ワンパンマン&暗殺教室 一撃男VS超生物 作:ラルク・シェル
ある日、いつもとおりサイタマが暇そうにテレビ見ていると。
『ご覧ください!この有り様を…』
ニュースで、なにやら携帯ショップが怪人に破壊されているようだった。
『監視カメラを見たところ、どうやら頭部から触手が出る模様。既に何人かのヒーローが出撃した模様ですが、やられてしまいこのとおり』
続いて映し出されたのは、重傷を負ったヒーロー達の姿。
するとジェノスが駆け寄ってきた。
「先生。ここは先生の出番ですね?」
「そうだな、じゃあここは…正義を執行する」
サイタマが立ち上がってヒーロースーツを着込んで、2人でマンションを出た。
その頃、殺せんせーが何かを追いかけるようにしていたが、道路の真ん中にネットにかかった少年を見つける。
「イトナくん!」
彼は堀部イトナという殺せんせー抹殺のために用意された殺し屋転校生で、頭部に触手を持つ。
だが、三度目の暗殺に失敗した事で触手が暴走し始めたが、このとおり捕らわれてしまっていた。
「イトナくん、しっかりして…これは、対先生物質が!」
そのネットが対先生加工させていたので、下手に触れたら溶けてしまうがイトナの頭部の触手も少しだけ溶け始めていた。
「お察しのとおり。そしてここが君の墓場だ」
その時、現れたのはシロという自らイトナの保護者と名乗る、かなり危険で冷酷な人物。
するとシロの言葉と一緒に周りから、ライトが殺せんせーに向けて放たれた。
「これは、圧力光線」
この光線は殺せんせーの体に圧力をかけて、細胞にダイラタント挙動を起こして硬直させて動きを鈍らせるものであった。
さらにトラックの積荷と周囲の木の上に、エアガンを持った私兵が待機していた。
「さぁ、狙いはイトナだ。撃て」
そしてイトナに向かって対先生弾が撃ち出されたが、すぐに殺せんせーが服と風圧で防ぎながらも。対先生弾と圧力光線という嵐の中、イトナをチタンと対先生繊維のネットから救い出すのは、いかに殺せんせーでも苦戦に等しい。
[これはヤバイ……このままでは、私もイトナくんも!]
さすがの殺せんせーも諦め掛けてたその時。
「大丈夫か?」
その時、サイタマが現れてマントを一振りで、対先生弾を弾き飛ばした。
「なに!?」
「動くな」
「なっ!」
さらにジェノスが右腕の熱線砲をシロに向けると同時に、周りの私兵に左腕に仕込んだ小型銃で、エアガンを撃ち込んだりした。
「おいおい、どうした?ボロボロだぞ?」
「それよりも彼を、このネットから!」
「ああ、分かった」
サイタマは殺せんせーに言われたとおりに、ネットを引き千切ってイトナを助け出す。
「なんだ…お前は?」
イトナは朦朧としながらも尋ねるので、すぐにサイタマは自分なりの自己紹介をする。
「今はプロだけど、前は趣味でヒーローやっているものだ」
「ヒー…ローだと?うっ!」
しかし、イトナはまた苦しみ始めた。
「なんだっ!コイツまた」
「マズイですね…触手が暴走しています」
「暴走」
「触手は意志の強さで動かすものです。このままでは肉体が負荷を受け続け、最後は触手細胞と一緒に蒸発して死んでしまう!」
殺せんせーは触手の恐ろしいデメリットを話すと、サイタマはイトナを起こそうとした。
「おい、起きろ起きろ」
「あ…なんだ?」
「ちょっと辛くて痛いかもしれないけど、起き上がってくれよな?」
「え?ああ」
言われたとおりにイトナはなんとか体だけ起き上がる。
「なにを…する気だ?」
「もちろん、要は触手を抜き取れば良いだろ?簡単だ」
その言葉に殺せんせーとシロとジェノスは驚く。
「先生、この怪人を助けるつもりですか!?」
「だって、こんだけ苦しんでるから、助けた方がいいと思うし」
「待ってください!今の彼にはその行為は危険です!まずは彼の力や勝利への執着を消さないと!」
「そういう難しいのはなし」
「アナタなに考えているんだ!いくらヒーローでも、そんな怪人モドキを助けるなどと!」
「やってみなくちゃわかんねぇ!」
さっそくサイタマはイトナの触手を掴み。
「必殺マジシリーズ、マジ草抜き!」
持ち前の目にも見えない速さと計り知れないパワーで、イトナの頭部に移植された触手細胞を、根元から綺麗に抜き取った。
「え?えええぇぇぇぇぇぇぇぇええええぇぇぇぇぇぇぇぇええ!!?」
当然シロは触手細胞が抜き取れた事に、驚愕してしまう。
そして抜き取った触手細胞は蒸発消滅して、イトナもそのまま気絶した。
「ほら、これで良いだろ」
「さすがサイタマさん…」
「それで、彼は?」
「大丈夫です。ちょっと荒治療でしたが、命に別状はありませんね」
すると殺せんせーとサイタマははシロに目を向ける。
「よく分かんねぇけど、お前の負けだな?」
「ええ、いくらアナタが作戦を考えても、サイタマさんの前では無意味ですね」
そしてシロが深く考え込んで、仕方がないという感じに後ろを向く。
「まぁ、良いだろ。その子はくれてやる。だが、絶対に貴様を殺すからな」
シロは私兵と一緒にトラックに乗ってこの場から去って行った。
それからイトナはなぜ力や勝利に拘るのか理由を話して、寺坂達のリハビリで回復し、晴れてE組の仲間になった。
ただし寺坂組の一員としてだけど。
イトナが正式にE組に入って3日後。
「さてと、昼食にするか」
「そうね」
烏間とイリーナが昼食を食べようとしてたが、殺せんせーはイタリアでパスタを食べに行ってた。
だがその時、職員室の窓を叩く音がした。
「ん?なんだ?」
不審に思った烏間は窓を開けて外をみる。
「お前は!?」
「やぁ、御2人さん」
外にいたのはシロだった。
「お前なんで!」
「それより中に入れてください。私、なんか生徒に嫌われてるみたいで」
嫌々ながらも2人はシロを職員室に入れた。
「お前、分かってるのか?」
「なにか?」
「このまま生徒を巻き込んだ暗殺をするのはもう止めろって事だ!」
「分かってます。分かってますよ。もう一度計画を練り直すつもりです。だがその前に」
「なんだ?」
「あのサイタマというヒーロー。知っている事があるなら教えてくれませんか?」
シロがここに来た理由は、サイタマの事を知る為であった。
「なぜ私なんだ…」
「だってアナタ、ワイルドクロウでしょ?」
「うっ…」
烏間がヒーローワイルドクロウだと、シロもすでに気付いていた。
「貴様……なぜそれを?」
「まぁまぁ、教えてくれたら帰りますからね?」
「ここは教えた方が良いんじゃないかしら?」
「……分かった!俺が知っていることを教えてやる」
烏間は自分が今知っているサイタマの事をシロに話した。
「うっ…腕立て100回、上体起こし100回、スクワット100回…そしてランニング10km?」
「信じられないけど、アイツはそのトレーニングで強くなったらしいわよ?信じられないでしょ?」
「ああ、全くだ。俺なんかそれらを越えるほどのトレーニングを受けたというのに」
それは当然だと思う。
イトナに移植した触手細胞を抜き取ったヒーローが、その程度のトレーニングで強くなったとは思わなかった。
しかしシロは深く考えて、1つの可能性を思いだった。
「恐らく彼は…リミッターを外した可能性が高いですな?」
「「リミッター?」」
そしてそのまま話を進めた。
「脳というのは未知という物。いかに努力しようとも、制限があり限界がある。それらを押さえ込むものはリミッターと呼ばれ、それを外せば強大な力を得る代わりに、なにかしらの代償も得らなければならない」
「たしかに、そんな事は聞いたことあるが…」
「でもおかしいじゃない!だったらアイツにどんな代償を受けたの?!なんともなってないじゃない!」
イリーナはそんな話を信じられずにいた。
もしそうだとしたらサイタマが理性を失い怪物のようになったり、寿命が縮んだりといったリスクがあるかもしれないが、当の本人にはそのような様子が一度もない。
「いや、サイタマにはもう既に代償を払った可能性が」
「そんな…どうみても、はっ!」
「そう、毛髪ですね。彼はハゲる事を引き換えに超人パワーを手に入れた」
それならばイリーナも納得した。
ただトレーニングのストレスで抜けたと思ったが、リミッター外しの代償ならば分かる気がする。
そして戦いの情熱や闘志も冷めてしまった事も、リスクによるものだと思ってしまう。
「だけど、それならば怪人や他のヒーローもリミッターって奴を外したんじゃあ?」
「そういうのは生まれつき、そういった才能やコンプレックスによってなったのが、ヒーローや怪人になった場合だが、恐らく彼はただの一般人が努力で限界を超えて、そして自らリミッターを外したのだろうな」
最早烏間もイリーナも、言葉を積らすだけなにってた。
「まぁ、これだけは言えましょう。あのサイタマというヒーローは、唯一殺せんせーと同等の力を持ったヒーローって事に」
そう言うとシロはそのまま窓から外に出た。
「では、色々と聞けたので私はこれで。一応元保護者としてですが、イトナの事をよろしくお願いしますね」
「ああ…分かった」
シロは他の生徒に見られないようにと、裏から山を降りた。
[だが、私には最終兵器がある上に、E組にはイトナ以上の怪物が存在するからな]
しかしなにか恐ろしい事を企んでもいた。
サイタマがイトナの触手細胞を抜き取ったりして、シロが烏間らにリミッターの事を話しました。