二次創作「Snow flutters. ~Fantasy Star Online 2~ 」 作:北宮 涼
次に目覚めた時は、シャオとサラのいるいつもの場所だった。
目を覚ました俺を本気で心配したのか、サラは本気で俺のことを叱ってくれた。
聞けば、駆けつける際に戦っている姿は遠目から見えていたのだとか。
ただ、途中で頭を押さえてうずくまり、終いにはその場で倒れてしまったらしく……
「あたし達が割って入るのがもう少し遅かったら、あんた殺されてたのよ? 感謝しなさいよね、全く」
そう告げたサラの瞳は、本気で怒っているからこその心配の色が見え隠れしていた。
「そこら辺にしといてやんな。アンタも、これに懲りたら一人で出歩くのはこれから控えることだ」
そんなありがたいお叱りの後に聞きなれない声が聞こえてくる。
振り向けば、黄色と黒のカラーリングが映える……女性、だろうか。
機械的な身体を持ったその人は、俺の事をしげしげと見つめると、何かを納得したかのように口を開いた。
「成程、シャオの抱えている厄介事はコイツか。確かに、今はコイツを向こうへ帰すのは不味いね」
どういう意味なのだろう。
一人合点のいった様子でしゃべる女性を前に、俺は少し居心地の悪さを覚える。
「マリアは何か知ってるの? この人、自分の名前以外の記憶がすっぽり抜け落ちちゃってるみたいなのよ」
「記憶が? だとしたら尚の事アークス側へ帰すのは不味いね。
10年前に死んだとされている、だって?
「ちょっとマリア、それってどういう」
「サラは黙ってな。さて……そこのアンタ、確認の為に聞いとくが、名前はなんて言うんだい?」
口を挟もうとしたサラを一言で黙らせたマリアと呼ばれる女性は、真剣な眼で俺を射抜くように見つめてくる。
「時崎真也だ」
「時崎真也……成程、アンタの
本当の名前……だって?
「それは、どういう……ぐっ」
「っと、悪いね、無理をさせちまったか。記憶が完全に戻ってない人間にあれこれと話をするのは、今は控えるべきか」
突然襲ってきた激しい頭の痛みに悶えていると、マリアは、当たり障りがないと判断したことを静かに語り始める。
「コイツはね、とある筋では相当に有名な奴だったんだよ。それも悪い意味でね。そんなに関わりのある訳じゃなかったアタシの耳にさえ届くくらいの悪名だったんだ。確かその時に耳にしたのは……『死神』だったか」
「何よそれ、どうしてそう呼ばれる様になったのよ」
「受け持つ隊が須く全滅するからって話らしい。それでいて、コイツだけは毎回生還する。だから、ついたあだ名が死神。あぁ、不死身とも呼ばれていたか」
とんでもない過去が明るみになっている気がしてならない。
それに、受け持つ隊って……もしかして、俺は。
「分ったかい? アンタは元アークスなんだよ。それも隊長クラスのベテランアークスさ。今は、死んだ事になっているがね」
無言のままこくりと頷く。
アークス、という言葉はサラやシャオから伝え聞いているからどんな連中なのかは知っている。
惑星調査のためにあちこちの未開の星へ探索に出る組織であり、今は全宇宙の脅威である存在を倒すために動いている、と。
その脅威こそが、ダーカー。気絶する前に俺が戦っていたあれらはその末端であり、その上に存在するもっと強力な存在を相手に、アークスは日夜戦い続けている。
とはいえ、その脅威は40年前の大戦の時に倒すことに成功したらしいが。
「だが、それなら尚の事解せない。何故俺は、今向こうに帰ったら不味いんだ? サラからは異常な現れ方をしたからと話を聞いたが、それが何か関係していると?」
「そこからは僕が話すよ」
今まで俺たちの会話を黙って聞いていたシャオは、俺の疑問に答えるように口を開いた。