お気楽そうなトレーナーとナイスネイチャがほのぼの?頑張る話 作:たーぼ
誰得の何番煎じだよと問われれば、俺得だよと言い張ります。
※出来得る限りの配慮はしていきますが、ウマ娘の世界線での細かい設定やトレセン学園の制度を全て把握しているわけではないので、不備があってもその辺を特に気にしねえよって方であれば気楽にゆるっと楽しんでいってください。(もちろん故意的な設定弄りでないものにはご指摘くだされば修正します)
『日本ウマ娘トレーニングセンター学園』。
通称『トレセン学園』。
東京都府中市にあり、全国に存在しているウマ娘トレーニング施設の中でも最先端、最大規模の施設を誇り、また教育機関としても確立されている。
全国からスターウマ娘を目指すためにわざわざ中央へやってくるウマ娘もいるほど、今や『トゥインクル・シリーズ』は日本だけでなく世界でも注目されているのだ。
そんなトレセン学園では今日、ウマ娘の実力を測る選抜レースがあった。
自分の実力を示すと同時に、結果によってウマ娘を育成し、共に重賞と呼ばれるG1レースやドリームトロフィーを目指すトレーナーにスカウトされるなどといったウマ娘にとってもトレーナーにとっても大事な行事である。
当然、好成績を残したウマ娘ほど様々なトレーナーからスカウトされるお決まりとなっているのだ。
つまり、デビュー前のウマ娘にとって今だけは本番のレースよりも一着を取れるか取れないかで将来が色々決まってしまうほどの重大な出来事なのだが。
「……ふう」
それこそその名の通り、栄光の一着を取れるのはたった一人のみ。
一着以外の二着三着までは入着だとしても、到底トップほどのスカウトは来ない。
トレーナーだってどうせなら一着をとったウマ娘をスカウトしたいものだ。
現に、三着で入着したナイスネイチャには一人のトレーナーも話しかけてこない。みんな、一着を勝ち取ったトウカイテイオーの元でお世辞にも列とは呼べない人だかりができていた。
(まっ、そんなもんだよねえ。現実って)
元々自分の実力がどんなものか分かりきっているナイスネイチャにとって、この結果は落ち込む要素にもならない。
(主役とモブの違いっていうの? やっぱ眩しいわテイオー。アタシとはかけ離れてるねー)
同じクラスで席が後ろのテイオーとは割と話す機会も多いが、その時点でまずオーラが違うと察した。
夢は無敗の三冠ウマ娘と目標の大きいトウカイテイオー。特にそんなものもなく地元の人達に応援されただけでトレセン学園に来たナイスネイチャ。
そこから既に格が違う。
持つ者と持たざる者。それがトウカイテイオーと自分なのだと思ってしまう。
キラキラしている主役の方がこの先の未来はきっと明るい。
自分は素直にその日陰で細々とやっていく方が性に合っている。
(さて、トレーナーさん達はテイオーに夢中だし、脇役のアタシは商店街に寄って買い食いして帰りましょうかねー。……あ、そういや商店街のおっちゃん達今日選抜レース見に来てたんだっけ……うあーっ、ちょっと会いづらー!)
いつも応援してくれる人達にどう言い訳しようものかと考えながら歩いているネイチャだったが、そこに待ったをかける者がいた。
「おーいたいた。そこのウマ娘さんや、ちょっといいか?」
「……アタシ?」
「そうそう、君」
商店街の人達へ言い訳を考える暇もなく呼び止められ足を止める。
見た目は普通の好青年、歳は21~23といったところか。そこまでは普通の男性と変わらない。
しかし、ウマ娘からすればどうしても見逃せない部分があった。
襟に付いているバッジに視線をやりつつ、ネイチャは質問した。
「……えっと、もしかして、トレーナーさんだったりします?」
「もちろん」
「でーすよねー」
だがしかし、それで期待してしまうほどネイチャの卑屈思考は伊達ではない。
こういう時は大抵自分をスカウトしに来たとか胸躍る展開ではないのがオチだ。このトレーナーもきっとトウカイテイオーをスカウトするためにどこにいるか聞きに来たとかそういうオチに決まっている。そうだ、無駄な期待をしてはいけない。
と、自分の脳内で完結させテイオーのいる場所を教えようとした。
「……あー、テイオーならこの先の」
「ナイスネイチャ」
「ッ……は、い?」
まず、だ。
普通トレーナーなら先ほどの選抜レースを見ているに違いない。ならば必然的にそこから目的のウマ娘のとこへ移動するだけの話。
トウカイテイオーの元へ行くのは簡単のはず。
なのに、わざわざ選抜レース場から少し離れたここへ来たのは何故か。
そもそも、目の前のトレーナーは最初に声を掛けてきた時、何と言ってきたか。
『おーいたいた』
まるで探していた人がいた時のような言葉だ。
ナイスネイチャの中で、どこからともなく変な高揚感が押し寄せてくる。期待してはいけない。いけないのに、考えれば考えるほどウマ娘として期待してしまうような自分がいた。
名前を呼ばれたのだ。
トウカイテイオーではなく、自分の名前が。斜に構えがちな自分はどうあがいても変えられない。物事を少し穿った目で見てしまう自覚はある。
だけど、これだけはどうしてもそうであってほしいと思ってしまう。
ウマ娘だから、欲しいと思ってしまう。
眼前の人物を見る。
その者はネイチャに向かい、片膝をついて右手を差し出した。
まるで姫をダンスに誘う王子のように。
(……ん? いや、何でそんな態勢に──)
疑問に思う前に彼はこう言った。
「ナイスネイチャ、俺と一緒になろう」
「……は?」
夕陽が空を焼きつつある時間帯。
謎の告白と共に、ナイスネイチャとトレーナーの物語が始まろうとしていた。
アニメとゲームの設定ごちゃ混ぜになる可能性。
他の小説も書いているので不定期かもしれませんが、できる限り早く更新したい所存。
可愛いネイチャを笑顔にし隊。