東方耳かき話   作:雨宮季弥99

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レミリアとフラン

「パチェ―。本返しに来たわよー」

 

「あら、早かったわねレミィ」

 

 借りていた本を返しに来たらパチェはいつものように机から動かずに挨拶だけ返してくる。

 

「新しい耳かきの本と小悪魔を借りていきたいんだけど大丈夫かしら?」

 

「ええ、いいわよ。小悪魔、悪いけどレミィに付き合ってあげて」

 

「は、はい。わかりました」

 

 小悪魔は私から本を受け取ると返却用のスペースに置いて、代わりに新しい本を持ってきてくれた。

 

「あ……あの、レミリア様。今日も耳かき……でしょうか?」

 

「ええ。大丈夫よ、耳が荒れない程度で終わってあげるわよ」

 

 少し体が震えている小悪魔に安心するように腰に手を当ててあげると、小悪魔は体を震わしながらも頷いたので、そのまま一緒に図書室を出ていく。さぁ、今日はどういうやり方を試そうかしら。

 

 

 

 

 

「さぁ、そろそろかしら」

 

 自分の部屋でベッドに腰を掛けたまま、時計を見ながら私はフランが来るのを待つ。そろそろお風呂も終わるころのはずだけど。

 

「お姉さま。来たよー」

 

 ノックもなしに扉が開かれ、フランが中に入ってきた。寝巻に着替えているフランはそのまま私の元まで歩いてきて隣に腰を下ろす。

 

「待っていたわフラン。今日は貴女に素敵なことを体験してもらいたいの」

 

「素敵な事? なーにー? なんなの? お姉さま」

 

 素敵な事。という言葉にフランの目が輝く。

 

「ええ。耳かきというものなの。私も美鈴にやってもらってからスッカリ嵌っちゃったのよ。今日はそれをフランにしてあげるわ」

 

「本当!? わーい。お姉さま大好き!」

 

 私に抱き着いて喜びを表現するフランの頭を撫でてやりつつ、帽子を取ってあげる。

 

「さぁ、膝の上に頭を置いてちょうだい。耳が上を向くようにね」

 

「ハーイ」

 

 素直に頭を乗せてくれたフランの髪を掻き分け、耳を出す。お風呂から上がったばかりの耳はまだ熱を帯びていて、赤く染まっていた。

 

「それじゃぁ始めるわよ。まずは外側を……」

 

 耳かきで掻いていくと、湿って粘り気のある耳垢が掬われていく。本来のフランの耳垢は私と同じ乾燥したタイプだというのは確認してるけど、お風呂上がりだとやっぱりこうなるわよね。

 

「ん~。お姉さま、くすぐった~い」

 

「あら、ごめんなさい。でも、もう少し我慢しててね」

 

 フランの頭を撫でて宥めつつ、耳かきを動かしていく。窪みを穿るように、凹凸に沿うように、そして美鈴から教えてもらった吸血鬼のツボをギューッと押してやっていると徐々にフランの口から甘い吐息が漏れ出してきた。

 

「ふやぁ……お姉さま……。なんだか耳が熱くなってきたよぉ……」

 

「それは良かったわ。そうやってお耳が熱くなるのはちゃんとできてるってことなの。フラン、気持ちいいでしょ?」

 

「うん……気持ちいいよぉ……」

 

 あらあら。すっかり顔が蕩けてるわね。ウフフ、可愛いわね。

 

 フランの蕩けた横顔を見ながら耳かきを動かしてあげて……そろそろ中をしてあげようかしら。

 

「さぁフラン。中をやってあげるわから、動いちゃだめよ、耳かきが刺さっちゃうわ」

 

「はぁい……」

 

 まぁ、耳かきが刺さったところでその程度の傷はすぐに塞がるんだけど。だからと言って気持ちよくなってる最中に痛みなんて感じさせたくないわ。

 

「ほ~ら。耳かきが中に入っていくわよ。今からフランの汚れているところ、ちゃんと取っていってあげるからね」

 

「うん……」

 

 フランを安心させるため声をかけつつ耳かきを中に入れていく。ふふ、フランに似て素直な耳の穴ね。奥まで見やすくて、やりやすいわ。

 

「あら、けっこう汚れてるわね。大きいのも、小さいのもあるし、全部取ってあげるわね」

 

「は~い」

 

 フランの頭を優しく撫でてあげながら、まずは上のほうの耳垢を掻き出していく。水分を吸ってふやけた耳垢は固さを保ちつつもあっさりと剥がれていき、そのまま掬い上げる。

 

「ほら、まずは一つとれたわ」

 

 そう言ってティッシュの上に耳垢を捨て、それからまた掃除を始める。

 

「次に行くわよ。ほ~ら、カリカリカリ……ペリッペリッ」

 

 私が耳掃除をしているときに聞こえてくる音を呟きつつ耳かきを動かしていく。小さい物を掃除するときは呟きも小さく。大きいものを掃除するときは少し声を大きく。

 

「アッ……アッ……ンッ……」

 

 あらあら。小刻みに喘いじゃって。そんなに気持ちよくなってくれて嬉しいわ。

 

「はい、また取れたわ。それじゃぁ次をカリカリカリ……カリカリカリ……ペリーッてなって……はい、取れた」

 

 粉状の物は湿っていて泥を掬い上げるように掻き出していくと、硬く塊になっているものがよく見えるようになる。それを一つずつ丁寧に、呟いてあげながら掃除していくと、フランはそのたびに小刻みに喘いで……ああ、可愛いわフラン。私のたった一人の妹、彼女のことは何でも知っているつもりだったのに、まさかこんな可愛い姿が見られるなんて。耳かきの事を知れてよかったわ。後で美鈴に特別ボーナスを出してあげなくちゃ。

 

「カ~リカリ。カ~リカリ。ちょっとずつ剥がれてきたこの汚れをペリペリペリ♪ ミヂィッて言って……はい、取れた♪」

 

「ヒャァァッ……お姉さまぁ……気持ちいいよぉ……お耳がすっごい喜んでるよぉ……もっと……してぇ……」

 

 ああ、可愛いフラン。良いわよ、もっとやってあげる……と言いたいけど、もう粗方取ったわね。後残ってるのは……あらあら、良いのが残ってるじゃない。

 

「良いわよフラン。最後に、一番大きな汚れを取ってあげるわ。一番気持ちいと思うけど、動いちゃだめよ」

 

「うん……頑張る……」

 

 手をギュッと握ってフランが耐えようとする姿が可愛くて思わず頭を撫でてあげてから、私は一番大きい耳垢に取り掛かった。何回か引っ掻いてみてもびくともしない。でも力を入れすぎたらフランに痛い思いをさせちゃう。だから慎重に、慎重に。力を入れすぎず抜きすぎず。

 

「アン……お姉さまぁ……痒いよぉ……」

 

「我慢して頂戴フラン。このまま……このままガリガリって削っていって……ん……しょっ……と」

 

 よしよし、ちょっとづつでも剥がれてきたわ。我慢してねフラン。もうちょっと、もうちょっと……。

 

「……はい、取れたわよフラン。ほら、こんなに大きいの」

 

 出てきたのは耳かきの匙より一回りも大きく、分厚い塊だった。外に出ない分が凝り固まっちゃってたのかしらね。

 

「……こんな大きいのが耳の中にあったの?」

 

「ええ。どう? スッキリしたかしら?」

 

「ん~……なんだかまだ痒いよぉ、お姉さまぁ」

 

 あらあら。仕方がない子ね。

 

「そう、ちょっと待ってなさい。掻いてあげるわ」

 

 先ほど耳垢をとった部分を中心に耳かきで掻いていってあげる。途中で薄い耳垢とかを取ってあげていくとフランの口元がどんどん緩くなっていって……あらあら、涎が垂れっちゃってるじゃないの。

 

「フラン、涎が垂れちゃってるわよ」

 

「ふぇ? ご、ごめんなさい」

 

 私が声をかけるとフランは慌てて涎を拭い取る。

 

「ふふ、良いのよフラン。さ、後は保湿をしてあげるわ。パチェにお願いして特別に調合してもらったローションよ」

 

 耳かきを置いて、私は綿棒にローションを絡めていく。血のように赤く、ドロリとした粘着質なローションをフランの耳の中に丁寧に塗っていってあげる。

 

「お姉さまぁ……スゴイ甘い匂いがするよぉ」

 

「ええ。そういう風に作ってもらったの。でも舐めたりしちゃだめよ」

 

 良質の血に砂糖を混ぜたような甘い香りは私もお気に入りだ。

 

「さて、こことここで……はい、塗り終わったわ。じゃぁ最後に……」

 

 ローションを塗り終わってから私はフランの耳に口を近づけ、フ~ッ……と息を吹きかける。

 

「ヒャン!?」

 

 その途端フランの体が跳ね上がる。……ちょっと思ったより敏感だったようね。

 

「うう~……お姉さま。いきなり何するの~」

 

「ごめんなさいフラン。悪気はないのよ? さっきのは耳かきが終わった後にするお約束なんだけど……フランがいやだったらもうやらないわ」

 

 涙目でこっちを見上げてくるフランに罪悪感を感じながら、私は彼女の頭を撫でて謝る。

 

「うう……びっくりしたけど……次もやってほしいの」

 

「あら、そうなの? わかったわ。もう片方のお耳をしてからやってあげるわね」

 

 良かった、嫌じゃなかったようね。

 

「それじゃぁ、反対を向いてちょうだいフラン。もう片方の耳かきも始めるわ」

 

「あ、は~い」

 

 コロン。と横になろうとして、羽が引っ掛かったフランは億劫そうに体を起こして反対に寝転ぶ。

 

「さてと……あら。こっちはちょっと耳毛が多いわねぇ」

 

 よく見てみるとこっち側の耳は全体的に毛が濃い。これは……耳の毛を剃ってあげるほうがよさそうね。

 

「フラン、これから耳の毛を剃るわ。くすぐったいかもしれないけど、動いちゃダメよ。フランの耳を切っちゃうわ」

 

「う、うん。フラン動かない」

 

 フラン少し不安なのか少し呼吸が早くなってる。大丈夫よフラン。すぐにその不安を取り除いてあげるわ。

 

 耳毛を剃るための小さいナイフを取り出すと、彼女の耳たぶや耳の中に生えている耳毛をしょりしょりと剃っていく。間違えてもフランの耳を傷つけないように慎重に、ていねいに毛を剃っていって。うん、大体これぐらいかしら。

 

「はふぅ~……お姉さま。なんだかそれも気持ちよかったよぉ」

 

 あらあら。耳毛剃りでも気持ちよくなっちゃうなんて。フランは耳がよほど敏感みたいね。

 

「それはよかったわフラン。さ、耳かきをしていくわよ」

 

 今度は綿棒で耳かきをしていく。耳かきと違って綿棒なら先ほど剃った毛も十分に取り除くことができるので、耳垢と一緒に剃った毛も綿棒で絡め取っていく。

 

「ザ~リザリ。ゴソゴソゴソ」

 

 綿棒で耳の中を擦ってきてるときに聞こえていた音を口ずさみながら掃除してあげていると、フランの体がぴくぴくと動く。ん~。と言ってもこっちは耳毛が濃かったぐらいでそんなに汚れてはないわね。さっさっさと掃除も終わって、後はローションを……で終わらせるのも面白くないわね。

 

「フラン、ちょっとごめんなさいね」

 

 フランの体と頭の下に手を潜り込ませ、彼女の体を少し持ち上げる。そして困惑する彼女を他所に、彼女の耳に唇を近づけ、そして舌を這わせていく。

 

「ヒャウウ!? お、お姉さ……ヒッ……ン……」

 

 声を上げるフランに構わず彼女の耳の外側を唇で甘く噛み、溝の沿って舌を這わせ、穴の中に思いきり突っ込んでグリグリと押し込んでいく。フランの体が今までで一番跳ね動くけど、それをガッチリと抱きしめて拘束し、逃げられないようにしてあげる。

 

「どう? こっちとさっきのローションと、フランはどっちのほうが好みかしら?」

 

「ヤァァ……そん……なの、決められない……よぉ……」

 

「あら。それじゃぁもっとこっちの良さを味合わせてあげないといけないわね」

 

「ん……んぁぁ……いじわ……るぅ……」

 

 答えを催促するようにフランの耳を更に責めていく。ピチャピチャと、私にも聞こえるぐらいの音を立てて下品に、大胆に舐め続けて行ってあげる。

 

「やぁぁ……お、お姉さまのほう……が気持ちいい……からぁ……」

 

「そうなの? 嬉しいわフラン。それじゃぁもっとやってあげるわ」

 

「ひゃぁぁぁ」

 

 そうやって私はしばらくの間フランの耳を舐め続けていったけど、ふと我に返ってフランの耳を舐めるのをやめる。いけないいけない、これが目的じゃないのに。

 

「ふふ、これで保湿は問題ないかしら。後はお耳を拭いてあげるわね」

 

 涎でベトベトになっている耳をハンカチで拭いてあげて、最後にふ~。と息を吹きかける。それでフランの体がピクッて動いたけど、それ以上の反応はなかった。

 

「さ、これで耳かきはお終いよフラン。お部屋に戻ってもう寝なさい……ん?」

 

 ふとフランが体を起こしたと思うと、そのまま私を抱きしめて押し倒してきた。ベットに私とフランの体が沈む。

 

「……お姉さまぁ。今日はお姉さまと一緒に寝たいよぉ」

 

 私の胸に顔を埋めてそんな事を言ってくるフランの声音はとても甘くて、私はついつい頷いてしまった。

 

「いいわよフラン。今日は一緒に寝ましょう」

 

「うん。お姉さま大好き!」

 

 私が承諾すると、フランは笑顔を浮かべて私を抱きしめる力を強くする。それに応えて私もフランを抱きしめてあげる。そのまましばらくの間抱きしめあっていると、やがてフランから寝息が聞こえてきた。

 

「ふふ、良い寝顔ね」

 

 私の腕に回されたフランの腕を外して私はベッドから起き上がり、フランの頭を撫でてあげるとくすぐったそうにするけど、口元が緩んでいる。どんな夢を見てるのかしらね。

 

「レミィ、起きてるかしら?」

 

 不意に扉がノックされ、パチェの声が聞こえてきたので扉を開ける。

 

「どうかしたの?」

 

「様子を見に来たのよ。あのローションはどうだった? フランは気に入ったかしら?」

 

「ええ、気に入ってたわよ。私も使いたいし、また作ってくれるかしら?」

 

「ええ、いいわよ。その代り、私にも耳かきをしてくれない? レミィの耳かきは私も気持ちいいのよ」

 

「ええ、勿論よ」

 

 パチェにも気に入ってもらえるなんて、案外私には耳かきの素質があるのかしらね。

 

「……ところで、本当にお風呂上りに耳かきしたのね。フランの耳を悪くしても知らないわよ?」

 

 ふとパチェが寝ているフランを見てそんな事を言ってきた。

 

「あら、大丈夫よ。人間の耳ならともかく、吸血鬼の耳があんなので荒れたり悪くするわけないじゃないの」

 

「それもそうね……それじゃぁお休みレミィ」

 

 そう言ってパッチェは扉から離れていった。ふふ、わざわざ気にするなんて、パッチェも優しいわね。

 

「んん~」

 

「あら」

 

 フランが声を上げたから近づいてみると、眉間に皺を寄せながら何かを探すように手を動かしていた。その手を握ってあげると、眉間の皺も消えて穏やかな顔になった。

 

「ふふ、本当に甘えん坊ねフラン」

 

 ベットの中に入って抱きしめてあげると、またフランが私の体に腕を回してきた。

 

「お休み、フラン」

 

 フランの体を抱きしめたまま私も目を閉じる。さて、次はいつフランに耳かきをしてあげましょうか。でもその前にパチェの耳かきもしてあげないと。

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