今回は更新が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。リアルが大変だったので遅れてしまいました。これからは気を付けていきたいです。
それでは、本編をどうぞ!
パァン!!
乾いた音が部室に響いた
蛮が部室に入ってまず目に飛び込んできたのは、一誠の頬を叩くリアスの姿
「何度言ったらわかるの?ダメなものはダメよ。あのシスターの救出は認められないわ」
リアスが険しい表情で言った
「なら俺一人でも行きます」
引き下がらない一誠
アーシアというシスターと出会い、友達になった一誠
だが、彼女は堕天使側の人間であり、堕天使は何らかの儀式にアーシアを利用するつもりだというのだ
「あなたは本当に馬鹿なの?行けば確実に殺されるわ。もう生き返ることは出来ないのよ?それがわかってる?」
リアスの言う通り、悪魔として未熟な一誠が一人で行ったところで犬死にするのがオチだ
「あなたの行動が私や他の部員にも多大な影響を及ぼすのよ!あなたはグレモリー眷属の悪魔なの!それを自覚しなさい!」
「では、俺を眷属から外してください。俺個人であの教会に乗り込みます」
なおも引き下がらない一誠
「そんなことができるはずないでしょう!あなたはどうしてわかってくれないの!?」
激昂するリアス
それでも一誠は止まらない
「俺はアーシア・アルジェントと友達になりました。アーシアは大事な友達です。俺は友達を見捨てられません!」
「よく言ったぞ、一誠。」
そんな一誠を見て、ルドガーは言った
「っ!ルドガー!?」
「いいじゃないかリアス。一誠、君は本気なんだろ?」
一誠を見て言った
「はい!もちろんです!!」
一誠の目は決意に満ちていた
「リアス。ここまで決意を持って言っているんだ。今更何を言っても聞かないよ。」
「そんなこと言っても……!!」
「部長」
二人のやりとりを見ていたリアスに朱乃が近づき、耳打ちする
「大事な用事ができたわ。私と朱乃はこれから少し外へ出るわね」
「ぶ、部長、まだ話は終わって……。」
一誠の言葉を遮るように、リアスは人差し指を立てて、一誠の口元へやった
「イッセー、あなたにいくつか話しておくことがあるわ。まず、あなたは【兵士(ポーン)】を弱い駒だと思っているわね?どうなの?」
リアスの言葉に静かに頷く一誠
「それは大きな間違いよ【兵士】には他の駒にない特殊な能力があるの。それが【プロモーション】よ」
一誠は訳が分からないといった表情をしていた
「実際のチェス同様、【兵士】は相手陣地の最深部に赴いた時、昇格することができるの【王(キング)】以外の全ての駒に変化することが可能なのよ。イッセー、あなたは私が【敵の陣地】と認めた場所の一番重要な所へ足を踏み入れた時、【王】以外の駒に変ずることができるの」
(なるほどな…。やっぱり優しいじゃないか、リアスは。)
ルドガーは心の中で笑っていた
そして、ようやく理解できた一誠は驚愕していた
「あなたは悪魔になって日が浅いから、最強の駒である【女王】へのプロモーションは負担がかって現時点では無理でしょう。けれど、それ以外の駒になら変化できる。心の中で強く【プロモーション】を願えば、あなたの能力に変化が訪れるわ」
兵士の駒の能力について説明するリアス
「それともう一つ。神器について。イッセー、神器を使う際、これだけは覚えておいて」
一誠の頬を撫でながら言うリアス
「想いなさい。神器は想いの力で動き出すの。そして、その力も決定するわ。あなたが悪魔でも、想いの力は消えないの。その力が強ければ強いほど、神器は応えるわ」
(想いの力か……。)
「最後にイッセー。絶対にこれだけは忘れないこと。【兵士】でも【王】は取れるわ。これはチェスの基本よ。それは悪魔でも変わらない事実なの。あなたは、強くなれるわ」
それだけ言うとリアスは朱乃と共に魔方陣でジャンプしてしまった
大きく息を吐きその場を立ち去ろうとする一誠を祐斗が呼び止めた
「行くのかい?」
「ああ、行く。行かないといけない。アーシアは友達だからな。俺が助けなくちゃならないんだ」
「……殺されるよ?いくら神器を持っていても、プロモーションを使っても、エクソシストの集団と堕天使を一人で相手にはできない」
「それでも行く。たとえ死んでもアーシアだけは逃がす」
「いい覚悟、と言いたいところだけど、やっぱり無謀だ」
「だったら、どうすりゃいいんだ!」
怒鳴る一誠
「僕も行く」
「なっ・・・」
一誠は驚愕した
「僕はアーシアさんをよく知らないけど、キミは僕たちの仲間だ。部長はああおっしゃったけど、僕はキミの意見を尊重したいと思う部分もある。それに、個人的に堕天使や神父は好きじゃないんだ。憎いほどにね」
祐人の言葉のなかに堕天使への憎悪や怒りが見えた
「……私も行きます」
「なっ、小猫ちゃん?」
「……二人だけでは不安です」
小猫の言葉に感動した一誠
「感動した!俺は猛烈に感動したよ、小猫ちゃん!!」
「あ、あれ?僕も一緒に行くんだけど……?」
放置された祐斗がなんとも寂しげに笑みを引きつらせていた
「なら、俺も行こう」
そしてそこへルドガーも言った
「えっ!ルドガーさんまで!?」
「なんだ、迷惑だったかい?」
「いえいえ!そんなこと!」
慌てて首を振る一誠
「でもいいんですか?」
「勿論、それに一応俺は特別顧問だからね。」
一誠は笑顔になった
「ルドガーさん!ありがとうございます!!」
「礼ならリアスにも言ってやれよ?さっき、リアスも言っていただろう?『私が敵の陣地と認めた場所の一番重要な所へ足を踏み入れた時、王以外の駒に変ずることができる』って。これって、遠まわしに『その教会をリアス・グレモリーの敵がいる陣地だと認めた』ってことだろ」
「あっ!」
ようやくリアスがなぜあんなことを言ったのか理解した一誠
「分かったらさっさとシスターを助けて、リアスに謝りに行こうな」
「はい!」
教会内
教会にたどり着いた四人だったが、聖堂で待ち受けていたのは、先日契約先の民家で出会った白髪の神父だった
神父は懐から光の剣と拳銃を取り出した
「てめぇら、アーシアたんを助けにきたんだろう?ハハハ!あんな悪魔も助けちゃうビッチな子を救うなんて悪魔さまはなんて心が広いんでしょうか?てか、悪魔に魅入られている時点であのクソシスターは死んだほうがいいよね!」
「おい!アーシアはどこだ!」
「んー、そこの祭壇に地下への階段が隠されてございます。そこから儀式が行われている際儀場へ行けますぞ」
一誠の言葉にあっさりバラす神父
「セイクリッド・ギアァ!」
一誠の叫びに呼応して、左腕に赤い篭手が装着される。
祐斗も剣を鞘から抜き放ち、小猫も身構える
皆が臨戦態勢に入ったその時
「皆、ちょっと待ってくれ。」
ルドガーが皆を止めた
「君らは先に行くんだ。ここは俺がやる。」
「えっ、でも…。」
「一誠、君らの目的はなんだい?」
「それは……アーシアを助ける事です!!」
「そうだ。だから早く行くんだ。手遅れにならないうちにね。」
「は、はい!」
一誠は祭壇の下の隠し通路に向かっていった
「ほら、木場君と小猫ちゃんも行くんだ。」
残った二人に言う
「でもルドガーさん一人じゃ…」
「大丈夫ですか?」
祐斗が尋ねた
「彼、強いですよ」
心配そうに告げる二人
「大丈夫だ。それに…」
神父を見るルドガー
「相手は俺をご指名みたいだしな」
先程からルドガーを殺意と憎悪に満ちた目で見つめる神父
「わかりました、気をつけて」
「無理しないでください」
そう告げた後、祐斗と小猫も一誠の後を追った
「へへ、ようやくだ、ようやく俺に上等かましちゃった糞人間をブチ殺せるよ!んー、どう殺してやろうか…迷うなー」
神父は狂気に満ちた笑顔で言った
「殺す?それは無理だと思うよ」
「あん?」
「君に俺は殺せない」
「ハハ、その余裕かました態度、すっげぇムカつくんだよぉぉぉぉ!!」
ルドガーの態度にキレて突っ込んでくる神父
手に持った光の剣を降り下ろすが
「!!」
一切無駄のない、流れるような動きで斬撃をかわしていく
攻撃の手を休めない神父、だか何度も斬りつけるがすべて避けるルドガー
「チッ!!何であたんねぇんだよ!!」
悪態つく神父
「簡単な事だよ」
いつの間にか神父の背後に回りこみながら剣を構えていた
「君みたいに殺気と憎悪を垂れ流しだと、次の行動を読みやすいんだよ」
振り向き様に剣を薙ぐ神父
後ろに跳んで距離をとり、銃を連射する
「へへ、悪魔じゃ無くても、祓魔弾は効くだろ?」
神父が狂ったように笑いながら聞く
しかしルドガーは無言で双銃を構えて発砲した
キィンッ!!
「なっ!?」
ルドガーの撃った弾は、神父の撃った弾とぶつかり、ルドガーに当たることは無かった
「今度はこっちの番だ!!」
ルドガーは銃を神父に向けた
「トライスパロー!!」
ルドガーの銃から燕のような弾がものすごい速度で神父に向かっていった
「グハッ!!」
神父はその弾を受けて吐血した
「クソがぁぁぁぁッ!!」
神父が光の剣を振るった
ルドガーはハンマーに持ちかえ、神父を吹き飛ばした
「これで終わらせる!!」
ルドガーは銃を真上に投げた
「うおォォッ!!」
ルドガーは双剣で神父を斬った後、振り向き様にもう一度剣を振るった。そしてもとの位置に戻ったルドガーは、最初に投げた双銃をキャッチし連射した
「祓砕斬ッ!!」
最後に力を溜めた双銃を放ち、爆発を起こした
「零水!!」
「ガァぁぁぁッ!!」
爆発で神父を吹き飛ばした
もはや神父に戦う力は残っていない。それを確認するとルドガーは教会の奥に向かって行く
「ゴホッ!!テメ……待ちやがれ!!トドメも刺さずに行く気か!!」
ダメージは内臓にまで達していたのだろう、血を吐きながら言う神父
「ああ、そうだ」
「ふざけやがって!!テメェは必ずオレが殺す!!殺してやる!!」
「その腕でどうやって?」
ルドガーの言葉に頭を起こし、自分の腕を見る神父
「な、何だと!?」
神父の右腕は切断されていた
「お前はもう、二度と戦うことはできない」
それだけ言うと、ルドガーは地下の階段を下りていった
「ちくしょうぉぉぉっ!!」
神父の叫びが聖堂内に響いた
祭壇の奥、地下へと続く階段を進むルドガー
開けた場所に出ると、そこには先に行った一誠に祐斗、小猫、そしてリアスに朱乃つまり全員が集合していた
一誠の視線の先には、かつて一誠を殺した女の堕天使、天野夕麻が倒れていたのだ
『なんだ?もう終わったのか?』
皆が振り返った
「無事で良かったわ。一人であの神父と戦ってるって聞いたから」
どうやらリアスは本当に心配していたようだ
『悪いな、思いの外時間がかかっちゃってな』
ルドガーの言葉に苦笑いするリアス
『この子が一誠の言っていたシスターか?』
一誠の後ろで横たわっている少女に視線を移す
「はい、……俺、助けられなかった……アーシアは神器を抜かれて……もう……」
涙をこぼす一誠
ルドガーも拳を強く握り鋭い目で堕天使を見た
「ごきげんよう堕天使レイナーレ」
「……グレモリー一族の娘か……」
「はじめまして、私はリアス・グレモリー。グレモリー家の次期当主よ。短い間でしょうけど、お見知りおきを」
笑顔で言うリアスだが、レイナーレはリアスを睨んだ後嘲笑い始めた
「……してやったりと思っているんでしょうけど、残念。今回の計画は上に内緒ではあるけれど、私に同調し、協力してくれている堕天使もいるわ。私が危うくなったとき、彼らは私を……」
「彼らは助けに来ないわ」
レイナーレの言葉を遮り、はっきりと言うリアス
「堕天使カラワーナ、堕天使ドーナシーク、堕天使ミッテルト、彼らは私が消し飛ばしたから」
「嘘よ!」
否定するレイナーレだが、リアスは懐から三枚の黒い羽を取り出した
どうやらリアスの言っていることは事実らしい
『へぇ、意外とやるじゃないか』
ルドガーが感心していると
「その一撃を食らえばどんな者でも消し飛ばされる。滅亡の力を有した公爵家のご令嬢。部長は若い悪魔のなかでも天才と呼ばれるほどの実力の持ち主ですわ。別名『紅髪の滅殺姫(ルイン・プリンセス)』と呼ばれるほどの方なのですよ?」
隣にやって来た朱乃が言った
リアスが一誠の左手に視線をやる
「赤い龍。この間までこんな紋章はなかったはず……そう、そういうことなのね」
よく見れば一誠の神器の形が変わっていた
「堕天使レイナーレ。この子、兵藤一誠の神器はただの神器じゃないわ。それがあなたの敗因よ」
リアス言うには一誠の神器は「赤龍帝の篭手(ブーステッド・ギア)」という神器のなかでもレア中のレアであり、十秒ごとに持ち主の力を倍にしていき、魔王や神すらも越える力を得られる物だと
「じゃあ、最後のお勤めしようかしらね」
リアスの目が鋭くなり、冷酷さを帯びる
「消えてもらうわ、堕天使さん」
殺意のこもった冷たい口調で言い放つリアス
怯える堕天使。するとレイナーレは
「嫌だ…。まだ私はここで終われないんだァァァァッ!!」
いきなり魔力を放出した
「「「「っ!」」」」
全員が驚愕した
その一瞬の隙にレイナーレは魔力弾を放った
すぐさまルドガーはハンマーを真上に振るった
『インヴァイタブル!!』
するとリアス達の回りに青いシールドが展開され、魔力弾から守った
「このっ!!」
すぐさまリアスが反撃しようとしたが
『待て!』
ルドガーが止めた
「何で止めるの!?ルドガー!」
『リアス。こいつは俺にやらせてくれないか?』
リアスの目を見て言った
「でも『頼む』…。分かったわ」
渋々、リアスは引き下がった
そしてルドガーはレイナーレの方へ向いた
『ふぅ。』
ルドガーは心を落ち着かせた
(『神器は想いの力で発現するんだったな』)
ルドガーは皆の事を思った。一緒にいた時間は短いが、ルドガーの中では大切な存在になっていた
そしてルドガーは時計を持ち、強く思った
(『もう一度俺に力を!!』)
すると
パキィン!!
突如ルドガーの時計が光だし、不思議な空間が出現した
「「「「「ッ!!」」」」」
そして、光が収まるとそこには
「ルド……ガー…?」
黒い鎧を手足に纏い、黒い槍を手にしたルドガーが立っていた
(「ッ!!凄い威圧感…!!」)
『一瞬で終わらせる』
そう告げるとルドガーは消えた
「ッ!!消えた!?」
その瞬間ルドガーはレイナーレの真上に居た
『絶影!!』
そして、レイナーレを叩き落とした
『うおぉぉぉぉッッ!!』
ルドガーは槍を使ってレイナーレを切り刻み、最後に地面に手をついた
『ジ・エンド!!』
「ガァァァァッッ!!!」
その瞬間、衝撃波が発生しレイナーレを跡形も無く消し飛ばした
『ふぅ…。』
骸殻を解除し、皆の前に戻ったルドガー
「大丈夫なのルドガー!?」
リアスが心配気に聞いてきた
『ああ、大丈夫だ。』
ルドガーは微笑みながら答えた
「今のがルドガーの神器なの?」
『ああ、そうだ。』
「ルドガー。何で貴方は魔法が使えたの?」
リアスはそう聞いてきた
ルドガーは『インヴァイタブル』を使ったことで魔法が使えると思われたらしい。
『その事は後で話すよ。』
「……絶対よ」
リアスは不満げだったが納得したようだ
『で、彼女はどうするんだ?本当にもう手はないのか?』
意味深な視線をリアスに送るルドガー
ルドガーが知っている限りでは、一つだけアーシアを救う方法があった
それに応えるかのようにリアスはポケットから何かを取り出した
「イッセー、これ、なんだと思う?」
リアスが手にしていたのは、紅いチェスの駒だった
「それは?」
「これはね、イッセー。『僧侶(ビショップ)』の駒よ」
「へ?」
突然のことに間の抜けた声を出す一誠
「あなたに説明が遅れたけれど、爵位持ちの悪魔が手に出来る駒の数は、『兵士』が八つ、『騎士』、『戦車』、『僧侶』がそれぞれ二つずつ、『女王』が一つの計十五対なの。実際のチェスと同じね。『僧侶』の駒をひとつ使ってしまっているけれど、私にはもう一つだけ『僧侶』の駒があるわ」
アーシアの胸に駒を置く
「『僧侶』の力は、眷属の悪魔をフォローすること。この子の回復能力は『僧侶』として使えるわ。前代未聞だけれど、このシスターを悪魔へ転生させてみる」
リアスの体を紅い魔力が覆う
「我、リアス・グレモリーの名において命ず。汝、アーシア・アルジェントよ。いま再び我の下僕となるため、この地へ魂を帰還され、悪魔となれ。汝我が『僧侶』として、新たな生を歓喜せよ!」
駒が紅い光を発して、アーシアの胸へ沈んでいく。同時にアーシアの神器も淡い緑色の光を発しながら彼女の体へ入り込んでいった
それを確認したリアスは、魔力の波動を止める
少しして、アーシアの瞼が開き始めた。
「あれ?」
アーシアが声を上げると、リアスがやさしい笑みを一誠に向けた
「悪魔をも回復させるその子の力が欲しかったからこそ、私は転生させたわ。ふふふ、一誠、あとはあなたが守っておあげなさい。先輩悪魔なのだから」
アーシアが上半身を起こし、辺りを見回したあと、一誠の姿を捉えた
「……イッセーさん?」
怪訝そうに首を傾げる彼女を抱きしめる一誠
「帰ろう、アーシア」
その様子を見ていたルドガーは、微かな笑みを浮かべていた