下心バキバキトレーナーがトウカイテイオーに改心させられる話 作:散髪どっこいしょ野郎
と私の中のデジタルに言われたので書きました。
どんくらい明るいかって言うと1話並に明るいです。
主人公への殺意を抑えるのがマジで大変でした。
ボクに担当のトレーナーが付いて結構な時間が経った。
あのヒトは普通にトレーナーをやってるし、普通にボクの担当でいる。
それに特に文句はなかったし、不満があるわけじゃ…………いやどうだろ……
すごい露骨に距離をとられてる気がする。
引かれてるわけじゃないけど常に一定の距離を保たれている。なんというか……ものすごく不自然。
そのくせしてほかの子には割と普通の距離感で話したりしてる。
それがやけに……引っかかるというか……
放課後はいつもどこかに行ってる。
気になってつけてみたら
ボク以外のウマ娘と話している姿が見えた。
その時点でどうしようもないぐらいによくわからない感情に襲われて、陰から見ることもできないまま走り去ってしまった。
へぇ〜……
……ボクのトレーナーのくせにボクには見せない顔をほかの子には見せるんだ。
ボクのトレーナーのくせに。
俺がトレーナーになる少し前、
レース場の観客席でウマ娘達の走る姿を見ながら、『果たして本当になれるだろうか』と数週間後に受けることになるトレーナー試験に不安がっていた時のこと。
「むひょ〜……!
走り終わった後に観客席の方へ手を振るウマ娘に限界化している、ピンク色の髪と大きなリボンが印象的なウマ娘を発見した。
「なあ、おまえ……じゃなくて、君────「ハッ!!危ない危ない……!これからウイニングライブもあるというのに灰になってる場合じゃない!応援もできずに
「────っ」
思わずドキリとさせられてしまった。
限界化してる時はとんでもない顔になっていた彼女──後から聞いて分かったことだがアグネスデジタルというらしい──だが、正気を取り戻し俺の呼び掛けに反応した際の表情があまりにも綺麗だったものだから。
正直に言ってしまうと俺が彼女に声をかけたのは純度100%の下心からだった。
下心で純度と言うのもちゃんちゃらおかしいが、とにかく俺はウマ娘とお近づきになりたかった。
それからは成り行きで彼女とウイニングライブを見てぎゃーすかわーすか騒ぎまくり、彼女が語り尽くすウマ娘愛を一身に受け、度々一緒にレースを見に行ったりウマ娘談議をしたりするようになった。
彼女のウマ娘への情熱は凄まじいものだった。
特に推しの話となると数時間は軽く超越して語りまくるものだから、マジで芯から圧倒されまくった。
俺がトレーナーを目指していることを伝えると──心の底から羨ましそうにしていたが──素直に応援してくれた。
話していると嫌という程分かってしまう。
アグネスデジタルは俺とはまるで違う。
自分の為に少女達の青春を利用しようとしている俺と純粋にウマ娘オタクをやっている彼女は天と地ほどの差がある。
それに彼女は「神域を汚さないために」自身も真面目にトレーニングに取り組み、中央の狭き門をくぐり抜け、「ウマ娘ちゃん達」を傷つけないようにと影になって尊死している。
…………いや冷静に考えてヤバすぎると思う。
彼女のレースを1回見たことがあったが普通にめちゃくちゃ強かった。なんなんだろうかあの子は。
とにかく彼女といると徐々に色々と申し訳なくなってしまった。
そして試験も終わり、合格発表を数日後に控えたある日、レースを見た帰りにとうとう言ってしまった。
偽り続けることができなくなった理由は自分でも上手に言葉にできない。
単純に嘘をつくことに疲れたからなのかもしれないし、夕焼け空の綺麗さに背中を押されてしまったからなのかもしれない。
それよりも重要なのは俺に何度もウマ娘愛を語ってくれた彼女に最低な本性を打ち明けてしまったということであって、今になって振りかかってきた罪悪感の重みに耐えかねて地面を見つめながらどんな言葉を浴びせられるのかと怯えていたということだった。
ウマ娘と
数年前から自分はヒトとして最低な部類に属すると重々承知していた、のに。
(俺は……なんて最低なヤツなんだ……)
アグネスデジタルがどんな表情をしているか確認するのが怖い。
これからどうしようか。ああもうとにかく怖い。
怖いって何に怯えているんだ俺……俺は────
「……わっかりました。あなたにはウマ娘ちゃんの魅力を1から10……いや、ゼロから
「──へ」
それから俺が正式にトレーナーになるまで、ウマ娘の魅力というものを頭がおかしくなりそうなぐらいに詰め込みに詰め込まれた。
なんで俺にそんなことをしてくれるのかと聞いてみると、「あたしのウマ娘ちゃん話を100%受け止められるヒトが
んなアホなと思いながらも話を熱心に聞いていると……なんかすごい「アガってきた!」してくるようになって……
俺は晴れて
そしてトウカイテイオーの担当にならせてもらい、順風満帆の日々だったが……
ウマ娘限界オタクになった代償として毎日毎日テイオーといるとテイオー──
だから
「尊すぎる……尊すぎるんですよテイオーは……!」
「うひょひょ〜!捗る……!デジたんめちゃめちゃ捗ります〜〜!」
俺がテイオーへの愛を存分に語り明かし、デジタルがそれを活かして本やイラストを書いたりノートにテイオーのことをメモったりするという気が狂ったような光景を展開させていた。
ぶっちゃけてしまうと俺からすればデジタルも超絶美少女ウマ娘とは思うのだが、それ以上に俺にとってデジタルは師匠のような存在だったので愛の渦に呑まれるようなことは無かった。
ってかテイオーが尊すぎて頭がおかしくなりそうだ。なんなんだあの
放課後。
またトレーナーはあのウマ娘の所に行こうとしてる。
ボクのトレーナーのくせに……ボクのトレーナーのくせに────!
……あの日からも陰からふたりを見てたけど、
トレーナーは楽しそうだった。
ボクといる時はそんな顔しないのに。
ふたりが何を話してるかなんて聞きたくなかった。
でもボクのいないところでボクの知らないあのヒトの姿を独り占めされてると思うと────
許さない。
今日こそはふたりがどんな関係で、なんでボクから離れてまで話そうとするのか問い詰めるんだ。
いつも通りにふたりは話し合っている。
いつもより近くの物陰に身を潜めて話の内容を聞いて───────え?
「マジなんなのテイオー……尊すぎるんだよ……可愛いすぎてこっちはもたないんだよ……」
「わかります……わかりますぞトレーナー殿……!」
「あぁあ゛あぁ゛〜……ちくしょう……好きだァ〜……テイオー好きだ〜……」
聞いてて顔から火が出そうだった。
普段そっけない態度で接してくるトレーナーがボクに と……尊み?を感じてるなんて思いもしなかった。
ってことはまさかトレーナー、いっつもあんなことを喋ってたの……!?
いや……
え……?
あ〜……、
頭の中がごちゃごちゃする……、
……でも、ボクには言ってくれないんだ。
最近、
やけに見てくるかと思えばこっちが視線をやるとすぐに顔を逸らしてしまう。
喋る時もぎこちない。
まさか彼女は俺を────バカを言うなボケナスが。
俺がテイオーに好かれ
そうだ。
テイオーという尊み爆弾のような子が俺に惹かれる筈がない。
……しかしこの状態をずっと続けて彼女の脚に支障が出るなんてことはあってはならない。
俺は
こんな時は
放課後がやってきた。
早く師匠の元へ行かなければ──────
「────っ、ん?テイオー?」
テイオーが俺の服をそこそこ強い力で掴んでいる。
本当にどうしてしまったんだろう。不安で気が気じゃない。
「トレーナー」
「うん」
表情を確認できない。
下を向いたまま話している彼女がますます心配になる。
「ボクのこと……どう思ってる……?」
「──────」
なんて返せばいいか分からなかった。
バカ正直に言ってしまっていいものなのか、何か気の利いたことを言った方がいいのか、脳みそをフル稼働させても答えは出てこない。
「あ……!テイオー……」
答えを待たずに立ち去ってしまった。
「──ってことがあったんだが……」
「殴り……いや、蹴ってもいいですかね」
普段学園の至る所で尊死しているデジタルが真顔になってまでそんなことを言っているのだから、多分俺はどうしようもない間違いを犯してしまったのだろう。
テイオーを傷つけてしまったのではないかという恐怖で内心死にそうになりながらアドバイスを乞いた。
どうやら本当に
こうしてはいられない。
デジタルに礼を言い、全速力でテイオーを探しに駆け出した。
彼女を見つけた頃には俺の息は絶え絶えになっていたが、そんなことはどうだってよかった。
テイオーは学園裏の影になっている所にいた。
「……トレーナー」
「────ゲホッ、ごめ、は、あっ、ごめんテイオー、はぁ、あっ、おれ、俺さ」
色々察したのか、袖を掴まれて引き寄せられ肩に顔を埋められる。
「ボク寂しかったんだよ……?トレーナー……ボクにだけ何も言ってくれないから……」
肩に冷たいものを感じる。
……テイオーを泣かせてしまった。
涙で服が濡れることは構わなかったが、自分のようなヤツが彼女に寄りかかられてしまっていいのだろうか。
よくないだろこんなのは。
「テイ「やだ」
────────────あ。
俺の中で何かが切れた音がした。
「ちょっと……来い」
「……でも」
今の状態で歩く気力はなかったし、この顔を誰かに見せられる気もしない。
というかトレーナーはどこに行こうとしてるんだろう。
「〜〜〜ッッッ!ああもう行くぞ!落っこちるなよ!」
「え、ちょ─────うわっ!?ト、トレーナー!?トレーナー!?!?」
いきなりボクを抱えたかと思うと唐突に走り出した。
いやそんなことよりも
「ちょ、ちょっと!見られてるって!」
なぜか学園内に運ばれている。
え、なんで?
というかすごい見られてる────!
放課後と言ってもこの時間帯はまだ結構な人数残ってるから────!見られちゃってるって────!
「あ゛!?…………んじゃあ顔隠せ顔!とにかく今は降ろしてやんないからな!」
トレーナーの顔は赤くなってた。
ボクを抱えて走ってるのも理由のひとつなんだろうけどめちゃくちゃテンパってた。
ボクもボクで振りほどこうとすれば簡単にできるはずなのに、今までトレーナーをこんな近くで見たこと無かったから……その衝撃で動けなかった。
トレーナーに抱えられて、恥ずかしくてしかたないのに……
なんでこんなドキドキしてるんだろ……
息もつかせない勢いでトレーナー室に連れ込まれた。
中には普通にほかのトレーナーがいたのにこのヒトは土下座してまで席を外してもらっていた。
このヒトはボクに何を伝えようとしてい「す……」
す?
「好きだテイオーぉぉおあぁあああッッ!!!そのちょっと独占欲強めなとことか
──────ハァ……ッ、ぜえっ……ぜえっ……あとは……!」
トレーナーの顔はゆでダコみたいに赤くなってたけど、ボクも負けず劣らず真っ赤になってたと思う。
色んなヒトやウマ娘にトレーナーに抱えられた姿を見られて部屋に連れ込まれたかと思えばいきなりこんなこと言われて。
もしかしたら一生分の恥ずかしさを味わったかもしれない。
「も、もうわかったから……十分伝わっ「うっせぇ!
「そんなに顔真っ赤になってまで言わなくても……」
……正直、
ものすごく恥ずかしかったのに悪い気はしなかったあたりボクも
「あ、あの〜……」
「「ッッッ!?!?」」
一気に氷水をかけられたような感覚に襲われる。
緑の服と帽子が特徴的な────たづなさんが部屋に入ってきた。
たづなさんいわく、ドアが半開きになっていたみたいで学園中とまではいかないけどかなりの範囲に響き渡っていたらしい。
トレーナーは悶絶しながら床を転がってた。
ボクはというと両手で顔をおさえまくってた。
その後寮に帰るとマヤノにキラキラした目で色々聞かれた。恥ずかしすぎて死ぬかと思った。
さらに運の悪いことにマックイーンとカイチョーとキタちゃんにも聞かれていたらしく、それから1週間ぐらいは会う度気まずそうに苦笑いされた。どうしてさ……。
俺はテイオーを泣かせてしまった。
俺がバカだった。いくら想ってようが言わなきゃ伝わることなんざない……!
いつまでもグズグズウジウジしてんじゃねえよこのスットコドッコイ!!
だから流させた涙の何百倍だって愛を叫んでやるよコラ!!
ぶっちゃけ恥ずかしくて死にそうだけど誰にも言えない想いが愛なわけないからなアホンダラ!!!死にものぐるいで叫んでやるよ!!!!
お前がどれだけ顔赤くしようが耳塞ごうが俺の愛でお前を走らせまくってやるからな!!!!!そんでもって
ああ゛ぁ゛あ゛ぁぁあ゛ッ!!!!!!!
トレーニングの時間になったから、あのヒトの所に向かった。
「テイオー?別に迎えに来なくたって───あ゛ッ!?て、テイオー!?な────ぁ────ぁッ!?」
腕を掴んで引っ張る。それだけでトレーナーは驚いて変な声を出した。
ボクもまだこういうのには慣れてないからほんの少しだけためらってしまう。
でもここまできたらもう……いや恥ずかしいけどさ……
ここまで来たらとことんまでやってしまおう。
あっという間に顔を赤く染め上げたこのヒトに、今まで押さえつけてたモノをひとつ残らず叩きつけてやるんだ。
終わり!!!!!!!!!
書けなかった話の供養と次に投稿したい話について
私の中には3話投稿時あたりから思いついていた他のウマ娘との話のアイデアがあったのですが
トウカイテイオーの話以外書いてはいけないという
しかしそれが日の目を見ることなく埋もれてしまうのはあまりにも悲しいなぁと思ったのでここで供養させていただきます。
「アグネスタキオンに目的をバラし『モルモットになる代わりにトレーナーにさせてもらう』というガチの方の契約を結び熱心に世話を焼くうちに情が湧きまくっていく話」
「オグリキャップと組み彼女の天然っぷりと性格の善さに心を打たれ(打ちのめされ)る話 」
「ゴルシと一緒にエアコン祭りに出てロックンロールを極め雑巾を
「セイウンスカイと普通に3年間送って普通に好意を持たれるも彼女がそれを素直に伝えられるわけがなく想いをうじうじ募らせるだけの筈だったのだが、殺したくなるほどにサッパリ改心した覚悟ガンギマリ主人公がそれを看破して不器用なりにゴリゴリ攻めまくって攻めまくる話」
「だんだんまともに改心していく主人公とだんだんねっとりしっとりしていくナイスネイチャの話」
(天と地がひっくり返っても上記2つだけは絶対に書いてはいけない気がする。書くわけにはいかない。というか主人公くたばってほしい)
「ハルウララと出逢い彼女の日輪の如き純粋さにあてられることで(精神的な)死と再生を繰り返す話」
「シンプルにマンハッタンカフェと共依存関係になる話」
(割と書きたかったけど主人公への殺意で頭おかしくなりそうという理由からボツに)
辛すぎて書けなかったテイオーとのバッドエンド共依存話
主人公への悪意が抑えられる気がしなくて書けなかったドブみてぇに甘いテイオーとの純愛話
出来がつまらなかったので書かなかった改心しかけ目が死んでるトレーナーとほんのり鈍感湿度0テイオーの話
この主人公とは関係ない
「シンボリルドルフのお母さんになってあげる代わりにお父さんになってもらう話」
以上をここに供養させていただきます。
16話(尽きる)でいただいた感想を読み返していたらふと
「性的な欲求とっ払った代わりにウマ娘(テイオー)の幸せそうな姿と同じくらいに曇ってる姿が好きでそんな自分に煩悶憂苦しながらも見たくなってしまうという矛盾した感情をブチ上げして性格重くした主人公と、トレーナーに対してほんのり不気味だと思っているのに心の中にはするする入り込まれてなんともいえない状態になっていくテイオーのシリアスそこそこの話」
を思いつき
今回の話書いてたら
12話(諦めた)の原案を改造した
「3年間終了後自分が改心したことに気づかず罪の意識も覚えず満足してトレーナーを辞めた主人公に街中でたまたま会い、他愛もない話をして別に恨んでるわけじゃないけど3年間終了後も自分のトレーナーでいてくれなかったことをマジでなんも責める気なしになんとなく言ってみたら思いのほかいろんな意味で反応がよく、彼が自分に負い目を感じていることを知りそれはそれとして置いといて話していきながらなぜかトレーナーとか関係なしにまた会いたいなと思ったテイオー。
そして時折会うようになっていきながら徐々に徐々に贖罪やらドブ臭い愛情やらでがんじがらめになっていく主人公と罪悪感から自分に関わってくれるだけだとわかっていながらも(
の幻覚を見たのでやる気があったら次はそれを書こうかななんて考えてます。
ざーこ♡ざこ投稿者♡