【FEH】Twin Dress【ロイ×リリーナ】 作:いりぼう
原作:ファイアーエムブレムヒーローズ
タグ:FE ファイアーエムブレム FEヒーローズ ファイアーエムブレムヒーローズ FE封印の剣 ファイアーエムブレム封印の剣 リリーナ ロイリリ SS ロイ
小さな頃からずっと一緒――――――
だからわかるんだ、貴方が無理していることも。
私の側にいてくれたように、
今度は私が側にいる。
対を成すことで、貴方を支えていたい。
※ニンテンドー発のSRPG【ファイアーエムブレム 封印の剣】の登場キャラクター
【ロイ】と【リリーナ】のカップリング二次創作小説です。
≪設定≫
・原作【ファイアーエムブレムヒーローズ】設定
・ロイ神装化→数日後にリリーナ神装化という設定
・英雄の神装化=一定の功績を上げた事による昇格、報酬みたいなもの、という設定
※注意
・原作ネタバレ注意!
・多少の解釈違いがあるかもしれません
「うん、よく似合ってるじゃない!」
「ホントに素敵ですよ、ロイさん!!」
「改めて神装の授与、おめでとう。」
アスク王国特務機関の面々から、称賛の声がかけられる。
「これが…新しい僕の…!」
アンナから渡された衣装に着替えたロイは、自らの装いをまじまじと眺める。
透き通るような美しい水色を基調に、純白の外套。
所々に施してある装飾も、キラキラと輝く。
「これは、私の祖国【ニフル】に広がる雪国を印象に作られたそうです。」
「なるほど…!すごく綺麗だ。」
フィヨルムにそう言われたロイは、さらに見渡しながら問いかける。
「しかし、またどうして僕にこの衣装を?」
「ロイ様は、とても美しい心の持ち主です。曇りなきその眼で人や物事を見極められ、寛大なる器量で君主としての素質も兼ねられています。私と…そしてお父様であるエリウッド様からも、ニフルの広大な、そしてどこまでも広がる雪景色のようだと、推薦させていただきました。」
「父上から…。なんだか照れくさいな。でも、ありがとう、フィヨルム王女。」
ロイは少し恥ずかしそうな表情を見せた。
「私としてはムスペルの衣装を推してたんだけどなぁ…。」
「あ、そうかもしれませんね!ロイさんって【炎の子】って呼ばれてますし、【封印の剣】も炎を纏いますし。」
アンナの意見にシャロンが同意する。
しかし、それを遮るようにアルフォンスが言葉を投げた。
「いいや…ロイの神装は、これで合ってるよ。」
「お兄様はどうしてそう思われるんですか?」
「フィヨルム王女やエリウッドが言っている解釈が、僕の中でも一致している、というのもあるんだけど、ムスペルの印象…【炎の国】を表現するなら、彼の側にはもっと似合っている人物がいるからね。」
アルフォンスはそう言うが、一同は皆揃って首を傾げる。
するとアルフォンスは、ロイにも言葉を投げる。
「ロイ、その衣装…見せなきゃいけない人がいるだろう?君の大切な…。」
そう言われたロイは、ますます照れくさそうにして、
「か、彼女はまだ別にそんなんじゃ…!」
…と、たじろぎながら返す。
「ははっ。いいから行っておいで。彼女もきっと、君の神装授与の報告は聞いてるだろうし、待っているはずだよ。」
その言葉に背中を押され、彼は顔を少し赤らめる。
そして、小走りでその場を後にした。
「お兄様!いったい誰なんですか!?教えてくださいよ!」
「…シャロン。君はもう少し、人の周りを見れるようになった方がいいよ…。」
「素敵…!とっても綺麗ね!!」
ロイの新しい装いを目にしたリリーナは、その衣装に負けないぐらいに目を輝かせていた。
「ロイ、とっても似合ってるわ!改めておめでとう!」
「ありがとう。あまり大それた事はしていないのに、なんだか背伸びしてるみたいで照れ臭いよ。」
「ううん、ロイはこっちでもすごくがんばってるわ。お父様もエリウッドおじさまも、他の英雄さんたちも、みんな褒めてるわよ。」
「ヘクトル様が?それは嬉し…くしゅん!」
返事をしている最中、ロイは大きなくしゃみをしてしまう。
「ロイ?大丈夫?風邪でもひいた?」
「いや、大丈夫だよ。この衣装、ニフルにある素材でも使っているのだろうか…少しひんやりとしているんだよ。」
そう聞いたリリーナが、ロイの衣装に触る。
確かに彼の言うとおり、彼女の指に微弱ながらも冷気が伝わってくる。
「たしかに…。触り心地はいいけれど、油断してると風邪を引いちゃいそう…。」
「そうだね。出撃後は、しっかりと身体を温めないと…。」
そのロイの言葉に、リリーナは少しギョッとした。
「え!?ロイ、まさか…その格好で出撃もするの?式典とか、そういう場のための衣装ではないの?」
「え…う、うん、そうだよ。この衣装には、僕たち【英雄】と呼ばれる存在の力を高めてくれる施しもしてあるみたいなんだ。そこまでしてもらってるのに、戦いはいつも通り、なんて訳にはいかないよ。今まで以上に頑張らないと!」
彼がそう意気込むものだから、リリーナはそこから何も言えなくなってしまう。
(ロイ…決して無理はしないで…。)
心の中でそう祈る事しか、今の彼女にはできなかった。
神装の力を得てからのロイは、更に獅子奮迅の活躍を見せる。
「おいおい…元々強かったけど、最近は益々止まらねぇな、ロイのヤツ。」
「神装の授与は、アスク王国からの期待の証でもあるからね〜。力を与えてもらっている以上、それ相応に頑張らないと、って気持ちが強いのかも〜。それにしても頼もしいよ〜。」
他の英雄達も彼の活躍に圧倒される中、リリーナだけはやはり心配そうな目で彼を見ていた。
「よし、これで片付いたかな。ありがとう、みんな!」
「いやいや、ほとんどお前が片付けたからな。」
「いやはや、天晴だよ〜。お疲れさま〜。」
一通りの戦闘を終え、お互いを労う。
そんな中ロイが一瞬、身体をブルッと震わせる瞬間を、リリーナは見逃さなかった。
ロイ、と声をかけようと試みたが、
「ごめん、みんな。僕、この後も急ぐから、先に戻るね!」
…と、ロイが足早にその場を去っていった。
「…最近、退却も早いよな、アイツ。」
「う〜ん、他にも出撃要請があったりするのかな〜。あ、でも、最近浴室で彼をよく見るって話だよ〜。」
その話を耳にして、リリーナはハッとなる。
(ロイ…まだまだ、ニフルの素材に身体が慣れてないんだ…!それで今まで以上に前線で戦って、終わったらすぐ身体を冷やさないようにして…!)
「…リリーナさんは、何か聞いてない?」
考え事をしてる所に急に話しかけられ、ドキッとする。
「えっ!!?う、ううん、私は何も…。」
「そうか。リリーナも聞いてないってことは、本当に大したアレじゃないのかもな。」
それ以上、二人が追及する事はなかった。
だが、リリーナには不安だけが残る。
ロイが、アスク王国からの期待を裏切らぬよう、無理をしているのではないか。
神装を授与されたに相応しい英雄であるために、入れ込みすぎているのではないか。
新しい力に適応するために、身を削っているのではないか。
不安ばかりが、彼女の頭を駆け巡っていた。
それから数日が経ったある日の事だった。
アスク王国・特務機関軍議室。
その日の議題は【次の神装の授与を誰にするか】というものだった。
「いつもこれを決める時は、頭を抱えるし、胃も痛くなるよ…。やはり、誰か一人を選んで特別扱いする、というのは気が重い…。」
アルフォンスは、難しい顔をしながらアスク王国に召喚された英雄達の情報を、ひとりひとり見比べている。
「難しいこと考えずに、ここに来てくださった順番にしたらいいんですよ〜!」
「そうもいかないのよ、シャロン。王国側からも衣装作成の予算が決められているし、過去の功績や周囲からの信頼、あとは授与することでの影響力とか、色々考えないと正式な認可が下りないの。」
「う〜ん、難しいお話ですね…。」
どんどんと敵の力も増しているアスク王国の周囲。
それゆえに英雄の力の底上げも必要ということでのこの【神装】の授与。
最初は多くの称賛の声で溢れていたが、アルフォンスの言うとおり【特別扱い】である以上、嫉妬や批判の声もないわけではない。
それゆえに、選択は厳正。
あの明るさの権化とも言えるシャロンさえも難しい顔になってしまい、軍議室の空気が重苦しくなる。
そこへ、ひとり訪れた。
「軍議中、失礼するわ。」
炎の国ムスペルの第一王女・レーギャルンだ。
「あら、レーギャルン王女?珍しいわね、どうかした?」
「今日の議題が神装の授与、という事を聞いたわ。少し、よろしいかしら。」
「何だろうか?わかっているとは思うけど、例え異界だとしても元々この世界に住んでいた人間は…。」
「わかっているわ。もちろん私としては、妹であるレーヴァテインを推薦したいけれど、この国と軍の規定を破るつもりは毛頭ないもの。」
「じゃあ、もしかして…レーギャルン王女が推薦する英雄さんがいらっしゃるんですか!!?」
シャロンがパッといつものような明るい表情を見せると、レーギャルンは静かに頷く。
そして、その【英雄】の事を特務機関の面々に伝えはじめた。
「――――――なるほど、確かに実績も十分だ。」
「人気もバッチリですよ!あの方の事が好き、って声、たくさん聞きますもん!」
「ふむ…これなら営業効果も収益もバッチリガッポリ…じゃなくて!うん、異論はまったくないわね!」
レーギャルンからの推薦を受けた特務機関の意見は、満場一致だった。
「良かった。これで当人も安心するでしょう。」
推薦したレーギャルンも、ホッとして肩を撫で下ろす。
「安心…?どういう意味だい?」
彼女の言葉に引っかかるアルフォンスが問いかける。
それに対し、レーギャルンは少しだけ微笑み、
「それについて詮索するのは野暮よ、アルフォンス王子。」
…と、返した。
「そうそう!野暮ですよ、お兄様!…何の事かわかりませんけど。」
「う~ん、何だか納得がいかないけど…。それより装いを決めないと。」
「そうね。でももうレーギャルン王女の推薦で、この英雄に授与する、ってことなら決まりじゃないかしら?」
「そうですね。今回の神装の授与は――――――」
その軍議から、さらに数日後。
「ロイ!」
リリーナが、彼を呼び止める。
「リリーナ!神装の授与、おめでとう!」
「ありがとう。ねぇ、ロイ。どうかしら、この衣装?」
そう言って、リリーナはその場でくるりと回ってみせる。
燃えるような赤が印象的な装いに、胸や肩の辺りは黒い鎧が存在感を放つ。
彼女が持つ美しさを損なわず、力強さも滲み出る。
「うん、とっても似合ってるよ!」
ロイがそう褒め称えると、リリーナは照れくさそうに、
「えへへ、ありがとう。」
…と、答えた。
「なるほど、ヘクトル様と同じムスペルの印象を基調にしてあるのか。リリーナにぴったりだね。」
「お父様が、ロイに神装が授与されてからずっと特務機関に「エリウッドの息子が授与されて、俺の娘が授与されないとは何事だ!」って言ってたみたいなの。お父様ったら…。」
「ははは、ヘクトル様らしいや。」
「でも…そうやって推薦してくれたお父様や、レーギャルン王女にも、今は感謝しなくちゃ。」
リリーナのその言葉に、ロイは目を丸くした。
「え…?レーギャルン王女…?どういうこと?」
彼からの問いかけに、彼女は少し恥しそうにしながら言葉を続けた。
「神装が授与されてから…ロイ、なかなか身体が慣れてなくて苦労してたでしょう?出撃要請には積極的に参加してたり、浴室にも頻繁に通ってたり…なんとか早く慣れなきゃ、って無理してるような気がして…。だから、私が神装を頂いて…氷のニフルとは対になる、炎のムスペルの衣装を頂いて側にいれば、そんなに無理をさせなくても済むんじゃないかなって…。」
「リリーナ…。」
「だから…お父様が推薦してくださってるのもわかってたし、レーギャルン王女に無理を聞いてもらって特務機関にお願いしてもらったの。」
そう言うとリリーナは、ロイの手をとって笑顔を見せる。
「ほら、私の手…いつもより暖かいでしょう?」
ロイはドキッとした。
身体が熱くなっていったのが、自身でも解った。
もちろんそれは、手の温もりだけでないことも。
「ロイが、その神装に慣れるまででいい。ロイが無理をしなくてもいいように、私が側にいるから。」
「リリーナ…ありがとう。」
「ごほんッ!」
咳払いがひとつ響いた。
それを聞いた二人がびっくりする。
「え〜、御二方…大変おアツい所を申し訳ないんだけど…出撃、お願いしてもいいかしら?もちろん…二人揃って、ね!」
アンナの依頼に、二人は顔を見合わせ、そして笑顔で頷く。
「いこう、リリーナ!僕たちはこれからも一緒だ!」
「うん!」