お気楽そうなトレーナーとナイスネイチャがほのぼの?頑張る話   作:たーぼ

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35.信頼の証?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(基本は中距離だからそれに合わせたスタミナトレーニングを……いや、けど10月のレースはGⅡのマイルだからスピード優先の方がいいか……? ん~、けど割とすぐにGⅠレースが続くしなあ。はあ、アイス食いてえ)

 

 

 季節はほぼ夏となってきた6月中旬。

 絨毯やこたつを置いていた場所はすっかり元通り……という訳でもなく4畳ほどの畳が置かれており、そのすぐ傍には扇風機もある。窓には風鈴が吊るされ完全にこのトレーナー室を夏バージョンへとアップデートさせていた。

 

 1人で寝転ぶ分にはちょうどいい広さの畳で、扇風機の風に当たりながら座っているのはトレーナーではなくナイスネイチャだった。

 

 

「やっぱ夏は風鈴の音を聞きながら畳で涼むのが乙ですな~。まあ風鈴が揺れてるのはエアコンの風でだけど」

 

「今年はだいぶ早い梅雨明けだから窓なんて開けたら温風どころじゃないしな」

 

 ネイチャの何気ない言葉を聞いて一旦息抜きに入るトレーナー。

 凝り固まった体をほぐすために軽い伸びをする。気付けば時間もだいぶ過ぎており下校時間もすぐそこまで来ていた。

 

 直接扇風機に当たっているくせにうちわまで使っているネイチャが話しかけてきた。

 

 

「随分考え込んでたけどどうかしたの?」

 

「7月に合宿行くだろ? そん時のトレーニングメニューを考えてたんだよ」

 

「ああ、なるほど」

 

「夏合宿は短期間で大幅に能力向上が出来る大事な時期だ。それを今トレーニングメニューを考えるべきか、現地に行った時に周辺の地形を利用したトレーニングをその時に考えるかとか、何を集中的に鍛えるかを考えてたらもうどうでもよくなってきた」

 

「それダメじゃん」

 

 ある程度は考えているがそれがネイチャに適しているか、今後控えているレースで役に立つかと自問自答を繰り返していたら何が正解か分からなくなってくる始末だ。

 今よりも強くなるなら出来るだけ効率化させたいのがトレーナーの本音である。

 

 

「あ~これじゃまるで夏休みの宿題だ……。最終日に全部一気に片付ける気分になっちまう……」

 

「トレーナーさんはそういうタイプだったかあ」

 

 考え事が詰まった時は気分転換が良いのだが、如何せんマンガ以外にあまり趣味のないトレーナーにはそれも難しい話だった。

 外は晴れているのに気分は梅雨の雨模様だ。とりあえず時間も時間だしでこの事はまた後日考える事にした。

 

 

「ネイチャ、お前はもう帰ってていいぞ。そろそろ下校時間だろ。俺は机の書類片してから帰るから」

 

 言って机の上にある書類に適当に手を付けていく。

 しかし適当に返事がするかと思っていた彼女からの言葉は何もなかった。そういう挨拶は軽くでもいつもはするネイチャだったからか不思議に思い彼女の方を見ると。

 

 何か少し不満気な顔をしているネイチャがいた。

 めちゃくちゃジト目でこちらを見ている。

 

 

「ど、どした……?」

 

 恐る恐る問いかけてみると、珍しくちょっぴり頬を膨らませながらネイチャが答えた。

 

 

「……五日前に今日は晩ご飯作りに行ったげるって話、忘れてません?」

 

「……あ」

 

 そういえばそんな事を話していた気がする。

 ネイチャのトレーニングとトレーナー業務に追われてすっかり忘れてしまっていた。

 

 ネイチャが初めてトレーナーの家に来てからというもの、たまにだがトレーナーの食生活を心配してか昼の弁当だけでなくわざわざトレーナーの家に来て夕食を作りに来てくれる回数が増えたのだ。

 弁当も割と作ってきてもらっているからさすがに悪いと何度か断ったものの、ネイチャ自身が料理の腕も上がるしトレーナーの健康にも繋がるからと言って結局その好意に甘えさせてもらっている訳である。

 

 結論、全体的にトレーナーに非があった。

 

 

「こっちは五日前から何作ろうか考えて買い込んだ食材を冷蔵庫に入れてるってのにさー」

 

「いつの間に買って入れてたんだ……」

 

「ちなみに今日はハンバーグです」

 

「ひゃっほう今すぐ帰ろう我が愛しのマイハウスへええええッ!!」

 

「もうっ、調子良いんだから」

 

 そう言いながらも微笑むネイチャからは謎の母性を感じた。

 ひとまずは滅入った気分をリフレッシュできる予定が確定したので書類を爆速で整理し片付けていく。

 

 

「トレーナーさんってホントハンバーグとかから揚げとか子供が好きそうな食べ物が好きだよねえ。子供舌っていうのかな」

 

「前々から思ってたけどむしろハンバーグやらから揚げが嫌いな人とかごく少数だろ。過半数の人は絶対好きというか安牌みたいなとこあるし、変に凝りすぎた料理よりかは分かりやすくてまだ好感持てる方なんじゃないか? 知らんけど」

 

「そういうもんかねえ。ま、アタシもその辺は作り慣れてるからトレーナーさんが分かりやすくて助かるけど」

 

「誰かに分かりやすいって言われるとあれだな。何か小バカにされてる感あるよな」

 

「してるよ」

 

「してんの!?」

 

 ガラスのハートにピシリと亀裂が入ったのは気のせいではないだろう。

 たまにストレートな事を言ってくるネイチャだが、その度にトレーナーの心がブレイクされている。子供の言葉は大人に効いちゃうのだった。

 

 精神ダメージで挫けそうなトレーナーは何とか踏ん張って体を立たせながら、

 

 

「まあ、ネイチャが作る料理は全部美味いから俺の好きなもんも変わりつつあるけどな」

 

「え、そうなの? 何か好きなものでも増えた?」

 

「つうかお前が作るやつ全部美味いから大体が好きになってる」

 

「ぐぇあはっ!」

 

 今度はネイチャが精神ダメージ(?)を喰らった。普通に自分の料理をべた褒めされるのに慣れていない少女。

 ここにきてカウンターの反動はでかかった。

 

 そしてトレーナーの無自覚猛追は止まらない。

 

 

「おっと、そういやアレ忘れてた」

 

「アレ?」

 

「ほら、これ持っとけ」

 

「わっと。……ナニコレ」

 

 トレーナーから投げられた物を受け取る。

 ひと目見ればそれが何かはすぐに誰でも分かる。いいや、分かるからこその疑問がネイチャの中に生じた。

 

 

「何って見りゃ分かるだろ。俺ん家の合鍵」

 

「デスヨネ~。……え、ナンデ?」

 

「何回も俺の家来てるし、別に担当ウマ娘だからいいかなって。暇な時とか大体家にいるし来ていいからな。お前が来た時のためのゲームとかまだあるし」

 

「あ、うん。えと……ありがとーございます……」

 

 もはや何も考えずにただ返事をするだけになっている。

 トレーナーとしては普通に渡したのだが、あまり嬉しいようにも見えないのでもしかしたらありがた迷惑だったのかもしれない。

 

 合鍵というのは基本家族や恋人に渡すのが常識である。

 しかしこのトレーナー、彼女いない歴=年齢なのでそういう常識も乏しかったりする。普通に何の下心も一切なくただ担当ウマ娘で信頼できるからという理由だけで渡しているのだ。結婚詐欺とかに騙されなければいいが。

 

 

「……一応家の鍵だから無くさないでくれな」

 

「え? あーうんうん、大丈夫大丈夫! それはもう、ほら……厳重に保管するからマカセテ!!」

 

「いや保管したらそれはそれで意味なくなるんだが」

 

 頭大丈夫じゃないトレーナーがネイチャの反応を見て心配するほどにはネイチャがテンパっていた。

 そんなこんなで下校時間のチャイムが鳴る。これを聞くと何故か空腹を感じてくるから不思議だ。

 

 トレーナーの脳内はもうハンバーグの事でいっぱいになっている。

 合鍵なんて二の次だ。

 

 

「とりあえず帰ろうぜ。門限までに作ってもらわねえと。もう俺の口はハンバーグになっちまってるぞ」

 

「……はいよー。お腹ペコペコなトレーナーさんのためにもちゃちゃっと行きますか~」

 

 いつも通りのトレーナーのおかげで強制的に我に戻った様子のネイチャ。

 冷蔵庫から食材を取り出し袋に入れてスクール鞄と一緒に持って隣にやってきた。のでトレーナーはネイチャが持っている食材の入ったビニール袋を半ば取る形で持ち手に指を絡める。

 

 

「そっち持つよ」

 

「大丈夫ですよー。ウマ娘なんだからこんなの重い内に入んないし」

 

「それでもだっつの。こういうのは重い軽いの問題じゃねえんだって」

 

 言うがままビニール袋を取り先を歩く。

 こういうとこだけはちゃんと男女の意識をしっかりしてるという事か。ただ大人が子供に荷物を持たせる訳にはいかないと思っているだけかもしれないが。

 

 それでもそんな些細な気遣いがネイチャにとっては嬉しいようで。

 

 

 

 

 

 

「お~頼りになりますな~」

 

「へいへい、お世辞サンキューってな」

 

 

 

 

 

 

 

 




トレーナーはネイチャを女の子として意識してるのかしてないのかどっちなのか。
多分まだしてなさそう?レディーファーストの気持ちはあるようですが。



では、今回高評価を入れてくださった、


3番目に強い土竜さん、みーこれっとさん、上野弦月さん


以上の方々から高評価を頂きました。
嬉しい言葉をたくさんいただいております。本当にありがとうございます!!


【宣伝】

現在、ハーメルンで『“高貴なる蒼穹”、或いは“光輝なる真紅”』という小説を書かれている『またたね』さん主催のウマ娘企画小説が開催されるという事で、ありがたい事にお誘いを頂きましたので参加させていただく運びとなりました。

企画小説自体の掲載日はハーメルンにて“10月1日”~“10月9日”まであり、自分の作品は“10月4日”(月)に掲載される予定です。
企画に参加される方は9人ですが、全員ハーメルンでの執筆経験があり実力者揃いの方々ばかりですので自分も楽しみで仕方ありません!
中にはウマ娘の作品を書いてる方もいますので、もしかしたら皆様も一度読んだ事のある作品の作者がいるかもしれませんのでそちらもお楽しみに。

ネイチャが好きでこの作品を読んで下さっている方々がほとんどだとは思いますが、企画ではネイチャ以外のキャラに挑戦します。(そういうルールですので)
そういった意味でも自分の力がどれだけあるのか試せる良い機会だと思うので、もしよろしければ企画小説の方でも読んで下さると狂喜乱舞です!


長々と宣伝にお付き合いいただきありがとうございます。
次回も皆様に読んでいただける事を祈りつつ、今回はここまでにさせていただきたいと思います。



当面の目標はお気に入り3000超える事です。がんばるぞい。
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