ある日の朝…
「トレーナー!これを見てくれ!」
「ん…?なんだ?」
オグリが手に持ってるのは珍しくスマホだった。
画面には『貴方が1年前に撮った写真を覚えていますか?』と書いていた。最近のスマホはこういったことをしてくれるので昔を振り返りやすくなっていて良いなぁとしみじみ感じる。
「おー。懐かしいなあ」
緊張していてがちがちになっている俺、可愛いというよりは凛々しい、そしてこちらも緊張していて不思議と近寄り難いオーラを放っていた。
2人の間は少し空いており、何ともよそよそしいツーショットだった。
「この頃のトレーナーは可愛かったな。」
「うっさいわい。」
「トレーナー、少し昔の話でもしないか?」
「……まぁ良いけど。ちょうど1年前ってことはこの日が選抜レースだったんだな。」
この写真を撮ったのはオグリをスカウトした選抜レースの後だった。カメラマンはタマモクロスにお願いした。本当にこの頃から彼女にはお世話になっているなぁ。
「あぁ…この頃はまだ少しだけ桜も咲いていたのを覚えているぞ。」
「今年は桜前線みたいなやつが少し早かったんだっけか。もう散っちゃったな。」
桜並木の道と呼んでいた場所は今はそういうには惜しかった。見上げると緑のカーテンのようになっている葉桜から陽光が射している。桜こそ散ってしまったがこの快晴は1年前とは変わらないな。
「トレーナー…覚えているか?この時の自分の一人称を。」
「……お前だって1年前他のトレーナーからなんて呼ばれてたか覚えてるんだろうな?」
…そう、それはまだ
俺が”僕”で オグリが”怪物”だった時の話だ。
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「きょ、今日から俺もトレーナーだ……!!立派なウマ娘をスカウトして育てるんだ……!!」
これからのトレーナー生活に理想と不安を抱いてトレセン学園までやってきた。するとすぐ近くでベテラントレーナーの2人組が話していたので挨拶がてら話に混じることになった。
そしてしばらく話しているとこんな話題が。
「新入り、地方から来たウマ娘にゃあ気をつけとけよ。」
「へ?地方から来たら何かあるんですか?」
正直、俺はそこら辺の知識がほとんど無かった。
「…地方じゃ負け無しのウマ娘も中央に来た瞬間凡走しか出来ねぇことは結構あるんだ。土地勘だったり、他のウマ娘との才能の違いだったりに差をつけられる。戦績だけを見てウマ娘を選ぶような奴にはなるんじゃねぇぞ。先輩からのアドバイスだ。」
「なるほど。ありがとうございます。」
「頑張れよ!そういやこの学園にも何人か地方出身のウマ娘ってのがいるんだ。”地方から来た怪物”なんて呼ばれてはいるが地方のウマ娘だ。気になるんなら期待しすぎない程度に見てこい。」
「俺のイチオシはスーパークリークだな!長く使える脚、スパートをかける末脚、レースをしっかり見ることも出来る洞察力、そして何よりでけぇあの胸だ。目の保養になるぜ」
2人目の男の人が豪快に笑う。俺もつられて笑った。
「はははっ!胸はともかく気にはしておきます!最も僕みたいな初心者トレーナーにスカウトできるとは思えませんが…」
「なぁに、初心者のうちから当たって砕けろの精神をつけとくのは大事な事だぜ。気張りな兄弟。」
「はい!ありがとうございます!」
俺は気前のいい2人に軽く会釈してその場を去った。良い話も聞けたし良かった。
「スーパークリーク……スカウトできるかなぁ。」
そうは言ったものの心の中では地方のウマ娘の話がずっと気になっていて仕方なかった。そんな時……
「……またここに来てしまった。」
銀髪をなびかせた迷子のウマ娘に会ったのだった。
今日はもともと書く気は無かったのですが、応援コメントを頂きこのまま寝るわけにもいかないと思い、いつもより少ないですが書かせていただきました。今回から回想編に入りたいと思います。よろしくお願いします。