ワンパンマン&暗殺教室 一撃男VS超生物 作:ラルク・シェル
榊原蓮の場合
それは五英傑の榊原蓮が町で歩いてた時。
「え~~~全員来られないなんて?」
榊原は学秀達との待ち合わせにしていたが、どうやら4人共用事で来られずに居た。
「仕方ない、帰るか」
帰ろうとしたその時、榊原はベンチに座っている一見少女と間違えるほどの女、S級ヒーロー戦慄のタツマキがいる事に気付いた。
「あれって、S級の戦慄のタツマキじゃあ…なんであそこに?」
榊原は不思議に思い始めるが、しばらくすると考えると、そのままタツマキに近づいていった。
「すみませんが、そこのお嬢さん!」
「え?」
いつもとおりのキザな態度でタツマキに声をかける榊原だった。
「なによアンタは?」
「いきなり声をかけたことは失礼しました。僕は榊原蓮というものです。君は確かヒーローの戦慄のタツマキさんですよね?」
「そう…んで、なに?」
榊原のナンパ口調や態度に、タツマキがうっとうしい眼差しをする。
「いえいえ、ただ先程から誰かを待っているみたいだったから」
「別に、ちょっと妹を待っているんだけど…」
すると突然タツマキの携帯が鳴ったのですぐにかけた。
「もしもし?あっ、フブキ!どうしたの?随分とおそっ、え?別な予定が入った?なによ!早く言ってよね!!」
なにやら不機嫌になりながら電話を切った。
「一体、なにが?」
「集会とかで行けなくなったって!全く、自分勝手なんだから!!」
怒りながらも帰ろうとしたが、その時榊原が彼女の腕を掴む。
「なに?」
「いや…もしよろしかったら、僕と時間を潰しませんか?」
「はぁ?」
「だって、僕も君も色々と予定が狂ったから暇でしょ?だったら一緒に」
いつもとおりの爽やかな笑顔を見せると、タツマキは少し引いてしまうが、このまま帰るのもつまらないので
「奢りだったら良いわよ?」
「もちろんですよ♪では、行きましょう」
こうして榊原とタツマキがデートをする事になった訳だが、2人が歩く姿はまるで兄妹のように見える。
しばらくするとタツマキはゲームセンターの前に止まる。
「ん?どうしたんだい?」
声をかけてみたが、タツマキはクレーンゲームのクマのぬいぐるみを見つめていた。
「欲しいのかい?」
「別に!欲しくないわよ!」
否定するタツマキだったけど、すぐに榊原がクレーンゲームに100円を入れると、アームを操ってそのぬいぐるみを取った。
「はい、リトルレディ」
そのままタツマキに渡したが、本人は少し不機嫌になる。
「いらないわよ!子ども扱いして…」
「そうですか。では、これは僕が」
「でも、せっかくだから貰ってあげるわよ」
言いながらもぬいぐるみを貰うタツマキであった。
「それでは、行きましょうか?」
2人のショッピングが再開した。
それからタツマキが洋服店で色んな服の試着をしたり、下着売り場で店員にお子様下着を進められて、キレそうになったところを榊原に止められたりした。
その後、榊原に荷物運びをさせて、クレープやたい焼きを奢ってもらったりと、タツマキはとても楽しんでいた。
そしてしばらくしたら2人はオープンカフェで一休みするが、榊原はもうボロボロだった。
「全く、荷物運びだけでだらしない!」
「すみませんが、僕が疲れてるのは、ちょっとお金が…」
だが、実際彼がボロボロなのは予想以上にお金を使ったので、榊原の財布は空っぽ寸前だった。
「しょうがないわね。ここは私が奢るわ」
「レディにそんなマネをさせるのはいけないけども…ありがとうございます」
頭を深く下げてお礼を言う榊原だった。
カフェを出た2人は、なぜか公園に到着した。
「さてと、ここまで付き合ってくれてありがとう」
「こちらこそ…S級ヒーローと一緒にいられるなんて、光栄です」
「ふ~~~ん。じゃあ、これをあげるね」
「え?」
近づいて顔を近づけたタツマキは榊原の右の頬にキスをした。
当然、榊原は固まってしまう。
「もしよかったら、またどこかに行きましょう!これ私の番号とメールアドレスだから!」
榊原の携帯に自分の携帯の番号やアドレスを入れると、ぬいぐるみを抱いて荷物と一緒に宙に浮いて、そのままどこかに飛んでいくタツマキだった。
その様子を見届けた榊原は、少し笑いながら公園を出てどこかに電話し始める。
「やぁ、用事終わった?それで凄い話があるんだけど聞いてくれる?」
こうして榊原とタツマキの不思議な話が終わった。
鷹岡明の場合。
臭蓋獄。
手に負えない犯罪者を収容する特別な監獄であり、今そこに大量の囚人が送られていた。
それはヒーロー協会で集められた裏社会の住人の内、刑務所から脱獄した囚人達であり、怪堂から受けた怪我が完治して、その半分が臭蓋獄に送られる事になった。
「全く、なんでこんなに脱獄されてんだよ」
「本当だぜ。しかもその1人は元防衛省らしいぜ」
そして囚人の中には眼帯を付けられて、前よりも顔の傷が増えた鷹岡明の姿も。
当然、彼も脱獄犯なので一緒にぶち込まれるのだった。
「ほら、ここがテメェらの終着点だよ」
到着したのは鋼鉄製の大きな扉、ここが臭蓋獄への入り口であった。
その頃、この監獄のボスであるS級ヒーローぷりぷりプリズナーは、自分の部屋というより牢の掃除したり飾り付けをやっていた。
「準備万端!待っててね、鷹岡ちゃん♪」
ぷりぷりプリズナーはポケットから鷹岡の写真を見て、そのまま口付けをし始める。
それから鋼鉄の扉が開かれると、鷹岡達は中に入ると扉が閉められた。
「クソっ!なんで俺達がこんな所に!」
「こんな事なら、ヒーロー協会に行かなきゃ良かったぜ!!」
鷹岡を除いて他の脱獄犯達は、こんな事なら脱獄しなきゃ良かったと後悔し始めて、ここの囚人達は不気味な笑みを見せて近づく。
「ウェルカム~~~♪ようこそ地獄へ♪」
「此処に来たからには、たっぷりと楽しんで貰おうか?」
「まずは先輩に対しての、礼儀を教えなきゃな♪」
すると1人の囚人が鷹岡に近づいて来た。
「アンタか?元防衛省所属の脱獄囚だって?せっかく逃げたのに残念だな?」
馬鹿笑いする囚人に対して、鷹岡は何かをブツブツ言い出した。
「…笑……だ……誰…」
「はぁ?なに言って、あが!」
その時、鷹岡が囚人の1人の頭を掴むと、そのまま強く投げつける。
当然他の囚人が驚いて、鷹岡に睨みつける。
「テメェ、いきなりなにを!」
「俺をバカにして笑う奴は誰だってんだよ!!」
そのまま鷹岡は狂ったかのように暴れ始めて、囚人を殴ったりぶん投げたりとし続けた。
「俺を…この俺をバカにし続けて!誰も、俺の本当の強さを!!」
鷹岡は二度も渚に負けた上に、重戦車フンドシに瞬殺されて、挙句に怪堂にボコボコにされてしまって、精神がかなり不安定になっていたので、ついに何かが爆発して暴れだしてしまった。
そして次々と囚人がやられていた。
「コイツ、手に負えねぇよ!」
「どうすりゃいいんだよ!!」
「ちょっと、騒がしいな!」
囚人が諦めかけていたその時、鷹岡の前にぷりぷりプリズナーが現れた。
「良いか?ここに来たからには、ボスである俺の作ったルールに従ってもらう。ここでは受刑者みんなは仲良くするんだ!」
「上等だ!だったらテメェを殺して俺が此処のボスになってやる!!そしてこんな所を脱獄して、烏間のクソ野郎とE組のガキ共はもちろん、今まで馬鹿にした連中を皆殺しだ!!」
完全に狂気に飲み込まれた鷹岡は、ぷりぷりプリズナーを襲い掛かって来た。
「しょうがない。少しお仕置きしてやるか」
ぷりぷりプリズナーも正気をなくして暴走する鷹岡に立ち向かっていく。
それから3日が経った。
「じゃあ、鷹岡ちゃん。行って来るから、また暴れるなよ?」
「……はい」
ぷりぷりプリズナーが声をかけた先に、かつてぽっちゃり兼ガッチリ体格が、ガリガリに酷く痩せて、髪も白く生気のなくなった顔になって、隅っこで体育座りする鷹岡の姿。
一体ぷりぷりプリズナーになにをされたか不明だが、もう完全に鷹岡は廃人化していた。
「は~~~結局ボスには逃げられなかったな」
「こりゃ、仮に出所してもあの調子だな?」
「それどころか、きっと寝たきりだな」
ほかの囚人が気の毒そうにため息を吐いた。
ロヴロ・ブロフスキの場合。
ある夜の日。
殺し屋屋のロヴロ・ブロフスキは日本の街を歩いていた。
「全く、イリーナには困ったものだな」
E組の指導に来ていてイリーナの態度に呆れていた。
「とりあえず、一杯飲もうかな?」
ロヴロは目の前の居酒屋に入っていった。
「いらっしゃいませ♪カウンターへどうぞ!」
「ありがとう」
店員に進められてカウンターに座って、お絞りで手を拭いたりしてると
「ほぅ、随分と懐かしい顔だな?」
「んん?なっ!?」
「久しいな。ロヴロ」
「バング!?」
隣の席を振り向くと、S級ヒーローシルバーファング改めバングが座ってた。
かつて2人が若かった時、当時ロヴロが現役でしかも名の通った殺し屋だった頃。ある要人の暗殺を頼まれていたのだが、その時バイトでその要人の護衛をやっていたバングに、無残にもやられてしまった過去があった。
その為、ロヴロにとってバングはちょっとしたトラウマであった。
「バング。なんでお前が!」
「わしだって飲みたい時はあるんじゃよ」
「おいバング、誰だそいつは?」
するとバングの隣に座る老人が声をかけた。
「いや、昔のちょっとした知り合いさ。そうだ初めてだったな?コイツはわしの兄貴のボンブだ」
「なるほど、アンタだったか?昔バングにやられた殺し屋って?」
「それは言わないでくれないか!?」
ロヴロはこの場から立ち去ろうとしたけども、すぐにバングに腕を捕まれてしまう。
「せっかくだしな、一緒に飲もうぜ?」
「うう…」
結局嫌々ながらも、ロヴロはバングとボンブと合い席になって、酒と料理を頼んだりした。
「初めは驚いたよ。アンタがまさかヒーロー協会でヒーローになったとはなぁ。しかもS級」
「まぁな。ところでお前さん、たしか殺し屋の人材派遣をやっているようだがどうだ?」
「それなりに、たまに俺自ら仕事に行くこともあるが…がんばっているよ」
「本当にお前らって、危ない橋渡っているなぁ?」
ボンブは2人が進んでいる道を呆れていた。
「そういえば、お前だったよな?ターゲット暗殺用の殺し屋を日本政府に紹介してるって?」
「ああ、そうだ」
「ターゲットって、お前がこの前言ってた怪人の事か?」
じつはバングはついボンブに殺せんせーの事を話していた。
「お前、あれは秘密だって!」
「すまないなぁ、お兄ちゃんがどうしても知りたいって言ってたから」
「おいおい、まるでワシのせいみたいじゃないか!」
「だってそうだろ?」
素直に返事をするバングに、ボンブは少し黙ってしまう。
「全く、アンタはあの時から変わってないな?」
「そうか?お前も同じじゃないのか?」
「いや、俺だって衰えながらもがんばっているぜ!」
するとロヴロは氷を投げて、その隙に素早く箸で刺そうとしたが、バングの方は氷を交わして箸を指2本で掴むと、そのまま彼の首元に刺すかのように指を構えた。
ちなみにその氷は、ボンブが見事にキャッチしていた。
「たしかに腕は鈍っていないようだが、ワシの方が上のようじゃな?」
「ああ、さすがS級ヒーローだな?俺と違って衰えを感じない」
「おいおい、店で暴れるなよな!」
余裕の笑みを見せるバングと、少し冷や汗を出すロヴロに、ボンブがそんな2人を叱る。
「さてと、俺はもう行く」
「え?帰るのか?」
「まぁな。それじゃあな!」
「おぅ!またな」
ロヴロは居酒屋から出て夜の街を歩くのだった。
榊原蓮と戦慄のタツマキが不思議なデートをしたり、鷹岡がぷりぷりプリズナーのおもちゃにされたり、さらにロヴロが居酒屋でシルバーファング改めバングと再会したりとどうですか?