Oh.my god!
いや、最後の思考が不味いのは知っていたよ?うん、本当に。
えーっ…と、現在、私は今、噂のHNMの巣である『Takamati home』にいます。
本当に広く、道場からは今にもPOPしそうな雰囲気が漂い、できることならデジョンでもして家に帰りたいという気持ちを抑えるのが精いっぱいです。
もっとも、私め、現在、黒魔導師をセットしておりませんのでできませんがっ!
などと、アナウンサー風に報告してみるが状況など変わるわけもない。ちくせう…。
目の前にあるのは明らかに彼女のおやつの為にとっておかれたと見られるケーチが鎮座しており、ぶかぶかのエプロンを占めた魔王の卵…めんどうなのでなのはで通すが、冷たいお茶をグラスに注いでもってきた。
まぁ、なんだ。
びっくりするぐらい緊張してる。
俺もなんだが、なのはがだ。しかも、これはいい意味の緊張ではなく新人とかがミスをやらかす時に必ずやる緊張、つまりはだ。
『自分は失敗してはいけない』
と、言うもの。下らない、実に下らない。
ミス一つなんだというのだ?しない人間などいない、程よく注意し、たとえミスをしても補えばいい。
絶対にミスをできないというなら、しない状況にもっていくのが当然なのである。
見てるこっちがハラハラさせながらお茶をテーブルに置くとジーッッとこっちも見てくる。食べさせる気があるのだろうか?
そんなことを考えたとき、小さく腹の虫が泣いた音がした。
無論、俺ではない。序に言うと目の前にいるなのはが恥ずかしさで顔を赤く染め、自分の失態に顔を青くするという、絶対に二つ同時にできそうにないことをやってのけている。
「俺、お茶だけでいいから、ケーキ食べたら?」
「いえ、大丈夫です!」
一応、進めてみるが断固拒否の構えを崩さない。
非常に面倒で会話もない。
何処のお見合い風景だ?
「で、だ。お姉さんはいつ帰ってくるのかな?」
「あの、その、えっと…」
てっとり早く終わらせて帰る。
これが最善なのだが反応を見る限りまだまだ先になりそうだ。
少なくとも、描写では相当遅くまで放置されていた可能性が高い。
どう見ても育児放棄だが、本人はそれに気が付いていないし周りも同様だ。
「じゃあ、ケーキ半分こしないかい?」
「え?」
「いや、甘いもの嫌いじゃないんだけどこれは多すぎて残しそうだから半分食べてくれないかな?」
回りくどい言い方だが、やむ得ない。
呆けた顔でこちらをみているなのはに声をかけ、ケーキを半分に割ってなのはの前に差し出すと嬉しそうに半分のケーキを食べ始めた。
しかし、だ。
姉は帰ってこない。
何時ごろ帰ってくかなど全く知らないが、おそらく深夜帯と考えていいのではないだろうか?
軽食やパスタを出すスタイルの喫茶店であれば尚のこと遅くなるだろう。
狙っている客層がどこにあるかわからないが、劇中に桃子がなのはと一緒に皿を洗う描写があったはず、と言う事は6時から8時には帰ってきて家事をしていると考えられる。
あくまで家事をしているだけで食事をしているわけではないことに注目したい。
帰ってきているのは母親のみであって他の家族もいたがすぐに出かけていた。
これは鍛練と見て取れるが、現在の状況でその鍛錬を行っているかは不明。
まして、下手に聞けば警戒されるなどの注目度が上がる危険性もあるため却下となる。
ともなれば、離脱したいのだがお茶がなくなるとすぐにお替わりを注ぐなのはが問題となり、雑談をしながら隙を見ては帰ろうとしたが「もう少しだけお待ちください」と足止めをされている為、離脱もできない。
どうしてくれよう、この状況。
さらに時間がたち、現在6時。
時間の経過が早いのは何も起きていないからだ。
しかし、ついに動きが出た。
小さく腹の虫が鳴いたのだ!
鳴かせた主は顔を真っ赤にしてうつむいている。
「そろそろご飯の時間だね、申し訳ないけどお暇しようかな?」
ここぞとばかりに帰ろうとすると、目に見えてがっかりするなのはを見て罪悪感を感じないわけではないがフラグなどいらない。
「あ、はい、ごめんなさい。お姉ちゃんには伝えておきます」
しょんぼりして答えるなのは、心なしサイドテールが萎れて見える。
ようやく帰れる。そもそも、こう考えること自体がフラグなのかもしれない。
お姉ちゃんの友達は私のお話に相槌をうちながら、いろんなお話をしてくれた。
ところが、楽しい時間はすぐに過ぎるもので6時になるころ、私は致命的な失敗をしていた。1つは晩御飯のことを考えていなかったこと、2つはおやつを分けてしまい空腹に
なるのが早かったこと、3つめはお姉ちゃんは元より、だれもこの家に帰ってくるわけがないのを知っていた。つまり、嘘をついていたこと。
うそがばれるのが怖くて、お兄さんが帰るのが寂しくて、二人でいる時間が終わってほしくなくて必死だった。
私のおなかの音が鳴ると、お兄さんが帰ると言った。
これは当然だ。もう、おやつも残ってないし、私に用意されている晩御飯ではお兄さんはとても足りない。
そんなとき、電話が鳴った。
電話は翠屋から来てるのを知らせている。
私に一縷の望みが出てきた。
お店が早めに空けるとお母さんは、お兄ちゃんを迎えに出してお店で晩御飯を食べさせてくれる。
きっと、そんな我が儘を願った私への罰なのだろうか?
電話の内容は、そんな優しいものではなかった。
「ごめんね~、お店忙しくて今日は遅くなるから先に寝ててね」
「あのね、おかあさん、いまね!」
「今、忙しいから帰ったら聞くから『良い子』にしててね?」
短く私の用件を伝える前にお母さんは電話を切ってしまう。折り返し電話を掛けることも出来るのだが、『良い子』でなければ私はならない。そうなると、電話はできない、すればお母さんを困らせてしまうから、でも、と、考えて後ろを見ると険しい表情をしたお兄さんがそこに居た。
「ひっ、ごめんなさい!許してください、嫌いにならないで!良い子にしますから!!」
私は気が付いたら叫んで泣きついていた。やめなきゃって思ったのに止まらなくてしがみついているとお兄さんの手が動くのがわかる。
ああ、そうか―――
『悪い子』な私はお兄さんから引きはがされる。はがされるだけならいい、叩かれるかもしれない。
でも、しょうがないのだ。
ただ、怖いものは怖い、思わず身を竦めると頭に手を置かれた。
「落ち着け、何か知らんが落ち着け」
お兄さんはゆっくりと口を開くとなのはにそう言ってくれたの。