絶次元ゲイムネプテューヌ 激爪のビッキィ 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
しかもめっちゃ長くなった……
〜翌日〜
「……愛月、愛月……朝だよ? 起きて」
「うにゅ…後50時間…」
神次元に落っこちてきた少年、愛月を自身の部屋に招き入れたビッキィは眠気がまだ残って居るものの、起きてその隣で寝ている愛月を起こそうと自身の眠気を堪えながら寝そべった状態で愛月の肩に触れ、強めに揺らすも寝ぼけている愛月は寝すぎだろと突っ込みたくなる寝言を言いながら一緒に被っていた布団を全て奪い、潜る。
「……むぅ。お・き・ろ〜〜っ!」
そんな寝坊助に痺れをきらし、ビッキィはほほをぷくぅと膨らませると愛月から布団をひっぺがして自身も潜り、両手で愛月の腹を思い切りくすぐり攻撃をおみまいする。
それを食らった愛月はまるで女の子のような悲鳴を上げた。
「きゃっ!? ……悲鳴が女の子みたい…」
「うぅ…ビッキィ~~急にくすぐるのやめてよぉ~~」
そんな愛月の悲鳴を聞いてしまい、ビッキィは思わず両手で耳を塞ぎながら驚いてしまう。
急にくすぐられた愛月は泣きべそをかいて苦言をもらしながら起き上がる。
「ごめんごめん。……だけど起きようとしない愛月も悪いよ?」
「それはそうだけど…くすぐり弱いからやめてよね?」
謝りながらも、起きないのが悪いと考え、ビッキィはそう言う。
それを指摘された愛月は申し訳なさを感じるが、それでもくすぐりは弱いから止めてと伝える。
「はいはい、もうやらないよ。……プルねぇさん達のとこ行こう?」
「はぁ~い♪」
二つ返事をしながら、ビッキィはいまだにベッドの上にいる愛月へと手を差し出して1階のリビングで朝食の用意をして待っているであろう姉達の元へと行こうと伝えると寝起きのせいか愛月は普段以上にかわいらしい笑顔で返事をして差し出された手を取り、そのまま手を繋いで共に部屋を出てリビングへと向かう。
───────────
「……愛月本当に男の子?」
「もぉー! ちゃんと男だよ!! 僕は!!!」
仲良く手を繋いでリビングへと向かう途中、ビッキィは先程見た、愛月のかわいらしい笑顔を思い出しながら一緒にお風呂に入っていたにもかかわらず、そんな事を訊く。
それを聞いた愛月は流石にむっと来たのか、ほほをぷくぅと膨らませながら、声を上げて自分は男だと主張する。
「いやだって、顔といい、仕草といい……わたしよりも女の子してるよ…?」
「だからと言って僕で遊ぶのはやめてよね?」
先程の自分の様な仕草に思わずくすりとしそうになったビッキィはそれをなんとか堪える。
しかし男の子にも関わらず、自分以上に女の子している愛月に若干凹みながら、そう言うと愛月はそれでも自分で遊ぶのはやめて欲しいと伝える。
「はいはい。……あ、着いた。プルねぇさーん!」
「はーい! ご飯出来たよー!」
それを二つ返事して聞きながら、姉達のいるリビングへと着く。そこにはやはり待っててくれていたプルルートと、既に朝食の置かれたテーブルに着席している、ステマックスとイストワールに出迎えられる。
そんな朝食の内容はこれだ。
洒落たデザインのバケットの中に焼きたての素晴らしい出来栄えの手作りパンが幾つかあり、更にロボットであるステマックス以外の人数分の目玉焼きにウィンナーが乗った皿がテーブルの上に並べられている。
それを見て食欲をそそられた2人はおはようと返事をしながら席につき、全員で手を合わせながらいただきますといってから朝食を食べ始めるのだった。
───────────
「ごちそうさまでした!」
「お粗末様〜♪」
朝食をそれぞれ食べ終え、愛月以外はほとんど同時にご馳走様を言う。
そんな仲のいい家族を見てプルルートは嬉しそうに微笑みながらお粗末様を言って食器を片付ける為に椅子から立ち上がり、自分の食器をキッチンと一体化されている流しへと運んでいく。
「ごちそう様! それにしても…はぁ」
「どうしたの?」
マイペースに食べていた愛月も少し遅れて食べ終わり、手を合わせてご馳走様を言う。しかしそのすぐ後、なにやら気落ちした様子で溜息をついてしまう。
皿洗いを始めているプルルートのいる流しへ自分の食器を纏めて運んでいるビッキィはそんな愛月の様子が気になって、自分の食器を皿洗いを夢中でしているプルルートにお皿ここに置いておくねと伝えて、愛月の方へと向かい、どうしたのかと訊いてみる。
「食後の運動がてらランニングしてくるで御座る」
「わたしもすぐに調べ物に戻ります∠( ̄^ ̄)」
「行ってらっしゃ〜い」
そんな2人をよそに、日課と仕事をしに行くステマックスとイストワール。
いつもの日課へと向かう2人をプルルートはいつものように手を振って見送ると、ビッキィから離れた愛月が後ろから近づいて話しかけて来て、急にどうしたんだろうと思いながら後ろを向いて膝を曲げて愛月と目線を合わせてどうしたのかと訊く。
「聞いてよお姉ちゃん! さっきビッキィがね」
「あらまぁ〜。……キィちゃん?」
プルルートに促され、愛月は先程自分がビッキィにされた事を伝える。──かなり根に持っていたようだった。
それを聞いたプルルートも流石にやりすぎだと判断したのか、ソファーにのんびり座っているビッキィの名を呼びながら視線を向け、睨みつける。
「だってあと50時間とか言うんだよ? 寝すぎでしょ……」
「それでもやりすぎだから駄目」
「…うっ……はい、反省します……愛月もごめんなさい」
「うん…次からはやめてね」
「わかった」
睨みつけられたビッキィはバツが悪そうにプルルートに言い訳をするが、でもやりすぎだから駄目とバッサリ切り捨てられ、流石に観念して反省の言葉を口にしながら愛月に謝罪する。
ビッキィの謝罪を聞き入れ、了承しながらも再三の注意をする愛月。
それを複雑な心境を残しながらもビッキィは注意を聞き入れ、勢い良く頷いて了承した。
───────────
「あっお姉ちゃんちょっといい?」
「なぁに〜?」
「僕もぬいぐるみ作ってるから一緒につくろぉ~」
「いいよ〜♪」
「やった~~~」
朝から少しトラブルがあったものの、その数分後には穏やかな雰囲気となっていた。
プルルートはのんびりと皿洗いをしていたところに愛月が声を掛けてくる。どうやらぬいぐるみを共に作らないかという誘いらしい、唐突に誘われたプルルートは一瞬困惑しながらも、そう言えばキィちゃんの部屋で寝てたっけと思い出して、ならおそらくビッキィから聞いたのだろうと思い至り、いいよと了承する。
了承を受け取った愛月は嬉しそうに喜んでいる。
「……」
「あっお姉ちゃんせっかくだからビッキィのぬいぐるみ作りたいな」
「いいよ。……キィちゃんも呼んでいい? ああ見えて寂しがり屋さんだから」
「わかった♪ ねぇそこでそっと見ている人こっちにおいでぇ~」
「……え、なに?」
ソファーに座りながら、そんな2人を複雑そうにじっと見つめるビッキィ。自分も混ざりたいと思っているものの先程の事があるからか、気まずさが尾をひいていしまっていた。
隠しもしないその視線に勿論気づいていた2人は小声で互いの主張を伝えあう。片や、せっかくだからとビッキィのぬいぐるみを作りたいというのと片やそれなら誘って一緒に作ろうというものだ。
後者の、プルルートの提案ににんまりとしながら賛成して、愛月は早速ビッキィに話しかける。
2人が小声で話し合っている様子も見ていたビッキィはいきなりおいでと話しかけられた事に困惑してその場から動けないでいた。
「ほら! ビッキィこっちにおいでよ」
「え、ちょっとなに!?」
「お姉ちゃ~ん連れてきたよ~~」
「お疲れ様〜♪ ……キィちゃんも一緒にぬいぐるみつくろ?」
「え!? …………わかった」
「よぉーしがんばろぉ~~♪」
「おー!」
「お、おー…?」
愛月はそんなビッキィの様子にお構い無しとばかりに手を取り、プルルートの元へと引っ張っぱろうとする。
いきなり引っ張られたビッキィは驚き、しかし抵抗することなく引っ張られていく。
そうして愛月はビッキィをプルルートの元まで引っ張り、連れてきたとプルルートに伝える。
愛月に労いの言葉を掛けつつ、ビッキィの先程の愛月のようにビッキィと目線を合わせながら一緒にぬいぐるみを作ろうと誘う。
いきなりの事が多くて困惑するしかなかったビッキィだったが、素早く頭の中で状況を整理し1分も経たないうちに了承する。自分も混ざりたいと思っていたから、本人的には普通に嬉しい事だ。
了承の返事を聞いた2人は手をあげて気合いを入れるようにおーと言い、ビッキィも戸惑いながらも少し遅れておーと言った。
───────────
暫く真剣にぬいぐるみを作っていた一同だったが、いつの間にかビッキィがプルルートの膝上に体を丸めて寝てしまい、それには流石のプルルートも作業を止めて苦笑い。
しかし愛月は先程の仕返しとばかりに笑顔を浮かべながらビッキィの脇腹を両手でくすぐりだした。
「ありゃ? ビッキィ寝てる…さっきの仕返ししてもいいよね? おりゃ~!」
「すぴー…。……あははは、ちょっなにっ!? や、やめ…あははは!」
そのくすぐり攻撃に体を丸めて、さながら猫のような姿勢で気持ち良さそうに寝息をたてていたビッキィもこれにはたまらず起きて、大笑いしながらくすぐり攻撃に対してじたばたと抵抗する。
「さっきの仕返しだよ! ビッキィ
「うぅ……何も言い返せない…」
「ふふっ…」
仕返し。それを言われた瞬間、言い返せなくて抵抗がなくなりビッキィは大人しくなる。
自分の膝上でそんなことをやっている2人に怒ること無く、プルルートは見守ってあげている。
「あははやった~そしてこっちも完成したよぉ!」
「ぶっ!? ……わ、わたし?!」
「そうだよぉ~かわいいでしょ」
「自信作だよ〜♪」
ようやくくすぐり攻撃を止めてくれた愛月に、ほっとするビッキィ。しかしそれも束の間、愛月が完成したと見せてくれたぬいぐるみを見た瞬間、ビッキィは思い切り吹き出した後、顔がまるでトマトのように真っ赤に染めていく。
「……あ、ありがと…」
「ビッキィ照れてるかわいい~~」
「〜〜! わたし、ランニングしてくる!」
「わぁ!? ……もう照れ屋さんなんだから…」
嬉しいような、恥ずかしいような。そんな心境でトマトのように顔が真っ赤になりながらぬいぐるみに対して礼を言うビッキィ。しかし、そこから愛月からのかわいいという追い討ちにあっさり限界を迎えてそのまま立ち上がってランニングへと向かうと言って、そのまま走り去っていく。
そんなビッキィに相変わらず照れ屋さんだなぁと思いつつ、苦笑いするのだった。
───────────
「あっぬいぐるみを作る材料無くなった。一緒に買いに行く? お姉ちゃん」
「いいよ? いこいこ〜!」
「わぁ~い!」
ビッキィが恥ずかしさで走り去ってからしばらく経ち、ぬいぐるみを作り続けていた2人だったが材料がなくなってしまい、それに気付いた愛月が材料を買いに行こうとプルルートに提案。その提案を快く承諾して、喜ぶ愛月と手を繋ぎながら商店街へと向かう。
「こっちだよ〜」
「わぁ~色んなお店があってにぎやかだね~お姉ちゃん」
「皆元気一杯だからね〜」
「そうだねぇ~…あれ?」
愛月の手を引きながら結構年季の入った商店街を歩くプルルート。
賑やかで活気のある商店街に思わず目移りしたように周りを見渡す愛月。プルルートはそんな愛月にこの国の女神として誇らしげにしながらそう言う。
相槌を打ちながら、周りを見渡し続ける愛月。ふと路地裏に目を向けると、なにか大きなネズミのぬいぐるみが落ちているのが目に入った。
「愛くん、どうしたの?」
「あそこにぬいぐるみが落ちているのちょっと見てみる」
「…ぬいぐるみ? ……プルッ!? あ、あれって……」
路地裏をじっと見つめる愛月にどうしたのかと声を掛けるプルルート。プルルートの言葉に対してぬいぐるみが落ちているからちょっと見てくると行ってプルルートの手を離して愛月は路地裏に向かっていく。
路地裏にぬいぐるみ。捨てられた物かなと思いながら愛月が向かった路地裏の方へと目を向けるプルルート。しかしそこに落ちていたのはぬいぐるみではなく、見覚えのあるネズミだった。驚きながら声を上げ、慌てて自分も行かなきゃとプルルートもその路地裏に向かっていく。
「あの…大丈夫ですか? ねずみさ~ん」
「チュ…こ、ここは…? オイラは一体……??」
ぬいぐるみの落ちている路地裏に着いた愛月。しかしよく見てみればお腹が動いているのでぬいぐるみではなく生き物だと言う事に気付き、心配しながらおそるおそるその黒いネズミをつつき始める。
つつかれたネズミ…ワレチューは閉じていた大きな目を開け、目覚める。
「ねぇ大丈夫? 生きてるのねずみさん」
「生きてるっチュ……だからつつくなっチュ……」
「なんだ、残念〜」
目が覚めたネズミに対してつっつくことを止めず、割と酷いことを言いながら話しかける愛月に、思わず額に青筋を立てながらも生きてるからつつくのはやめろと言いながらワレチューは起き上がる。
そんなワレチューを見て、残念そうに呟くプルルート。
少し遅れて到着したようだ。しかしどうやら起きなかったら踏み付けるつもりだったようで、それに気付いていたワレチューは内心セーフとほっとする。
「良かった~それにしても君は誰なの? ずいぶんふわふわしてるけど」
「ふわふわってなんだっチュ…オイラの名前はワレチュー!」
「ワレチューさんっていうんだ。僕は愛月よろしくねっ!」
「チュっ!? 何気安く抱きついてるっチュ!? 離せっチュ!?」
ふわふわと感想をしながら誰なのかと訊く愛月に対して、ツッコミを入れながらワレチューは自身の名をたからかに名乗ると同時に、さの背後からワレチューとデカデカと描かれた謎の巨大フォント(※イメージです)が現れる。
しかし愛月はそれを意に介さず、ワレチューを抱きしめてそのふわふわボディを堪能し始める。
当たり前だが、いきなり抱きつかれたワレチューは困惑。
しかしすぐに気安く抱きつくなと抵抗を始める。
「ほわぁ~とってもふわふわしてる~~抱きごごちさいこぉ~!!!」
「話を聞けっチュ〜〜〜!」
「お姉ちゃん! ワレチューさんとってもふわふわしてて気持ちいいよ!」
「知ってる〜!」
「チュ〜〜〜!?」
しかし愛月はやはり意に介さない。話を聞けと声を出すワレチューの抵抗むなしく、そのふわふわボディを堪能され続けている。
ワレチューの抱き心地を堪能しながら、愛月はプルルートに自分の感想を言う。それに対してワレチューとそれなりに付き合いの長いプルルートは、さも当然のように知ってると言い放つ。
ワレチューの叫びが路地裏に木霊するのだった。
────────────
「あっそうだ! 少しゴメンね」
「な、何をするっチュ……?」
「ぬいぐるみ作るためにちょっとね」
「ぬいぐるみ? …まさかオイラの?」
そうしてしばらく抱きしめられていたワレチューだったが、急に愛月が何か思い付いたようでワレチューを抱き上げたまま、その体をくまなく調べ始める。
急に自分の体を調べ始めた愛月にワレチューは困惑しながらも訊く。
それに対して愛月はぬいぐるみを作る為だと答え、ワレチューはもしかして自分のぬいぐるみを作るのかとまた訊く。
「うん。このフォルムならかなり子供受けなかわいいぬいぐるみが作れるんだけど」
「なるほど、お前見る目があるっチュ」
(ネズミ嫌いなキィちゃんにも可愛がれられてるしね…)
ワレチューのフォルムならかわいいぬいぐるみが作れるという愛月の言葉に、ワレチューは見る目があると関心しだす。自分のキュートなフォルムを褒められるのは素直に嬉しいからだ。
そんな2人の様子をみながらプルルートはそんなことを思っていた。
──ビッキィはリアルネズミが苦手なようである。
「だからさ…いいよねぇ?」
「チュっ…!? ……わかったっチュ…」
「よぉ~し! お姉ちゃんちょっと待っててね!!」
「チュ〜〜〜!?」
「行ってらっしゃ〜い」
一通り説明した愛月は何故か笑顔のまま、少し怖い口調でワレチューに問いかける。
それを見たワレチューは愛月にドS女…プルルートを連想してしまい、思わず震えながら了承する。本人が近くにいるからか、より怖さ倍増である。
了承を得た愛月は善は急げとばかりにワレチューを抱きかかえたまま、近くの編み物屋へと走っていく。
そんな愛月に呑気に手を振りながら見送るプルルートであった。
────────────
「お姉ちゃんお待たせ~~~!!! 出来上がったよ!!!」
「チュ…チュウ…」
「お帰り〜」
それから1時間後ににっこり笑顔の愛月と、それとは対称的に、やつれて疲れきった顔をしたワレチューが沢山の袋を乗せたカートを引いて戻ってきた。
疲れきったワレチューの目には生気がない。それもそうだろう。普通に時間がかかった上にプルルートを連想してしまったばかりに必要以上に神経を尖らせてしまっていたのだ。哀れである。
しかし原因のプルルートはそんなワレチューに目もくれず愛月にお帰りと言う。
「ありがとぉ~ワレチューさんのおかげでとっても良いものが出来たよぉ。あっお姉ちゃんにもあげる」
「わぁ、ありがと〜♪」
「チュ……オイラ、帰るっチュね…」
そう言って愛月はプルルートに、よりかわいらしくデフォルメされたワレチューに似たぬいぐるみを手渡す。
それを受け取ったプルルートは嬉しそうに抱きながら、愛月に礼を言う。
そんな2人をよそに、すっかり疲れたワレチューはふらふらとしながら帰ろうとする。
「あっ待って」
「チュ?」
「記念写真♪ ありがとうね」
「わぁ…!」
「……お前女だったチュか?」
しかし愛月は帰ろうとするワレチューを引き留める。なんだと振り向いたワレチューはその手にスマホを持った愛月に写真を取られる。スマホで撮った記念写真を見てワレチューに礼を言いながら微笑む姿は誰がどう見ても女の子である。
それを見たプルルートは思わず声を出し、ワレチューは爆弾発言をかましてしまう。
「むぅ…僕は男だぁ!!!」
「チュゥゥっ!?」
「わぁ、相変わらずよく飛ぶ〜!」
当然ながら女の子扱いされた愛月は怒りながら、強烈な平手打ちをワレチューにくらわせる。
それを食らったワレチューは悲鳴をあげながら、まるでパラ○ク○に殴られたクロ○スのように横に回転しながら空へと飛んでいく。顔を見上げながらそれを見たプルルートは相変わらずよく飛ぶな〜と思うのだった。
────────────
「いけない、早くご飯作らなきゃ……」
「わぁ~~いい匂い♪」
「ぷるぅ? ……もしかして!」
「……お帰りなさい」
買い物を終わらせた2人だが、色々あったからすっかり日が暮れてしまい、愛月の手を引きながら急いで帰宅する。
頭の中で冷蔵庫の残りを思い出しつつ、献立を組み立てながら自宅であるプラネテューヌ教会の扉を開く。それと同時に香ばしい匂いがプルルートと愛月の鼻をくすぐる。
2人の目の前にエプロン姿のビッキィが出迎えてきた。
「ビッキィにあってるよエプロン!」
「……どういたしまして。…りんごのリゾット作ったから手を洗って食べてね」
「はぁーい」
「……うん。ありがとう、キィちゃん」
愛月はビッキィのエプロン姿を褒める。それを聞いたビッキィは表面上はなんでも無さそうで夕食を食べてねと催促する。しかし、嬉しそうな様子が隠せていなかった。
プルルートは感慨深そうに夕食を作ってくれたビッキィを労うように頭を撫でる。
「ん……プルねぇさんも早く食べてきなよ」
「あっ忘れるところだった! ビッキィ~来てくれる?」
「…? なんだい、愛月」
「はい! これ」
照れくさそうに、しかし嬉しそうに撫でられながらビッキィはプルルートにも食べてねと催促する。それを聞いたプルルートは頷きながら、一足先に手を洗いにリビングへと向かい、愛月もついて行こうとするがビッキィに渡すものがあるのを思い出し、手招きしながらビッキィを呼ぶ。
どうしたのかと思いながらビッキィは愛月の元へと向かい、先程作ったワレチューのぬいぐるみを手渡される。
「…へ? なんでワレチュー??」
「買い物に行っている時にね」
「……ワレチューぇ……」
渡されたぬいぐるみのデザインがよくナスを届けてくれるネズミに似ていて、思わず困惑するビッキィに、愛月は買い物の途中で起きた出来事を話す。それを聞いたビッキィは憐れんだ。いくら何でも不憫過ぎるからだ。
「はぁ~よかったなぁ、あの感触。…再現するの大変だった」
「再現度高すぎて笑うんだけど」
愛月はワレチューのふわふわボディの感触を思い出しながら、その分再現するのが大変だったと言い、ビッキィは本物と寸分違わないぬいぐるみの感触に頑張りすぎでしょと苦笑いする。
「ねぇねぇこれさ商品として限定販売してもいいかな?」
「それは…イストワールさんに聞かないと…」
愛月はこのぬいぐるみを限定販売できないかとビッキィに訊く。だが、当然ながらまだ子供のビッキィに決める権限はないのでイストワールに聞かなきゃと愛月に言う。(※プルルートでないあたり察して下さい)
「う~んよさそうと思ったんだけど」
「わたしもそう思うけど……って早く食べてきなよ」
「わかった~~」
少し残念そうにする愛月を慰めるように自分としては凄くいいと伝えるビッキィ。しかし、話が夕食から脱線しているのに気付き早くご飯食べてきなよと愛月を再び催促する。
2度の催促をされた愛月はのんびりとした返事をしながら、ビッキィと共にプルルート達の待つリビングへと向かうのだった。
今回1番の被害者はワレチュー。