本日晴れ、お日様よりも早くウララは目を覚ました。
目覚まし時計が鳴り響く前に起きるのは初めてだった。
「ちょっと早いけど準備しようかな」
同室のキングはまだ夢の中のため、起こさないよう静かに身支度を整えて部屋を出た。
廊下を静かに歩いて外に向かう、玄関で靴を履いてからまだ薄暗い外へと向かう。
「すー……はー……すー……はー……ん〜、空気が美味しい!」
大きく深呼吸し、少しひんやりする新鮮な朝の空気を肺にいっぱいに吸い込み吐き出す、不思議と心身が引き締まったような感覚した。
「んっ、しょ!んっ、しょ!」
朝の新鮮な空気を堪能した後、しっかりと動的ストレッチを行い念入りに身体をほぐしていく。 次第に身体が熱くなり、ストレッチが終わる頃にはほのかに汗が出てきた。
そしてもう一度大きく数回深呼吸をした後、ウララはトレーニングコースへと軽いランニングも兼ねて走って向かった。
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トレーニングコースへと着く頃には薄っすらと朝日が差し始めていた、いつもなら沢山の人がトレーニングをしていて騒がしい練習場も今はとても静かで、まるでウララだけしか居ない世界に迷い込んだかのように思えた。
「トレーナーはまだ来ないよね……」
当たり前ではあるが、まだ約束時間よりも1時間は早いためリスティーは来ていない。
このまま待つのは手持ち無沙汰なので、ウララは自主トレーニングをすることにした。
まずは軽くランニングから始めようとターフの中へと入り、ゴール板からゆっくりと走り出す。
最初の数周は息が切れない程度に走り、身体が熱を帯び始め汗が滲み出始めたら一気にペースを上げていく。
「はぁ、はぁ!!んー!!」
苦しくてもペースは落とさない、周を重ねる度にギアを上げてスピードを上げていく。 限界のギリギリまでギアを上げて加速する、心臓が早鐘を打つように激しく暴れ、肺は新しい酸素を求めて唸る。
苦しくて、苦しくて、直ぐにでも立ち止まってその場に倒れ込みたいほど辛く苦しい。
「んんっ!!ゔぅ!!」
ボタボタと大粒の汗が地面に落ちては砕ける、既に限界に近くなっているのはウララ自身がよくわかっている。 しかし止まりたくなかった、もっと早く、もっと先へ、もっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっともっと、上に行きたい。
「ゔぅぅゔ!!」
才能が無いから努力がいる、他の子に追いつくには常に限界を何度も超え続けないといけない。
苦しくても、辛くても、たとえ血反吐を吐こうとも常に限界を壊して前に進まないといけない。
「ゔぅ、もっ、どぉぉ!!」
歯を食いしばり、昨日よりも更に先へ。
更にギアを上げようとしたその瞬間、雷のような怒号が響いたと同時に身体を強く抱き止められた。
「止まれ!!何をしているんだ!この馬鹿者!!」
声の主は般若のような顔をしたリスティーだった。
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「痛、い……あぅ」
リスティーはウララに息を整えさせ、直ぐに部室へと抱き上げ連れて行った。
部室に着くなりウララを寝かせ、身体を念入りに触診しながら問いかけた。
「どこか痛んだり、違和感はないか?」
「ん、大丈夫……」
ウララはどこかシュンと俯きながら頷く、触診とウララの言葉で故障や怪我は無いと判断できたようでリスティーはやっとウララから手を離した。
「……ウララ」
そしてウララの名前を恐ろしいほど低い声音で呼んだ。 初めて聞くその声音にウララはビクリと身体を震わせ、恐る恐る顔を上げた次の瞬間、額に鈍い音と衝撃とともに鈍痛が走った。
「ふぎゃぁ!?」
あまりの衝撃と痛みにウララは額を押さえて地面に倒れ伏し悶絶した。
「ハルウララ、誰があんなトレーニングを許可した?」
鈍痛の原因はリスティーのデコピン(強力)で、更に追撃する気なのか二発目を構えてながらウララを般若の如く睨みつけていた。
「ご、ごめんなざぃ、ドレーナァアー」
ポロポロと涙を零しながら謝罪をする。
「……ハァ……次、あんな無謀な事をしたら……フンッ!!」
リスティーはウララに見せつけるよにしてスチール缶デコピンを打ち、本気の一撃を受けたスチール缶はグシャグシャにひしゃげ中身が漏れ出した。
「ウララの額がこうなるからね?」
表情こそ笑顔だが、薄っすらと開いた瞳は猛禽類のようでウララは二度と勝手な練習は止めようと心に誓った。
その後、勝手に無理な事をした罰としてウララは2日の謹慎を言いつけられ、筋肉痛と退屈な時間を過ごす事となった。
次回はやっとクリークとでちゅね戦争に入る予定です。
次回更新は11/20〜25くらいを予定しています、変更がある場合はあらすじの欄に変更日等のお知らせを更新します。
更新が遅く本当にすみません。