シャーマンキング BASARAを宿す者 (1時凍結解除) 作:タイキック新
「はぁはぁはぁはぁ」
「ふっふっふっふっ」
今日も葉と光の二人は修行で走り込みを行い、まん太も自転車を走らせながら二人について行っていた。
「はぁはぁっはぁっ、ちょっとストップ、小休止小休止」
「ぜぇっはぁ、オレもだ、キッツい」
葉は、以前につけられた重りを着けて、光は、重りと両手に握力ギプスを着けて走っていた。
『頑張れ葉殿に光殿、もう半分は過ぎたでござるよ』
「オレの残りの体力も半分をきったわ」
「って言うかまだ半分?はぁ、涙が心の汗なら汗は心の涙かな」
『意味がわからねぇんだが』
「よーするに泣きたくなるほどしんどいって事で」
「しかし、よく続けられるね」
「?」
まん太が、二人の重りを見て話す。
「その重り増える一方じゃない」
「そりゃあ、あの二人は重りを減らすなんて事しないだろうしなぁ」
「でも最近、飯が旨いんだよなぁ」
「『『はぁ?』』」
光以外の三人の頭の上には、クエスチョンマークが浮かんでいた。
「つまり、美味しい飯を食うために運動してるようなもんだな。えっへっへっへ」
「あー、それは分かるかもしれない」
「光くんも?って言うか、よくその手でご飯食べられるね」
光は、ニコッと笑い両手を上に上げる。
「まぁな、結構慣れて来たんだよ。ホラ」
光は、両手をグーパーと2~3回程繰り返して手を動かして見せる。
「す…凄い」
「まだ、油断すると引っ張られるけど、それでもかなり成長したよ。最初の数日は飯もロクに食べられなかったからなぁ、それから考えるとかなり握力が上がったと思う」
「アンナに散らかすなってぶっ飛ばされてたもんな」
「ぶっ飛ばされた後に掃除をさせられて、あの理不尽さったらないな」
(その光景が簡単に想像できる)
「辛くないの?」
まん太がそう訪ねると、葉と光の二人は顔を合わせてもう一度、まん太に視線を向ける。
「うーん、鍛えりゃオイラも阿弥陀丸も楽になるし、それに、楽しくなるように考えりゃ楽しくなるってもんさ」
「強くなるには鍛えないといけない、コレばっかりは変えようのない自然の摂理さ、けど、どんなに辛くても、鍛えた後に後悔することなんてない。オレはそう思ってるからな」
『葉殿』
『フッ』
葉と光は、休憩を終えて立ち上がる。
「ふっ!この調子だとどんぶり5杯は軽いな」
「おっ、じゃあオレは10杯食うぞ」
「なんで対抗しようとするの、二人とも腹具合もどんぶり感情だね」
その後もロードワークを続けていると、通りに張ってあるポスターにまん太が食い付いた。
「あぁー!」
「「『『?』』」」
「
「何だ?李白竜って」
「知らん」
「知らないの!?」
「「『『うん』』」」
まん太は自転車の上に立ち、どや顔で白竜を語る。
「李 白竜は、映画史上!いや、人類史上に残る伝説のアクションスターさ」
『アクションスター?悪人なのでござるか?』
「とんでもない!李 白竜は正義のために身体ひとつで悪に立ち向かうカンフーヒーローだよ」
「超人的肉体を駆使したスーパーアクションと、独特の奇声で世界中をブームに巻き込んだのは、歴史的に有名だよ!」
『ずいぶんとheat upして語るじゃねぇか、小山田まん太』
「当然だよ!何たって伝説とまで言われたアクションスターなんだから!」
「17年前じゃ、オイラたち産まれてないし」
『拙者も死んだ後の話ゆえ』
『この竜を本気にさせる奴は少なかったからな、あまり死んだ後の事には興味がねぇ』
「そーゆうのは見たことなかったからなぁ、よくわからんままだとあまり見る気にならないから」
「だったら一度見てみなよ!絶対に感動するから!」
「うーん、いいやぁ、小遣いもないしなぁ」
「オーレも」
二人はロードワークを再開した。
「ま、待ってよぅ」
「白竜 怒りの一発は彼の主演作品の中でも最高傑作と言われていて!」
まん太は二人を追いかけながらも、白竜について熱く語り続けていた。
「李 白竜はこう言った。力と力の衝突では、相手だけでなく、自分にもダメージを与えるってね。激しい衝撃には反作用が生まれる、それがいつか、限界に達したら壊れてしまうって」
まん太の熱演に、二人は走りながら黙って聞いていた。
「ほぉ~」
「は~ん」
「日本で言う柔よく剛を制すってやつさ、固い枝は折れちゃうけど、しなやかで柔軟性のある小枝は折れにくいだろ?」
「李 白竜はフェイントと多彩な蹴り技で相手を翻弄するんだ。そうして、虚をついて必殺の一撃を討つ!どう?シャーマンファイトの参考になるんじゃない?」
「いやぁ、どーだろ?」
「シャーマンファイトと格闘技は違うよ」
「…そりゃそうだけど」
葉はまん太を見て一つ質問する。
「オマエ、なんでそんなに李 白竜の映画を見せたがるんだ?オイラたちにさぁ」
「葉くんと光くんに…」
「「?」」
「葉くんと光くんにも知ってほしいんだ。僕が好きな物を…知ってもらいたいんだ」
二人はお互いに顔を見合わせ、まん太にもう一度顔を向けてニコリと笑う
「「そっか!」」
「うん!」
その後も、まん太の熱演は続いた。
「李 白竜の凄いところはさ!そのスゴさが映画の中だけのフィクションじゃないって所なんだ!」
「はぁ~」
「へぇー全部自分の身体1つでやってるんだ」
「そうなんだよ!そこが李 白竜の凄いところさ!」
葉と光は家について、昼食を食べながらまん太の話しを聞き続ける。
「彼は、世界中の格闘技をミックスして独自のカンフー、
「「導弾道?」」
「うん!史上最強の格闘技と言われている一撃必殺の拳法さ!中国で言う導弾、つまり、ミサイルのような破壊力を持つって意味」
テレビを観ながら、アンナと双葉が三人の会話に混ざる。
「駄目よ、映画代なんて出さないから」
「「「え~っ」」」
「そうですよ。ただでさえ家にはそんな余裕ないんですから、映画代なんて出せる訳ないじゃないですか」
「文句あるの?」
「「うっ…」」
「で…でもね、導弾道の真の目的は、敵を倒すことだけじゃないんだ」
「って言うと?」
「カンフーだから、敵を倒さねぇといけねーんじゃねーの?」
「李 白竜が目指したのは、武道を通じて己を知ること、そして、己の世界に存在する一番大元である何かを見つけ出すことなんだ」
「ほぉ~」
「オマエ詳しいな」
「へへっ常識だよ常識」
どや顔で胸を張るまん太に、アンナと双葉は、中々にきつい言葉をかける。
「何言ってんのよ、自分が弱いもんだから、つい強い者へ憧れを抱いてしまうんだわ」
「えぇ、弱い人が必ず起こす現象ですよ」
「憧れって自分からかけ離れているほど、強くなるものなのよね」
「どれだけその人が弱くて脆いか、よく分かりますね」
まん太はショックを受けて固まってしまい、葉と光の二人は苦笑いをするしかできなかった。
「オイ、この程度で気を落としてたら身が持たんぞ」
「おう、今のはまだ軽い方だからな」
「かけ離れている…そう、確かに遠すぎるよ、李 白竜は」
「「え?」」
「17年前、導弾道の完成を見ずに、彼は謎の急死を遂げた」
「死んじまってるのか」
「うん。しかも、葬儀中に死体が消えちゃって、ついに見つからなかったって言う謎を残して」
「死体が?」
「消えた?」
死体が消えるという言葉に、アンナと双葉は妙に反応する。
それと同時に、葉と光の二人は昼食を食べ終えた。
「ごっそさーん」
「ごちそーさん」
「ねぇ、アンナさん、双葉さん、いいでしょ?葉くんも光くんも毎日頑張ってるし、たまには息抜きでも」
アンナは急に立ち上がる。
「ねぇ、二人とも!」
「アタシも行くわ」
「「「え?」」」
「何よ」
「い、いや別に」
アンナが映画を許可したことに三人は驚く。
「それじゃあ皆で確かめに行くか、李 白竜の強さをさ」
「そうだな」
『拙者も行きたいでござる』
「私は遠慮しますね」
双葉が断ると、光が双葉に話しかける。
「?なんだ行かねーのか?」
「えぇ、こういうのは、義姉さんが適任でしょうし、私は留守番してますね」
「あと、光さんはギプスつけたままですよ?」
「へいへいっと」
双葉は先程と変わらず、お茶を啜りながらテレビを観ていた。
「頼んだわよ」
「はい」
「「「適任?」」」
その後、四人と2体は李 白竜の映画を楽しんでいた。
「おぉー!」
「おー!」
「スゲー!」
バゴン!
「「うるさい」」
「はい…」
葉は、映画に興奮して声を出していると、隣に座っていたアンナと光に殴られてしまった。
映画も無事に終わり、四人は映画館から出てきた。
「いやぁ!ホントに凄いな!李 白竜は!」
「でしょー!光くんはどうだった?」
「うん?あぁ、面白かったよ。確かに格好いいな李 白竜」
「単純」
『中々に面白ぇmovieだったじゃねーか』
『いやぁ!拙者も感動したでござる!映画なるもの初めて観たが、実に素晴らしいものでござった』
「水のごとくあれか、いいこと言うな」
ドン
「あたっ!」
葉は歩きながら映画を思い出していると、何かにぶつかってしまった。
「いって~、なんだぁ?」
「葉くん!」
「!」
葉がぶつかった物を確認しようと頭を上げると、そこには一人の顔にお札を男がたっていた。
(あいつ!こないだの!)
『葉殿!こやつこの前の!』
葉と光が、警戒すると、建物の陰から、お札を付けた男たちがゾロゾロと現れてきた。その数は、10体はいた。
「キョンシー」
「そうだ!あれは動く屍人形!キョンシーだよ!」
「やっぱりそうか」
「二人とも離れてな、光、手を貸してくれ」
「おう」
葉が鉄パイプを持つと、一斉にキョンシーが二人に襲いかかる。
「行くぞ政宗」
『その手でやれんのか?光』
「あの程度なら、多分な」
「阿弥陀丸!」
「政宗!」
二人は、同時に動き出した。
「「ヒトダマモード!」」
「「憑依合体!」」
「相手が多すぎるよ!」
「大丈夫よ」
「え?」
二人に襲いかかるキョンシーたちだが、憑依合体した二人に一瞬で吹き飛ばされる。
「うん、まぁまぁ」
『ギプスありでもかなりいい動きだったと思うぜ』
「だいぶ動けるようになったんじゃないかな?」
『さらに心地よい一体感を感じたでござる』
「えっへへ、飯が美味しくなるだけじゃないんだね、運動の成果は」
パチパチパチ
「「?」」
どこからが拍手の音が聞こえ、二人は音のする方に振り返る。
「お見事だったわ、麻倉葉くん、麻倉光くん」
「「はぁ?」」
二人が振り返った方向には、一人の女性が立っていた。
「あれだけのキョンシーを当ててもものともしないとは、甘く見て失礼したわ」
「アンタ誰?」
「どっかで会ったか?」
「私の名は、
「道潤?」
「道…どっかで聞いたような…?」
「道!?それじゃあ」
まん太は思い当たる名前だったようで、反応する。
「姉よ、蓮の」
「アンタもシャーマンね」
「蓮…蓮…あー!あのとんがりコーン頭の!」
「光くん、ずいぶんと変わった覚え方だね」
「その通り、私は道士」
「「道士…」」
「たしか、道士は呪符でキョンシーを自由に操るシャーマン、お札に書いた呪符で色々な行動パターンをプログラムできるって」
「いかにも、道士は偉大なる我が国に古来より伝わるシャーマンの創始術よ」
「今日は貴方たちにお願いがあって来たの」
「え?嫌です」
「まだ何も言ってないよ光くん!」
「だって初めてあった奴のお願いなんて、どうせロクな事じゃねーもん」
「フフっせっかちね、まぁいいわ、お願いっていうのは、愛する弟蓮の為に、貴方たちのサムライと武将の霊、阿弥陀丸と政宗をいただけないかしら?」
「ホラ、やっぱり、絶対に嫌です」
「そー言われても、はいそーですかって訳にはいかないよ」
二人は、潤の頼みをアッサリと断る。
「大人しく差し出した方が身のためよ?」
「い~や!」
「子供みたいだぞ、光」
「中学生ならまだ子供だろ」
潤は脚に着けていたお札を取り出して、構えをとる。
「さぁ出てらっしゃい!我が戦士!李 白竜よ!」
「え!?」
「李 白竜だって!?」
ドカァン!
「「「「!?」」」」
葉たちの後ろで地面が破裂し、キョンシーの姿になった白竜が現れた。
「まさか!?」
「あれは!李 白竜!」
「…マジかよ」
その頃、一人留守番をしている双葉のいる家に、福と慶次の二人がやって来た。
「やっと見つけた」
『ここまで来るのにずいぶんと時間がかかったなぁ』
「光さんの家をしらなかったんだもん、しょうがないよ」
『それじゃあ、さっさと会ってみようか!』
「そ…そうだね」
福がインターホンをならして少しすると、双葉が扉を開け、福と顔を合わせた。
「はーい」
ガラガラ
「!?」(うわっ!綺麗な人)
「?どちら様ですか?」
「あ…あの!僕!安田福って言います!これ!つまらないものですけど!」
福は持っていた茶菓子を双葉に渡すと、双葉はそのまま受け取った。
「あ、どうもありがとうございます。家には何のようで?」
「あ…ああああの!僕!光さんに憑依の仕方を教えてもらって!それで!」
「あー、光さんに会いに来たんですか、ごめんなさい、今家に私しか居ないんです。よかったら中で待ちますか?」
「ははははい!」
双葉はそそくさと家の中へと入っていく。
「どーしたんだろう、僕、胸が痛い」
『カッカッカ! そいつは「恋」ってやつさ、福! どんなに時代が移ろおうと、人の心に咲く「恋」という華は、いつだって一番の絶景。……その胸の疼き、恐れることはない。存分に粋(いき)に楽しもうじゃないの!』
「よくわかんないけど…恋かぁ」
とんがりコーンってこの頃あったんだろうか?…まぁいいか