それと日間総合ランキング6位となってました、読んで下さった皆様とハルウララに感謝をo(*・∀・)ノ
「さて、それじゃあ今後の方針や君の……いや、ウララの希望とかを話そうか」
本当は現在のウララのデータを取った後は軽めなミーティングをして解散しようと思っていたが、私もウララもすっかりやる気が漲ってきたため急遽、面談室を借りて本格的なミーティングをする事にした。
「はい!」
ウララはすっかり前の太陽のように明るい彼女に戻り、瞳には力強い光が灯りキラキラと輝いている。 私に対しても、すっかり打ち解けてくれたようで、真っ直ぐに私の目を見て話すようになったし、返事も少し大袈裟なほど明るく大きい。
「先ずは……ふむ、そうだな……ウララ、君は何か希望はあるかい?」
さて何から話そうか? 少し逡巡した後、まずはウララの希望について聞いてみる事にした。
ウララは私の言葉にどこかソワソワとしながら、何やら口籠っていた。
ほう、新しい表情だな。 うむ、愛いな! 新たなウララの表情に、私はついつい微笑んでしまう。
そんな私とは対照的に、ウララはうー、うぅーと唸り何やら考え込んでいる。
「なんでもいいんだぞ?例えば、ダートで最速のウマ娘になりたいとか、春秋ダートを獲りたいとか、なんでもいいんだ。ウララの素直な気持ちを聞かせてくれ」
いつまで可愛いウララを見ていたい気持ちはあるが、それだと永遠に飽きる気がしないため、私はウララが話やすいように精一杯の微笑みを浮かべ語りかけた。
「……聞いても、笑わない?」
耳をペタンと倒し、指先をツンツンと合わせながらウララは上目遣いで私に笑わない? と聞いてきた。
「もちろんだ、笑わないよ。ほら、聞かせてごらん」
あーー!! モジモジするウララ可愛いー!! ゴホン、いかんいかん、まったく……とんだ小悪魔だな、ウララは。
などと、内心で可愛いウララに悶絶しそうになったが、なんとか表面上はニコッと微笑みを崩さないよう必死に耐えた。
「……たい」
ん?少し声が小さくて聞き取りが出来なかったな……。
「すまない、少し声が小さくて聞き取れなかった、ウララ悪いけどもう一度いいかな?」
ウララは大きく深呼吸をすると、カッと目を見開き今度はハッキリと聞き取れるように大きな声で言い放った。
「有馬記念で1番になりたい!!」
な、に? 有馬記念……ん? 有馬記念、有馬記念、有馬記念!?
私は予想外の言葉に驚きを隠さず、思わず立ち上がってしまった。
ガタン!! と椅子が大きな音を立てて倒れた後、面談室をしばしの間、沈黙が支配した。
「……」
ウララは私の反応を伺うように、ただ真っ直ぐに私を見つめている。
それにしても有馬記念か……有馬記念といえば1年を締めくくる大レースで多くの伝説を産み出してきた言わば最高の称号を獲得できる大一番だ。
多くの選ばれた名馬達がその有馬記念制覇の称号を目指し争う壮絶なレース。
「や、やっぱり無理……だよね、アハハ……」
私は自分でも気づかないうちに黙り込み厳しい表情を浮かべていたのだろう、ウララは私が言葉を発する前に諦めに近い言葉を漏らした。
ハァ、私は先程に誓ったばかりじゃないか。 ウララに二度とあんな顔はさせない、と!
「ハァ……よし!」
バチン! と気合一発、私は自分に喝を入れるために思いっきり両頬を叩いた。
「ト、トレーナー!?」
いきなりの事にウララは目を白黒させ驚きを露わにしている。
喝を入れた際に切れたのか、口の中に鉄臭い匂いと味が広がる。 しかし、そんなことはどうでもいい。
「本気、なんだな?」
私は倒した椅子を立て直し、それに座ると強く目を瞑りウララに問い返した。
ウララは少しばかり驚いていたが、すぐに真剣な声音で本気だよ! っと返してきた。
またしばしの沈黙が面談室を包む。 有馬記念は生半可なウマ娘では参加はおろかスタートラインにすら立てない。
優駿と呼ばれる一握りの選ばれしウマ娘だけが挑戦を許されるのだから。
現在のウララでは……。
「ふぅ……有馬記念制覇は重いぞ?」
私はまだ目を閉じたままウララへ問うた。
少しばかりの沈黙の後、ウララが応える。
「もう諦めたくない!!」
それは、今まで一番力強い声音だった。
「……私は、君には楽しく走ってほしいと思っていた……いや、思っている。1番になれなくても、君が心から笑える走りをさせてあげたいと思っている」
私は自分の素直な気持ちをウララへ吐露する。 君には……ウララには楽しく走ってほしいのだ、しかし……私はトレーナー。 彼女の意思を、夢を手伝い叶えさせてやるのが私達トレーナーの義務であり、愛なのだ。
「有馬記念制覇を目指すと言うのならば……私は鬼となるしかなくなる、生半可な指導では無理だ……本当に、本当に君は覚悟があるのかい?」
きっと今の私はとても冷酷な顔をしているだろう、自分でも嫌になるほど分かる。 私は不器用なのだ、やると決めたら例え彼女達ウマ娘に嫌われるとしても指導する。 泣いても、弱音を吐いても、懇願しても指導は曲げない、曲げられない。
今まで多くのウマ娘達が私について来れずに去っただろう、彼女だけは……ウララだけは楽しいレースをさせてあげたいのに。
私は無言でウララを見つめる。
「っ……んっ!ウララは頑張りたい!ウララだって1番になりたい!!」
あぁ……なんて綺麗で力強い瞳で私を見つめてくるのか。 ウララの覚悟は分かった……後は私が腹を括る番だな。
「明日から朝5時集合、夕方は8時半まで練習、全ての管理を私に任せる事……いいわね?」
腹を括ろう、ウララの夢を叶えてあげよう。 たとえ、鬼と呼ばれようとも、私はウララを有馬記念制覇まで連れていく。
「はい!!よろしくお願いします!トレーナー」
そして出会って1番の笑顔でウララは大きく返事をした。
7月初旬 天気 快晴
ハルウララの伝説はここから始まる。
【次回予告のようなモノ】
ついに始まるハルウララ伝説の初めての大きな一歩。
時には涙し、時にはリバースし、時には叱られる。
有馬記念は茨の道、それを踏み越えた先に伝説は生まれる。
【次回!! 鬼の桜井と伝説の産声】
タイトルが変わる場合があります。
同時上映、ゴルシと桜井トレーナー(予定)