絶次元ゲイムネプテューヌ 激爪のビッキィ 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
「スピ-…スゥ…スゥ…」
「…………どうしよう」
愛月が神次元に落ちてきて3日目。彼がここにいれる最後の朝だ。しかし彼は困惑していた。それはそうだろう。──なんせこの部屋の主であるビッキィに抱きしめられているのだから。
体を締め付けられる痛みに耐えながら、愛月は思う。
どうしてこうなった。
「……んん…おにく…♪」
「んぅ?はーい誰ですか〜」
ベタな寝言を言いながら、気持ちよさそうに眠っている。しかし、コンコンとドアをノックする音が響き、抱きしめられているままの愛月はほぼ反射的にノックをしたドアの向こうの人物に話しかける。ガチャりとドアを開けて出てきたのは──
「2人とも〜、朝ごはんできたよ〜?」
──プルルートだった。柔らかな笑みを浮かべながら気の抜けた声で朝食ができたので2人を呼びに来たのだ。
「お姉ちゃん〜ヘルプミー」
プルルートを見て、救いを求めるかのように手を伸ばしながら、愛月はプルルートに助けを求める。
「は〜い……ほら、キィちゃん起きて?朝ごはん全部食べちゃうよ〜?」
「うにゅ?朝ごはん、たべりゅ」
手を伸ばす愛月に苦笑いしながらビッキィを起こそうと鶴の一声を言うと、食い意地の張ったビッキィはその一声によってあっさり目覚め、愛月を解放する。
「ありがとお姉ちゃん………イテテ力強いよビッキィ」
「ご、ごめん…」
「別にいいよ。ふにゃ〜今日のご飯は何?お姉ちゃん」
体を伸ばしながらプルルートに礼を言った後ビッキィの方に顔を向いて愛月は咎めるように言う。
ビッキィの方も状況を理解したのか、申し訳なく感じて愛月に謝罪をする。謝罪を聞いた愛月はあっさり許すと、プルルートに朝食の内容を訊く。彼としてはそちらの方が重要らしい。
「朝ごはんはパンとスクランブルエッグだよ〜」
「……あれ、ステマックスは?」
「ステちゃんは先に下に行ったよ〜」
「じゃあ早く行って食べよ〜♪♪♪」
プルルートはいつも通りの笑みを浮かべながら朝食の内容を答える。ビッキィはキョロキョロと周りを見てから、ステマックスが居ないことに気付き、プルルートにどこか行ったの?と訊くとプルルートは先に下に行ったと答えてから、体をしゃがませてビッキィの目線に合わせてから今日はステちゃんが当番だよ。と伝えた。それを訊いたビッキィは、そういえばそうだったと納得するのであった。
────────
「あっお兄ちゃんᴳᴼᴼᴰ(≧∀≦*)ノᴹᴼᴿᴺᴵᴺᴳ」
「おはようで御座る。……やたらと英語の発言が良いで御座るな?」
先に下に降りてきた、愛月はエプロンをつけて皿に盛りつけた朝食をテーブルに並べているステマックスに挨拶をし、英語うまいなと続けて言う。
「勉強中なの、時々海外の人達とポケモンバトルするから。」
「……なるほど、頑張るで御座るよ」
「うん♪」
愛月から理由を聞き、激励しながら朝食を並べ終え、一息ついたとロボットなのに額を手で拭う。
「キィちゃん、あたし達蚊帳の外だね〜……」
「うん、そうだね……」
「皆さん、おはようございます(*´▽`)ノノ」
いつの間にか降りてきていたビッキィとプルルートは完全に蚊帳の外になっていたことに二人して泣きそうになっていた。そんな二人をよそに、イストワールが手を振って挨拶をして、リビングに入ってきた。家族全員集合である。
「あっおはようイストワールさん♪ お姉ちゃんビッキィごめんね。」
「大丈夫、気にしてないよ〜!」
「同じく。気にしなくていいよ」
「2人ともギューッ!」
「ぷるぅ!?……もう仕方ないんだから〜」
「おわぁ!?……びっくりしたぁ……」
いきなり愛月に抱き着かれ、おどろきながらも二人はおとなしく抱かれる。しかし、愛月の体は少し震えていた。
「……愛くん、どうしたの?」
「……愛月…?」
震えていることに気づき、ビッキィは不安げに愛月とプルルートを交互に見て、それとは対称的にプルルートは理由に心当たりがあるのか、愛月を優しく抱く。
「お別れするの・・・やだ」
「愛月……」
「……愛くん、あたしの話、聞いてくれる?」
どうやら別れることがつらくなったらしい。その言葉を聞いたビッキィはどうしようと頭を悩ませながらプルルートを見つめる。そんなビッキィの不安をなくすように、プルルートは笑いかけると愛月に自分の話を聞いてほしいと訊く。それを愛月は無言のまま、静かに頷きプルルートをじっと見つめる。
「このままここに残っちゃったら、愛くんはパパとママにずーっと会えなくなっちゃうよ?」
それを見てプルルートは口を開き、諭すように愛月に伝える。愛月の両親はまだ生きている。元々孤児で両親のいないビッキィと違って生きているのだ。だからこそプルルートは続けて言う。
「だから、わがまま言っちゃだめ」
「うん…………」
「それに、これでお別れしてもずっとじゃないよ。また会えるかもしれない」
「ほんと?またお姉ちゃん達と会えるの?」
「……愛月、イストワールさんは何が出来るか覚えてる?」
「えと………確か次元を調べてくれるんだっけ?」【唐突に聞かれたため少し困惑しながらも答えた】
「そしてこことその次元を繋げてくれるんだよ?……もうわかるでしょ?」
「じゃあ………来れるんだね。ここにビッキィ達のところに」
「まぁ愛月からは無理だけど、わたし達からなら…ね?イストワールさん」
「その通りです、仕事があるのでめったには出来ないですがっ(`・ω・´)」
「イストワールさん、ありがとうございます」
「どういたしまして(^ω^)」
そう、二度と会えないわけではない。場所さえわかればいつだってイストワールがそれを検知しゲートを開けることができる。勿論、基本的にイストワールは仕事が忙しいので滅多なことではできないが。
「つまり拙者達からなら来れるという事で御座る。…ささっ、早く朝ごはんを召し上がるで御座るよ!拙者が気合いを入れて作った1品で御座るからな!」
「はーい!」
「は~い!」
「わかりました(^_^)」
「はーい」
「では皆の衆…せーのっ!」
『いただきます((^▽^))』
あえて黙り、様子をうかがっていたステマックスが最後にざっくり説明し、朝食を食べるように催促。それを聞いた全員が着席し、最後に鵜着席したステマックスの言葉に合わせてほぼ同時に手を合わせていただきますを言うのだった。
────────
「お兄ちゃ〜ん」
「…む?どうなされた」
少ししんみりした事はあったものの、無事に朝食を食べ終えて、プルルート、ビッキィ、イストワールは1度自室に戻り、1人リビングに残ったステマックスは坐禅を組み、瞑想していた。否、1人ではなかった。リビングには愛月も残っており、瞑想していたステマックスに後ろから話しかけてきた。一体何用だろうと瞑想を解き、後ろを振り向いて訊く。
「一緒にさお散歩しに行こー!」
「散歩?拙者で良ければ構わぬで御座るよ」
「ありがとう〜じゃあさ、この〝オオトリン大森林〟ってところに行こー♪♪♪」
どうやら散歩の誘いらしく、ステマックスは自分で良ければ付き合うと答えて快諾を頂いた愛月は嬉しそうに声を弾ませながら散歩に行く場所を指定する。しかしその地名が間違っていた。正しくは……
「……愛月殿。正しくはオオトリィ大森林で御座る」
「オオトリィ大森林にお散歩しに行こ」
そう、オオトリィ大森林である。オオトリンでもなければグローバルフォレストでもない、オオトリィ大森林である。
そんな事を思いつつ、ステマックスは耳元で囁くように愛月かな間違いを振り向いて指摘する。地名を間違っていた気づいた愛月は顔を赤くしながら改めてオオトリィ大森林に散歩に行こうと誘ってくる。
「……御意で御座る」
そんな愛月を見ながらステマックスは内心苦笑いしながらも改めて了承したのだった
────────
【オオトリィ大森林】
プラネテューヌの近くにあるダンジョンであり、名前の通り大きな森林である。ダンジョンなのでモンスターが出てくる危険性があるが、森の入り口からその付近までは結界が張られており、可能な限りモンスターに襲われる危険性を排除しているからか、マニアックな散歩スポットとしても有名になっているダンジョンである。
────────
「着いたで御座る。ここがオオトリィ大森林で御座るよ」
「ほわぁ〜大きな森林だねぇ〜!」
そう説明をしながら目的地であるオオトリィ大森林に到着。
妹分であるビッキィと出会った場所でもある因縁の場所だが、今は愛月と散歩だ。複雑な気持ちは一旦置いて楽しむ事に専念しよう。ウキウキとはしゃぐ愛月を見ながら、ステマックスはそう考える。
「あまり、深い所には行っては駄目でござるよ?ここらへんは先程説明した通り、結界がある故あまりモンスターが出てこないから危険性はほとんど無いで御座るが、結界が張られて居ない奥は違うで御座るから」
念の為、愛月に一応の注意をする。何かあってからでは遅いのだ。
「はぁーい」
「よろしい。…行くで御座るよ」
愛月の返事を聞き、頷いた後に愛月と並んで歩き始める。散歩が始まった。
────────
「やっぱりお散歩は楽しいねぇ〜お兄ちゃん♪」
「うむ、散歩も偶には悪くないで御座るな」
石ころを蹴っ飛ばしながら歩く愛月とそれとは対称的に、丁寧に歩くステマックス。今の所はトラブルも無く順調に散歩が進んでいるようだ。
「あれ?なにかに当たっちゃった…。──なにか聞こえる?」
「……確かに羽音のようなものが聞こえるで御座るな」
愛月が石を大きく蹴っ飛ばした数分後…不気味な、それも1つ2つではない無数の羽音が聞こえてくる。何が来るのか分からない愛月は怯え、その愛月を庇うように前に立ち、ステマックスは刀と巨大な手裏剣を抜いて臨戦態勢をとる。警戒していた2人の元に現れたのは──
「Σ(っ゚Д゚;)っヒッ蜂!!!お兄ちゃん蜂・・・蜂が向こうからいっぱい飛んできたぁ!!!!!!」
「しかも多ッ!?──って愛月殿落ち着かれよ!?」
ハチ型モンスター(名前はない)だった。しかもやたらと数が多く、2人の回りを取り囲んでいく。
「お兄ちゃん〜…」
「落ち着かれよ、大丈夫で御座るから」
ハチ型が、というか蜂が怖いのか愛月は怯えながらステマックスに縋り付く。ステマックスは縋り付く愛月を片手で抱えながら安心できるようにと力強く言う。
「…大丈夫だ、オレが着いている」(俺1人であの量を捌けるか?片腕が塞がっていては印を結ぶ必要のある火遁等の忍術は使えない…どうしたものか…!)
しかしその内心は焦っていた。それもそうだろう、ステマックスの忍法は変わり身の術等の簡単な物を除けばほとんどが印を結ぶ必要があるのだから。
『──っ!』
しかし蜂型のモンスター達はそんな事お構い無しに集団でステマックスと愛月に襲いかかった
「舐めるな!〝風魔手裏剣〟ッ!」
襲いかかるハチ型に対してステマックスは自身のスキル風魔手裏剣を発動。
ステマックスのコントロール下に置かれた巨大手裏剣は通常ではありえない軌道でハチ型を数匹を切り裂いていく!
『──!』
蜂型のモンスター達は各方面から一斉に毒液を噴射してきた。しかも先程の一撃で学習したのか、巨大手裏剣を複雑な動きで避け切りながらだ。
「──ッ!…愛月、しっかり捕まってろ!」
「う、うん!」
愛月を抱えたまま、変わり身等を駆使して毒液を避ける。そして変わり身に使用した丸太には既に導火線に火がついたダイナマイトが!2人を逃がすまいと追跡しようとした瞬間、ダイナマイトが爆発。大部分が粉微塵となるが、それでも数は残っており、2人を追跡している。
「まだ残っているな…!」(……ダイナマイトはこれで終いだし、手裏剣は間違いなく避けられる。……接近戦は愛月が危険だ…どうする!?どうすればいい!?)
焦るステマックス。しかしその時だった、逃げる2人を蜂型のモンスターは追跡していたハチ型だったが何処からか音が聞こえた瞬間巣の方向に戻って行った。何かの命令が飛んだのだろう。
「……帰った…?」
「はち、もういない…?」
「居ないよ、もう大丈夫だ」
しかし愛月は恐怖から泣き出した。蜂が余程怖かったのだろう。
「ああ、泣くななくな、男だろ?」
泣き出す愛月を頭を撫でたりして慰めながらそう言う。
「うぅ怖かった………ほんと蜂怖い」
「……もうこのまま帰るか?」
「うん………帰る」
「良し、なら帰ろうか」
散歩を止め、そのままプラネテューヌへと歩いて戻っていく。
(イジェクトボタン持ってくればよかった……あと今度ギルドに間引きの依頼を出すか。あの数のモンスターが襲撃してくれのは危険だしな)
内心は大真面目に考えながらだ。それもそうだろう、客人を危険な目に合わせてしまったのだから。
泣き疲れたのか、腕の中で眠る愛月を見る度にステマックスはそう思ってしまう。
(……よほど怖かったんだな…しばらくおやすみ)
そうしてステマックスは愛月を抱き抱えたまま、プラネテューヌ教会へと帰還した
────────
「ただいまで御座る…」
「2人共、お帰り〜……どうしたの?」
バンダナにエプロン、そしてマスク。……いかにも掃除してましたと言わんばかりの格好をしたプルルートが2人を出迎えてくる。しかし2人の様子を見て、目の色を変えて剣呑な空気を出してステマックスに訊いてきた。
「いやぁ、まぁ色々あってな…そういえばビッキィは?」
「キィちゃんも掃除のお手伝いしてるよ〜!」
プルルートに事情を伝えたら、間違いなくあのハチ型は間引きどころか全滅間違いないのであえて曖昧に答えて、自身の腕の中で未だ眠っている愛月を1目見てから、プルルートにビッキィの所在を訊いてみると、どうやら一緒に掃除をしていたらしい。となると、おそらく今は別室か…とステマックスは予想して腕の中の愛月の頭を優しく撫でる。泣いていたからだろう。よく見れば目元が腫れてしまっている。
「愛くん、目元が腫れちゃってる……何があったか話してくれる?」
それに気付いたプルルートが笑顔でステマックスに再び訊く。……口元こそ笑っているが目は全く笑っておらず、威圧感が凄まじい。
「それは……」
人間だったら顔を真っ青にしているだろう威圧感に晒され、ステマックスは全てを話した。だって怖いから仕方ない。
「……あたし、ちょっとお出かけしてくるね〜?…大丈夫、すぐ終わるから」
事情を全て訊き、怒気を纏ったプルルートがエプロンとマスク、そして掃除用具を置いて急に出かけると伝える。
「ひぇっ……いってらっしゃい」
理由を察して内心ハチ型に同情しながらビビりながらプルルートを見送るのだった…
────────
「うにゅ………あれ?寝ちゃってた」
「おお、起きたか。」
「おはよぉ……お兄ちゃん。」
「ハハッ、おはよう。だがもう昼だ。」
「……あれ、ステマックス達帰ってきてたの?」
やっと起きた愛月はステマックスを見てから朝の挨拶を言う。しかしステマックスの言葉通り時刻はもう昼過ぎだ。
そんなやり取りをする2人にエプロン、マスク、手に掃除用具とプルルートと同じ格好をしたビッキィがリビングに入ってきた。
「ただいま……ビッキィ〜まだ………眠い」
「……ビッキィ、オレは昼食を作ってくるから、その間愛月を頼めるか?」
「……了解。ほら愛月こっちに来て、眠いならソファーで寝よう?」
言葉通りまだ寝足りない愛月は欠伸をしてゆらゆらと頭を前後に揺らす。
ステマックスは立ち上がり素の口調で昼食を作るからその間愛月を任せるように伝える。兄貴分が素の口調になっているのに困惑しながらも了承し、愛月を手招きしてソファーへと誘導する。
「うん……」
「……わたしも掃除してつかれちゃった…おやすみぃ…」
ビッキィに言われ、よろよろとした足取りでソファーに向かい、そのまま横になって眠り始めた愛月に釣られるように掃除の疲れを訴えながらビッキィもソファーで横になり、猫のように体を丸くして眠る。
「おやすみ2人共。……さて、昼はうどんにするか」
2人を見ながらそう呟くと早速小麦粉を取り出した。どうやら手打ちで作るつもりのようだった。
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「ただいま〜!」
「お帰りなさいで御座る。……2人を起こしてはくれぬか?」
時間が過ぎていき、清々しい程すっきりした顔をしたプルルートが帰ってきて、リビングへと入ってくる。
プルルートに気付いたステマックスはちょうどいいとばかりに出来上がったうどんをテーブルに並べながらソファーで眠っている2人を起こすようにプルルートに頼む。
「は〜い!……2人とも〜、起きて〜!」
「ふみゅ…にゃあ…ごはん…」
「うにゅ………ご飯………ふわぁ〜」
「ふわぁ〜……よく寝たぁ…」
「ほら、お昼はうどんだよ〜?」
「うん……」
「うどん………食べう」
「なら座ろうな。……ビッキィもだ」
「はーい……」
起こされた2人は寝ぼけながらも椅子に座り、ビッキィと愛月は美味しそうなうどんを見て
「美味しそ〜 」
「わたしも来ました〜(^ω^)」
「あ、イストワール。…これでみんな揃ったね。……せーの、」
『いただきます!』
イストワールも来て椅子に座る。そしてそのまま全員で手を合わせて挨拶をしてうどんを食べ始めるのだった。
────────
そうして昼食を食べ終えて……イストワールは仮眠しに自室へ、ステマックスも同じく、眠るために自室へと戻って、プルルート、ビッキィ、愛月の3人だけとなった。
「……あ、実はね〜?押し入れを掃除していたらこんなの見つけちゃったんだ〜!」
プルルートは懐かしむように笑いながら思い出したように大きなダンボール箱を運んでくる。
……ダンボールの上にはデカデカと〝びっきぃの!〟って書かれている。
「ぶっ……」
ダンボールを見て思わず変な声を出してしまう。
「どうしたの?ビッキィ〜変な声出して」
「いや、その、っていうかプルねぇさんそれ……」
「小さい頃のキィちゃんが大好きだったヒーローさん達のなりきりおもちゃだよ〜!」
ダンボール箱のガムテープを剥がしながらそう言う。その顔は満面の笑みを浮かべている。
「ヒーロー?」
「うぅ……」
どういうことかな?と首を傾げる愛月に、それとは対称的に顔を俯かせるビッキィ。恥ずかしいのだろう、顔が赤い。
「じゃじゃーん!」
そこに入っていたのは〇面ラ○ダーの変身ベルトである。どうやらビッキィは男の子みたいに特撮が好きだったようだ。
「〇面ラ〇ダー!?わぁ〜!!!すっごい!!!」
それを見た愛月が思わず大はしゃぎしながら声を出して喜ぶ。彼も男の子。やはり○面ラ○ダーは好きなようだ。
「ふふっ、懐かしい〜」
「……愛月めっちゃはしゃいでる…」
微笑みながら懐かしげにベルトをみる。ラインナップは様々で、最近の物から、所謂コンプリートセレクションまで揃っている。
「僕も好きだから!それにしてもうわぁ〜色んなベルトがある〜あっこれ僕が欲しかったやつだいいなぁー」
「それならおみやげで持っていく?…あとこれで少し遊んでもいいよ」
「いいの!?ありがとう〜お姉ちゃん!ビッキィ!一緒に遊ぼ♪♪♪」
「ゑ!?……いやその……」
ビッキィを誘いながら愛月はダンボールの中から3つのメダルとベルトを取り出す。
「うぅ…わたしもやる!」
そういいながら、目玉みたいなアイテムとベルトを取り出す。もうすぐ10歳になるとはいえ、まだ9歳の子供。誘惑には勝てなかったようだ。
「わはぁ〜!!!やっぱり〇ーズはかっこいい!次はこっち」
変身音を聴きながらそう言って次に取り出したベルトは、かなりメカメカしいベルトと今や懐かしのガラケータイプの携帯電話であった。
「マ○ト兄ちゃんはどうして、ああなんだろう…?」
どうやら持っていたのは○ーストではなくス○ク○ーな模様。
……次に取り出したのはベルトにブレス。そしてリバーシブルする仕様の大きめのミニカーだ。
「やっぱり僕はこのベルトかな〜」
『complete』とやたらネイティブな発音を聴きながらそう言って、愛月が取り出したのは蛍光色のドライバーとふたつのカセットのようなものだった。
「……ダーク○ライブはかっこいいよね。……次はこれにしよーっと」
続いてビッキィもそう言って次に取り出したのは剣を納めた鞘に、手帳型のアイテム
「やっぱエグゼ〇ドはいいなぁ〜」
「わたしは○リバーが好きです」
しかし彼女が持っているのは火炎○烈○だ。
「ビッキィ〜それならその剣じゃなくてこっちだよ〜」
そう言って禍々しい色の剣と手帳型のアイテムを取り出してビッキィに見せる。
「知ってる。偶には抜刀したいんだい」
だが偶にはこちらで遊びたかったようで照れたようにそっぽを向きながら言うのだった。