一誠 side
この日、一誠は朝から困惑していた
昨日の夕麻との出来事は夢だと思った
いくらなんでも夕麻に殺されるなんて悪夢を見た以外に考えられない
そう思っていたのだが・・・
「オマエら、まじで夕麻ちゃんのこと覚えてないのか?」
「だからさ、俺らそんな子知らないって、マジ病院とか行ったほうがいいんじゃないか?」
「何度も言うが俺たちは夕麻ちゃんという女の子を紹介なんてされていない」
一誠の言葉に松田と元浜が言った
さらに、彼女のケータイ番号もメールアドレスも完全に消えていたのだ
まるで、天野夕麻という女子そのものが最初から存在しなかったかのように
「それじゃあ、あの人も夢だったのか?」
一誠は夕麻から助けてくれた青年のことを思い出した。
side end
ルドガーは暗くなった公園の中にいた。
「あの子は大丈夫かな?」
ルドガーは昨日出会った少年の事を思い出していた。結局あの後、リアスという少女に任してしまい、とても不安だったのだ
「あ、あなたは………」
声の先には昨日助けた少年が立っていた
「お、俺、夕麻ちゃんとデートしてて、最後にここに来たんですよ」
突然話し出した少年
ルドガーは少年の話を無言で聞いていた
「そしたら、夕麻ちゃん……えっと、一緒にいた女の子から黒い羽が生えて、殺されそうになった所であなたに会って………でも結局……」
少年の言葉を遮るようにルドガーは言った
「光の槍で腹を突き刺されて死んでしまった……か?」
「っ!!あれは夢じゃなかったんですか!!すいません、教えて下さい、夕麻ちゃんはいったい………」
「いや、俺にもあまりわからな……」
いいかけた言葉を途中でやめたルドガー
その視線は少年の方に向いていなかった
一誠もその方向に視線を向けると
視線の先には男がいた
男から発せられる殺気は、ルドガーから見ても高い方だと思っていた
男は二人に歩み寄りながら言った
「これは数奇なものだ、こんな都市部でもない地方の市街で貴様のような存在に会うのだものな」
近づいてくる男に恐怖を感じた少年が後ずさりをしはじめた
「逃げ腰か?主は誰だ?こんな都市部から離れた場所を縄張りにしている輩だ、階級の低い者か、物好きのどちらかだろう、お前の主は誰なんだ?」
「主?………なんだそれは……」
すると、突然少年が男に背を向けて走り出した
男も黒い翼を生やし、少年を追っていく
一人取り残されたルドガーはすぐさま二人の後を追っていった
「二度も少年を目の前で殺されてたまるか!!」
一誠side
一誠は全力で走っていた、先程の男から逃げるために全力疾走しているのだ
「マズイ!マズイ!あれはヤバイ!!」
背筋に冷たいものが走り、振り返ると黒い羽が宙を舞っていた
「逃がすと思うか?下級な存在はこれだから困る」
黒い翼を生やした先程の男が一誠の前に降りて来た
「なっ!」
「ふむ、主の気配も仲間の気配もなし、消える素振りも見せない、魔方陣も展開しない、状況分析からすると、おまえ【はぐれ】か、ならば殺しても問題あるまい」
そう言った男の手に光が集まり槍になる
「また…、また俺は殺されるのか……?」
殺される、一誠がそう思った時
「そこまでだ」
二人の間に先程の青年が割り込んだ
side end
「人間がなぜ悪魔の味方をする」
「悪魔!?なるほど…、だからあんな気配があったのか。あなたのお陰で疑問が解けたよ………そうか……ていうことは、あの女の子も……」
「何をブツブツ言っている、貴様その悪魔の味方をするというのなら貴様にも死んでもらうぞ」
「目の前で少年を二度も殺されるのを黙って見てるわけにはいかないだろう」
双剣を構えるルドガー
「おもしろい。ならばやってみろ、人間」
「言われなくても!」
ルドガーは一瞬で男の真上に移動した
「なっ!?」
驚愕する男
「遅い!轟臥衝!」
ドォォン!!
ルドガーは手に持った双剣を振りかぶり、回転させ遠心力のついた剣を勢いよく男に向かって降りおろした
「ガァァァッッッ!きっ!貴様ァァァァ!よくも!よくも私の腕をォォ!!」
男の左腕はルドガーによって切断されていた
「殺す!!絶対に殺してやるっ!!」
男が光の槍を振り上げた時、男の手元で爆発が起こった
「彼等達に触れないでちょうだい」
聞き覚えのある声
背後に現れたのは紅い髪の美女 リアス・グレモリーだった
その姿を見た途端、緊張の糸が切れたのか少年は気を失ってしまった
ゆっくりとこちらに歩いてくるリアス
その両隣には黒髪にポニーテールの美女と、見知らぬ小柄な少女を従えていた
「……紅い髪……グレモリー家の者か……」
憎々しげにリアスを睨む男
「リアス・グレモリーよ。ごきげんよう、堕ちた天使さん。この子にちょっかいを出すなら、容赦しないわ」
(堕ちた天使?ということは堕天使か?悪魔も存在しているから不思議ではないのか?)
「・・・ふふっ。これはこれは、その者はそちらの眷属か、この町もそちらの縄張りというわけだな。まあいい、今日のことは詫びよう。だが、下僕は放し飼いにしないことだ。私のような者が狩ってしまうかもしれんぞ?」
「ご忠告痛み入るわ。この町は私の管轄なの、私の邪魔をしたらそのときは容赦なくやらせてもらうわ」
一層冷たい目つきで言うリアス
「その台詞、そっくりそちらへ返そう」
そう言うと男はルドガーに視線を移す
「この腕の借りはいずれ返させてもらうぞ人間」
「期待せずに待っているよ」
「まぁ良い、グレモリー家の次期当首よ。我が名はドーナシーク、再び見えないことを願う・・・」
男は翼を羽ばたかせ空へと消えていった
男が見えなくなるとルドガーは双剣をしまった。
「お見事だったわ」
リアスはルドガーを誉めると同時に聞いてきた
「堕天使を無傷で倒すなんて、貴方は何者かしら?」
ルドガーはこの質問に対してどう答えようか悩んでいた。まさか、異世界から来ましたと言えるはずもなく
「俺は唯の一般人だよ」
と答えるしか無かった
「ふ~ん。まぁ、今はそれでいいわ。でも、いつか貴方の事を教えてもらうわ」
ルドガーは苦笑いを浮かべるしかなかった
「じゃあもうそろそろ俺は…「待って」……なんだい?」
帰ろうとしたところでリアスから呼び止められた
「私たちのこともっと知りたくない?」
「知ってるよ、悪魔なんだろ?」
ルドガーの言葉にリアスだけでなく、後ろの二人も反応した
「さっき堕天使の男が話していたし、それに元々変な気配は感じていたからね」
「ふーん……気配…ね、でも知ってるのはそれだけなんでしょう?」
余裕の笑みを浮かべながら彼女はそう言った
「何が言いたい?」
「私達のこと、もっと知りたくない?」
「教えてくれるのかい?」
「ええ、あなたになら教えてあげてもいいわよ」
ルドガーはしばらく考えた後
「そうだね。俺もさっきの男や君たちに興味があるからね。教えてくれるって言うならありがたく教えてもらうよ(それに、この世界のことを詳しく知れるしな)」
「決まりね、貴方の家は何処なの?」
「俺の家はーーーーーだ」
「分かったわ。後日使いの者を向かわせるわ」
「ああ、ありがとう」
ルドガーは礼を言った後家へと帰っていった
リアスside
「本当によろしいんですか部長?彼のことを信用しても」
去っていくルドガーの後ろ姿を見ながら朱乃が言った
「大丈夫よ、少なくとも私達に敵対する意志はなさそうだし、それになにより・・・」
気絶している一誠に目をやる
「この子を二度も助けようとしたんだから」
「分かりました」
そういうと朱乃と小猫は去っていった
「必ず、貴方を手に入れてみせるわ」
静かに呟くリアスだった
こんにちはリバードラゴンです。
3話目でした。いかがでしたでしょうか。いや~やはり難しいですねルドガーは。元々喋らないキャラですから大変です(~_~;)
それから、ルドガーの神器の名前をどうするか悩んでいます。あの懐中時計なんですが…何か案をくださると嬉しいです。
感想なども書いてくれると嬉しいです