二次創作「Snow flutters. ~Fantasy Star Online 2~ 」 作:北宮 涼
それは摂理であり、定理だ。
本来、その一つ一つの結末に深意的な価値はほとんど存在しない。
しかし、それは本流にまで及ぶ影響を抱く一つの事例である。
幾重にも織り重なった事象が形を作り、収束を見せる。
そこにあるものをどう呼ぶかは貴方自身が決めることだろう。
……例え、それが望まぬものであったとしても。
私達は識っている。
それ故に、私は何も伝えることが出来ない。
識るだけで形成されるものは幻想。
ことここにおいて必要なのは経験による認識だ。
故に……私と私達は謝罪する。
識りながらも変えることのできない、この身であることを───。
いろんな声が聞こえる。誰かが泣き叫んでいる。
明確な人数はわからないが、男女入り混じった様子からして……街中、だろうか。
声は聞こえども視界は真っ暗なままで、何が起きているのかまでは正確に把握できない。
眠いわけではないが身体が重く、このまま静かにしていたいという気持ちを抱くには十分だった。
(夢、なのか?)
いろいろと考えが廻ったが、最後に行きついたのはそれだった。
何せ、事の前後関係を思い出すことができなかったから。
(なんでもいいけど……少し、うるさいな)
ひっきりなしに聞こえてくる声にいい加減騒がしさを覚え始めた頃、ある単語が強く耳に飛び込んできた。
『にい、さん……ごめ、なさ……』
(にいさん? 一体、誰に謝っているんだ?)
なぜ、その単語だけが鮮明に聞き取れたのだろう。
何にも身に覚えがないはずなのに、物凄く強い焦りが瞬く間に身を蝕んでいく感覚を覚え、不快感に身をよじらせた───
「おゔっ!?」
───背中に走る衝撃。
唐突な出来事にびっくりして跳ね起きると、目の前には呆気にとられたような表情をした少女と少年が居た。
「び……っくりしたぁ。うなされてるから悪い夢でも見てるのかと思ったけど、ちゃんと起きれたようね」
白髪……灰、いや、銀髪だろうか?
そんな何とも言えない髪色をしたポニーテールの少女が、俺にそう語りかけてきた。
「……ここは、何処だ?」
しばらく視線を彷徨わせた後、そう訊き返す。
屋外のようだが、何処なのかはわからない。
見た様子をそのまま述べるのであれば、周囲に浮いている数々の6面体が不思議な雰囲気を醸し出す場所、といった感じになるだろうか。
所々の段差には水が満たされ、見たことのないような草花が生えたその場所に、不思議と安らぎさえも覚える。
「惑星アムドゥスキアよ」
「あむ……あ、あむむ、きあ?」
「ア・ム・ドゥ・ス・キ・ア。知らないの?」
そう告げられるも、やはりピンと来ない為、こくりと頷いて見せる。
「普通にバラしちゃってるけど……サラ、一応ここは僕らの隠れ家でもあるんだからね?」
サラと呼ばれた少女の発言に対し、苦言を呈すように語り掛ける少年。
考えうる状況として、俺はこの二人にここに連れてこられたと見るべきか。
でも、何の為に?
「と言っても、ここは他のアークス達には立ち入りの許可が下りてない禁足地なんだけどね。そうそうバレることのない場所でもあるから、この人が黙っていてくれるならまぁ問題はないか。サラ」
「わかってる。あなた、この場所の事は───」
「───とりあえず、ここについては黙っていればいいんだな」
疑問は尽きないが、取りあえず言われた通りにしておこうと思い、口を開く。
間が悪いことに、サラの言葉に被さるようにして発言してしまったが……何故だか、驚いているようだ。
「え、ええ。それでお願い」
そんなやり取りを見ていた少年は、怪訝な表情を浮かべると俺に詰め寄るようにして口を開いた。
「君、もしかして僕が見えているのかな?」
少年のそんな発言に今度はサラが訝しむ様な眼差しをこちらに向ける。
何が何だか分からないが、正直に受け答えをするべきだろうと思い、少年の方を見て黙って頷いた。
その様子を見て、信じられないといった感じで驚くサラと、先ほどとは一変して思案顔へと変わった少年。
そんな二人を前に、俺はただ黙って立ち尽くす事しかできなかった。