爆豪「質問を質問で返すなあーっ‼」   作:あたらんて

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第1話

 「個性」と呼ばれる超常的な力が人々に宿るようになって久しい社会。その社会の中、金持ちが集うわけでもなし……ヒーローの子らが預けられるわけでもなし……ごく普通の、それでいてたくさんの人間に恩恵を与えている保育園。その中に、とある二人の園児がいた。

 

 片方の子供の名前は緑谷出久。今はまだ発覚していないが、この個性社会では最早希少種となった無個性の少年である。

 そしてもう片方の少年は今ッ! まさに! 『個性』を『発現』していた!

 

「出でよっ! 『キラークイーン』!」

「かっちゃん! 何も見えないよかっちゃん!」

「『キラークイーン』の特殊能力…………それは……『キラークイーン』は『触れたもの』は『どんな物』でも……『爆弾』に変えることができる………」

「すごいよ! 何で発現したばかりの個性の能力を把握してるのかわかんないけどすごいよかっちゃん!」

「小僧! キサマ私を『脅す』のかッ!」

「脅してないよかっちゃん! いつも通りかっちゃんの言っていることは意味がわかんないね!」

 

 爆豪勝己の発現した個性「キラークイーン」…………それは彼自身の生命エネルギーが作り出すパワーある(ヴィジョン)ッ!

 そばに現われ立つというところからその(ヴィジョン)を名づけて……「幽波紋(スタンド)」!!

 

「でもほんとにそんなのいるの? 僕には見えないよかっちゃん!」

「な、なにィィ~~~!?」

 

 「スタンド」は「スタンド使い」にしか認識できない。

 それこそが緑谷出久が「キラークイーン」の姿を目に入れられない理由!

 林檎を握りつぶす腕力があっても! 1km先の的を狙撃できても! 「スタンド」を扱えぬ人間には存在しないも同義! 緑谷出久にとって「キラークイーン」の存在は水素水の効能と同じッ! 信じるに毛ほども値しない眉唾ものである!!

 

 しかしそれは、爆豪勝己の神経を逆撫でしたッ!

 爆豪勝己、彼は決して目立つことなき植物の心のような人生を望む人間であったが、自身を軽んじられる、つまりは「ナメられる」ことは大ッ嫌いな人間であったのだぁ~~!!

 

「『キラークイーン』! 『第一の爆弾』! そこのガキに私の力を見せつけてやれッ!!」

 

 「キラークイーン」が傍の木に指先で触れ、「スイッチ」を入れた瞬間!

 木の幹は砕け散り、表皮は粉微塵と化し、枝は瞬時に燃え尽きた!

 

 即ち爆発ッ!

 レンジに入れた卵のように、いとも呆気なく「キラークイーン」の触れた木は爆発したッ!

 

「わぁ! すごいやかっちゃん!」

「この爆豪勝己と『キラークイーン』に弱点は()()……」

 

「コラーッ! 二人とも、一体今度は何をやったのー!?」

 

 が、無念ッ! その保育園に勤務する保育士は、すぐさま爆発の原因が爆豪勝己だと気づく!

 思い出すのは尻を叩かれるという屈辱ッ! 自身より遥かに強い力に囚われたまま自らの(ケツ)を差し出し、ただ感じる激痛に泣き叫ぶのみの拷問の時間!

 

「この『爆豪勝己』今までどんなピンチだろうと切り抜けて来た。必ず逃げきってみせるぞ……」

「あ、待ってよかっちゃーん! 相変わらず逃げ足は速いや!」

 

 

◇◇◇

 

 

「確か爆豪は雄英校を志望してたな」

 

「え!? あのトップの!?」

「今年の偏差値79だろ!?」

 

 時は流れて中学三年生。

 クラスのHRの時間、進路に関する話の際勝手に人の志望校をバラした担任に爆豪勝己は内心舌打ちする。

 

「わたしは常に『心の平穏』を願って生きている人間だということだ。

 わたしは闘ったとしても誰にも負けないが……今の社会は『キラークイーン』の勝手な使用を許していない……。それでは私の『平穏』は保たれない。『平穏』を守るための『免許』が必要なのだよ……」

 

 意味のわからない爆豪勝己の主張にクラスメイトは皆困惑するが、それを口に出す者はいない。

 無駄にプライドとスペックの高い爆豪勝己の言うことに口出しすれば、お返しに無駄に威力の高いパンチが顔面に叩き込まれることを知っているのだ。

 

「そ、そう言えば緑谷も雄英志望だったな」

 

 静まり返った教室の雰囲気を何とかするように放たれた担任の言葉。

 それは、全員の視線を緑谷に向けさせるには十分な威力を持っていた。

 

「無個性のお前が!?」

「無理に決まってんだろー!」

 

「そ、そんなことないよ! まだ前例が無いだけで……」

 

 笑い飛ばすクラスメイトに、泣きそうな顔で反論する緑谷。

 それは無個性に対する社会の実情であり、担任の教師も口には出さないものの不可能だと思っていた。

 

「小さな頃からの……目標、なんだ。雄英に行って、ヒーローになるっていう……」

 

 蚊の鳴くような声で呟いた言葉が琴線に触れたのか、唐突に爆豪勝己が立ち上がる。

 当然、彼の予測も出来ないような暴走に巻き込まれたくないクラスメイトたちは黙り込んで一歩距離を取る。緑谷も一歩引いていた。

 

「誰も『爪』をのびるのを止める事ができないように…持って生まれた『性』というものは誰もおさえる事ができない………」

 

 何を言ってるんだコイツ、という目で爆豪を見つめるクラスメイトたち。

 緑谷も同じ目をしていた。

 

「君は悪くない。誰も悪くない。『無個性』だと言うのに頂点を目指す君には……なんか…ちょっとした『敗北感』まで感じるよ…。

 『追い詰められた時』こそ……冷静に物事に対処し…『チャンス』をものにするのだ」

 

 なんと! あろうことか彼は緑谷出久を励ましているのである!!

 あの他人には欠片も興味を抱いていないかのようなっ! クラスメイトには「付き合いが悪く、今ひとつ情熱のない男」と評されている彼がっ!

 

「か、かっちゃん……! ありがとう、かっちゃんは昔っから僕の夢を応援……してくれてた記憶は無いけれど、絶対に馬鹿にしなかったもんね!」

 

 緑谷の言葉に微笑む爆豪。しかしまだ彼のアドバイスは続くようである。

 

「今度ぶどうヶ丘高校の方に『スポーツジム』がオープンするそうだが……真剣に『会員』になることを考えた方が良いんじゃないか? 『体力』をつけなくっちゃあなあ……。

 でもあーゆートコの『会員』ってのはどーなんだろうな? 一週間もフロに入ってないヤツがチンポいじった手で同じダンベル持ち上げたりプールに入ったりするのかな? 君はどう思う?」

 

「え? かっちゃんってそんなに潔癖症だっけ? 昔はおばさんの指をしゃぶってたりしたのに……」

 

質問を質問で返すなあーっ‼

 

 突然キレ出す爆豪。怒りのままに顕現させられたキラークイーンは爆豪の内申点まで爆破していくのであった。




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