無職転生 アイシャAfter   作:TANASOUKO

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シリアスな感じの話は当分ないと思います多分。


アイシャAfter③回数

アルスから、相談があるのでと酒場に誘われた。

息子に酒に誘われるなんて初めての経験だ。

面倒なことじゃなければいいが、と思いつつ少しワクワクしている俺がいる。

 

「パパ、こちらです」

 

指定された酒場に行くとすでにアルスが待っていた。

 

「おう。……なんか改まって息子と向かい合うと恥ずかしいな」

「そうですか? 俺はパパと向かい合ってお酒を飲むなんて、ちょっと誇らしい気分です」

「そうか」

 

しばらくは当たり障りのない話が続く。

最近ルロイが話した言葉。

アイシャが買ってきた洋服の趣味。

 

ひとしきり酒も進んでちょっといい気分になってきたところで、アルスは本題を切り出した。

 

「……実はパパ。……その、一晩に5回くらいって、多すぎでしょうか」

 

おおう。

これは酒が入ってないと話ができないやつだ。

ちょっと動揺するが、アルスも他に相談できる人がいなくて困って聞いてきたのだろう。

 

息子とムスコのことについて話すとは不思議な気分だが、ここは年長者らしく威厳をもって答えねばなるまい。

 

「いつもそれくらいしているのか?」

「……そうですね。夜いっしょの時はだいたいそれくらいです」

 

夜いっしょじゃないときというのは社長の仕事で泊りの時だろう。

アイシャは昼はうちに来ているときでも夜は必ず家に帰るしな。

 

「お前くらいの年なら珍しくはないと思うが……」

 

俺もシルフィと新婚の頃はそうだった。

一晩どころか一日中いたしていた日すらある。

 

「俺はいいんですよ」

 

アルスも恥ずかしいのか、酒をぐいぐい飲みながら話す。

 

「でもアイシャ姉が俺に合わせて無理してるんじゃないかと思って……」

「なるほど」

 

アルスはピチピチのティーンエイジャーだが、アイシャは……まぁ、女性の年はあまり触れてはいけないがもう30歳が見えている。

若いアルスに合わせるのは大変かもしれない。

 

なんでも優秀なアイシャのことだから平気でついていけている可能性もあるが。

無理なら無理って言うやつだから……、いや、待てよ。

アスラ王国から4年ぶりに帰ってきたアイシャは更にアルスにべたぼれになっているのがわかる。

アルスが相手なら無理でも無理って言わないってこともあるのかもしれないな……。

 

「普通に途中で切り上げるわけにはいかないのか?」

「いつもそう思うんですよ。でも始まっちゃうとなんというか夢中になっちゃって……」

 

わかる。

俺もはじめのうちはそうだった。

 

シルフィが「ごめん、ルディ、ちょっと休ませて……」なんて言うまでヒィヒィ言わせてしまって。

翌日ちょっと眠そうにしてて「もう、ルディのせいだからね……!」なんて頬を膨らますのだ。

ああ、思い出したらあの頃のシルフィのピュアな反応も懐かしい……。

 

「あの、パパ?」

「おっと、すまん。……アイシャは途中でやめようとか言ったことはないのか?」

「ないです」

 

うーん。

あまり身内のそういう姿は想像したことはなかったが、酒も入っているので想像してみる。

 

アルスは剣神流の剣士だ。攻めて攻めて攻めまくるのが極意。

対してアイシャは何でもこなす器用で優秀な子だ。一見無理なことでも創意工夫でどんどん対応してくる。

 

なるほど。これはかなりの好カード。

どっちも攻めるんだろうなぁ。

 

自分の3人の妻でいうとロキシーに近いタイプかな。

 

「つまり、アイシャの体の負担が心配だから、何とかして回数を抑えたいってことでいいんだな?」

「そうです!」

「じゃあママから聞いたとっておきの方法を教えてやる。ちなみにどのママかは秘密だ」

「わかりました!」

 

あ、今のわかりましたはエリスに似ているな。

まぁ息子だし。

エリスの場合わかってなくてもわかったと言うわけだが。

だが常にそれを見抜くエリスわかったわ検定神級の俺が見る限り、今のアルスのわかりましたはちゃんとわかった時の返事だ。

 

「それはな……」

 

 

‐‐‐

 

 

同時刻。

 

グレイラット邸の2階の寝室。

 

「じゃあここで今回の定例会議のゲスト、アイシャちゃんです。拍手」

 

定例の妻会議に参加するアイシャの姿があった。

シルフィの進行に生真面目に拍手をするロキシーとエリス。

 

アイシャから夜のことについて相談事があると聞かされたロキシー。

これは妻会議案件であると判断し、さっそくシルフィとエリスにはかり臨時妻会議の開催と相成ったわけである。

 

ちなみに夜のことはシラフでは話せないとシルフィとエリスが主張したため、すでに3人とも酒が入っている。

 

「じゃあ~、さっそくアイシャちゃんの相談というのを聞かせてちょうだい」

「うん。えっと……」

 

さすがに言いづらそうなアイシャ。

だがお酒は入っているとはいえ、3人とも真剣にアイシャの話に耳を傾けようと集中している。

その様子に勇気づけられたのか、アイシャはぐっと覚悟を決めた表情で、問いかけた。

 

「毎回一晩に5回って……多すぎじゃないかな?」

 

 

‐‐‐

 

 

「アルスの年なら普通ではないですか?」

「うん。ルディも新婚の頃は毎日それくらい……あ、ゴメン」

 

あとから参加したロキシーとエリスには不快な話かとシルフィが謝罪する。

 

「別にいいわよ。……私もルーデウスと結婚したころはそれくらいだったし」

 

どうやら趣味の不一致とか役に立たないとかそういった深刻な事態ではないと判断し、少し弛緩した空気が流れる。

 

「でもさ、その……男の人って、えっと、出すほうじゃない」

 

恥ずかしいのか、アイシャの顔が赤い。

 

「そうですね」

 

きわどい話題のはずだが、ロキシーは大まじめにうなずく。

 

「出しすぎて、体に悪いとか、ないのかな」

「なるほど……」

 

腎虚。赤い玉。

この世界にそういった概念はないが、懸念は想像できた。

 

毎日5回。

一季節、一年という期間で考えると積もり積もって途方もない量になるのはありえる話かもしれない。

 

「おばあちゃんがいれば、知ってたかもしれないけど……」

 

シルフィの祖母であるエリナリーゼのその手の経験値は雲の上の数値といってよい。

あるいは出しすぎによる弊害についても何か知っているかもしれないが。

 

だがエリナリーゼはクリフがようやく妻を迎える準備ができたということでミリス神聖国に行ってしまった。

 

「途中で『今日はこのくらいにしておこう』ってアイシャが言えばいいんじゃないの?」

 

エリスが言う。

 

「でもさ……アルス君、すっごく気持ちよさそうで、夢中で……それ見るとなんかこうこっちもキュンてきちゃうというか、応えてあげたくなっちゃうというか」

「あー、わかる、そうだよねー。ボクもルディがボクの体でこんなに……とか思うとダメになっちゃうもん。えへへ……」

 

酒が回ってきたのかシルフィがダメな感じになってきた。

 

「ちょっとシルフィ、もうそれくらいにしておきなさい」

 

エリスが酒を取りあげる。

 

「えー、いいじゃん。どうせ今日はエリスの日なんだしー。あとどれだけ飲んでも問題ないもーん」

「ではこうしてはどうでしょうか」

 

ずっと顎に手を当て考えていたロキシーが発言する。

 

 

‐‐‐

 

 

「すごくゆっくりするのです」

 

「ゆっくり?」

「そうですねぇ……まず口づけをするじゃないですか」

「うん。するね」

「10倍くらいの時間しましょう」

「そんなに!?」

「そう。で、その間に相手の体をなでてあげたり、さすってあげたり。決して激しくしてはいけません」

 

ごくり。なんとなくそれぞれの相手を想像したのか、アイシャ、シルフィ、エリスがつばを飲み込む。

 

「相手にも同じようにしてもらいましょう。……ほら、シルフィ。想像してごらんなさい」

「え……ボクがルディの体をそーっと触って、ルディもボクをずっとなでてくれたりするんだよね……あ、なんかいいなぁ……」

「そうでしょう。こう、体をぶつけあったりしなくても、すごくゆっくりすることでも結構満足できるものですよ」

「えっと……そのあとは普通にしちゃっても、いいんだよね」

 

アイシャの顔は先ほどよりさらに赤くなっている。

シルフィと同じように自分がそうされている想像をしたためだ。

 

「してもいいですが、そこも激しくするよりも、すごくゆっくり動いたりするとかなりいつもと違う感じになりますよ」

「はぇー……。わかった。今日試してみるよ」

「ええ多分、回数は減ってもお互い満足できると思いますよ」

「うん。ありがとう」

 

「ねぇロキシー。ロキシーはルーデウスとそういう風に、してるのよね?」

 

こちらも顔が赤い、エリスが聞く。

 

「そうですね。いつもではないですが、たまには」

「どうして、私やシルフィとはしたことないのかしら」

「さぁ……私はてっきりエリスやシルフィともそんな風にしているかと思っていたのですが」

「なんでかしらねぇ……」

 

 

‐‐‐

 

 

「と、いうわけだ。とにかくゆーっくりするのがコツだな。お互いそんなにへとへとにならないし。たまにはいいぞ」

「はぁ~。そんなやりかたもあるんですね」

 

俺がロキシーと開発したスローなやり方を伝授すると、アルスは感心したようにうなずいた。

 

「相性もあるかと思うから、絶対かどうかはわからない。でもやってみたらいいだろう」

 

少なくともお互い不満にならなければいいんだからな。

でもアイシャとアルスならうまくいきそうな気がする。

今はどっちも体に触れるだけで興奮しちゃうくらいだろうしな。

 

「わかりました! さっそくやってみたいと思います!」

 

言うとアルスは立ち上がる。

おう。さすが若さだ。もう今すぐにでもアイシャに試したいって顔だな。

 

「そうか。今日は俺が払っておくから。たまには息子の相談に乗るのもいいもんだ」

「ありがとうございます!」

 

そういうとアルスは走って帰っていった。

なにも走らんでも。

 

 

‐‐‐

 

 

家に帰って2階へ上がる。

軽くお酒の匂いがするが、だれか飲んだのかな?

 

まぁ自分も飲んだ帰ってきたわけだし、なにも文句は言えないか。

寝室に入ろうとすると、急に寝室のドアが開いて引きずり込まれた。

 

ホワイっ!?

 

……エリスだった。

なんか、目が怖い。

 

「ただいま、エリス。今日はエリスの日だけど、なんかあったのかな?」

「何にもないけど」

 

ふー。

エリスの息が荒い。

……なんか興奮していらっしゃる?

 

結婚した時のような、情欲一直線の目をしている。

 

「あのね、ルーデウス。ロキシーに聞いたんだけど、……すごくゆっくりする方法って、あるのよね?」

 

えっ!?

ロキシーしゃべっちゃったの!?

 

ついさっきアルスに話した内容であるが、あえてエリスには教えないようにしていた。

なぜかというと。

 

「ねぇ、やってみたいの。いいでしょう?」

 

返事も聞かずにエリスが俺をベッドに押し倒してくる。

エリスのパワーに俺がかなうはずもない。

 

「……ほら、性格とか、向き不向きとかあるから、そんなに気持ちよくないかもしれないよ?」

「かまわないわ。……やってみたくなっちゃったんだもの。ねぇ、お願い」

 

あーれー。

 

 

‐‐‐

 

 

で。

 

「はぁ。ルーデウス……すごくよかったわ……」

 

エリスは大変満足したようである。

対して俺は。

 

女の子みたいな声で

「もう無理!」

「イヤ!」

「ダメ!」

「おかしくなっちゃう!」

「はげしく! もうはげしくして!」

……と、さんざん鳴かされたのだった。

 

いやぁ自分でもあんな声が出るとは知らなかった。

 

仕方ないんだよ!

体力に差があるんだから、最後には俺の体力が限界になって、あとはエリスにさんざん攻められちゃうんだから!

 

そこをスローなやつで攻められるとやばい。

そう思っていたからエリスには教えられなかったのに……。

 

神よ。なぜ私を裏切ったのですか。(ロキシー)

 

 

 

翌日、俺が搾りかすみたいな顔でソファに座っていると、アイシャがシルフィたちにお礼だと言ってケーキを持ってきた。

めちゃ甘そうだから主にロキシー用だと思う。

 

なんかアイシャの顔がもうすんごくニヤニヤしてて、もう大成功! みたいな感じだった。

 

そうか。アルス、よかったな……。

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