お気楽そうなトレーナーとナイスネイチャがほのぼの?頑張る話   作:たーぼ

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お気に入り登録ご感想高評価本当にありがとうございます。
びっくりするほど多くの方が読んでくださってて感謝しかありません。

これからもネイチャのイメージを出来る限り損なわないよう精進します。


4.商店街ドタバタ騒動(前編)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よし、今日はこの辺にしとくか」

 

「はあ~、今日も疲れた疲れたー」

 

 

 

 

 夕陽の赤が空を支配しつつある頃、恒例となったネイチャの走行トレーニングも終わりを迎えていた。

 

 

「今日はよく頑張ってたな」

 

「まーね、最近感じてるんだ。選抜レースの時よりも速くなってるって……うん、手応えアリって感じ」

 

「そのためのトレーニングだから当たり前……ってのも野暮か。ネイチャがちゃんと頑張ってる何よりの証拠だもんな。チーム組んでから最初の模擬レースまでもう少しだし、このままもっと強くなってもらうぞ」

 

 模擬レース。

 基本的には本格的なレースとは違い、ある種の現状の力試しや今後の課題を見つけるためとして行われる事が多い。

 

 特定のウマ娘を指名して良い所を奪い自分の力にしたり、お互いの力をぶつけ合い直接対決をするウマ娘もいると言うが、今回は選抜レースからトレーナーと契約したばかりのウマ娘達が模擬レースを行う。

 

 とすれば、だ。

 

 

「当然、ネイチャと同期で既にトレーナーと契約してるウマ娘達も同様に強くなってるって事だ。むしろ選抜レースの時よりも厳しい可能性の方が高いと思えよ。何しろ相手には──、」

 

「テイオーがいる、でしょ」

 

「……ああ。厄介なのはテイオーだけではないけどな」

 

 言わずとも分かっている、といった表情だ。

 トウカイテイオーの強さは選抜レースの時から桁外れだった。そんなのがトレーナーと契約してもっと強くなっている。それだけで怖気づいてしまうウマ娘がどれだけいるだろうか。

 

 勝ちたいと思っていても、その壁は遥かに高い。それを選抜レースで思い知らされたのはネイチャも同じだ。

 だが、こういう時こそネイチャの思考は冷静だった。

 

 

「分かってますって。そう簡単に、というかテイオーに勝てるなんて思ってる訳じゃないし、テイオーの事だから契約したトレーナーさんも只者じゃないんでしょうしねー」

 

「そういう事。ただでさえ並外れたセンスを持ってるテイオーだ。それにプラスされて経験値豊富なベテラントレーナーが付いた。まさに鬼に金棒、いいや、ウマ娘にロケットブースターみたいなもんだ」

 

「例えのセンス」

 

「うるせえ」

 

 何はともあれ、テイオーとネイチャの差は持ち前のセンスと才能。しかしレースの経験値は全く同じだ。

 本来なら、そここそトレーニングで工夫して差を詰めるのが一番なのだが。

 

 如何せん、問題はトレーナーの方にある。

 片方は好成績のウマ娘を輩出し、トレセン学園でも最も実力を認められているれっきとしたベテラントレーナー。

 片方はウマ娘との契約は初で実力も経験値も皆無、さらにこれと決めたウマ娘を一週間追い掛け回す新人トレーナー。

 

 100人のウマ娘に聞けば100人が前者に教えを乞うだろう。

 どうあがいてもひっくり返る事のない実力と経験差がトレーナーにはある。才能の差を詰めるためのピースが圧倒的に足りないのだ。

 

 それでも、とネイチャは言う。

 

 

「アタシは別にいいんだよ。勝てる勝てないとかじゃなく、今は純粋にトレーナーさんと培った実力を試したいだけだし。本番のレースじゃないから気軽に走れるしね」

 

 気を遣っている訳ではなさそうだが、それでも何だか申し訳なくなる。

 事実が事実なだけに、トレーナーとして思う所があるのは隠せないようだ。女の子にこんな言葉を言われるのは成人男性的に色んな意味でキツい。

 

 ので虚勢を張る事にした。

 

 

「まあ実力と経験がないって事はだ。言い方を変えれば実力はまだまだ未知数。つまり無限の可能性を秘めているって訳よ! ベテランのオッサン共なんか若い柔軟性のある頭で超えてやる!!」

 

「虚勢じゃん」

 

「何でそんなこと言うの」

 

 思いっきりバレちゃっていた。

 担当ウマ娘に言われてしまえば終わりである。

 

 

「よっし、ストレッチ終わりー」

 

 何ならさっぱりと流されて会話を強制終了されてしまった。新人トレーナーのメンタルを壊すには充分なスルー力である。

 ナイスネイチャはジャージ姿のままトレーナー室へと向かっていく。何故だか最近部室よりもトレーナー室で着替える事が多い。

 

 理由を聞いたら部室よりトレーナー室の方が広いし綺麗だからと言われた。年頃の女の子の思考はそういうものなのかとよく分からない23歳トレーナー。

 しかしネイチャがトレーナー室で着替えるようになってから早数日。もう慣れてしまっているのでいつも通りトレーナー室の外で待っている事にする。

 

 

 

 

 

 

 

「ほーい。着替え終わったよー。っと、そうだ。ちょいちょい、トレーナーさん」

 

「んぁ?」

 

 着替え終わったネイチャが出てきたと思ったら、廊下に誰もいないか確認してからトレーナー室の中に入るよう促される。

 そもそも自分もこの部屋に戻るつもりなので素直に従った。いつも通り自分のPCが置いてある特等席に行こうとしたところで、何だかもじもじしているネイチャに声をかけられた。

 

 

「あ、あのさっ、トレーナーさんの今日の予定ってもう終わり?」

 

「え? そうだなー。ネイチャの今の現状を軽くPCにレポートしたら終わりだけど」

 

「それって時間かかる?」

 

「や、多分10分くらいで終わる」

 

 その瞬間、あからさまに顔色が明るくなったネイチャが取り繕うようにして言う。

 

 

「じゃあさ、このまま待ってるからこの後一緒に帰るついでに商店街寄ってかない? 小腹も空いてるし、ちょうどいい軽食でもしてこーよ」

 

「そういや商店街の人達と仲良かったんだっけ」

 

「こんなアタシをちやほやしてくれる物好きさん達だけどねー。……良い人達ばかりなんだ」

 

 そう言うネイチャの表情は優しかった。

 ならばトレーナーの答えは決まっている。

 

 

「おし、待ってろ。5分で終わらせる。んでネイチャのオススメ教えてくれよ。今日は商店街で晩飯にするからさ」

 

「大袈裟だねートレーナーさんも。いーよーオススメばっかりで満腹になっても知らないんだからね?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ──────────―

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 商店街に着いた。

 空も夜に差し掛かり、あるのは商店街特有の灯りと食欲が沸いてくるように漂う匂いばかりだ。

 

 

「へえ、この辺ってあんま来た事ないけど、夜も賑やかなんだな」

 

「バーとか立ち飲み屋もあるからねー。昼間は惣菜買いに来るおばちゃん方、夜は仕事帰りのおっちゃん達がお酒目的に寄ってく事が多いのよ」

 

「どうりでみんな楽しそうなわけだ」

 

 商店街と言えば少し閑散としたイメージもあるが、ここはその真逆の位置にあるらしい。ちょっとしたお祭り気分すら感じる。

 このままもう少し雰囲気を味わうのもいいが、ネイチャもトレーニング終わりで空腹になっているだろうし、歩を進めていく。

 

 

「で、ネイチャのオススメってのは――ってうおっ」

 

「ふふーん、こっちこっち! トレーナーさんも男ならまずはお肉から攻めなきゃねー!」

 

 不意に手を引っ張られバランスを崩しそうになるも堪える。

 ネイチャにしては珍しく少しテンションが高い。地元でも商店街で育ったと言っていたから、ここもネイチャにとってはホームみたいなものなのだろう。自然体な笑顔が物語っている。

 

 連れて来られたのは精肉店……ではなく串屋だった。

 奥に客が複数いる事もあって既に大量の肉が串に通されて焼かれていた。これは空腹時に来てはいけない。匂いだけで我慢ならずに大人買いしてしまいそうな勢いだ。

 

 

「やっほーおっちゃーん」

 

「おおっ、ネイちゃんじゃねえか! 今日も寄ってくれるたぁ嬉しいねえ。今なら出来立てのつくねと牛串があるぜい!」

 

「それはラッキーな時に来たな~。じゃあその二つをトレーナーさんのも含めて2本ずつちょーだい!」

 

「おうおう。すぐに用意するから待っ……トレーナーさん、だって……?」

 

 言ってすぐ失言だったと気付く。あれだけせっせと動いていた主人の手が止まったのだ。

 トレーナーは分からないかもしれないが、主人をよく知るネイチャには分かる。こういう時、よほどの出来事じゃない限り主人の手は止まらないと。

 

 つまりはそういう事だった。

 

 

「アンタがネイちゃんのトレーナーかい!?」

 

「えっ? いやまあ、そうですけど」

 

「……そうかそうか。あっはっはっは!! そうかー! ネイちゃんにトレーナーがねえ……! 嬉しい限りだねえ……」

 

「お、大袈裟だっておっちゃん……」

 

 何か凄く感慨深そうな顔をしている。油まみれの手袋で涙を拭っている。

 本当の親のようにネイチャとこちらを見て、何故だかうんうんと頷いていた。

 

 

「それにそんだけ熱く手ぇ握ってんだ。こりゃあ近々新メニューに赤飯追加でもしとくかってなー!! がっはっは!!」

 

「……………………………………………………え?」

 

 そういえば片方の手はどうしたかとネイチャは自問する。そういえば案内する時、無意識にトレーナーの手を掴んだではなかったか。そういえばそのままここに来て注文してはいなかったか。そういえばさっきからずっと自分から握ってはいなかったか、と。

 

 トレーナーも思っていたように、この商店街はネイチャにとって第二のホームのようなものだ。

 だからいつもより少々気が緩んで油断していたのかもしれない。主人と話している時も普通に手を繋いじゃっていた。

 

 それも気付かずに自分から握っている形でだ。

 正気に戻ってからの行動は早かった。瞬時に手を離しお得意の言い訳がスラスラと出てくる。

 

 

「~ッ!? ご、ごごごごごごゴメンねっ!? 何か勝手に手握ってたみたいだわー! お腹空かせてるだろうから早く食べさせてあげなきゃなーって思ってたからついね、つい!! 何やってんだろーねアタシ!」 

 

 既視感のある慌てっぷりを披露していた。

 まるで顔全体がトマトのようだとトレーナーは思う。最近は何だかこういうネイチャを見るのも悪くない気分だった。

 

 

「いやまあ俺から離す事も出来たんだけど、お前が結構強く握ってるから離すのも何だかなって思──、」

 

「いいい言わなくていいからッ! あーもー! おっちゃん早くちょーだいってばー! ……おっちゃん?」

 

「ご主人なら何か店の奥の方で電話しにいったぞ」

 

 それを聞いて嫌な予感しかしなくなったナイスネイチャ。

 あんな反応を見せておいてあの主人がこのまま終わらせるはずがない。何やら良からぬ事を考えているに違いないと断言できる。

 

 恐る恐る奥にいる主人の声に耳を集中させると、それは聞こえてきた。

 

 

「ネイちゃんと契約してくれたトレーナーさんが来てるぞ!! 商店街の美味いモンをありったけかき集めて集合だッ!! こんなめでたい時にネイちゃんとトレーナーさんに金払わせるようなバカな真似はすんじゃねえぞお!!」

 

「ちょっともー何言ってんのさおっちゃん! そんなんしなくていーってばみんな自分の仕事とかあるでしょー!?」

 

「ご主人! さすがにお金はネイチャの分も自分で払うんで大丈夫ですから!! そんな遅くまでいられるわけでもないので!! ご主人ーッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 思いがけない串屋のおっちゃんの行動によってトレーナーとネイチャのドタバタ商店街騒動は続くのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




まさかの続きます。
基本後先考えずに行き当たりばったりで書いてるのでこういう事も今後あるかもしれません。
あと毎日投稿はこれにて一旦終了。二日~三日間隔で投稿できればなと思ってます。


お気に入り登録が凄まじいなと思っていたら何やら日間ランキングに一瞬載っていたとか。
それも高評価を入れてくださった方々のおかげです。
ネイチャを布教するためにまた載りたいところですね。頑張ります!


では、今回高評価を入れてくださった

岩裂根裂さん、zs6008さん、磁区さん、一日三色ドンタコスさん、きこりんさん、ampppppさん、スズキ カサカサさん

以上の方から高評価をいただきました。
わざわざコメント付きで入れてくれた方もいて、非常に励みになりました。本当にありがとうございます!!




ここすき機能とは何ぞやと思い見てみたら好きな文にいいねできるみたいな機能、なんですかね?
活用してくださってる方がいたので勝手にニヤケてました。すいません。
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