お気楽そうなトレーナーとナイスネイチャがほのぼの?頑張る話   作:たーぼ

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やる気上がってきます。


3.トレーニング後の雑談って楽しかったりする

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うあー、さすがトレーナーさんが考えたトレーニング……腕がプルップルする~鬼だ~鬼畜だぁ~トレーナーだぁ~……」

 

「トレーニング始めて四日間毎日同じセリフ吐いてんじゃねえっての嫌味か。あと最後のは今でも意味分からん」

 

「わひゃあっ!?」

 

「ほれ、スポドリ」

 

「うぅ……だからっていきなりほっぺに当ててくる事ないじゃん……ありがと」

 

 

 

 トレーナーとマヤノトップガンによるネイチャ赤面事件から四日が経ち、ネイチャは絶賛トレーニングの真っ最中だった。

 不意に冷たいスポーツドリンクを当てられ冷えたはずの頬の温度が、恥ずかしい声を聞かれたことによりまた高くなっていく。誤魔化すために勢い良くフタを開けてそのまま半分ほど一気飲みした。

 

 普段は気楽そうに話してはいても、やはりトレーナーはトレーナー。きっちりとトレーニングメニューやら体調管理の経過などを見てくれている。

 優しい所は優しく、厳しい所は厳しく。メリハリはちゃんと出来るらしい。

 

 近くにあるベンチに2人で座る。

 

 

「ところでどうだ。今のトレーニングメニューは。しっくり来てるとかあるか? 自分の走りに違和感があるようなら変えたりもするけど」

 

「ううん、今のとこは大丈夫。ジムでの筋トレのおかげで筋肉痛は多少あるけど、四日も経つとさすがに慣れてくるものですなー」

 

「一応始めたてだし無理のないメニューを組んではいるからな。あとは今よりもネイチャに合う走りに変えつつ微調整していくつもりだ」

 

「はーやっぱ一応はトレーナーなんだねー。アタシの走り方のクセとかよく見ていらっしゃる」

 

「一応は余計だっつうの。当たり前だ。お前の走行トレーニングをカメラで色んな角度から録画して毎日見てるからな」

 

「え、トーサツ?」

 

「シャレにならん語弊だけはやめてもらえませんかね!! これも立派なトレーナー業ですぅーッ!!」

 

 ジムにいる他のウマ娘やトレーナーに聞かれていないか焦るトレーナーを見て笑みが零れる。

 やはりこの人と話していると落ち着く。軽い冗談(トレーナーにとっては大問題)を言い合えるパートナーというのはいつの時代でも大切な存在だ。

 

 気兼ねなくそう思えるのは、彼がトレーナーとウマ娘は対等な関係でいたいと言ってくれたからだろうか。

 トレーニングの疲れもトレーナーと話しているといつの間にか消えている事が多い。自分でこう思ってしまうのも何だが、やはりトレーナーとの相性は良い方なのだと思うネイチャだった。

 

 

「このあとはどうすんの? いつも通り練習場で走行トレーニング?」

 

「……、」

 

「え、急に黙ってどうしたの」

 

「いや、最初はあんだけ期待しないでとかぼちぼちやっていきましょーとか言ってたお前がさ、いざトレーニング始まったら結構真面目にやるんだなって思って。こっちとしては嬉しい限りなんだけどさ」

 

「……あー」

 

 そういえばトレーニングを始める頃にそんな事を言っていた記憶がある。

 普通に聞けばあまり乗り気ではないようにも思えるのだが、ネイチャに至ってはその逆でしっかりとトレーニングをこなしているのだ。

 

 トレーナーが決めた筋トレメニューをちゃんとやり、走行トレーニングでもアドバイスを取り入れながら改善しようとしている。

 陰ながらの努力ではなく、真っ当な努力で強くなろうとしている。

 

 

「言動がまるでマラソン大会で最後まで一緒に走ろうなって言ってたのに途中から友達置いて行くタイプのやつだなーって思った」

 

「実体験のように言うじゃん」

 

「実体験だからな。あの時の吉田は今も許してねえ」

 

「吉田さんに置いてかれたんだ……」

 

 トレーナーの苦い思い出は置いといて、だ。

 彼の疑問に答えるのは簡単だが、それを言うのがネイチャにとって簡単ではなかったりする。

 

 やる気のないような発言をしておいてこれだ。トレーナーが疑問に思うのも無理はない。

 それでも、ネイチャの中で答えはハッキリとしていた。言うのはむず痒いが、言わないとトレーナーも気になってしまうか。

 

 

「ま、まあ……その? アタシだってウマ娘だし、無理とは分かってても勝ちたい気持ちがないわけじゃないし? せめて良い勝負ーまでには持って行きたいってのもあるんだよ?」

 

「やっぱ何だかんだ真面目なんだな」

 

「あ、あはは、まあねー……こんなアタシでも、負けたくない気持ちは本物だよ?」

 

 だからトレーニングはしっかりやる。

 しかし、実は当たり前の事を当たり前のようにするのは難しい。それはトレーニングでも何にでも言える事だ。

 

 才能なんかないとネイチャは言うが、既にそれが出来ている時点で素晴らしい才能を持っているのだとトレーナーは思う。

 きっとそれを言うとネイチャはそんな事ないと一点張りで言ってくるので言わないが。

 

 

「あっ、そ、それにね……?」

 

「?」

 

 まだ何か言いたげなネイチャは、首に掛けているタオルをちょうどトレーナーから見えないように口元を隠す。

 まるで恥ずかしいから見られたくないと言わんばかりに、だ。

 

 

「その……せっかくトレーナーさんが考えてくれたメニューだから、さ? アタシもそれにちゃんと応えたいなーって……そ、それで、レースに出て少しでも良い結果を残すことが出来たらさ、2人でやったーって喜びたいじゃん……? ぁ、アタシも……トレーナーさんの喜ぶ顔が、その、ぇと……み、見たいし……」

 

「……、」

 

 何だか隣で茹でダコのようになっているウマ娘がいた。思いきり頭からプシューと何かが出ている。

 最後のは声が小さすぎてよく聞こえなかったが、どうやら言ったはいいが想像以上に恥ずかしかったらしい。タオルで口元を隠しているが、顔全体が髪色と同じくらい赤いので普通に隠せていない。

 

 

「あ、あーッ! ごめん! やっぱ今のナシナシ! あっはっは、なーに言ってんだろねーアタシっ。こんなのキャラじゃないってのにね! トレーニングでちょっと疲れてんだろうなーはははっ」

 

 何か言おうとしたところでネイチャが慌てて訂正してきた。

 タオルから手を離し両手を空中に泳がせながら、ついでに目もぐるぐる回している。言わずもがな顔は赤い。俗に言うあたふた状態であった。

 

 ネイチャの性格を理解してきたトレーナーだから分かる事がある。

 彼女は普段こんなことは言わない。思ってはいても口に出さないタイプだと思っていた。現に今もキャラじゃないと言っていたではないか。

 

 なのにわざわざ言ってくれたというのは、自分を信頼してくれている証なのだろうかと思う。

 トレーナー冥利に尽きるというものだ。

 

 であれば、彼女の勇気にこちらもお返しをしなければならない。

 

 

「あう……」

 

「そこまで思ってくれてるなら俺としてもありがたいってもんだ。俺とネイチャ、2人でゆっくり気ままにでも進んでいこう」

 

「……う、うん……」

 

 優しく彼女の頭に手を置く。

 世間では下手するとセクハラと訴えられるかもしれないが、ネイチャの反応からして嫌がられているわけではなさそうだ。顔を赤くしながらも尻尾はブンブン振っている。

 

 

(ちゃんと可愛いとこもあるんだよなこいつは)

 

 どこまでいっても中等部は中等部。年相応の可愛らしさが目立つほうがデビューしてからの人気も獲得できるだろう。

 と、そういえばここはジムだという事を思い出す。周囲を見ればコソコソしながら見てくるウマ娘もいれば何やら興奮しながら見てくるウマ娘もいる。

 

 決してここは2人だけの空間ではない事を忘れてはならない。

 さすがのトレーナーもこんなにもジロジロと見られていては羞恥心が勝るものだ。というかネイチャがされるがまま何も言ってこないのも気まずい。

 

 顔に出さないようサッと手を離す。

 

 

「おっと」

 

「あっ……」

 

「どした?」

 

「ああ、いや、ううんっ、な、何でもない何でもないっ」

 

 さて、この時無自覚にでも名残惜しそうなネイチャの表情と気持ちにトレーナーは気付けたか。

 

 

「そういやこの後のトレーニングはどうするかって話だったな」

 

「……あーそうそう、それだよそれ。どうすんのー?」

 

「走行トレーニングしたいのは山々なんだけど、どうも今日はどこの練習場も他のウマ娘やチームが使用してて使えないんだよな」

 

「あれま、じゃあどうする?」

 

「だから時間は少し余っちまうけど、今日はもう終わりにしとくか」

 

 ミーティングにしてもいいが、せっかくの空いた時間だ。

 ウマ娘とは言っても学生には変わりないので、遊びたい年頃でもあるだろう。

 

 

「オフの友達でも誘って適当に遊んだらどうだ」

 

「トレーナーさんはどうすんの?」

 

「俺? んー、トレーナー室で適当にくつろぎながら資料読むくらい、かな」

 

「休まないんだ?」

 

「トレーナー業だからな。オフならとことん休むけど、基本的にはトレーナーとして力付けるために勉強したりとか、担当ウマ娘のために何ができるか研究することが多いぞ」

 

「へー、そうなんだー。アタシのために、ねぇ……」

 

 そもそも何故自分に何をするのか聞いてきたのか分からない。

 学生は学生らしく、オフになったら友人と遊びに行けばいいのに、だ。

 

 そんなところでさっそく自分のトレーナー室へ向かおうとして、裾を掴まれた。

 振り返らずとも分かる。ネイチャだ。

 

 

「あのー、ネイチャさん? いったいぜんたいどうしまして?」

 

 聞きながら振り返ると、それはもうにっこりとしたナイスネイチャがいた。

 

 

「アタシもトレーナー室に行こうかなーって」

 

「え、何で? 友達とかと遊びに行けばいいじゃん。友達いないわけじゃないだろ?」

 

「そりゃもちろん。けど今日は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

「どゆことー」

 

「そゆことー」

 

「どゆことー」

 

 どうやらこれはもう決定事項らしい。

 何を言っても着いてくるつもりのようだ。トレーナーとしては別に断る理由もないので構わないのだが、いいのだろうか。

 

 

「着いて来ても特に楽しくもなんともないと思うぞ?」

 

「いーいーのー。トレーナーさんと喋りながらソファでゴロゴロするからー」

 

「それでいいのか若者よ……」

 

 ネイチャの今後を心配していてもこの子は特に気にしないだろう。

 というか、である。

 

 ネイチャも普通にこんな事を言ってはいるが、無自覚にトレーナーと一緒にいたいという気持ちには自身も気付いてはいない。

 いくら大人びていてもそこはまだ子供といったところか。

 

 

「ほらー、さっさと行くよー」

 

「何でお前の方が乗り気なんですかねー」

 

「トレーナーさんも若者の流行とか気になるところなんじゃない? アタシもそんな知らんけど」

 

「俺だってまだ若い方だっつうの! 流行は知らんけど」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も今日とて。

 2人は周りから見たら近すぎる距離でトレーナー室へ向かっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





そろそろ毎日投稿がキツくなってきた頃。
担当契約して一週間もしてないのに距離近すぎじゃね?


高評価ありがとうございます。
他の小説でもやっているのですが、次回辺りから高評価をくださった方々をあとがきに載せてご紹介させていただきますね。


ネイチャの無自覚赤面可愛くないですか?
自分は愛してます(鋼の意志)
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