リリカル For FFXI   作:玄狐

8 / 16
なんか長いです。
5000こえてます。
本来は2500~3500ぐらいなのですが、切りが悪いのでこちらにしてます。


未だにヒロインが出てこない…大丈夫だろうか?


試合に勝って、勝負に負ける。

 入学し、一年経ち新入生がちらちらと入部先を見つけ、夢や未来に目を輝かせる。

 2度目の桜を見ながら、思わずため息をついてしまった…無論、火がこちらにあるともいえるこの状況なら尚更だ。

 俺は今更ながらに自分の言ったことを後悔していた。

 確かになのはと話をしてくれるかと問われ、もちろん。と答えた。

 ああ、答えたともさ。

 だけどな、登校狙ってとか買い物行ったら目聡く見つけてくるんだよ。

 高校2年になったのに、彼女一つ作れない。

 あんまりだろう…勉強自体は何の問題もないし、卒業も学歴も問題ないが、このままでは灰色の学校生活と言うものになるんじゃないのか?

 2度連続しての灰色の学校生活、ある種、戦慄を覚える。

 引き継いだ冒険者としての記憶を抜けば(と、言うかFFXIは全年齢適応のためピンクな感じは一切なかった)、年齢=彼女イナイ歴となってしまう。

 社会人になってからは仕事と趣味に忙しく、その後は病気で入院とくれば付き合うこともないのは当然だが、それでも今の状況を甘んじたいわけじゃない。

「と、言う事で突然だが、彼女を作ってみたいと思う」

「何を言ってるんだ、信濃?いるだろう、態々、弁当まで作ってくれる可愛い彼女が」

 突拍子もない発言なのは重々承知していた信志に、あきれたような声で突込みをしてくるのは、同じく風芽丘中学からの転入組である大阪 虎勝(おおさか とらかつ)である。

「小学3年生を彼女にしている高校2年って犯罪だろうが…そもそも、彼女は彼女ではなく懐いている近所の子だ。俺がほしいのはステディな女性だ!」

「んなの、美由希ちゃんだっけ?あの子狙えばいいだろ!何が不満なんだよ!」

「全部だ!あ・の・な!俺がほしいのは平穏無事に過ごせる毎日であって商店街に行くたびに殺気を浴びせられる日々じゃないんだよ!」

 そう、原作と変わってきているのだ。

 高町なのははこちらと積極的に関わりを持とうと動き続けている。

 高校に入ってから、もう一度高町家への入居を進められたが断り寮生活を続けているのだが、週に一度程度、家の管理維持の為に帰るとタイミングを逃さずなのはが弁当を作ってもってくるのだ。

 そのためなのかなんなのか、嫉妬なのか、高町兄から商店街に入るだけで殺気を向けられる事態となっている。

 積極的にかかわりを持ちたくない俺は、先ほどの大阪虎勝の進めもあり、野球部へ入部し接触の制限に成功した。

 が、今度は試合に顔を出すようになったのだ、しかも、親友たる月村すずかとアリサ・バニングスを連れたトリオで。

 なのはの過剰なアタック?により、おかげで周囲にはロリコン疑惑がかけられている有様…しかも、なのはは俺絡みになると頑なに言う事を聞こうとせず、最近では会話も減ってきていると美由希が愚痴を漏らしていたのを以前、捕まった時に聞いた。

「ったく、いい気なもんだなぁ、レギュラーのかかった大一番が近いってのに」

「なるようにしかならんだろう?」

「まぁ、そうなんだけどよぉ…まぁ、レギュラーとかになれば彼女もできるんじゃないのか?俺としてはそろそろ、お前にも野球に集中してもらってだなライバルとしての活躍と言うかだ…」

 何気ない、虎勝の一言に俺は雷に打たれたと思うほどの衝撃を受けた。

「……って聞いてるのか?才能はあるはずなんだからやればお前だってレギュラー入りも十分あり得るんだぞ!」

 横でわめく虎勝にも彼女はいる。

 お約束のマネージャーという存在がそのまま、彼の彼女なのだ。

 若干脳筋気味ではあるが特待生として鳴り物入りで入り1年のことからレギュラー入りしたこいつには才能があるのだろう、ピッチャーとしてプロも注目しているらしく、そんな彼に『中学時代から運動能力に目をつけていた』と推薦された俺も期待はされていたのだが必要以上の注目は嫌い、ある程度の補助金が出る程度の成績を出すとそれ以上はやらなくった。

 が、こいつだけは何か感じたのか俺に真面目にやれと言ってくる。

 話が逸れたが、体育バカのこいつでも彼女ができたのだ、うまくすれば俺にもできるかもしれない。

「そうだな…気合い入れてみるか…」

「お、ようやくやる気になったな、この野郎!よしよし、本気になったお前と久々の勝負ができるな」

「良いだろう、彼女を手に入れるための布石にしてやるッ!」

 そんなことを言った放課後……。

「特訓だぁぁぁぁぁぁ!今度は打たせないボールを投げてやるからなぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 と、土手を走る彼とその彼に甲斐甲斐しく付き合う彼女の姿に、打ちのめしたはずの紳士のほうが逆に打ちのめされるのはまったく、無関係な話。

 

 

 

 淫獣イタチが空から降ってくる日がいつなのかなんて当然、覚えていない俺はいつ来るともわからない脅威たる管理局から逃れれるべく、魔法を扱うジョブを外し勝手の良い忍者や探索として獣使いとサポートに踊り子を入れて日々を過ごしていた。

 忍者は盾ジョブ・タンクと呼ばれる種類に分類され、パーティを組んだ場合に敵からの攻撃を引き受ける役の事を指す。

 思い浮かべるなら本作品でも有名なナイトや他のゲームなどでも出てきそうな守護騎士、ジェネラルなどをイメージしていただきたいが、この忍者の最大の特徴として避ける盾役と言う役割を担う。

 守る以上はどうしても被弾するのだが、忍者においては回避性能の高さと忍術の一つが反則じみた回避性能を誇るモノがあるため盾として可能になった。(運営もその運用は想定していなかったそうだ)

 『汚い、さすが忍者、汚い』などと言う黄金の鉄の塊が残した言葉もあるが、それまでまっとうにナイトを上げてきたものからすれば、まぁ、気持ちは分からなくはない。

 踊り子は踊りに様々な効果を持たせている。回復であったり、支援であったりと多種多様であり中衛としての役割を果たす。こちらは種類も多く複雑なため説明は後日に改めるがどちらもMPに依存しないスタイルを確立したジョブで万が一、ユーノを見逃してアースラが訪れても魔力感知はされないよう頭をひねった結果でもある。

 また、獣使いはペットの使用が可能な二体一身で戦うタイプのジョブでフィールド上にいるモンスターを操ったり、エサで一定時間ペットを呼び出しPCとペットであるNPCを操作するテクニカルジョブといえる。

 最大の利点は敵に合わせたペットの選択やペットミサイル・ファンネルと呼ばれる使い方などなど柔軟性に富み、こちらではより細かな命令を送ることができていた。

 最大の懸念であったFFXIにおいてレベルがカウントストップの状態になった時に得られるボーナスをMPに割り振っていたため、多少のMPはあるが補正用の装備で打消し、ほとんどない状態にすることには成功している。

 しかしながら、なぜ、こんな説明を長々とやっているかと言えば、現在進行形で謎の物体に追いかけられているからとしか言えない。

 魔力もない、気配も消しているにもかかわらず、部活帰りでコンビニによって寮へ戻ろうとした矢先、目の前にこいつはいらっしゃった。

『グルァァァァッァァァァァァ!!』

 一見すると何か毛玉のような、布かぶったゴーストっぽいへんてこりんな生き物がこちらめがけ襲い掛かってきたのだ。

「おぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?」

 なに、こいつ、トリガーNM的なモンスターじゃないの!?てか、ジュエルシードだろ!?おとなしく淫獣おそってろよ!

 などと心中で叫ぶがそんなもの、虚しいだけである。

〈モーグリ!装備変更、忍者のC-5を頼む!〉

〈くぽっ!?ちょっと待つくぽ~〉

 耳に付けたパールの付いたイヤリングに叫んだ俺は決して怪しい精神構造を持つ人間ではなく、これが家にいるモーグリと連絡をやりあうための手段なのだ。

 装備やアイテムの殆どは持ち運びの利くものではないため、モーグリに相談したところこのイヤリング、(LS リンクシュル)を介してモーグリに連絡すれば装備変更が可能と教えられていただけに過ぎない。

 いや、でもさ、いきなり体が光に包まれて気が付けば忍び装束になっているのは良いんだけど…名実ともに不審者だよね、これ…。

 民家を避け公園に逃げ込むと向き直り、忍刀を手にする。

 ハイエンドコンテンツを攻略し、虐めの様なドSクエストをこなすことで手にできる最後の最後まで愛用し続けたエンピリアン装束とよばれる装備品に身を包み、地面に足を突き立て加速していた体を滑らせながら追いかけてきたモンスターと対峙する。

 空中から落ちてきた物体は地面と衝突すると石つぶてを巻き込んであたりにまき散らすが、これ自体に対し威力がないのか装備が優れているからなのかは分からないがダメージとなることはない。

 忍刀・真神無と忍刀・天人鳥を構え、状況の把握に務める。

 ここで、これを討伐するのは可能か?

 なのはが現れた場合の接触はどうするか?

 いま、退治していることがどこまでイレギュラーなのか?

 また、この状況が今後、フォロー可能なものかそれとも巻き込まれる概算が高くなるのか?

 それが分からない、故に手が詰まる。

 しかし、相手はそんなことを察してくれるわけもない。

『グルォォォォォォ』

 手を出してこないこちらを弱腰ととったか、塊が獣のような雄たけびをあげ突進してくるのをバックステップだけで避けると、勢いを殺しきれなかった塊が木々へとぶつかるがダメージらしいダメージは入っていないように見える。

 分類にするならゴースト系か?物理攻撃はあまり聞かなさそうだな―――

 伊達にゲームを長々としていたわけでも、追体験で気が狂いそうな痛みと経験を積んだわけではない、戦闘用に頭を切り替え冷えた頭で敵を滅することに集中する。

「遁甲:空蝉の術 壱」

 その言葉を口にすると、手にした人型の紙を翳し放り投げるとぼんやりとした影が体にまとわりつくのがわかる。

 忍者の非常識なまでの回避性能を一助した魔法…いや、忍術、空蝉の術は体に幻影をまとわりつかせ攻撃が当たるのと同時に幻影が身代わりとなるモノで広範囲無差別殲滅なものでもないかぎりは絶対の回避性能を誇る。

「いざ、参る」

 腰だめに構え、引き絞った足を全力で踏み出し、一足で塊の足元にたどり着くと二の足で飛び上がり目玉と思しき部分に刃を突き立てると塊が苦悶の声を上げる。

「暗闇の術 弐」

 触媒を手にし念を込めると闇色に染まった煙が獣の周りを覆い隠し視界を遮るように幕を張る。

 膜が張りきったのを確認すると腰を落とし足元を切りつけるとそのまま、足払いをかけ傾いた体に返す刃を突き立て切り裂き蹴り飛ばす。

 ゲームでは同一動作にしか見えなかったその動きは、知識の中で目まぐるしく動く戦況を判断し体を動かしていた。

 文字通りの経験は彼の地となり肉となって生きていたのだ。

 塊から出される触手を片手で弾いて受け流し、もう片方で触手を根元から断ち切ると懐に潜り込み二回、三回と連撃をたたき込む。

「火遁:参」

 触手をあらかた切り終えると懐から忍具を取出しそのまま、その取り出した腕ごとモンスターの口の中に突っ込み、モンスターが腕ごと噛み切ろうとした瞬間、忍具が爆ぜた。

 ガスに引火するように燃え広がる火炎はモンスターと言う塊を飲み込み、貪欲に食らい尽していき動きを鈍らせたモンスターが、最後に見たのは漆黒に輝く忍刀が己の目に突き刺さる瞬間だった。

「臨…」

 飽和攻撃を受けたモンスターは、魔力と言う己の肉体の維持限界を超え霧散させ雪が風に散らされるが如く消えていく。

 残ったのは源凶たるジュエルシードただ一つのみ。

 静かに彼は腕を組んで考えた。

 倒してしまった―――

 いや、どうしよう?判断基準のつもりで戦ったらあっさり勝てました。

 カンスト(カウンターストップ)してるレベル99の忍者なんだから当然茶当然なんだけど、これ、いくつか集まると世界滅ぼせるぐらいの出力あるんだよね?

 向こうでそんな無茶ぶりしてくる敵なんて、そりゃいたが、こんなに弱いはずがない。

 べひんもす様もといベヒーモスやアダマンタスのほうがよほど強敵だ。

 などと彼は混乱しているが、この結果、割と順当なものであったりする。

 考えても見てほしい、MMORPGとは言えハイエンドコンテンツやミッションといわれるメインストーリー系には神と名の付くものやら魔王を初め、世界を壊せそうなレベルの人外がわりかしゴロゴロしていらっしゃる世界だ。

 猛者と遣り合い勝ちを拾ってきたPCの中で、割とやりこんで軽い廃人クラスだった彼が負ける道理などない。

 そんな事にも気が付かずため息一つもらすとジュエルシードを手に取るべく手を伸ばした瞬間、公園に結界が張られ、閉じ込められたのを察知するとその場から、飛びのき素早く身を隠す。

「物見の術…遁甲の術!」

 手元から札を二枚取出し、音と姿を隠すのではなく消す。

 熱源探知などをするものでもない限りばれることはない。

 それでも木の上に身を置き、しばらく様子を伺うと動きがあった。

 なのはとユーノが姿を現したのだ。

 まだ、なのはは魔王として覚醒していないのかユーノがレイジングハートを持っており喋っている様子はない。

「あった、あれだ!」

 ジュエルシードを見つけたユーノが叫ぶようにして声を上げるとなのはが目を丸くして見せた。

 ジュエルシードが再び動き始めたのだ。

 霧散させてから時間を置きすぎたのが原因なのか、元々活性化しているため何度でも復活するのかは分からないが、再び塊のような体を手にしたモンスターが月に向かって吠えるとなのはたちを見据え、警戒するようにじりじりと動き出した。

 

 




FFXI>>健全なゲームです。猫耳やエルフ耳のおねーさんは出てきますがそういったイベントはお目にかけれないので、彼の恋愛レベルは1です。

ジョブ>>FFXIには22種のジョブが存在し、本作では作者がかかわっていたアセビア期までとして作品が続けられています。正味、今のアイテムレベルとかついていけないorz

忍者>>作中の通りで、空蝉の術による回避と素の回避が相成り回避盾のスタイルを確立した独特なジョブ

獣使い>>ペットジョブと言われ様々な伝説を各所に残す。万能性はないが局所においての対応力は確かで、リンクしてピンチになった時の処理は見事の一言に尽きる。クローラーの巣でひっそりと暮らしていたあの人は元気だろうか…?

踊り子>>攻撃を当てればあてるほど強くなることのできる不思議なジョブ。忍者以外で二刀流が可能で中衛的な立場にある。攻撃を充てるとTPというポイントがたまりこちらを消費して相手の妨害や味方の支援、回復などが行える。

召喚士>>作者がやっていたメインジョブで召喚獣により敵と戦うことができる。器用貧乏でウェイトタイムに泣かされることが多い印象が強い…今は改善されたのだろうかと心配になる。

ペットミサイル・ファンネル>>NTの人が使うアレと同じで敵を感知すると召喚獣が勝手に反応して敵に突撃してくれるためこの名前が付いたらしい。周りのモンスターを操り倒すことができる獣さんのお家芸ともいえる。PTのいる狩場でやると苦情が来たりするそうだ。

モーグリ>>忘れてはいけない、家でハウスキーパーをしてくれている人?だが庭や応対には出れないため信志が週に一度家に帰っているが、それ以外は洗濯・掃除から壁紙や補修までしてくれているブラウニーやシルキーと何が違うのかわからない存在になってきてる。最近は鉢物に凝りだし、自分で自由に育てられるためカリカリクポーとはならず、本人も楽しんでいるそうな。その影響か彼の家の庭には大量にミミズが住んでいるとかいないとか。

ハイエンドコンテンツ>>極端に言えばメーカーの延命措置らしきもの、正式に予定していたかどうかまでは不明。基本的にドSな物が多くいやでも時間を消費させられるため作者がログインしていたのはここら辺までとなっている。アドゥリンに至っては参加を断念している。

装備品>>作者の妄想が一部入った品々、もっとも、あれを手に入れるのはとてもとても面倒orz

術>>忍者が使うことのできる魔法らしきもの、クリスタルという媒介を使用し合成された忍具を使いさまざまな現象を引き起こす。個人的な解釈をするとクリスタルによって宿った魔力が術者によって発動のプロセスを踏んでいると推測される。

臨>>忍者が使うWSウェポンスキル

物見・遁甲>>前に出たMGS魔法の一つで姿を消し、音を消す

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