こちらは結構長めの連載になる予定。……と言っても見切り発車ですがw
このタイトルですが真面目なバトルものにしようかなと思っています。
そして今作の敵は害虫ではなくオリジナルの敵です。いずれ人語も話すようになりますよ。意思疎通の出来る敵とのバトルが書いてみたかったので。
≪登場人物≫
団長・・・我らが主人公。本作では女の子になってしまう。黒髪の短めのツインテールが可愛らしい。
クコ・・・メインヒロイン。団長とは既に誓いを交わしている。
ワレモコウ・・・騎士団のブレーン。数多の害虫を葬ってきた彼女の作戦は、果たして新たな敵に通用するのか。
イキシア・・・部隊のリーダーを務める。少しドジだが優秀な花騎士。
コンボルブルス・・・騎士団の一番槍。団長達に失望されないよう努力を続けている真面目な花騎士。
サントリナ・・・騎士団最強の花騎士。どんな強い敵にも臆さず戦う彼女は「伝説の花騎士」とまで呼ばれている。
他にも色々なキャラを登場させる予定です。
1話 団長、女の子になる
『団長……騎士団長……』
夢と現の中、私を呼ぶ声が聞こえてきた。まるで母のような、優しく温かい声だった。
『団長、春庭に新たな脅威が最大の危機が迫ろうとしています』
脅威……それは一体……。
『害虫とは違う、新たな敵。それに対抗するためには、あなたの力が必要です』
しかし私には花騎士のような力は無い。
『大丈夫。私が与えましょう』
やがて女性のようなシルエットが浮かび上がる。眩い光に包まれていて顔は見ることは出来ない。
彼女は私に腕を差し伸べる。その手を取ると、私の中に暖かな何かが流れ込んできた。
「……はっ!?」
思わず布団から飛び起きる。
「何だったんだ一体……」
夢だろうか。不思議な夢だった。今でも彼女の手の温度が残っているかのようだ。
「……?」
と、夢のことで頭がいっぱいで気付くのに遅れてしまったが、先程の私の声、やたらと高かったような気がする。風邪でも引いてしまったのだろうか。言われてみれば全身が何だかこそばゆいような気がする
うがいでもしよう。そう思って洗面台に向かったのだが、鏡の中には見たことのない少女がいた。
「だ、誰だ……えっ?」
後ろを向いても誰もいないが、鏡には確かに少女がいる。試しに自分の頬を触ってみると、鏡の中の少女も同じ動きをした。手には成人男性の頬とは思えない程柔らかな感触が伝わった。
「……私?」
そう気付くのに数分の時間を要した。
「団長、朝、起床。クコと一緒に朝食、希望♪」
扉を開けてクコが部屋に入ってくる。しかし私の姿を見た途端、彼女の動きが止まってしまった。
「……誰? 団長、何処?」
まずい。これはまずい。
まず着ているものだ。成人男性用のパジャマなのでぶかぶかで、今にも大事な突起が見えてしまいそうだ。
そしてそれを、よりによってクコに見られてしまったことが一番まずい。このままでは浮気を疑われてしまう。
「く、クコ……落ち着いて聞いてくれ。私だ。団長だ」
「だん……ちょう……?」
クコが目を丸くする。目の前にいるのはクコと同じくらいの背丈の女の子。クコの知っている団長とは似ても似つかない存在だ。信じろというのは無理があるだろう。
クコが私に近づき、そっと腹を撫でる。お返しとばかりに私も彼女の腹を撫でる。
「……あい。団長……クコ、信じる」
「クコ……」
何も言わずに信じてくれて、こんなに嬉しいことはない。思わず彼女の身体をぎゅっと抱き締める。
いつもより大きく感じる身体を抱きながら、お互いの体温を確かめ合った。
「ご、ご主人……?」
「どういうことなの……」
「そう言われても、私にも何が何だか……」
腕を組んでう~むと考え込む。周りの花騎士が私を見てニヤニヤしている気がするが、今は気にしないようにする。
「そういえば昨晩不思議な夢を見たな。女性の声で『戦う力を与える』と言われたんだ」
「戦う力で女の子に……それってつまり……」
「それじゃあ団長さん、どこからでも打ち込んできて下さい!」
竹刀を構えてサントリナと対峙する。
花騎士たちに連れられてやって来たのは訓練場。私に世界花の加護が宿り、その結果女の子になってしまったのではないかと彼女達は睨んでいるらしい。
相手をするサントリナはうちの騎士団でも別格の強さを誇る花騎士だ。男性だった頃の私は、彼女に攻撃がかすったことすらない。ここでもし彼女とまともに戦えるのなら、世界花の加護を受けたと言ってもいいだろう。
「それでは、いくぞ」
集中する。イメージする。彼女に向かって攻撃を当てる様を。
そして下半身にぐっと力を入れ、一歩を踏み込んだ。すると、
「ぐぉっ!」
「は、速い!」
あまりの初動の速さにサントリナや見物人の花騎士がざわめきだす。一番驚いたのは紛れもない私だが……。
「だ、団長さん……大丈夫ですか?」
「大丈夫だ……」
勢い余り壁を思い切り突き破ってしまった。しかし身体に痛みがあまり無い。これは本当に世界花の加護の力ではないだろうか。
「よいしょっ……団長さん、どんまい」
イキシアに壁から引き抜かれる。みっともないところを見せてしまった。今後はこの力を制御出来るようにならなければ。
「それにしても、団長さんはどうして花騎士になったんですかね?」
「害虫とは違う新たな敵が出現する。夢の中の女性はそうも言っていたな」
「害虫じゃない新たな敵……」
花騎士たちが固唾を飲む。最近噂されている『外からの脅威』なのか、あるいは……。
「と、取り敢えず、この件は上に報告しなければ」
「だんちょったらお堅いなぁ~。まずは女の子としての身だしなみを整えないと」
そう言われ鏡の前に座らせられた。
「綺麗な黒髪~。どうするかな~ランタナと同じサイドテールにするか~」
「ツインテも良いと思うよ」
花騎士たちに髪を弄られながら、何故こんな小さな少女になったのだろうと考える。
鏡に写る少女の姿を見つめる。黒髪のさらさらの髪が肩にかかるくらい伸びていて、ぷにっとした柔らかい頬が桃色に染まっている。正直かなり好みの少女だ。
「……」
クコの視線を感じたのでそれ以上は考えないようにした。
「……はい、完成!」
柔らかくボリュームのあるツインテールが顔の左右に垂れている。首を振るとふわっと揺れて、我ながら?とても可愛らしい。
「だんちょきゃわいい~! ペポとランタナの次くらいに」
「あい。団長、美少女」
「や、やめてくれ……」
可愛いと褒められたことなど今までかつて無かったので、どう反応すればいいか分からない。ついつい顔が真っ赤に染まってしまう。
「ご主人、照れてる?」
「……まったく」
そんな私を見て花騎士たちは楽しそうにしているし、これはこれでいいのではないかと思った。
「それじゃあ次は可愛い服を着せてあげましょう」
「もう勘弁してくれ……」
その後、上司にこの姿になったことを報告しに行った。初めは慌てた様子だったが、花騎士たちも一緒に説明してくれたので、何とか理解を得ることは出来た。今後も騎士団長として活動するのは問題ないとのことだったが、しばらくは医者に通うよう言われた。
いくら世界花の力とはいえ、こんなことになった人間は前代未聞だろう。私は一体どうなるのだろうか……。
ただ、悪いことばかりではない。戦う力を得たのだ。これからは花騎士たちのため、前線で共に戦うことも出来る。
あと気になるのは新たな脅威の出現か。最近害虫の活動は大人しくなってきているが、外の世界から脅威がもたらされるという噂がある。夢の内容を考えると、あながち迷信とは言えないだろう。
「ふぅ……」
色々考え事をして疲れてしまった。取り敢えず今日は風呂に入って寝ることにしよう。
……ん、風呂……?
……困った。
慣れない少女の身体で色々困ることはあったが、これが一番困った。
風呂はどうしよう。
自分の身体なのだ、別に見てしまっても問題ないだろうが、倫理観がそれを思い留めている。この白いシャツとパンツの下には……。駄目だ。想像するだけで興奮してしまう。
「団長、クコ、お背中、流す」
浴槽のドアがガラッと開いて、全裸のクコが入ってきた。正直助かった。
「肌、つやつや、綺麗。髪も綺麗♪」
タオルで目隠しをし、視界を完全に塞いだ。これで自分の身体を見なくて済む。そんな中クコの小さな手が身体の隅々まで這ってくる。
「んっ……んぅ……」
情けない声をあげて身をよじる。何だか男性時代よりも感度が高い気がするのは気のせいだろうか。
「あい、終わり」
「ふぅ……ふぅ……」
ぐったりと彼女に背を預ける。しかしその拍子にタオルが外れてしまい、白く小さな身体が鏡に映っているのが見えてしまった。
……見えてしまったら意外と平気なものだった。玉のように美しい肌だと感心はしたが、性的興奮はしなかった。好みのタイプとは言え、やはり自分の身体だからだろうか。
「えへへ、団長と一緒にお風呂、愉快♪」
背中と背中をくっ付ける二人の少女?
クコの楽しそうな鼻歌が風呂場に反響する。
「クコは私の身体がこうなってもあまり気にならないのか?」
「あい。団長は団長。それだけ」
「そうか……」
声が震えてしまう。どう変わっても私は私なのだ。クコや花騎士たちと一緒に居れば、そう思える。
「ありがとう、クコ」
「?」
団長とクコがイチャついている?その時に、新たな脅威は既に春庭に侵入していた。
静かな夜に包まれたブロッサムヒルの森の中。ここに直径2m程の丸い球体が降り立った。その物体はやがて姿を変えていく。
二足歩行でシルエットは人に近い。しかしその外殻は銀色に光り輝いている。タンパク質とは明らかに違う異質な輝きだった。
「$&#@……>?[#!……」
その生物の身体が少し浮き、平行移動を始める。
「ギギギ」
「#=&'……」
害虫が彼を襲おうとするが、彼は慌てるそぶりも見せず、手刀でその害虫を真っ二つにしてしまった。
動かなくなった害虫に手を当てると、害虫は彼の中に吸い込まれていく。
「……」
そしてまた移動を始めた。
誰もが寝息を立てる静かな夜。春庭を揺るがす脅威が、ゆっくりと、しかし着実に芽生えていた。
初回は女の子になってのあれこれ。
実際自分が突然女の子になったら不安で仕方ないでしょうからね。
TSものにそんなに詳しくないのですが、掴みとしてはこんな感じでいいんですかねぇ……かなり手探りで書いています。
そして今回は戦闘にも力を入れたいなと思っています。私の文章力が追いつけばですが……。
ここまで読んで頂き、ありがとうございました。