オーバーロード ~堕ちし聖女と黒き騎士~   作:赤猫project

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本ッッッッッッッッッッ当にお待たせしてしまい、申し訳ありません_(;ω;`」_)
仕事忙しすぎワロリンティウス...(白目)

仕事増えすぎて創作に時間置く暇もないの本当にすいません、何とか書き上げた次話ですが「楽しんでもらえるかなぁ」なんて思う様になっちゃいました……(汗)

今後も失踪しない程度に書き続けますので……
どうか、どうか気長にお待ちくださいませ: (´д`;)




第16話

 

<グレイ視点 王国・路地裏>

 

暗殺者の捕縛から数分後、拙達はある建物の前にやってきました。セバスさんがスキルを使い情報を引き出した際に暗殺者の一人が話した建物です。

そこでは娼館らしいのですが、その娼婦をこの国では違法とされている奴隷にさせているらしいです。

そして奴隷は道具当然、怪我は当たり前で死ねば道具なので処分すればそれでいい……そんな所だそうです。

そんな場所を仕切っているのがこの王国に根を張る巨大な裏社会の組織、通称「八本指」だそうです。(暗殺者達を送ったのはその組織の「サキュロント」と呼ばれる男らしいです)

そして、この場所から捨てられた奴隷の少女を助けたのがセバスさんであり、それが「八本指」に知られた為、今回の騒動が起こった……

 

「外道が……」

「クライムさん……」

 

その話を聞いたクライムさんが静かな怒りが込められた声を漏らしていました。この国の騎士である人にとっては何とも言えない事態なのでしょうね。

……けど、拙の心は少し動揺はありましたが、人間に対しての扱い方に関して()()()()()()()()()()

ナザリックにおいて人に対しての価値観は「利用価値が低い家畜」程度。そう認識している方々が多い大墳墓に数年過ごした拙にもその認識が染みついているのが、この時分かりました。

 

幽霊である()()私を知ったら、"師匠"はきっと軽蔑されてしまうのでしょう……。それでも、私を拾い迎え入れてくれた至高の御方々に報いる為にも、人の頃の思いも…師匠への感情も、深い底に沈める、それが今は"ナザリック暗殺部隊〈渡影〉"である拙に必要な事です。

 

「……イさん?…グレイさん?」

「はっ!セ、セバスさん!?」

「どうかなさいましたか?扉の前で考え込んでいたようですが、」

「い、いえ…何でもない、です」

 

しまった……これからこの場所に突撃するって時なのに、先ほどの事で頭がいっぱいになっていました。

ブレインさんとクライムさんは既に別の建物の扉の前に立ち、すぐにでも突入ができる準備が出来ていました。

娼館とは別に繋がっている建物が隣にあると話していたので、そちらをお二人に押さえてもらう手筈です。

 

「それではこちらもいきましょうか。それと、先ほども言いましたが、重要人物を含み相手はできる限り捕虜にいたしますが、抵抗する者は容赦なく殺しますよ」

「了解です」

 

私が返答し頭を頷いたのをみると、セバスさんはドアのノブに手を取りました。ですが、カギがかかっているようでガチャリと鉄扉が鈍く動いた音が響きました。

 

「むぅ、鍵開けは得意ではないのですが……仕方ありません、ここは強引に――」

「セバスさん、ここは私が行きます」

「グレイさん…なるほど、そうでしたね。では、ここはお願いいたします」

「はい」

 

私は暗殺者、それ以前に実体が無い幽霊種……自身を限界まで透過させれば障害物等無いにも等しいのです。

 

Gray(暗くて)……Rave(浮かれて)……

 

アッドとの同調を深めながら拙の身体を極限まで薄くしていく、輪郭が薄い霧の如く揺らめき始めたのを実感すると、扉へむかって突撃します。

扉にぶつかった衝撃はなく、スルリとドアを通りぬけました。その先には壁に寄り掛かり、あくびをしている眠そうな目をした男が一人います。

音もなく入った私に気付く素振りはみせず、此方に気付く様子が無いのをすぐに見抜き、拙はすぐさまアッドを相手に振るいます。

 

「ふぁあ~……あ?」

Crave(望んで)……Deprave(堕落させて)……

 

 

 

 

 

 

<娼館・内部>

 

ゴトリ――

 

重たい何かが落ちる音で部屋にいた一人の男は何か違和感を感じた。この部屋には落ちそうなモノを置いている馬鹿はいない。

なにか不信に思われれば、兵士を呼ばれる可能性があるためだ。だからこそ違和感のある音には多少なりとも敏感になっている。

 

だが、どうやら入り口の方から聞こえてきた様子、今はまだ昼間で普段この時間は客を集めていないし、なんなら今日は"特別な"客が来ているため貸し切り状態にしておけとのオーナーからの指示だ。

なにがあったのかと、やりかけのカードゲームの手札を机に置き様子を見る。

 

「おいおい、どうしたってんだよ?」

 

ゲーム相手の男は音に気付いていないようだ。もう一人の男は恐る恐る入り口方面へ歩いていこうとする。すると、足が何かに当たった。

椅子の足でもないどこか柔らかさを感じる奇妙な感触、何かと思い下をみると……入口の見張りをしていたハズの男の首であった。

 

「ひ、ひぃいいああああああ‼‼」

「な、なんなんだよコレ‼‼」

 

もう一人の男も転がってきた男のパーツに気付き、顔が青ざめる。頭だったモノが足元に転がってきた男にかんしては恐怖で腰が抜け、その場から動けそうにない。

異常、明らかにこの場で普通起きることが無い現象が目の前に転がってきた。思考の処理が一方にできない、何が起こった?なんで死んでる?その文字だけが頭を埋め尽くしていた。

 

奥から聞こえてくる足音が聞こえてくるまでは――

 

コツ

 

 

 

 

            コツ

 

 

 

 

 

   コツ

 

ゆっくりと、だが着実にこちらに向かってきている。その正体は灰色ローブを身に纏った人物。

身体は小柄で、手には鮮血滴る金色(こんじき)の装飾と暗く蒼い柄が特徴的なサイスを握りしめている。

 

「だ、誰だコイツ!?」

「な、なんなんだよ!!」

「ひぃいいいいいいい!!」

「お、おいテメェ逃げんな!!」

 

この部屋にいたもう一人の男が恐怖で逃げ出そうとする。フードの人物の横を全速力で横切ろうとしたのだ。

だがその人物は男を見逃すつもりはなく、握りしめていたサイスを軽々と振るい、男の左腰あたりから右肩にかけて斜めにサイスを振るい男を両断した。

男から死の間際に聞こえてくる断末魔を叫ぶことなく、ダッシュの姿勢から崩れるように切断された2つの肉体がⅤ字に別れ、べちゃりと鮮血をまき散らした。

 

「あ、あああぁぁあああ!!」

「お、オイ!よせ!!」

 

カードゲームの相手だった男が突如ナイフを引き抜き、フードの人物に向かって走り始める。その男の目は恐怖がにじみ出ているのに、蛮勇とも言える行動にでた。

度重なる恐怖と、同僚の死で精神の糸が切れ発狂でもしてしまったのか、走りながら滅茶苦茶にナイフを振るい突撃する。だが――

 

Grave(刻んで)……me(私に)……

 

そんな必死の抵抗もまるで気にする素振りもなくサイスを股下から頭に掛けて縦に振るった。

あれ程狂乱しながらナイフを振るっていた同僚の動きがピタリと止まった。

すると体の中心、頭から股下までのサイスが振られた箇所から赤い筋が見え始めると、ずるりと上下に身体が崩れ、力なく左右に肉体が裂かれた。断面から赤い鮮血と血肉、デロリと流れ出る内蔵が死を強く強調させる。

 

「あ、あぁ……ああああああ……」

 

死神――

灰色のローブを身に纏い、黒い霧を足元から纏わせ、幽鬼の如く身体が揺らぎ透けている。

かの死神を見て、男は自身の今までの人生を悔い改めた。今までどんな絶望的な状況でも自身の悪行を心の底から悔い改める事など無かったの言うのに。

本物の死神を見た際には、まだ見逃してもらえる可能性を醜くも模索し、「今までの悪行を後悔しこれ以上しない、改心する。だから……」と震える口から声が出ない為、心の底で何度も願う。

 

「あ……あぁ」

「……。」

 

灰かぶりのフードの奥底、死神の顔はどのようなモノなのだろうか。サイスを振り上げ、いま自分の首を跳ね飛ばそうとしたその一瞬、暗い靄の奥底にその素顔があった。

男は死の刹那、一目見てやろうとおもった。その醜き化け物と同類であろう死神の醜悪な顔を、それをみて地獄の奥底で嘲笑ってやろうと。

だが、一瞬見えたその顔は――

 

「ははっ……主は居ませり、てか」

 

 

――なんとも美しい、少女(女神)であった。

 

 

Grave……for you(墓を掘ろう……あなたに……)……

 

 

暗い瞳の女神が握りしサイスに、銀色の輝きが煌めいたその一瞬、男の意識は潰えた――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

<王国・路地裏 娼館前>

 

中から聞こえてきた物音の悲鳴が潰えたと同時に、建物内から「カチャリ」と鍵が開けられた音が聞こえてきた。

その音を聞きセバスが扉を開けると、中は既に制圧済みの様だ。鮮血と男達の肉があたり一面に散らばっている。

歩みを進め、奥の部屋に向かうと奥の壁際に大鎌を握りしめているグレイが立っていた。その姿はどこか揺らいでおり、彼女の輪郭が歪み存在を不鮮明にしている。

 

「終わったようですね。制圧、ありがとうございます」

「……いえ」

「……どうかなさいましたか」

 

セバスが彼女の下に近寄ると、首元に鎌の刃が寸止めされている男が壁際で座り込んでいる。

さらに近寄り見てみると、男は白目をむき口から涎が流れ動く気配が無い。よく観察してみると男は呼吸をしていない。

どうやらあまりの恐怖で自身でその命を捨ててしまったようだ。いわゆるショック死、この場に居た数人の死を目の当たりにし、自身が死ぬと直感した結果、脳が生きる事を捨てたのだろう。

 

「全員死んでいるよですね。では、こちらも先に進みましょう」

「……なぜ」

「うむ?」

「何故自身の命を天秤にかけていないのに、人間は悪業へ沈んでいくのでしょうか……」

 

この数分で何か思う事ができてしまったのか、サイスの刃を降ろし暗い表情のまま下を向き、疑問の声をこぼすグレイ。

 

「拙は己が悪業に対して天秤を用意できています。いつか、拙自身の悪業が積み重なった時、同じ様に拙を殺す存在が現れるかもしれません」

「そうなっても、自身は後悔する事はなく…かの御方々への忠義を貫き、後悔なく死ぬ覚悟はできています。他の守護者の方々やナザリックの皆様も同じ気持ちでしょう」

「ですが、人間は違う。罪を重ね、天に背く行為に走ったというのに、いざという時は神に祈り、己が過去を後悔し相手に命を乞う………拙のこの思いは、どこかおかしいのでしょうか」

 

ショック死により命を手放した男は、涙を流しながら手を結び祈りを捧げている。心の奥底で何度も助けてくれと懇願し、神へ己が罪を許してくれと乞い願ったのだろう。

その握りしめた手の指は、強く握った証として爪が皮膚へ食い込み、血が滲んでいる。

 

「その答えはおそらく一生をかけても出ない物でしょう。ですが、その生にすがる為にたとえ神へと背く行為をしてたとしても生きたいと願う…その執着心こそが、人を人たらしめる要素なのでしょう」

「そして、どんなことでも生を求め、その先のー未来を切り開こうとする、その輝きが人間の良さだと…私は思いますよ」

「そう……なんでしょうか、ね」

 

グレイ、彼女はかつて墓守であり、親愛なる「師匠」と呼べる人間のマジックキャスターが居たらしい。

だが、その「師匠」を何らかの事情により失い、自身もその命を落とし、亡霊となって彷徨っている。

亡霊となっている彼女だからこそ、人が持つ生への執着が自身の心に突き刺さるのだろう。

彼女の過去に何があったのか、それは至高なる御方々しか知らない。だが、きっと重く辛い過去があったのだろう。

 

「グレイさん。貴女もいづれ美しいと思うはずです。どんなに生き汚いと感じても生にしがみつけないか模索する、そんな人間らしさを」

「そう…ですかね」

 

優しくグレイの肩に手を置き、彼女への問いへのセバスなりの答えを伝えると、床に付けられた地下に続く開き扉を開く。

トラップが付けられていて、開けた瞬間ボウガンの矢が飛んできたがセバスは動揺する素振りもなく、容易くキャッチしそのままへし折る。

矢じりには紫色の液体がついており、毒物が塗られていたようだ。これほどの殺意が込められたトラップを仕掛けるという事は、それほど来られたら不味い場所だと、教えてくれている。

 

「さて、地下が本命の様ですね。行きましょうか」

「……(パンパンッ」

「はい、行きましょう」

 

軽く両頬を叩き、気分を切り替えたようでグレイさんの表情が元に戻った様だ。少し両頬が赤くなっている。

 

コツコツ…地下に続く石階段を降りると、その先は扉周りや客室番号が下げられた看板など倉庫とはどこか違う、何処か高級感のある地下通路が出た。

そして、剣やナイフを携えた強面の男達が何やら慌てた様子でドタバタと動いている。おそらくブレインさん側と、私達側の両方で何かが起こったのを察知したのだろう。

 

「なっ!なんだテメェら!?」

「お、おいアイツの武器、血ィついてるぞ!?」

「多いですね」

「そうですね。では、掃討といたしましょうか」

 

殺意の纏ったバトラーと、殺気を隠した灰ローブの少女が地下室で蹂躙を開始する。

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