ロリ花騎士になった団長   作:イッチー団長

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続々とバナナオーシャンに集まっていく団長と花騎士たち。
今回はオリジナル団長とその騎士団のお披露目の意味合いが強いですね。


バナナオーシャン防衛戦線
6話 戦士達、集結!


「おぉ、懐かしき我が故郷……やっほー!」

「もう、ランタナさん、遊びに来たんじゃないですよ」

 そういうリシアンサスも、身体をウズウズさせている。

 

 突き抜けるような青い空、緑に輝く木々、耳を澄ませば聞こえてくる海鳴りの音。確かに彼女達のテンションが上がるのも頷ける。

 

 常夏の国、バナナオーシャン。我々は今日ここで、決戦のための打ち合わせを行うことになっている。

 

「おっ、あれはもしかして……」

 潮風に長い髪をなびかせながら、一人の長身の女性が立っていた。

「やっぱり、レッドジンジャーさんなんだよ!」

 ポーチュラカが女性の元へ駆けていく。レッドジンジャー……バナナオーシャン最強クラスの花騎士だと聞いたことがある。

「やぁ、ポーチュラカ。久しぶりだね。リシアンサスもランタナも久しぶり」

「本当に久しぶりなんだよ」

 

「うちの団長ももうすぐ来るって。君たちの団長は?」

「そこにいるんだよ」

 そう言われ、ペコリと頭を下げた。

 

「え……あんな可愛い子が?」

「か、かわっ!?」

 未だに可愛いと言われるとどう反応すれば良いか分からなくなる。

 

「そう言えば、女の子になった団長がいるって聞いたことがある」

 バナナオーシャンにまで噂が広まっていたのか……恥ずかしいな。

 

 

 

「おーい、レッドジンジャー」

 野太い声が響いた。見るとカウボーイハットを被った大柄の男がのっそりと歩いてきている。

「団長」

「待たせたな。おっ、ポーチュラカ達も来てたのか」

「テリー団長。今回はよろしくだよ!」

 テリー団長、バナナオーシャンの古豪団長だ。彼の騎士団の力強くワイルドな戦い方はブロッサムヒルでも噂になっている。

 

「おう、よろしくな。ところでお前らの団長も来てるのか?」

「私が団長です。よろしくお願いします」

 一歩前に出て挨拶をする。テリー団長は最初こそ驚いていたものの、すぐにニカッと白い歯を見せた。

「がっはっは! 面白い嬢ちゃんだ」

 どうやら冗談だと思われてしまったらしい。

 

 

 

「悪い悪い……まさかこんな可愛い嬢ちゃんが団長だとはな」

「可愛くはないですが……」

「いやいや、嬢ちゃんは可愛いぞ。娘みたいな感じだな」

 そうか、娘としての可愛さなら……いや、やはり慣れないな。

 

「ま、何はともあれよろしく頼む。嬢ちゃん団長」

「はい。よろしくお願いします」

 テリー団長はその大きな手を私に差し出した。その手を握ると、彼の力強さと温かさを感じることが出来た。

 

 

 

「ところで、他の騎士団はまだか? 確かセオの副団長と……ロザリオの野郎が来るんだったな。あの野郎、今日はちゃんと来るんだろうな……」

「まぁ、ロザリオさんはマイペースだからね」

「ああいうのはマイペースとは言わねぇよ。あの野郎、優雅に~とか何とか理由付けて、いつも団長会議に遅刻してくるんだぜ」

 

「ねぇ、レッドジンジャーさん」

 ポーチュラカがこしょこしょと耳打ちをする。

「うん?」

「もしかしてテリー団長とロザリオ団長って……」

「うん、犬猿の仲」

 大丈夫だろうか、今回の作戦は……。

 

 

 

 しばらく待っていると、一組の男女がこちらに近付いて来ていた。一人は長身のスラッとした男性。もう一人は長い黒髪の女性だった。

 

「ですからブリオニアさん、今日の作戦会議が終わったら一緒にお茶などいかがですか。これから命を預け合う仲ですし、親交を深めておくのも大事だと思うんです」

「興味無い」

 どこか険悪な雰囲気だ。遠目だと恋人同士に見えたが、どうやら違ったらしい。

 

「おいロザリオ! 何やってんだお前は」

「何だテリーですか。今ブリオニアさんを口説いているところです。邪魔しないで貰いたい」

「口説いてたんだ、これ……ってテリー団長と女の子団長、もう来てたんだ」

 女性はこちらに向き直って一礼した。

 

「私はブリオニア。セオ騎士団の副団長。よろしく」

「よろしく」

「よろしくな。ブリオニアと言えばベルガモットバレー随一の軍師だって噂だぜ。今回の作戦でも頼りにしてるからよ」

「流石にそれは言い過ぎ。私が活躍できるのはセオ団長のおかげだし、褒めるなら団長さんを褒めるべき」

「いえいえ。非常に優秀な花騎士だと聞いておりますよ。それにその美しさ……非の打ち所がない」

「……」

 ブリオニアがロザリオ団長を睨む。本当に大丈夫だろうか、この部隊は……。

 

「団長様~」

 険悪なムードが漂う中、青いメイド服を着た少女が、白いツインテールを揺らしながら走ってくる。

 

「エキザカム」

 エキザカムと呼ばれた花騎士はこちらを向いてぺこりとお辞儀をした。

「どうも。私はエキザカムです。宝石商のベッセラお嬢様のメイドで、ロザリオ騎士団の副団長です」

 なるほど、それでメイド服か。

 

「団長様、探しましたよ。いつの間にか居なくなってしまったので」

「失敬しました。綺麗な女性がいたのでつい」

「エキザカムも大変だな、こんな奴の副官だなんて」

 その言葉をロザリオ団長はフンと鼻で笑った。

 

「あなたのようなむさい男には言われたくありませんね」

「何だと!?」

「何です!?」

「け、喧嘩はダメですよ……」

 バチバチと火花を散らす二人の間であたふたするエキザカム。

 この空気はまずい。横に丁度ポーチュラカがいたので、場を和ませてくれと脇を突いた。

「団長……よぉし、分かったんだよ」

 

「ロザリオ団長、そんなにブリオニアさんを口説いてたら、『くどい!』って言われちゃうんだよ」

 こ、この状況でダジャレは逆効果ではないか……そんな心配をしていると、テリー団長の豪快な笑い声が響き渡った。

「がっはっは! ポーチュラカのダジャレは相変わらず面白れぇな! おいロザリオ、くどいってよ!」

「くぅ~……そうですね。しつこい男はモテませんし、ここまでにしておきましょうか。おや?」

 ロザリオ団長の碧い瞳がこちらを見つめてくる。

 

「あなたもお綺麗ですね。どうですか? 会議が終わったらお茶でも」

「……え? 私ですか?」

 一瞬何のことか分からなかったが、どうやらナンパの照準がこちらに向いたらしい。

 

「いいでしょう、女性団長さん。騎士団長同士で親睦を深めることも大切ですよ」

「あ、いや……あの……」

 いざ自分がナンパされる側になると、どう答えればいいのか分からなくなる。というか元男なのは問題ないのだろうか。

 

「その黒く澄んだ瞳……素敵ですよ」

「ストーップ! そこまでです!」

 困っている私の前にリシアンサスが現れ、両手を広げてロザリオ団長を静止する。

「団長さんは既婚者なんですから、ナンパしちゃダメです!」

「そうでしたか……残念です……」

 た、助かった……ナンパされるのは意外と怖いものなのだな。肝に銘じておこう。

 

 

 


 

「取り敢えずこれで全員か? 揃ったんなら作戦会議しようぜ」

「ううん。もう一人、グリフィス騎士団の副団長も来る予定」

「グリフィス……彼も参戦するんですね」

 グリフィス団長。その名を知らぬ者は春庭にいないだろう。数々の難敵を退けてきた、春庭の生ける伝説。間違いなく現代最強の騎士団だ。そんな彼が一緒なら、今回の作戦も少しは安心できるかも知れない。

 

「……っ!? 今、何か音がした。皆、ちょっと一緒に来て」

 ブリオニアがレイピアを構えながら走っていく。その後を音を消しながら追いかけた。

 

「……やっぱり」

 物陰に隠れながら見ると、そこにいたのは怪物たちだった。

「何してるんだ?」

「多分地形の調査だと思う。決戦のための準備をしてるって、セオ団長が言ってた」

「敵は30体……潰しておくか?」

「ここは市街地にも近いし、放っておくのは得策じゃないと思う」

 

「皆、一体だけ色が違う個体がいるのが見える?」

 確かに緑や灰の個体が多い中、一体だけ赤い個体がいる。以前私が戦った個体とも似ているような気がするが。

「あれが部隊長。知能も強さも他とは比べ物にならないけど、奴を倒せば統制が崩れる」

 

「サントリナさんとレッドジンジャーさんは部隊長を狙って。他の人は二人の援護をお願い」

「了解!」

 

 

 

「サントリナ。リリィウッドの伝説の花騎士。一度一緒に戦ってみたいと思ってた」

「そ、その呼び方はやめて下さい……」

 

 サントリナとレッドジンジャーが風を切るようなスピードで走り出す。我々も後を追った。

 

「はぁぁぁ!」

「ふ、花騎士か!? まずい、陣形を作れ!」

 部隊長の一声に、怪物達はすぐさま動き始め、部隊長を守るような陣形を作る。統制の取れた動き、やはり一筋縄でいく相手ではないようだ。

 

「それならば陣形を崩すだけ。リシアンサスさん」

「了解! てやぁぁぁ!」

 リシアンサスのジャスティーストームが怪物達を薙ぎ払ってゆく。

 

「崩れ始めた。この隙に……『ウィークネスファント』」

 ブリオニアのレイピアが目にも止まらぬ速さで敵に襲いかかる。攻撃が当たった敵は身体がバラバラに崩れていった。

「ぐ……ぁ……貴様一体何を……」

「別に。核の場所は把握してるし、そこを突いただけ」

 表情一つ変えずに言っているが、並みの花騎士では彼らの核に攻撃を当てるのにも一苦労なのだし、彼女自身も相当な力量を持っているのだろう。

 

「行くよ、サントリナ!」

「はい! 打ち砕く!」

 エース級二人の攻撃が炸裂し、部隊長はあえなく倒された。初対面なのにこの連携は、流石国家を代表する花騎士だけある。

 

 

 

「……これで全部」

 部隊長を失い統制を失った彼らは、あっけなく全滅した。しかし……。

「……っ!? 援軍!?」

 物音を聞き付けたのか、30体程の部隊が駆け付けてきた。一体彼らの部隊規模はどのくらいなのだろうか。

 

「まだ疲労は少ない。このまま殲滅しよう」

「その必要はありません! 皆さん離れて下さ~い!」

 その声と同時に頭上から降ってきたのは……大きな氷塊だった。

 

「な、何だこれは!? ぐぁぁぁ!」

「は、はは……見ましたか、花騎士の力を!」

 ガッツポーズをして喜んでいるのは雪女……ではないか。確かウィンターローズ所属の花騎士、ハツユキソウだ。

 

「くそ……小賢しい真似を……」

 ただ一体、部隊長クラスの戦士だけが立ち上がった。ダメージもそれほど無さそうだ。

 

「貴様……許さんぞ!」

「ひぃっ! わ、私じゃないですよ!」

「黙れ! まずは貴様から八つ裂きにしてや……」

 そこで言葉が途切れた。見ると、彼の腕も足も、そして首もバラバラに砕け散っている。

 

「ナイスよ、ハツユキソウ。おかげで雑魚と戦う手間が省けたわ」

 金色のツーサイドアップの少女が、細身の剣を構えて怪物の背後から現れた。その姿、騎士団長なら見間違えるはずがない。

 

「グリフィス騎士団の副団長、アブラナ。その他二名。少し遅れたけど、無事到着したわ」

「ちゃんと紹介して下さいよ~」

 

 

 

 決戦が迫る中、遂に戦士達が集結した。春庭の未来は、彼女達に懸かっている。

 戦え、花騎士達。春庭の平和を掴み取る、その時まで。




団長たちのキャラ付けが難しい……。
しかし可愛いキャラもいいですが、野郎どもを書くのも結構楽しいですね(笑)
新発見でした。



一応簡単なキャラ紹介を。
テリー団長・・・バナナオーシャン屈指の強豪団長。筋肉隆々の大柄の男性。パワーだけなら花騎士にも負けない。がっはっはと豪快な笑い方をする。副団長はレッドジンジャー。
ロザリオ団長・・・イケメンだが女癖が非常に悪く、綺麗な女性を見つけたらすぐに声を掛ける。残念なイケメン。副団長はエキザカム。
セオ団長・・・テレパシーが使え、第六感が鋭い。その能力の代償か、幼い頃から病弱。副団長はブリオニア。
グリフィス団長・・・幾度となく春庭の危機を救ってきた、春庭最強の騎士団の団長。彼自身も凄まじい戦闘力を誇る。副団長はアブラナ。(原作のストーリー団長みたいな立ち位置だと思って貰えれば)



ここまで読んで頂き、ありがとうございました。
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