「まさに平等ですよネ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『生き残りメンバー:残り8人』

 

 

【超高校級の特待生】⇒【超高校級の不幸】折木 公平(おれき こうへい)

【超高校級の天文学者】雨竜 狂四郎(うりゅう きょうしろう)

【超高校級の吟遊詩人】落合 隼人(おちあい はやと)

【超高校級の錬金術師】ニコラス・バーンシュタイン(Nicholas・BarnStein)

【超高校級の華道家】小早川 梓葉(こばやかわ あずは)

【超高校級の図書委員】雲居 蛍(くもい ほたる)

【超高校級の射撃選手】風切 柊子(かざきり しゅうこ)

【超高校級の幸運】贄波 司(にえなみ つかさ)

 

 

『死亡者:計8人』

 

【超高校級の陸上部】陽炎坂 天翔(かげろうざか てんしょう)

【超高校級のオカルトマニア】古家 新坐ヱ門(ふるや しんざえもん)

【超高校級の忍者】沼野 浮草(ぬまの うきくさ)

【超高校級のパイロット】鮫島 丈ノ介(さめじま じょうのすけ)

【超高校級のチェスプレイヤー】水無月 カルタ(みなづき かるた)

【超高校級のダイバー】長門 凛音(ながと りんね)

【超高校級のシスター】反町 素直(そりまち すなお)

【超高校級のジャーナリスト】朝衣 式(あさい しき)

 




お世話になります、水鳥ばんちょです
新章開幕です
物語はクライマックスに向かっています




中央棟(update)↓


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