東方双夢譚   作:クジュラ・レイ

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7 『父』が遺した物

「大蛇里……!?」

 

 紫は頷いた。

 

「そうよ懐夢。貴方の出身地である大蛇里……あそこは元々、霊華の妹である瑠華が設立した村だったのよ」

 

 一同は驚きの声を上げ、霊夢が言う。

 

「大蛇里が、瑠華が、博麗一族の生き残りが設立した村だったなんて……」

 

 紫は顔を上げた。

 

「大蛇里は人知れずひっそりと大きくなっていった。妖怪達と穏やかに暮らせる、その時の唯一の場所として。今の幻想郷……人間と神、妖怪が共存できているこの環境は、大蛇里がルーツであるといっても過言ではなかった。

 だけど私は恐れていたのよ。この大蛇里の存在に、狂った凛導が気付いたらどうなるのかって……その結果が、天志廼の民を遣わせて壊させた……だったけれどね」

 

 懐夢は俯き、霊夢はその頭に手を置いて優しく撫でた。

 紫は霊夢に目を向けた。

 

「霊夢、前に私は大蛇里が滅ぼされた時、貴方を怒ったでしょう。あれはね、あそこが瑠華が遺した地で、貴方なら凛導の凶行を止められるかと思ったからだったのよ。でも貴方は大蛇里の存在を、私が言う前わからなかった。理不尽に怒ってしまって、ごめんなさいね」

 

 霊夢は下を向いた。

 

「……いいのよ。私がもっと幻想郷の事を知ろうとしていれば、きっと大蛇里を守る事は出来た。凛導の凶行を止める事が出来て、この子の生活を守る事だって出来たかもしれない。貴方が悲観する事はないわ」

 

 紫は俯いた。紫の顔に目を向けてみれば、その瞳から涙が零れているのが見えて、霊夢は少し驚いた。

 

「いいえ、悲観してしまうわ。私がもっとしっかりとしていたならば……霊華をあんなふうにさせたり……愛する娘の霊華に、<災いの巫女>なんていう不名誉な名前を与える事もなかった……霊華に、あんな思いをさせる事もなかった……私が……私が……!」

 

 重い沈黙が周囲を覆った。しかしその最中、懐夢が霊夢の手から離れて、紫の手に自分の手を乗せた。

 

「泣かないで、師匠。師匠は悪くありません。妖怪も、人間も、誰も悪くないです」

 

 紫はきょとんとして、目の前にいる弟子の顔を見つめた。

 弟子はすぐに顔を逸らし、文に向けた。

 

「霊華さんは確かに辛い思いをしたと思います。色んなものを奪われて苦しんだと思います。でも、だからといって文ちゃんのおとうさんを殺したり、妖怪達の大事なものを奪ったりしていい理由にはなりません」

 

 一同はきょとんとしていたが、やがて霊紗が言った。

 

「そうだな。あいつのやろうとしている事は妖怪の殲滅……今ある幻想郷を崩壊させる事だ。過剰報復も甚だしい」

 

 懐夢は文、妖夢、幽々子、妖忌、童子、大天狗をそれぞれ見つめた後に、言った。

 

「それに今ある幻想郷は、人間と神、そして妖怪の全てが一緒に暮らしている世界です。かつて霊華さんが望んだ事が実現している世界のはずです。霊華さんに伝えるべきだと思います。今ある幻想郷は、かつて貴方が実現させようとした世界なんだって」

 

 懐夢は力強く言った。

 

「今のぼく達を見せてあげれば、きっと霊華さんは考えを改めるはずです」

 

 懐夢の言葉が寝室に響き渡り、一同の耳の中へと入り込んだ。全てを言い終えたのか、懐夢が口を閉じて黙り込むと、魔理沙が口を開いた。

 

「そうだな……そうだな! 私達は妖怪達と共存できてるんだ、それを見せてやればあいつだって心を変えるはずだ。だって、あいつはそれを望んでいたんだから!」

 

 早苗が言う。

 

「それだけじゃありません。今言った懐夢くんのお父様は妖怪、お母様は人間です。妖怪と人間はわかり合う事が出来るだけじゃなく、愛し合う事も出来るんです」

 

 幽々子が言う。

 

「私達のいる幻想郷では様々な事が起きている。様々な、良い事が。これら全てを教えてあげれば、霊華も考えを改めるかもしれないわね」

 

 文が大天狗の元から離れて、霊夢に近付いた。

 

「霊夢さん、私は霊華を許せません。ですが、少しだけ話がしてみたいと思います。同じ思いをした事のある者同士で」

 

 霊夢は驚きながら、文の瞳を見つめた。そこからは、復讐の思いの色が消えていた。

 

「文……あんたは……」

 

 最後に、懐夢が霊夢に言った。

 

「おねえちゃん、やろう。もう一度、霊華さんとぶつかろう」

 

 弟の言葉を聞いて、霊夢は胸に手を当てた。霊華はきっと、幻想郷を人間、髪、妖怪が共に暮らしていける場所にする事が出来ずに絶望し、あのようになってしまったのだろう。きっと、家族を殺された憎しみを消す事は出来ない。だがもし、霊華に今の幻想郷がかつて霊華が望んだ世界の形であり、人間と神と妖怪はわかり合える種族であると伝えることに成功したなら、霊華が行おうとしている妖怪の殲滅をやめさせる事は出来るかもしれない。そして、かつて霊華が望んだ世界で、霊華を暮させる事だって出来るかもしれない。

 

「……そうね。みんな、やりましょう。もう一度霊華とぶつかりましょう」

 

 霊夢が言うと、一同は頷いた。それを見ていた大賢者達はそれぞれ笑みを浮かべたが、やがて紫が言った。

 

「だけど、あの子は懐夢のように頑固者よ。あの子に思いを伝えたいなら、ぶつかり、あの子を打ち負かし、その心を一度完全に折り砕かなきゃいけないと思う」

 

 童子が歯を食い縛る。

 

「あいつの強さは八俣遠呂智や喰荊樹よりも遥かに上だ。現にお前達は霊華の強さに圧し負けて、敗走してしまっている」

 

 大天狗が苦虫を噛んだような顔になる。

 

「決意を固めて挑んだところで、また返り討ちにされるのが関の山でしょう」

 

 一同は肩を落として、大賢者達の言葉を否定しようと考えたが、全くと言っていいほど否定できなかった。確かに霊華の力に圧し負けて敗走してしまったし、何より霊華には全く歯が立たなかった。多分、もう一度挑んだところで霊華に負けるのは確実だろう。

 一同が何も言い返さないでいると、妖忌が腕組みをして言った。

 

「そこで、だ。お前達が霊華と戦った時、どのような術を使われたか、どのような戦術で攻められたかを教えてほしいのだ」

 

 霊夢は妖忌の方に顔を向け、霊華との戦いで得た情報や戦況、戦術が全く思い付かなかった事を、妖忌、そして大賢者達に話した。情報を得て、妖忌は顎に手を添えて、顎髭を軽く触った。

 

「なるほど、お前達では全く歯が立たない相手だった、と」

 

 その時、それまで沈黙を貫いていた妖夢が、突然妖忌に土下座した。

 

「申し訳ございません、御師匠!!」

 

 妖忌は妖夢に目を向けた。妖夢は涙声で言った。

 

「霊華に挑んだ結果……私が修行不足の半人前だったせいで、御師匠から譲り受けた楼観剣が、霊華によって折られました! 全ては私がいつまで経っても半人前であるが故、どんな罰でも受けます、どんな修行でも」

 

 妖忌は妖夢に近付き、声をかけた。

 

「妖夢、その折れた楼観剣を見せてみろ」

 

 妖夢は土下座から直ると、折れた楼観剣の入った鞘を妖忌に手渡した。

 妖忌は楼観剣を持った時点でその軽さに少し驚いた様子を見せて、その場で楼観剣の刃を鞘から抜いた。これまで自分も使って来て、妖夢に手渡した楼観剣。その刃はものの見事に途中からなくなっていた。

 

「……これはまた見事に折られたものだ」

 

 妖忌は鞘に楼観剣を戻し、妖夢の涙でぐちゃぐちゃになった顔を見つめ直した。

 

「確かにこの剣を折られるというのは言語道断だ。しかし今回は相手があまりに悪すぎた。この剣がお前じゃなかった事を、今は喜ぼう」

 

 妖夢はきょとんとした。怒鳴り付けられるか、殴られるか、とりあえずひどい目に遭わされる事を覚悟していたが、それがなくて驚いているような顔だった。

 妖忌は続ける。

 

「刀ならば今街に来ている天志廼の職人達に頼めばもっと良いものとなるだろう。霊華と戦った時は俺でさえ死にかけたのだから、もしお前が戦ったならば、本当に殺されてしまうのではと思っていたが、そうではなくてよかったよ馬鹿者(ようむ)

 

 妖夢はぶるぶると震えて泣き出した。そんな妖夢を抱き締めて、幽々子はよしよしとその頭を撫でた。

 その直後に、童子が言った。

 

「しかし、戦ったお前達が殺されていないというのは驚きだな。あの霊華と戦って死亡者が一人もいないとは……」

 

 大天狗も予想外の事を目にしたように言う。

 

「はい。霊華は妖怪やそれに協力しようとする人や神には容赦せず、その恐るべき力でその命を奪ってしまうような人です。しかし妖怪、そしてそれと組んでいると認識できる人間と神達が揃っている、貴方達が一人も死ななかったとなると……」

 

 妖忌が外の方へ顔を向ける。

 

「霊華の心に何らかの揺らぎが生まれているのかもしれないな。それが邪魔をして、お前達を殺すに至らなかったのかもしれん」

 

 霊夢は重要な事に気付いたような顔になって、妖忌に言った。

 

「っていう事は……!」

 

 紫が頷いた。

 

「あの子を説得するのは、不可能じゃないかもしれないわね。あの子、妖怪を殺す事を躊躇うようになっているのかもしれないわ。攻めてあの子を止めるには、今しかないわ」

 

 魔理沙が眉を寄せる。

 

「でもどうするんだよ。あいつには攻撃が通らないからダメージを与えられない。無理にダメージを与えようとすると、返り討ちにされちゃうよ」

 

 童子が魔理沙を横目で見る。

 

「なるほど、そのためのあれという事か……」

 

 霊夢が首を傾げる。

 

「あれ? あれって何よ」

 

 童子、大天狗、妖忌は突然自分の前に手をかざした。直後、童子の手には赤い色、大天狗の手には青い色、そして妖忌の手には黄色の光の珠が出現し、見る見るうちに大きくなっていった。一同が何事かと驚いていると、三人の手に現れた光の珠は弾け、光の珠ではないものとなって三人の手に落ちた。

 

 一同は驚いて、三人を見つめた。

 童子の手には、防衛隊が使う盾と同じくらいの大きさの、白と赤と金色の装飾が施された巨大な鏡が、大天狗の手には、人間の掌よりも大きな、白い模様の入った青い勾玉が、妖忌の手には、中央に蒼い宝玉がはめ込まれている、金色に輝く刀身の剣が持たされている。

 鏡、勾玉、剣。その三つの道具の姿を見て、懐夢は前に慧音の授業で聞いた神々の武具、『三種の神器』を思い出して、思わず口に出した。

 

「三種の神器……!」

 

 童子は頷いた。

 

「そうだ、八咫鏡(やたのかがみ)八尺瓊勾玉(やさかにのまがたま)天叢雲剣(あめのむらくものつるぎ)……所謂三種の神器という物だ」

 

 早苗が神器を見つめて、興味深そうに言う。

 

「こ、これが三種の神器……天照大神が瓊瓊杵尊(ににぎのみこと)に授けたとされる神々の武具……」

 

 魔理沙が三種の神器を持つ者達に言う。

 

「何でそんな大層なものをあんたらが持ってるんだ? これは神が使う道具なんだろ?」

 

 大天狗が凛とした声で答える。

 

「……凛導からの贈り物です」

 

 霊紗が驚いたように言う。

 

「凛導からのだと?」

 

 妖忌が頷く。

 

「凛導め、草薙剣と同じように幻想郷に流れ着いた神器を自分のものにして隠していたのだ。そして自分が死んだ時に、俺達の手元に出現するように細工をしていたらしい。恐らくだが、復活した霊華への対策だろう」

 

 紫が童子に言う。

 

「凛導がそんな事を……そしてそれらが貴方達の元に出現したという事は……」

 

「凛導は死んだのだ。どうやって死んだのかは定かではないが」

 

 霊夢は下を向いた。あの時、やはり完全に凛導を滅却したらしい。凛導の事だからしぶとく生きているかもしれないと思っていたが、そうではなかったようだ。

 大天狗が言う。

 

「凛導は紫様の言うように霊華の封印を解いて解き放つ事を目的としていたようですが、同時に霊華が記憶を取り戻した際の対策として、この神器を隠し持っていたようなのです」

 

 幽々子が大賢者達を交互に見て言う。

 

「だけど、どうやってあの霊華に勝つのよ。例え三種の神器を持ったとしても、妖怪の攻撃は通らないし……」

 

 妖忌が一同を見回した後に、言った。

 

「お前達の情報から推測するに、あいつは浄化の力を含んだ結界を自分の身体に発生させて、妖力による攻撃を防いでいると思われる。しかし浄化の力と言えど元を辿れば神の力、神力だ」

 

 大天狗が続けて言う。

 

「そこでこれらの出番です。神器は文字通り神の武具……とてつもない神力を持ち合わせております」

 

 早苗が何かに気付いたように言う。

 

「まさか、霊華さんの神力を神器の神力で相殺するとか?」

 

 童子がフッと笑った。

 

「そのとおりだ。目には目を、神力には神力を。これをお前達の中の人間が持ち合わせて霊華に挑み、神器の神力を霊華の神力の障壁へ当てる。さすれば、霊華の神力の障壁は崩れ去る事だろう。そうなれば、誰であろうとも霊華に傷を与えられる」

 

 紫が顎に手を添える。

 

「確かに、神器を三つ揃えれば、あれだけ強い霊華と同じくらいの神力を出せるかもしれないわ。そして自分と同じくらいの神力に当てられれば、対消滅が起きて霊華を守る結界は消える……これならいけるかもしれないわ!」

 

 懐夢が大賢者達に声をかける。

 

「神器は三つではありませんよ」

 

 一同は懐夢とその隣にいる魔理沙に目を向けた。その手には、青色に輝く刀身と金色の装飾品が特徴的な剣と、青い結晶が持たれていた。

 

「素戔嗚尊が使ったとされる天羽々斬も、ここにあります」

 

「その欠片もな。欠片だけどすごい力がある。これで神器は五つだ!」

 

 紫は霊夢に目を向けた。

 

「霊夢」

 

 霊夢は頷いた。

 

「普通だったら、神器を持ったとしても勝てる見込みがあるのって聞くところだけど……もうそんな事を言っている余裕はないわね。もう、神器が持つ可能性を信じて戦うだけよ!」

 

 魔理沙が立ち上がる。

 

「よし、そうと決まったら!」

 

 霊夢もまた勢いよく立ち上がる。

 

「えぇ! 最後の作戦会議よ! 行きましょう、みんなのところへ!!」

 

 

 

               *

 

 

 

 神器を持って境内に戻り、霊夢は境内に集まる仲間達に招集をかけて、即席で作戦会議を行ったが、同時に新たな事実が発覚した。

 かつて天志廼があり、喰荊樹のあった場所の上空に、巨大な空中都市のようなものが現れた。紫によると、霊華が式神に関連する術を最大限に使って出現させたものらしく、その証拠に、空中都市からは式神の気配と、霊華の持つ強大な博麗の力を感じ取る事が出来た。

 

 そして紫によって、霊華はあの空中都市に閉じこもり、最大出力の浄化の術を使う準備を行っていると判明した。過去に失敗した事を、現代の幻想郷で成し遂げようとしている、と。その術が完遂されれば、あの空中都市から強力な浄化の力が幻想郷全体に放たれ、幻想郷に生きる全ての妖魔と妖力が浄化されて消滅し、今ある幻想郷が完全に滅びた後に人間と神だけの世界が出来上がると、紫は言った。

 

「……なるほどね、霊華は最後の計画を遂行しようとしてるわけか」

 

 霊夢の呟きに、紫は頷く。

 

「あの子は私達に封印された事によって失敗した、幻想郷の浄化を行うつもりよ。そして、幻想郷を人間と神の世界へ作り変える……」

 

 霊夢がフッと笑う。

 

「そんな事をさせるもんですか。この世界は私達がようやく手に入れた世界、人間、髪、妖怪、妖精、色んなものが一緒に暮らす事の出来る楽園……それをあんな独り善がりな人に渡すものですか」

 

 霊夢は一同の方へ顔を向けた。やはりというべきなのか、どの者の顔にも不安の色が浮かんでいた。

 

「みんな、怖いよね。私だって怖いわ。あんなに強い霊華ともう一度戦わなきゃいけないのだもの。ひょっとしたら勝てないかもしれないしね」

 

 霊夢は首を横に振った。

 

「でも、私達はここで引き下がるわけにはいかないわ。この幻想郷を壊そうとしているっていう点で、霊華は八俣遠呂智や喰荊樹と同じよ。どうにかして止めて、幻想郷を護らなきゃいけない。そのためには、もう一度みんなの力が必要なのよ」

 

 紫が高らかに言う。

 

「今、私達の元に、三種の神器と呼ばれる切り札が調達されたわ。これがあれば、私たちでも博麗霊華とまともに戦う事が出来る。そこで八俣遠呂智や喰荊樹の時のようにみんなで力を合わせれば、博麗霊華を超える事だって出来るわ」

 

 霊夢は一同に頭を下げた。

 

「お願いみんな……もう一度私に力を貸して! みんなと一緒に、この幻想郷を守りたいの!」

 

 頭を下げた霊夢を、一同はじっと見つめていたが、やがてその人混みの中から一人の女性が姿を現し、霊夢の目の前に立った。誰かと思って顔を上げてみたら、そこにいたのは慧音だった。

 

「慧音……?」

 

「……皆はもう戦う気だよ、霊夢。せっかく八俣遠呂智も<黒獣(マモノ)>も喰荊樹も倒したのだ、皆最後の戦いに臨み、幻想郷に平和を取り戻したいと思っているんだ」

 霊夢は慧音の背後に集まる一同に目を向けた。沢山の者達が頷き、笑んでいた。

 

「みんな、一緒に戦ってくれるの」

 

 一同はもう一度頷いて見せた。その様子を目の当たりにして、霊夢は一瞬泣きそうになったが、それを腹の底へと抑え込んで、笑んだ。

 

「ありがとうみんな……最後まで、戦いましょう。そして、勝ちましょう!!」

 

 霊夢の声が高らかに境内に響き渡ると、それに応じるように一同は拍手を始めた。境内中が乾いた拍手の音で包み込まれて、それが収まった後に、霊夢は立てた作戦を皆に話した。

 

 まず、霊華の出現させた空中都市はまるで神宮のように見えるので、博麗神宮と呼称。そしてその博麗神宮の最奥部にて、霊華は術の完遂を待っていると思われる。博麗神宮にはここに揃う全ての者で突入し、霊華の元へ辿り着く。

 

 その中の特定の五人がここに揃う神器を手に霊華の元へ行き、神器の力を使って霊華の身を包む神力の障壁を無効化させる。障壁を失う事によって守りが薄くなった霊華を、揃った者達で総攻撃。そのまま霊華を撃破する。

 

 尚、博麗神宮に突入した際には、大量の式神達が襲ってくる可能性もあるので、必ずしも大人数が霊華の元へ辿り着けるとは限らない。そうなった時には、神器を使う五人とその補佐に回れるほどの力を持つ者を最低十人ほどを集めて、合計十五人で霊華の元へ突入させる作戦を行う。霊華が術を完遂する前に辿り着き、霊華を撃破し、今度こそ平和な幻想郷を取り戻す。

 

 尚、神器を持つ者だが、神器は人間が持たないとその力を発揮しないため、持つ者は人間に限定される。大賢者の推薦のもと、八咫鏡を霊夢が、八尺瓊勾玉を早苗が、天叢雲剣を妖夢が、天羽々斬を懐夢が、そして天羽々斬の欠片を魔理沙が持つ事となり、この五人が霊華の元へ辿り着き、霊華の障壁を打ち破る役を担い、その他の者達が補佐に回る。子の五人を中心とした全員で力を合わせて、霊華を打ち倒す。

 

「以上が霊華を倒すための作戦よ。みんな、わかったわね?」

 

 霊夢の声に一同が大きな声で答えると、霊夢の元に懐夢が駆け寄った。

 

「お姉ちゃん!」

 

 決意を固めた懐夢に霊夢は頷いた。

 

「えぇ! 行きましょうみんな! 最後の戦いの地……博麗神宮に!!」

 

 霊夢の声と共に一同は上空へ飛び上がった。そして神器を持つ者達を先頭にして、<災いの巫女>が建てた最大級の式神、博麗神宮へと飛んだ。全てに決着をつけるべく。

 

 




一同、ついに最終決戦へ
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