シャーマンキング BASARAを宿す者 (1時凍結解除) 作:タイキック新
第二話
「はぁはぁはぁ…くそっ!!」
夜遅くの道を急いで走り抜ける小柄な少年 小山田まん太
「塾のせいですっかり遅くなっちゃったじゃないか!これじゃ終電に間に合わないよもう…」
まん太は腕時計の時間を確認し、辺りを見渡すと墓場の抜け道を見つけた。
「そうだ!確かこの墓…まっすぐ突き抜ければ駅まで近道だったはずだ!ちょっとヤな感じだけどこうなったら行くしかないからね」
まん太はフェンスを乗り越えて、墓道を走り抜けようとする。
「そこのお前…何をそんなに急いでるんだ?」
「!?…え?」
まん太が声のした方を見ると、そこには葉が夜空を見上げて座っていた。
「な…」(なんだアイツ…こんな時間にこんな場所で、一人ぽつんと一体何をやっているんだ?)
(まさか!!幽霊!!?)
「うわっと!!そんなバカなことを考えてる場合じゃなかった!今日は録りたい番組もあるってのに」
まん太が走り出すと、また葉がまん太に声をかける。
「待てっつってんだろ」
「!」
「今日はこんなに星が見えるんだ。せっかくだからお前もこっちに来いよ。みんなで眺めようぜ」
まん太は、おかしなものを見る目で葉を見る
「星!?星なんか見てなんになるのさ」(なんだこいつ…おかしなヤツだな)
「それに君、文法が変だぞ。たった二人でみんなだなんて」
葉は立ち上がり、まん太に振り返る。
「いいや、みんなさ…この墓場のな」
葉の周りから、大量の幽霊が現れた。
それを見たまん太は、目を見開いて言葉が出てこなかった。
「!?」
「おっと、そう驚くなよ。こいつらみんな友達なんだ。いつまでたっても成仏できないろくでなしばっかだけどな」
ふらふらとするまん太、それを不思議そうに葉は見ていた。
「ん?どうした?」
「ぎっ…ギャアァァァ!!!!!」
そしてまん太は、慌ててその場を逃げてしまった。
「あーぁ…逃げちまった」
「当たり前だろ」
木の裏から、光が現れる。
「何でだ?霊が見えるヤツに悪ぃやつはいねーぞ?」
「それはお前の偏見だろ?実際はわからないじゃねぇか」
「とりあえず、めんどくさい事が嫌なら、基本は知らねぇふりでもしておけよ、葉」
「ん~」
ポリポリ
葉は頭を掻いて、やる気のない返事をする。
そして次の日、まん太は学校で夜に見たことを、学校の友達に話しをしていた。
「だから本当に見たんだってば!!あの墓地で!幽霊が!星見ながらワイワイやってたんだよ!そりゃ僕だってこの目を疑ったさ!!」
「オレはお前の頭を疑うぜーまん太よー」
「うほっ!?」
しかし、まん太の友人は誰もまん太の話しを信じようとはしなかった。
「幽霊なんてんなもんいるわけねーだろ」
「どうせ何かの見間違いでしょ」
「お前勉強のしすぎで頭疲れちゃってんじゃねーの?」
「いや っつーかこいつは霊に憑かれてるんだろ?」
「何ぃぃ!!!」
「うるせぇぞ、何騒いでんだ小山田!
まん太は、不満な顔をしながらも席に戻る。
「あーつうわけで今日はテメェらに突然の知らせがあるんだがー」
(じゃあ昨日のあれは一体なんだってんだ!?夢でも見たってのか!?)
「転校生の麻倉葉くんと麻倉光くんだ」
ざわざわ
「あー彼らは双子で家の事情で出雲からやって来たそうだ。っつうわけでテメェらもいろいろ面倒見てやってほしい…ってんん?」
先生がまん太を見ると、まん太は口をあんぐりと開けて葉を見ていた。
「なんだ小山田!?変な顔して」
「こ…ここここいつだぁ」
まん太は、大声で葉に向けて指を差す。
「みんな、こいつだよ!こいつが例の幽霊男さ!」
葉と光は訳のわからないと言った顔で、まん太をみる。
「幽霊なんているわけないだろ?っていうかお前誰?」
「幽霊がいたとしてもこいつには見えるわけないよ?」
「何ぃぃ!!」
『へぇ、こいつには見えるのか』
「!?」
まん太には知らない誰かの声が聞こえたが、その声の正体はわからなかった。
そして、休み時間になると、葉はずっと机に伏せて眠って、光はどこかに消えてしまう。
葉に問い詰めようとしても無駄と悟ったまん太は光を探すことにした。
「葉ってヤツと双子なら光ってヤツも何か知ってるかもしれない」
まん太は外に出て光を探していると光の声が聞こえる。
「あんまり、しゃべらないでくれよ政宗」
『別にバレてもいいじゃねぇか』
「めんどくさいからパス」
『はぁ~、それにしても、ずいぶんとBoring*1な場所だな、かつての寺子屋ってのは、もっとこう、Soul(魂)がぶつかり合う場所だと思ってたんだがねぇ』
「お前が家だと退屈だからって連れてきたんだろ、頼むから言うこと聞いてくれ」
『OK、OK。アンタの顔を立てて、しばらくは鳴りを潜めてやるよ』
政宗は、光の持っている位牌に入り込んだ。
「はぁ~…ったく」
「ねぇ…光くん…」
「!?」
光が振り返ると、まん太が立っていた。
(ヤバっ…バレた?)
「今、誰かと喋ってなかった?」
どうやらギリギリバレていなかったようだ。
「え?なんのこと?オレはずっと一人だったよ?」
その後も、休み時間になる度にまん太に追求され続けるが、何とかごまかしきった。
(あの光って人はこれ以上追求してもダメそうだし、こうなったら、絶対にあの二人の正体を暴いてやる!!!)
まん太が覚悟を決めて、そして放課後
(ときたら、やっぱり尾行だよね)
まん太は、葉と光が帰るところを確認すると尾行を始める。
「後つけりゃきっと何かつかめるハズさ!」
そして、橋までついたところで葉と光は二人で話しをしていた。
「葉、お前はどーする?」
「オイラはしばらくここにいる、まだしばらくは帰らないぞ」
「わかった…暗くなるまでには帰れよ?」
「わかってるって」
「ぐぬぬ~な…何を話してるんだ…よく聞こえない…」
そして、光は先に家に戻り、葉は橋の上でボーッとし始めた。
(あ…!!…え!!?…と…とりあえず追いかけてバレたら意味がないしあの橋にいる方を尾行しよう!)
三時間後
(あ…あいつ…一体いつまで!!あそこでボーッとしてるつもりなんだぁ!!!)
橋の上からまったく動こうとしない葉に、まん太はイラつきだしていた。
(あぁ時間が勿体ない!一体何が楽しくて川なんて見てんだよ!?)
イラついているまん太を他所に、葉がやっと口を開く。
「あーっ自然と一体になるって気持ちいーなーっ」
「なんじゃそりゃあ!!!」
葉の能天気ぶりに、まん太は尾行していることを忘れ、うっかり大声でつっこんでしまった。
「んあ?」
「あぁっ!しまった!ついつっこみが!!」
葉はまん太から事情を聞いて、ケラケラと笑っていた。
「ははは、そうかーそれでオイラと光の後をつけてたのか、そりゃ悪いことをしたなー」
「え…!?怒ってないのかい!?」
「何で?お前 オイラ達が学校で知らんぷりしたからついてきたんだろ?なんなら光にも知らんぷりしてたって証言してもらってもいいぞ?」
「じゃ…じゃあやっぱり!」
葉は、ばつの悪そうに頭を掻いて苦笑いする。
「いやぁ…オイラめんどくさがりだからさぁ、学校で秘密がバレて騒ぎになるわけにはいかんかったのよ。光にも知らんぷりしとけって言われたしな」
「ひ…秘密…!?」
「なんだ、めんどくさがりのお前が…喋っちまったのか?」
「!?」
葉とまん太の下に、光が戻ってきた。
「おぉ~光、悪いな…喋っちまった」
「はぁ…まぁいいよ、修行に影響がなければ…な」
「しゅ…修行って…」
「ああ、オイラ達、実は修行の為にやって来た シャーマンなんだ」
「シャーマン…」(ってなんだ!?)
「葉…シャーマンっつっても多分わかんねぇぞ?」
「ん~そうかなぁ」
葉の変わりに、光がまん太に説明する。
「まん太…くんだっけ?シャーマンってのはな、あの世とこの世を結ぶ者の事をいうんだ…っつってもわかりずれぇかな?」
「まぁいいじゃねぇか」
葉は、立ち上がり家に向かう。
「困ったことがあったら いつでも呼んでくれよ。力になるぞ」
「おい、葉!」
光も葉を追いかけて走り出す。
「何でも屋じゃねーから、何でもかんでも引き受けるわけにはいかねーけど、可能な限りは手を貸すからよ、じゃあ!また学校でなぁ」
「……わからん…」
光は、葉に追い付くと、一つだけ確認する。
「葉…今日もあの墓場に行くのか?」
「ん~にゃ、今日はボブの音楽を聞いて家でまったりする予定だ」
「あっそ」
それから夜遅く…光は1人で昨日の墓場にやって来ていた。
『おぉー!光ちゃんに政宗さん!今日は遅かったねー!っと…今日は葉ちゃんはいねぇのかい?』
「よっ!葉は今日は来ねぇんだわ、ごめんな」
『……Huh。ここはいつ来てもNOISY*2な場所だな』
『のい…なんだって?』
「あー、騒がしいって事だよ」
『ははっ!違ぇねぇ!それよりもよぉ聞いてくれよ光ちゃん』
「?」
光に話しかけていた幽霊は、真剣な表情で話す。
『最近ここにたむろしている連中にオレたち困ってんだよ、何とかならねぇかなぁ?』
「たむろ?幽霊がか?」
『違う違う、人間だよ』
「人間?」
『あぁ、今さっきまで居たんだけどな、さっき小柄な少年を連れてどっかに行っちまったんだよ。ちょうど光ちゃんと似た服を着ていた子でなぁ』
「!?」
光の顔色は変わり、幽霊に問い詰める。
「おい、そいつらはどこに向かって行った?」
『お…おぉ、向こうの林の方に…』
「ありがとう!いくぞ!政宗!」
『OK』
光は林の中に入り、まん太を探す。
『おい、麻倉光、連れていかれたヤツってのは昼間の』
「あぁ、多分まん太だ」
それから林の中でまん太のと思わしき血痕が見つかり、光はその日はそのまま家に帰っていった。
「葉…」
「?」
次の日学校に登校すると、ボロボロになったまん太が学校に居た。
「葉…」
「わかってる」
「まん太は実はバカだったんじゃねーか?」
ハッハッハ!
「くっ…」
「霊ならいるさ」
まん太の後ろから、葉が話しに割り込む。
「んてっ…転校生!」
「事情は…光と墓場の連中から聞いた」
まん太は、ヤケクソ気味に返答する。
「墓場の連中ってなんのことだい?僕は忙しいんだよ君と違って」
「お前…まん太とか言ったな」
葉はまん太の手を取り、教室を飛び出す。
「さぁ、仕返しにいくぞ、まん太」
「ちょっと待てぇぇーー!!」
「誰が助けてくれなんて言った!!?人の話し聞いてんのか!?そもそも君に助けてもらう筋合いなんか…!」
「おーい!葉ー!」
葉とまん太を追いかけて、光がやってくる。
「光くん!君からもなんか言ってやってよ!」
「オレも行く!」
「えぇーーー!!」
「当然だろ?」
「え?」
光がまん太を見て、にこりと笑う。
「友達だからな」
「は?」
光の言葉に、葉が続く
「友達だから助けるんだろ」
「オイラ達のじいちゃんが言ってた。霊を見ることが出来る人間に悪いヤツはいねぇって、だからあの夜霊を見たお前にはオイラ達の秘密を教えたんだ」
「葉の言葉全てを肯定するわけじゃねーけど、少なくともお前はいいヤツだし」
「友達だからな!いいだろ!」
「よくない!よくないぞ!」
「それとこれとは別だぞ葉!」
まん太は葉の手を振りほどく
「誰が君たちみたいなのと友達になれるか!!それに君達だってあいつの恐ろしさは聞いてるはずだ!絶対に勝てっこなんかない!あの人数にあの男!どう考えたって君なんかじゃあ!」
「あぁ、確かにオイラ達は弱いぞ」
「おい、ちょっと待て、達って言った?達って」
「だったらなおさら!!」
「でもなんとかなるから」
まん太の手を取り、再び葉はまん太を引っ張る。
「なるのか!」
「大丈夫だよ聞いた話だとそいつ木刀使いなんだろ?」
「おう、こっちにゃそれよか強い味方が二人も憑いてるからな」
「1人そばにいるしな!」
葉と光は、笑ってまん太を引き連れていく。
「わっ…わからない…頼むからこの手を離して、助けてくれぇ~!!」
そして、まん太を引き連れたまま墓場に到着する。
「もう目の前だし!!!」
墓場では、木刀の竜とその子分達がちょうどたむろしていた。
「あぁ?テメェ今なんつった?」
「何だ?耳くそ詰まってんのか?お前…ここから今すぐ出てけっつったんだよ」
『HA!ずいぶんとCRAZYな台詞を吐くじゃねーか、麻倉光』
「いつの間にか霊が出てるし!」
木刀の竜と子分達は、葉達を睨み付ける。
「ブッ!殺されてあの世に行きてぇのかコラァ」
「って言うか…そのあの世の連中がアンタらをメーワクだと言っとるんです」
葉の言葉に一瞬呆気にとられた不良達が、笑いだす。
「ヴァーッハッハッハ!!!また霊だとよ!」
「バーカ!竜さんは霊なんかちっとも怖くねぇぞ!」
「おうよ!やれるもんなら」
「やればいいんだろ?」
「!?」
葉の予想外の台詞に、一瞬だが不良達が戸惑う。
「さっきからもう戦いたくてウズウズしてるヤツがいるんだ。だよな?阿弥陀丸!」
「こっちもやる気だしちまってるからよ、手加減できねぇぞ、な?政宗!」
葉の後ろには阿弥陀丸の霊が、光の後ろには政宗の霊が並ぶ。
「サ…サムライと武将の霊が二人!?」
『この度は拙者の屈辱を晴らす機会を与えて頂き、感謝いたすでござる。葉殿!!!』
『さぁて、PARTYの時間だ、楽しもうじゃねーか』
「屈辱!?屈辱ってもしかしてこの幽霊…あの…壊された首塚の主…阿弥陀丸!!!伝説の侍!!!」
(確かに…本物の侍と武将なら木刀なんかメじゃないはず…でも…)
「オイオイオイ…いい加減にしろよ…オイ!また阿弥陀丸とか言うクソの話しか?」
当然、霊である阿弥陀丸と政宗に攻撃する手段はない…本来ならば
「オイ…スペースショット…アパッチ」
あだ名で呼ばれた竜の部下が、前に出る。
「やつらを…ブッ殺せぇ!!!」
「来たぁぁぁ!!来たよ!!どーすんだよ!!」
慌てふためくまん太を無視して、葉と光は呑気な顔をしていた。
「よっしゃ、いっちょやるか?阿弥陀丸」
「待てよ葉…まずオレたちがやる、葉はあの木刀男をやりな」
光が葉より前に出て、戦闘体制になる。
「ずいぶんやる気だな、光」
「オレの政宗もウズウズしてたってことさ」
『いつでもOKだぜ光、Let's!party!』
「よっしゃ!政宗!ヒトダマモード!!」
「ヒ…ヒトダマになった!」
「葉!こっちは無視して構わねぇからさっさとお前もやりな!」
「おう!そんじゃ、行くぞ!阿弥陀丸!」
『うむ』
「いっちょ見せつけてやろうか!お前の剣技とオイラの能力が合わされば無敵になれるってことを」
阿弥陀丸もヒトダマに変わり、葉の掌におさまる。
「こっちも!?」
「言っただろう?あの世とこの世を結ぶ者ーそれが、シャーマンだってな」
「「行くぞ!」」
光は政宗の魂を、葉は阿弥陀丸の魂を、自分の身体に埋め込んだ。
「「憑依合体!!」」
「ヒトダマが身体の中に入っていく!?」
「「死ねー!!」」
ゴッ!
葉は、卒塔婆を手に取りしたっぱの攻撃をかわし、光は、腰に着いた刀を一本抜いて、峰打ちで二人を凪ぎ払う。
「あの二人がやられた!」
「それにあのガキ、腰に刀をつけてやがる!いつの間に!!」
「『悪いねぇ、アンタらとオレたちじゃレベルの差がありすぎるみてーだ。今ならまだESCAPE*3を許可してやるぜ?』」
「『そうはいかんでござる、せめてやつらの大将はこの卒塔婆の錆びにせねばいかんのでな』」
葉は木刀の竜に、
「『さぁ、次は己の番だが、覚悟はよいでござるな?』」
(な…なんだこいつら…さっきとはまるで別人じゃねーか……それにさっきの動き…ありゃシロートの動きじゃねぇ)
「『どうした?本物の殺人剣を前に、己のままごと剣法が恐れをなしたのか?小僧』」
「う…うるせぇぇぇ!」
「いけない!今彼らに剣を向けちゃダメだ!殺されるぞ!」
まん太が、必死に竜を止めようとするが、竜はとまらない。
「今全てがわかった!!あの世とこの世を結ぶとは!彼らが自分の身体に霊を取り憑かせ!霊の動き!技!全てを!」
「全てをこの世にトレースしてしまうことだったんだ!!」
葉は竜の木刀をいなし、懐に入ると真下から竜の顔面スレスレに卒塔婆を突き上げる。
ドヒュ!
「安心しろ、殺しはせん。お主のようなヤツに我々の同類になられてはかなわんからな」
竜のリーゼントは前部分を切り落とされ、そのまま竜は気を失った。
「『HA!excellent!期待以上のキレじゃねぇか、阿弥陀丸!』」
「あぁー!!」
「竜さんが負けたー!!」
竜のしたっぱは、そそくさと逃げていった。
それと同時に、葉と光も憑依合体を解いて元に戻った。
(シャーマン…あの世とこの世を結ぶもの…麻倉葉と…麻倉光…)
政宗の喋り方がいまいち掴みづらいといいますかなんといいますか…まぁ、その内成らします。