流星との出会い   作:zawadinosaur

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メモのデータが消し飛んだので元の文章引っ張ってきて手直しするのが大変で時間かかりました……。 内容もちょいちょい変わっているのでまた目を通していただけると嬉しいです。勿論オトムさんやドリベンタスさんのように文才のない駄文ですのでお見苦しいかも知れませんが……。


第一話 感じない温もり

第一話

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー夢を、見た。

水中で揺蕩っているかのような浮遊感。

自分の身体が上手く知覚出来なくて、残った嗅覚と視覚、そして聴覚フルで活用して周囲の様子を確認する。

目の前に広がるのは何処までも何処までも広がる大海原。

点在する緑生い茂る小さな島々。

嫌になる程濃い潮の香り。

耳障りなほどに五月蝿く、規則的に鳴り続ける波のさざめき。

自分はそれらを全て、上から見ている。

そこまで確認してようやく気が付く。

 

(ああ、またこの夢かーー。)

 

これは最早見飽きた自身の始まりの記憶。

心の奥底に沸々と溜まる、憎しみの原点だと。

 

(……来た。)

 

いつものように視界の後方からボート特有のエンジン音が聞こえてくる。

そこには、灰色の髪をした若い夫婦とその娘が乗っていた。

仲睦まじそうに会話をしている彼らを乗せたボートは、とある海域へと足を踏み入れた。

そこの近辺を通った船が、何故か消息を絶つという地元では『呪いの海域』とまで呼ばれる場所に。

そんな噂を、知りもせずに。

 

「ーーーーーー。」

 

波が一際大きくなり、地響きのような唸り声が何処からともなく聞こえて来る。

そして、海が裂けたかと思うと、超巨大な黒い何かがボート目掛けて飛び出してきた。

突然のことに船は避ける手立てもなく、その巨大な怪物の牙に全てを粉砕された。

無論、乗り合わせていた人間ごと。

先程までボートがあった海面は真っ赤に染まり、つい寸刻前までボートだった破片が散乱している。

生命など存在しないはずのそこに、何故か娘だけが生き残っていた。

咄嗟に親が彼女を突き飛ばしたのか、それともただの偶然か、それは分からない。

少女は泣き叫び、血溜まりの中で必死に両親を探している。

2人の亡骸さえ、そこには残っていないのに。

このほんの一瞬の惨劇は少女の心に消えない傷を残し、これからの生き方の全てを決定づけるに至った。

 

(……………あそこで一緒に死ねてたら、どんなに楽だったかな…。)

 

ヘレナは、成長した娘は、この光景を見るたびの、そう思ってしまうのだ。

『もしこうだったら』、『もしもこうしなかったら』。

そんな思考に意味はないと知っていながらも。

すると、ぐにゃりと視界が歪み、意識が朦朧としてくる。

そこで理解した。

夢が終わり、現実が始まるのだと。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

耳元で響くベルの音に眉を顰めながら、ヘレナは毛布を脱ぎ去る。

そして音の発生源である目覚まし時計を乱雑に停止させると膝に顔を埋める。

 

「…………最悪の気分ね。」

 

身体も心も重くて仕方がない。

気分が肉体にどれだけ作用するかは知らないが、きっとこの重さは気のせいではないのだろう。

枕元に置いてある水を一気に飲み干すが、気分は一向に晴れない。

当然だ。

水程度で、洗い流せはしない。

この胸に巣食う、『憎しみ』という感情は。

 

「………準備しないと…。」

 

目覚まし時計の設定は7時半。

ステーションに顔を出さなければならないのは8時半だ。

特段急ぐ必要はないが、これ以上怠けていると面倒くさいことになる。

沈む気持ちに蓋をして、ベットを抜け出す。

パジャマを脱ぎ、クローゼットからカルコッツ諸島スタッフの制服を取り出し、袖を通す。

個人的には以前の銀を基調としていたCCSRの制服の方が好みだったが、一応今はスタッフであるため、島内の和を乱さないために必要だということくらいは弁えている。

 

「……さて。」

 

制服を着終えると、真っ直ぐキッチンへと向かう。

冷蔵庫から牛乳と昨晩作り置きしていおいたサンドウィッチを取り出し、立ちながら口に運ぶ。

卵とレタスだけのシンプルなものだが、なかなか悪くない味だ。

ものの数分で完食すると、今度はリビングのテーブルへ向かう。

そこには書きかけの報告書がペンと共に残っていた。

昨晩の任務の調査報告書だ。

最近は数多くの危険ノライバーの報告が上がっている。

ノライバーの中でもトップクラスに強力かつ知能の高いカルノ、『アステリオス』。

異常な攻撃力を誇る異形のマメンチ『ウルカヌス』。

三位一体の鳥脚リバイバー、『ピパクーロ聖歌隊』。

各地での危険ノライバーの活動が活発になってきている。

もしかすると、自身の復讐が手に届く場所にあるのかもしれない。

そんな風に考えると、休んでもいられない。

ペンを走らせ、報告書を仕上げると、洗面所へ向かう。

部屋から持ってきたパジャマを洗濯槽に入れ、歯を磨き、顔を洗い髪型を整える。

最近は湿度が高いせいか、髪型が上手く決まらない。

ワックスでも買おうかと思っているが、意外とそんな暇がないのが実情だ。

身支度を整えると玄関に向かい、履き古したスニーカーに足を通し、家の鍵を手に取る。

そして、

 

「行ってきます。 お父さん、お母さん。」

 

小さな額縁に入った写真に、声をかける。

写真には、子供のころに両親と菜の花畑で撮った光景が焼き付いている。

最後に撮った、家族写真。

ヘレナは毎朝、出かける前にこの写真に声を掛ける。

自分に家族がいたことを、いつまでも忘れないように。

自分にも温かな時間があったことを、思い出せるように。

 

「…………ふ。」

 

自分の女々しさに、今更ながら笑ってしまう。

ーーだって、今はないものに縋り付いているだけなのだから。

 

内心で自嘲しながら、ヘレナはステーションへと足を踏み出した。




学校もあるので不定期更新ですが、完結まで持ってけるように頑張ります!
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