絶次元ゲイムネプテューヌ 激爪のビッキィ   作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)

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回想、アヤメの姉妹

【プラネテューヌ教会】

 

 オオトリィで謎の幼女を保護してから数日後

 

 教会内に備え付けてある、部屋の1つに、プルルート、ステマックスの2人は椅子に座り、テーブルをさ挟んで向かい合っている。

 

「ステちゃん、あの人何か教えてくれた?」

 

「はい、ようやく全て話してくれたで御座る。…大変だった」

 

「ステちゃん、お疲れ様〜」

 

「ありがとうで御座る、ぷるるん殿…!」

 

 どうやらステマックスは先程まで例の男に事情聴取を行っていたらしい。…オオトリィでの出来事から数日経った今まで口を割らなかったが、ようやくその重い口を開けたとの事。

 ……ステマックスの疲れ切った様子から察するに、かなり大変だったようだ。

 そんな彼にプルルートは苦笑いしつつも、労いの言葉をかける。

 ステマックスは仕える主の優しさに感涙しながら感謝する。

 

「どういたしまして〜! …イストワールは?」

 

「いーすん殿は例のメモリについてレイ殿と通信で話し合っているで御座る。…あの少女の容態は?」

 

「うん…かなり痩せてたし…ごはんも食べてないみたいだから、おかゆ食べさせたりして、少しずつだけど元気になってきてる。……相変わらず、名前、教えてくれないけど」

 

「……そうで御座るか…」

 

 あたしはプルルートって言うの。…貴女の名前はなぁに? 

 

 ひっ…こないで…もういたいことしないで…! 

 

 …保護した当初、自己紹介をしようとした時の少女の拒絶の言葉と怯えきった様子を思い出し…暗い気持ちが2人の心を覆う。

 

「……ステちゃん、あたし、またあの子の様子見てくるね。ステちゃんはイストワールにこの事を伝えに言って」

 

「…了解したで御座る」

 

 本当はプルルートについて行きたい。そんな気持ちを堪え、ステマックスは、イストワール達の元へ向かう。

 

「行ってらっしゃい、ステちゃん。……よし」

 

 ステマックスを見送り、プルルートは決意を固め、『彼女』のいる医務室へと向かっていった。

 

 

【プラネテューヌ教会 医務室】

 

 備え付けられたベッドの上に頭から毛布を被り、体を震わせている幼い女の子がいた。

 

「…………」

 

 目には怯えの色が宿っており、警戒するように無言で扉をじっと見ている。

 そんな時に、コンコンとドアをノックする音が部屋に響いた。扉を静かにあけ、プルルートが入ってくる。

 

「また来たよ〜。気分はどう?」

 

「…………」

 

 答えない。プルルートの呼びかけに、少女は無言をつらぬく。……その表情に深い怯えを浮かべながら

 

「……何か食べたいもの、ある?」

 

 ゆっくりと優しい声色でプルルートは少女に言う。

 

「………なんで」

 

 少女が初めて口を開く。

 

「ぷる?」

 

「なんで、こんなにやさしくしてくれるの?」

 

 顔に怯えが残ったまま、少女はプルルートに問う。

 

「…………」

 

「わたしのて、こんなになってるんだよ? こわく、ないの?」

 

 体を震わせ、異形となっている自身の腕をプルルートに見せながら、少女は言う。

 

 対するプルルートは、微笑みながら、少女の手を取り……

 

「こわくなんかないよ。だから貴女もこわがらないで? あたしを、あたし達を信じて…!」

 

 祈り、懇願するように、プルルートは少女に言う。

 

「──こわ、かった…」

 

「うん」

 

 プルルートは少女を抱きしめる

 

「めもり、からだになんかいもいれられた…」

 

「うん」

 

 プルルートは抱きしめたまま、少女の頭を撫でる

 

「おなかすきすぎて、もんすたーのかくをたべちゃったら、てがこんなんなっちゃった…」

 

「…うん、もう大丈夫だよ。もう、怖いことする人はいないよ」

 

 抱きしめ、少女の頬を撫でながら微笑む。

 

「ひっ、くっ……あ、ああぁああぁあ……っ!」

 

「よしよし、大丈夫だからね…」

 

 頬を撫でてくるプルルートの手に自分の異形の手を添え、決壊したかのように泣き出す。

 そんな少女を安心させるように、プルルートは少女を抱きしめながら背中をさする。その名の通り、女神の、慈愛に満ちた表情で。

 

「──あの、ごめんなさい…ふく、びしょびしょにして…」

 

 プルルートが少女を抱き、慰めて、十数分後。泣き止んだ少女は羞恥と申し訳なさで赤面しながらプルルートに謝っていた。

 

「ん〜ん? 全然、気にしてないよ〜!」

 

 対するプルルートは気にした様子はなく、少女を抱きとめたまま頭を撫でて、笑いかける。

 

「うみゅ…ありがとう…」

 

 撫でられるのが気持ちいいのか、少女は目を細めて、嬉しそうな表情でプルルートに礼を言う。

 

「どういたしまして〜! …ねぇ」

 

 プルルートは頭を撫でたまま、真剣な顔になり、少女の顔を真っ直ぐ見ながら言う。

 

「…うん」

 

 真剣な顔になったプルルートを見て、少女はギュッとその『手』でプルルートの服を掴むながら聞く姿勢をとる。

 

「あたしは、プルルート。…貴女の名前は、なぁに?」

 

 真剣な表情から一転。…優しい柔和な笑みを浮かべながら少女に改めて名前を問う。最初に聞いた時のように。

 

「……ビッキィ。…わたしは、ビッキィ、です」

 

 少女は、ビッキィは深呼吸して、自分の名をゆっくり、丁寧に名乗る。

 

「そっか、ビッキィちゃんっていうんだ? ……キィちゃんって呼んでいい?」

 

 やっと名乗ってくれた。嬉しさで泣きそうになるのを堪えながら、プルルートは愛称で呼んでいいかと聞く。

 

「うん! いいよ! ……わたしも、おねえちゃんってよんでいい?」

 

 ビッキィはプルルートに抱きついたまま、恐る恐る聞いてくる

 。

 

「いいよ〜! ……ねぇ、キィちゃん今日は何が食べたい?」

 

「…リゾットがたべたい!」

 

「えへへ、ならすぐ作ってくるね〜」

 

「あっ……」

 

 そんなやり取りをしつつ、もうすぐ夕頃になるのでプルルートはビッキィの抱擁を解き、夕飯の支度に向かおうとする。

 抱擁が解かれたビッキィは一瞬寂しく感じるもぐっと堪え、大人しく待つことを選ぶ。

 そんな様子のビッキィを見てプルルートは彼女に手を差し出しながら、こう告げた。

 

「一緒にいこ? キィちゃん」

 

「…うん! …えへへ」

 

「えへへ〜! リゾット好きなの?」

 

「たべたことないけど、ほんでみたことあるよ!」

 

「そっか~、すごく美味しいから楽しみにしててね~?」

 

「うん!」

 

 ビッキィはベッドから降りて、差し出された手を取る。喜びに満ちた、子供らしい笑顔で。

 それに釣られてか、同じようにプルルートも笑みを零す。

 ──2人は手を繋ぎながら、そのまま台所へ向かっていく。

 お揃いの髪色も相まって その今の2人やり取りは、本当の姉妹の様に見えるのだった……

 

【一方その頃ステマックス達は】

 

 教会に備えつけた、会議室。そこには、イストワールとステマックス、そしてモニター越しに青い髪に白い角の様な飾りを頭の片側だけに付けた眼鏡の女性、キセイジョウ・レイの3人がいた。

 二人の会話中に、ステマックスが情報を伝えに入室し、たった今それも終わったところだ。

 

「──以上で御座る」

 

 イストワールとレイに傅きながら、ステマックスは報告を伝え終える。

 

「ふむふむ。なるほど…レイさんから聞いた通りですね(`・ω・´)」

 

「……やっぱりあれが、2本のゲイムメモリが原因…!…近々、その子に会いに行ってよろしいですか?」

 

 イストワールは自身の顎に手を添えながら、情報のまとめを始める。一方でレイは原因に当てをつけ、例の少女…ビッキィに会いたいと言い出す。その顔に悲壮感と責任感を宿しながら。

 無理もないだろう。ゲイムメモリはタリ…レイが女神として治めていた、太古の国が作り出してしまったものなのだから。

 そのメモリが今になって一人の少女の人生を歪めてしまっている。だからこそ責任感を感じてしまっているのだ。

 

「レイ殿、あまりお気に病むな。過去の過失を悔やんでも仕方ないで御座る」

 

 それがわかっているステマックスはかつての上司を慰める。

 

「ステマックスさん…ありがとうございます。…ですがその子に会ってみたいです構わないでしょうか?」

 

 ステマックスに感謝の言葉を送り、改めてビッキィに会いたいと申し出る。

 

「…あの子の心が開いたら──」

 

 そう告げようとした瞬間に着信音が響く。出所は、イストワールからだ。二人は思わず、そちらに視線を向ける。

 

「イストワールさん?」

 

「いーすん殿?」

 

「すみません、プルルートさんからです。…晩御飯出来たからおいで~だそうです。あとキィちゃんも一緒だそうですよ? (*^^*)」

 

 送られたメールの内容を見たイストワールは笑顔になりながら2人に告げる。

 

「「キィちゃん?」」

 

 ステマックスとレイは声をそろえて言う。キィちゃんって誰だと思いながら。

 そんな2人にイストワールは笑顔を保ったまま、無言でメール文と共に添付された写真をホログラフィーにして2人に見せる。

 

「…レイ殿、どうやらたった今から会いに行っても問題はないようで御座るよ?」

 

「みたいですね! 会いに行くときは、ミライとピーシェも連れて来ますね、きっといいお友達になれるから」

 

「ですなぁ!」

 

 笑いあう二人の視線の先には、テーブルに並べられたリゾットを背景に、手をつ繋ぎながら、笑顔でピースサインをしている、プルルートとビッキィの姿が映っていた──

 

 

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