森の中を歩きながら、アライグマは独り言を話しています。
「私は、仮にもクマだからね!
そのへんの動物に負けるつもりは全然ないけどね!
……でも、
アライグマが決意を強く固めていると、ちょうど森の奥から、例の
これは、好都合です。
「あ! おーい、
調子は、どうだーい!」
そうです、流石のアライグマも、本家本元のクマには勝てません。
だけど、この森のクマは、怖がり。
『ゲーム大会』の後半になれば、クマがお腹を空かせて、野生に目覚める可能性があります。
その前にさっさと倒しておく方が正しい選択だとアライグマは考えたのでした。
(一撃で倒すには、首筋か、柔らかなお腹かな!
でもきっと、クマのヤツ、驚くだろうな!
一体どんな間抜けな顔をするんだろ!)
そんなことを考えながら、クマに向かって尾っぽを振るアライグマ。
そう、アライグマは、完全に、油断していたのです。
まさか、あの、弱虫で臆病なクマが。
自分を理由もなく攻撃するはずがない、と。
だから、気づきませんでした。
「ぐええええ!?」
クマの爪が、アライグマの柔らかいお腹を引き裂きます。
「あああ、ごごごごめんね、ごごごごめんね!」
クマは謝りながら、恐る恐るアライグマを攻撃してきました。
一思いにやらない分、それは激痛となってアライグマを襲います。
「あああああああああああ!?
ああああああああああああ!!」
声を上げながらフラフラ逃げ出すアライグマを。
クマはオロオロしながら前足で押さえつけます。
「ああぁぁあぁぁ……!
……ぁぁっぁぁぁあぁぁ……」
「ごごごごめんね、えええ栄養を、ととと摂らないと、ぼぼぼぼくも、ししし死んじゃうから」
泣きそうな顔で、クマは話しかけてきます。
「……ぇ……、ぇ……ぃ……ょぅ……?」
クマの言葉に、アライグマは朦朧とした意識の中で、考えていました。
『栄養』?
『飢え死にする』、ではなくて?
一体どういう意味……。
「ぁぁ……。 ぁぃっ……ヵ……」
その意味を理解した次の瞬間。
クマの力で自分の首があり得ない方向に曲がる音を、アライグマは聞くことになったのでした。