お気楽そうなトレーナーとナイスネイチャがほのぼの?頑張る話   作:たーぼ

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33.トレーナー宅訪問(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 年を越し一月も中旬になった頃、いつも通りトレセン学園でのトレーニングが終わりトレーナー室で適当な談話をしていた時の事だった。

 

 

 

 

「しばらくはレースないんだっけ」

 

「ああ、最低でも次は10月。GⅡレースの『毎日王冠』からだな」

 

「ん~暇になっちゃうなあ」

 

「んな事も言ってらんねえぞ。今年のレースプラン見せたろ。『毎日王冠』の次からはGⅠレースが続くって。もたもたしてっとすぐに来ちまうぞ」

 

「だよね~」

 

 トレーナーが自費で買ったこたつで顔をとろけさせながら軽い返事をするネイチャ。それを恨みがましそうに一瞥しながらも作業を終えるためにPCとにらめっこ中のトレーナー。

 いっその事ノートパソコンでも買ってこたつで作業してやろうかと密かに計画を企てる事にした。

 

 夕方でもまだまだ暗い時期の空を確認してネイチャを見る。相変わらずこたつでみかんを食べていた。

 カタカタとキーボードを叩きながら会話に戻る。

 

 

「レースのないこの期間中に目一杯トレーニングして全体的に大幅アップしないとだからな。そのためにトレーニングメニューも季節ごとに結構変更になるから覚悟しとけよー」

 

「トレーナーさんが考えたものなら何だって頑張りますよ~っと」

 

「気の抜けた返事ばっかだなさっきから……」

 

(……まだ当分レースないし誘うなら早めの方がいいよね……)

 

 トレーニング終わりという事もあるのか疲労で空返事をしてくるのはもう仕方ないとする。

 少し目の前の作業に集中する事にした。

 

 レポートを打ち込みながら思い出すのは有記念の日。

 あの時、渡辺輝は不思議な現象を目の当たりにした。

 

 

(他のウマ娘にはなかった雰囲気……あるいはオーラのようなもの。()()()()()()()()()()()()()()()?)

 

 数多の資料を見てきたトレーナーにもその現象については何度か本で確認した事がある。

 ウマ娘には時々、異様なオーラや瞳からナニかが燃え盛るように漂う現象があるらしい。それは限られたウマ娘のみに見られ、時々その日のパフォーマンスの全てが完璧に近い時や、圧倒的な実力を持つ者のみに現れるモノだという。

 

 そこまでならまだ納得はできる。何せウマ娘自体、普通の人間とは異なる部分があり特殊な人体をしているのだから。そういう現象(モノ)が見えても不思議ではない。

 不可解なのは、それは本来ウマ娘同士だからこそ見えるモノなのにただのヒトである渡辺輝が何故見えたのかという事だ。

 

 

(正真正銘俺はただの人間だ。性別的にも人体的にもそれは間違いない。けど数ある資料にああいうのが見えるのはウマ娘同士と書いてあった。極稀に人間にも見えるほどのモノがあるとはあったけど、もしそうなら俺以外の人にも見えてたはずなのに滝野さんは見えてなかった)

 

 ならば何故、という疑問に解答をくれるものは何もなかった。

 一部の人間にしか見えないなどという過去の事例もなかったのだから無理もないのだが、そうなれば疑問は更に深まっていくばかりだ。

 

 レポートを打ち込みながら器用に別の事を考えていく。

 謎は更なる謎を呼ぶ。

 

 

「(試しに過去の色んなレースを見返してもアレが見える事はなかった。俺が見たやつはたまたまなのか、単に過去のレース映像で走ってたウマ娘にそれほどの娘がいなかったのかは分からない、か)」

 

 あれからあらゆる資料とネットでも調べたが何も進展はなかった。

 やはり偶然、あるいはアップで体を動かしていた後、冬という事もあり身体から汗の蒸気のようなものが出ていただけと解釈するのが妥当か。

 

 

「(だけど実際勝ったのはネイチャでもマックイーンでもなくダイサンゲンだった)」

 

「──さん?」

 

「(ならただの偶然にしてはおかしい。俺が見えてたのに俺よりも経験が深い滝野さんが見えないはずがない。くそっ、余計分かんなくなってきやがった)」

 

「──い、トレ──―さ―ってば」

 

「(もっと他に資料がないか調べてみるか? 確信がない以上、他のトレーナーに聞くのもかえって迷惑になっちまうよな。滝野さん、は……逆に笑われそうだな……)」

 

「トレーナーさんってばっ」

 

「うおわっ! あれ、ネイチャ?」

 

 気付けばすぐ横にネイチャがいた。いつからいたのかすら分からない。

 視線を前に向ければ既にレポートも終わっている。

 

 

「集中すると小声でぶつぶつ言う癖は相変わらずですなあ」

 

「そんな声出てたか?」

 

「小声だから何言ってたかはあんま聞こえなかったけどね。にしても器用だねえ。他のこと考えながら作業できるなんて」

 

「慣れたら誰でもできるんじゃねえの?」

 

「簡単に言ってくれるなこの人は」

 

 ふとキーボードの横を見るとポツンとみかんが置かれていた。丁寧に皮も剝かれている。

 ネイチャなりに労いのつもりなのだろう。ありがたく手に取って一欠片を口に頬張る。甘酸っぱさが酷使した脳に染み渡っていく。

 

 

(ま、考えるのはまた今度にするか)

 

 分からない事にいつまでも囚われていても前には進まない。

 ならば今は少しでもネイチャのためになる事を考えるのが先決だろう。

 

 

「そういやわざわざ俺のとこまで来てどうしたんだ? みかんくらいなら投げてくれても良かったのに」

 

「お行儀悪いでしょうがそんなの。んー、まあちょっとトレーナーさんと話したい事があったんだけど、下校時間も来たしまた今度でもいいかなー。大した事でもないし」

 

「何だよ。大した事ないならちゃちゃっと言ってくれてもいいんだぞ? これでも俺はお前のためならいつだって時間割くようにしてんだからな。それに明日から土日だし次会うのは来週になっちまうぞ」

 

「……や、だいじょぶだいじょぶ! ホントいつでもいいような事だからっ。また日を改めてから言うし!」

 

 の割には何だか煮え切らない表情のネイチャ。こういう時の彼女は変に遠慮している時だとトレーナーも分かるようになってきた。

 担当ウマ娘だから何も遠慮しなくていいと何回も言っているのに。

 

 なのでいっそトレーナーからこう言った。

 

 

「何か俺も気になってきたし月曜まで待てねえからさ、直接話す事あんなら明日ウチに来るか?」

 

「……え?」

 

「もちろん明日お前が用事なければだけど」

 

 目の前の少女が急に固まった。

 15秒ほど経った頃、頭からボフンっと煙を出してようやくネイチャが焦ったように声を出す。

 

 

「と、トレーナーさんの家に、アタシが!?」

 

「そうだけど……あ、いくら担当ウマ娘と言っても女の子1人で男の家に来るのは抵抗あるか。ならUMAINの方で言ってくれても」

 

「いいいい行きます行きます行かせてもらいます! 別に抵抗とか一切ないんで大丈夫だから!」

 

「お、おう……そうか、ならよかった」

 

 何だか食い気味で言われた。逆に気を遣わせてしまったかともう少し言葉を選ぶべきだったと内心で反省するトレーナー。

 そして、それとは別に気にしている少女が1人。

 

 

 

 

 

 

(ちょっと行きたいとこあるから誘うだけのつもりだったのにアタシがトレーナーさんの家に行く事になるなんて……どうしよう何か変に緊張してきた……!?)

 

 

 

 

 

 

 





はい、次回初めてネイチャがトレーナーの家に行きます。
愛いやつめ……。


では、今回高評価を入れてくださった、


ぴろし33さん、rumjetさん、小十郎さん、ポケモンマニアさん、百々芦ぺろりんさん、cesilさん


以上の方々から高評価を頂きました。
本当にありがとうございます!!




長々続かせるのも何なので今年中には終わらせたいです(願望)
とすると週一更新じゃ間に合わない可能性大という……。時間が欲しい!
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