絶次元ゲイムネプテューヌ 激爪のビッキィ 作:ノイズシーザー(旧ノイズスピリッツ)
【ある研究者の記録】
タリの遺跡から発掘されたゲイムメモリの研究を始めてから一月が立っている。
その成果をここに記録しよう。
まず一つ目、ある一定のダメージを受けると体内に入り込んだメモリが体外へと出てしまうこと。
二つ目、体内に入り込んだメモリの遺伝子データの大半はメモリ内に戻っていくが、その中の一部だけが体内に残り、それが集まってモンスターの核に酷似した器官を作り出していたこと。
最後に三つ目、その核に酷似した器官は、新たに細胞を生み出しているということだ。
――それにしてもいい実験台が手に入った。身寄りのない病気のガキなんて都合がよすぎる。これは私に研究をしろという女神の啓示だろう。
【バーチャフォレスト・最深部】
「本当にすみませんでした…」
「本当にビッキィ殿がすまなかったで御座る、ネプギア殿」
「い、いえ…私は気にしてませんから…」
「ビッキィだったかしら?今度からは気をつけなさいよ!」
「アイちゃんの言う通りです!気をつけないと怪我に繋がるです!」
「…はい、以後気をつけます。…あの、ネプギアさん本当に大丈夫ですか?」
「は、はい…大丈夫です」
「ビッキィ殿、走るときははもう少し抑えめにするで御座る。」
「…わかってるよ。」
前回ネプギアを巻き込んで、仲良く地面を転がったビッキィ。約数分間はネプギアと一緒に目を回していたが、コンパに介抱されたことでようやく復活。
そして当然ながらネプギアに謝罪。心優しいネプギアはビッキィを許してあげた。…天使である。
アイエフ、コンパ、ステマックスからは注意されたが。…残当である。
(…別人とはいえ、わたしを助けてくれたネプギアさんになんてことを…次からは気をつけないと…)
(大分ヘコんでるな…あれくらいならまだ大丈夫か?)
「ああ、なんか凄く落ち込んじゃってる…!」
「ち、ちょっと言い過ぎちゃったかしら…?」
「そんなことないですよ、アイちゃん。…一歩間違っていたら、二人とも大怪我してたです。だから言い過ぎじゃないです。」
「…そうね。ありがとう、コンパ」
「えへへ、どういたしましてです!」
「コンパ殿の言う通りで御座る。あまりお気になさるな、お二方。…それとビッキィ殿、そろそろ元に戻るで御座る。」
「ーーそうだな」
例え別次元の他人だとしても自分にとって恩人であるネプギアにとんでもないことやらかしたことにビッキィは肩と尻尾をがっくり落として落ち込む。
そんなビッキィの様子を見てどうしたらいいだろうとあたふたするネプギア、ちょっと言い過ぎたと思ってきたアイエフにそんなことないと諭すコンパ、コンパの言葉にアイエフは笑顔で礼を言う。
気のせいだろうか、二人の間に少し甘い雰囲気が漂ってきている。そんな二人をしり目にしつつ、ステマックスはビッキィにそろそろモンスギアを解除するように言う。ステマックスの言葉を聞き、反省を一旦やめて頷くビッキィ。
「…ライズアウト」
『Riseout』
ビッキィの吹くような声と共に電子音声が響き、モンスギアが灰色に染まっていく。全体が灰色になるとそのまま塵となり
、ビッキィの周りに落ちて行った。元の格好に戻ったビッキィはガントレットからメモリを引き抜きパーカーのポケットにしまう。
「…ええ!?す、砂になっちゃった…一体どういう仕組みなんだろう…!…もしかしてガントレットから抜いていたあのメモリの力かな。」
「びっくりですぅ!」
「…ステマックスから聞いていた通りね…。コンパ!ネプギア!早くイストワール様の所に行くわよ。…あてわかってると思うけどアンタ達も来なさい。別の次元についてイストワール様…プラネテューヌの教祖様が詳しい話を聞きたいらしいから」
「心得た」
「はい、分かりました…ってステマックスお前、アイエフさんにモンスギアの事話したのか?」
「うむ。ビッキィ殿とネプギア殿がコンパ殿に介抱されてる間に話したで御座る。…こちらのイストワール殿と話がしたくてな…彼女ならば拙者達が元の次元に帰れる方法を知ってるやもしれぬからな。」
「確かにそうだな、帰れる宛もないし…。…それでアイエフさんにはどこまで話した?」
「拙者達が他の次元から来たことと、モンスギアの事のみで御座る。――詳しい話はイストワール殿に会ってしますが、構わないで御座るか?」
「…ああ、別に構わない」
「………………………」
「…?」
「ビッキィ、安心――」
「アンタ達!何いつまで二人で話してるのよ!置いていくわよ!」
「…ステマックス、行くぞ」
「…御意」
塵になったモンスギアに機械いじりが趣味だからか、好機の目線を向けるネプギアにただ単純に驚いているコンパ。一方あらかじめステマックスからある程度の話を聞いていたアイエフはさほど驚いていない様子だ。ビッキィはステマックスに自分達の事を話したのかと問う。…ステマックスはそれを肯定する。どうやらこちらの世界のイストワールに帰る方法を探してもらうつもりらしい。ステマックスの話を聞いたビッキィはほんの一瞬だけ体が震えるがすぐに構わないと返答する。その様子をステマックスは無言でどこか心配そうに見ている。無言で自分を見るステマックスにビッキィは訝しげな目を向ける。
そんなビッキィを見ながらステマックスは口を開き言葉を伝えようとするがアイエフの言葉に遮られてしまう。置いて行かれない為に二人はそのままネプギア達に付いていく形で、バーチャフォレストを後にするのだった。
【プラネテューヌ教会前+ビッキィ視点】
「…別次元でもここは変わらないな…」
「超次元とも変わらないで御座るな」
プラネテューヌの教会に着き、その扉の前でわたしは思ったことをそのまま口に出した。…別次元なのに全然変わらない。正直言って驚いている。
…あとそれは超次元も同じみたいだ。
「…あんまり変わらないんだな、超次元の方も」
「…すまん、無神経な事を言った」
「いいよ。プルねぇさんとの事は全面的にわたしが悪い。…それくらいわかってる」
「…ビッキィ…」
そうだ、全部わたしが悪い。プルねぇさんはわたしの事を心配してくれたのに、わたしはその想いを踏みにじるようなことをした。それだけじゃない、その事を謝りもしないであんな態度を取って今もプルねぇさんを傷つけている。――わたしは最低だ。
「ビッキィそれ以上悪い方に考えるな!」
――ッ!落ち着け、ステマックスの言う通りだ、これ以上自己嫌悪するのはダメだ。
平常心…!平常心…!ふぅ、よし落ち着いた。さてと気を取り直して、ネプギアさん達の後を追わないと…
「…先に入っていったネプギアさん達に続いてわたし達も行こう。」
「…ビッキィ殿…!イストワール殿との話は拙者がやるで御座る。先に宿でも取って休んでおられた方が…」
「大丈夫だ、問題ない。…行くぞ」
「…御意っ」
…っ、…心配してくれたのにごめん……ステマックス……
【プラネテューヌ教会内】
「――初めまして。ビッキィさん、ステマックスさん、プラネテューヌの教祖イストワールと申します。アイエフさん達からお話は伺っております。」
ビッキィとステマックスを出迎えたのは、妖精のような小さな女性…神次元のイストワールがそのまま成長したような姿だ。ちなみに原作通りネプギア達はラステイションに向かっていったようだ。
「……なんか大きい」
「こちらのイストワール殿は超次元のイストワール殿と同じで御座るな」
「そちらの次元にも私がいるのですね。」
「ええ、その辺も含めて全て説明するで御座る」
「…わかりました。それではお話をしましょう。」
超次元に行ったことのないビッキィは大きいイストワールを見て目を丸くして驚いている。
一方でステマックスは超次元に行ったことがあるからか、大きいイストワールを見ても特に驚きはない様子だ。
イストワールの方はステマックスの何気ない言葉…多次元の自分の存在に強く興味を惹かれたようだ。
誠心誠意説明中……………
「なるほど…神次元に超次元…別の世界の私やネプテューヌさん達…色々ややこしいですね…」
「全くで御座る…」
「こうも同じ人がいるとややこしいな…」
一通りの説明を終え、一段落入れる三人。別世界の同一人物がたくさんいるという事実に頭がこんがらかってきているようだ。無理もない。
「それにしても犯罪組織マジェコンヌか…」
「正直一番驚いた。別世界とはいえ、あのマジェコンヌさんが…」
「私としてはそちらのマジェコンヌさんが改心してナスをメインにした大農家になっているというのが信じられないのですが…」
「あの人の作るナスとその他の野菜本当に美味しんですよ。あとメイク落とすとすごい美人なんですよね、あの人…」
「なぜあのような奇抜なメイクをしていたのか拙者にはわからないで御座る…」
「驚きの連続で私の容量をオーバーしそうです…」
お互いの世界のマジェコンヌのギャップの凄まじさに困惑を隠せない三人。本当にギャップが凄まじすぎる。
「――コホン!気を取り直して話を続けましょう。」
「「…はい」」
流石に脱線が過ぎたので咳払いをして話を戻すイストワール。ビッキィとステマックスは声をそろえて返事をする
「結論から申し上げますと、お二人を元の世界に帰すことは今は不可能です。」
「…薄々そんな気はしてました。」
「今は、というと?」
「はい、まずはそちら側の…神次元の私とコンタクトをとる必要があります。そしてこれが一番の問題。次元を超えるには莫大なシェアエナジーが必要なんです。今のこちらのシェアでは…」
「コンタクトの方は三日かければ問題内で御座るな?」
「…はい最短でそれくらいかかります。」
(こっちでも三日かかるんだ…)
イストワール故に仕方なし。
「前者の方は問題内で御座るな。…問題は後者の方で御座る」
「犯罪組織を何とかしないとわたし達が帰れる可能性は低いってことか…」
イストワールの話を聞いて、犯罪組織を何とかしない限り帰れないことが分かったビッキィとステマックス。
「…力になれず、申し訳ありません。」
「イストワール殿の責では御座らん。…悪いのは犯罪組織で御座る。故に拙者達も協力を申し出たい。構わぬで御座るな?ビッキィ殿」
「ああ。――わたしもステマックスと同じ意見です。犯罪組織の撲滅、及び女神様達の救出…わたし達にも手伝わせてください」
「…ステマックスさん…ビッキィさん…ありがとうございます…私も約束します、シェアが回復したら必ずお二人を元居た次元にお帰します」
犯罪組織撲滅と女神達の救出の協力を願い出るビッキィとステマックス。そんな二人にイストワールは感謝の言葉をかけ、必ず二人を神次元に帰す事を約束する。
「――そしてイストワール様にもう一つだけお願いがあります。」
「お願い、ですか?」
「はい。ずっと探している人がいるんです。もしかしたらわたしやステマックスと同じようにこの次元に飛ばされたかもしれないんです」
「拙者からもお願いするで御座る。どんな些細な事でも構わぬ。どうか…どうか…!」
「――!わかりました。その方も探してみます。写真とかはありますか?」
二人の必死の懇願にイストワールはその探し人が二人にとって余程大切な人物なのだろうと察っし、聞き入れる。
「ありがとうございます…!写真は、これです。」
その言葉を聞いたビッキィはイストワールに感謝しながら、パーカーのポケットから透明なケースに入れられた一枚の写真をイストワールに見せる。
写真に写っていたのは白い長髪を後ろに纏め、スーツを着た人物が照れくさそうに右手でピースサインをしている。一見長身の女性に見えるが、着ている服からしておそらく男性だろう。
「名前はキセイジョウ・ミライ。二年前から行方不明になっている…わたしの幼馴染です…」
ビッキィ・ガングニル
今作の主人公。
ゲイムメモリを使用する事で生体装甲モンスギアを装着できる。プラネテューヌ教会に引き取られた孤児。
キャラクターのモデルはシンフォギアの立花響がモデル
キセイジョウ・ミライ
ビッキィの幼馴染。キセイジョウというファミリーネームからわかる通りキセイジョウ・レイが成り行きで引き取った養子。現在は行方不明になってしまっている。
キャラクターのモデルはビッキィと同じくシンフォギアから小日向未来(名前のみ)。容姿の方は男体化した風鳴翼をイメージ。