呪術師という職業で世界最強!   作:リーグロード

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マジで日間ランキングの1位になりたい。


今日から俺は金級冒険者!(有言実行)

 ベヒモス討伐の日の夕刻はギルド全体が大騒ぎになった。

 まさか本当にその日にベヒモスの(くび)を取ってくるだなんてと思っている者は少なく、入口からベヒモスの角を片手で担いで入ってくる五条を見て、口に含んだ酒を吹き出して悲鳴と驚きの声がギルド内に響き渡っていた。

 

「うるさいなぁ。こんな雑魚の(くび)を持ってきただけでこんな騒ぐこたねぇだろ」

 

 うんざりする声を上げる五条に、誰もが遠巻きにその手に持つ魔物の頭を見つめる。

 ここにいる誰もがベヒモスなんぞ見たことはない。……ないのだが、死してなお放ち続ける圧倒的存在感に、これこそが今も語り継がれているベヒモスだと誰もが理解する。

 

 ならば、そんな最強の魔物の(くび)を斬り落としてきたこの男は一体どれだけ強いのか? 

 そんな話題で更にギルド内は賑やかしくなる。そんな話題の中心人物である五条は、手で担ぎ上げていたベヒモスの(くび)を床に降ろし、目の前で固まっている受付嬢にギルド支部長を呼んでくるよう命じる。

 

「はい! 奥で支部長がお待ちになっております」

 

「おっ、もう準備は出来ているのか。お~い! マルク、俺はちょっと支部長の奴と話ししてくっから、なんか適当に飯でも頼んでガキ共に食わせとってくれな」

 

「了解。そっちもあまり支部長さんに迷惑をかけないようにね」

 

 あ~任せとけって! っと信用ならない返事をして奥へ行く五条。それを見ていた全員がギルド支部長に対して黙禱を捧げた。

 

 ~~~~~~~~~

 

 部屋の中では既に支部長は既にソファーに座っており、その反対側のソファーに五条は断りも入れずドカリと乱暴に腰を下ろす。

 

「さて、有言実行は果たしたぜ」

 

「ああ、まさか本当にその日にベヒモスを討伐してくるとはな。しかも、見た感じまるで無傷とは……。流石と言わざるを得ないな」

 

 チラリとソファーの横に置かれている魔物の生首を見て、マジでやりやがったコイツ……といった表情でうなだれる支部長。

 とはいえ、これは歴史的な偉業と呼んでも差し支えないだろう。これでオルクス大迷宮の最高到達階層のレコードが更新されるのは明らかだ。

 こうなれば誰もが認めざるを得ないだろう。既に他のギルドに五条の事は連絡済みだ。このベヒモス討伐の功績も報告すれば金ランクへの昇格も難無く受理されるだろう。

 

 とりあえず、五条が金ランクへの昇格は既に確定なのは明らかなので、多少早いがいつもの鍛冶屋で既に作らせていた金のプレートを五条に差し出す。

 

「これでお前は金ランクへの昇格は完了だ。受け取ってくれ」

 

「ああ、そんじゃありがたく受け取っておこうか。後アレ、あのベヒモスやるよ。剝製にしてギルドの看板にでもしたら知名度アップとかしそうじゃね♪」

 

 あれ一つコレクターの貴族に売るだけでどれだけの金が手に入るか、恐らく豪邸の一軒を買えるほどの金貨の山と交換できるだろう。

 それを事もなげにタダでくれてこようとしてくる五条に冷や汗が止まらない。

 

 それはつまり、五条にとってあの程度はタダでくれてやるほどの価値しかないということだろう。

 それは、物の価値を分かっていないというのもそうだが、文字通りベヒモスの頭は五条にとって価値がないほど手に入れるのに苦労しなかったという証明だ。

 

「ふふっ、確かに剝製にして飾るというのは悪くない案だな。ギルドの知名度の向上もそうだが、お前があのベヒモスを倒したというのは本当だという証拠にもなる」

 

 悪い顔で笑う支部長は五条の発案に賛成の意を唱える。

 

「お前のように冒険者登録して1年どころか1ヶ月も経たずに金ランクに至る者はいない。その分、これまで地道に成果を積み上げている者や、同じ新人から目の敵にされるだろう。

 ……が、例え剝製にされようとも、あの迫力あるベヒモスの頭を見れば、お前に手を出すのはマズいと判断してくれるだろう」

 

「ふ〜ん、お優しいね……」

 

 今のギルド支部長の話を聞けば五条の身を案じていると思われるだろうが、実際は五条に手を出して返り討ちに会う冒険者を案じているのだ。

 だから、そんな他人を思いやるギルド支部長をからかうつもりで、優しいなと口にしたのだ。

 

「当たり前だ。冒険者を守り育むのがギルドの仕事でもある。勝ち目のない闘いに挑ませるような愚行を支部長である俺が見逃していい訳はないんだ」

 

 そこには仕事に命を捧げる男の顔があった。これをからかうのは流石の五条も礼に欠く行為だと思い、ニヤつくだけで終わる。

 

「こほん。まあ、俺からの話は既に済んでいる。……が、一つ問題があってだな。お前が倒してきたベヒモスに関する問題だ。とりあえず、そのベヒモスの頭はこちらで預かるとして、問題はその他の部位の方だ。牙や爪なんかは当然として、あのベヒモスの魔石なんぞ一体幾らの値で買い取ればいいか審議の途中なんだ」

 

 困ったように頭をかく支部長に、五条は両手を広げてみせた。

 

「これで売ってやるよ」

 

「まさか、金貨10枚で売るというのか!?」

 

 正解! と口にする五条に、支部長は驚きながらも裏があるのではないかといった表情を見せる。

 

「まあまあ、余計にモメるよりかは、こうして恩を売っておきたい。それに、結構無理言って金にまで昇らせてもらったんだ。俺からの感謝の気持ちと受け取って貰ってもいいよ」

 

 正直に言えばありがたい話ではある。まだ実際にベヒモスの魔石を見てはいないが、最強の魔物の魔石という付加価値だけでどれだけの値が付くのか、ハッキリと言って金貨10枚は安すぎる。

 それに、この男に恩を売られるというのは将来的に不安な要素でしかない。いつトンデモ事件をブラ下げてあの時の恩を返してくれと言われるか分からない。

 だが、感謝の気持ちと言われれば、それを断るのは侮蔑に等しい。それを理由に暴れられでもすればどうなるか。

 このギルド……いや、この国にコイツを止められる者など存在しはしないだろう。

 

 ならば、ここは素直に受け取っておくのが正しい判断だと思うことにしよう。

 未来の災厄は未来の自分がきっとどうにかしてくれる筈、そう信じるのが一番楽で胃に優しいのだ。

 

「分かった。受付嬢には俺から話を通して金を用意しておく」

 

「ん、よろしく。あとそれと俺が受けたクエストの金額は分かっていると思うけど、ちゃんと頼むぜ」

 

「ああ分かっている。なんならその報酬に金ランク昇格祝いに色をつけてやろうか?」

 

「それはいいや、なら、今日の飯代はギルド支部長の賄賂で食うとしようかな」

 

 はっはっは! と笑いながら、話は終わりだといわんばかりに2人は膝を叩いて立ち上がる。

 

(あ~、話し合いは短めに終わったし、マルクたちも飯を頼んで丁度届いた頃だな)

 

「そんじゃ、俺は今日拾ってきたガキ共と一緒に飯食ってくるわ」

 

「っ!? ちょっと待て、ガキ共を拾ってきたってのはどういうことだ? まさか、貴様!?どこぞの偉いさんの生意気なガキ共を誘拐してきたんじゃないだろうな!?」

 

 血走った目で冷や汗を大量にかきながら、最悪の未来はすぐそばに迫っていたのかと絶望する支部長に、五条は「心外だな~」と笑みを浮かべ、「安心しなよ俺は生意気なガキには鉄拳を喰らわせるけど、誘拐なんて面倒な事はしやしないって」と言い切り、連れてきたのは身寄りのない孤児のガキだと説明すると、支部長は絶望は勘違いだったか、といった物凄く安堵した顔を浮かべて壁に倒れ込んでいった。

 

 そんなに俺が毎度毎度やらかすと思ってんのかねぇ? これでもやられたらやり返すはその場でキッチリ済ますタイプの人間なんだけど……、いや、あんま変わんないか。

 

「とりあえず、そういうこった。んじゃ、後の色々は任せたから、バイビー♪」

 

 気軽に言ってくるが、冒険者登録をしてほんの数日で、それもたった2回の迷宮探索でこの功績だ。

 今度のギルド会議は荒れに荒れるだろう事は必然だろう。その中心に立たされるのは間違いなく俺だろう。

 

「ううっ、今からその事を考えるだけで胃が痛い。まったく何故俺がこんな目に!!」

 

 痛む腹を抑えながら、床に置かれてあるベヒモスを睨むと、何となくその顔がお前もあいつに迷惑を掛けられた同類かと語っている気がして、仲間よぉ!! っと感極まって抱き着いた自分はそろそろ教会のカウンセリングを受けに行くことを真剣に考えなければなるまい。

 

 ~~~~~~~~~

 

 支部長から別れて部屋を出た五条は鼻歌を歌いながら指先で、さっき手に入れたばかりの金のプレートを振り回して遊びながらギルドロビーに顔を出すと、何やら妙に賑やかしい様子だった。

 

「んで! それでどうなったんだよ」

 

「待って待って、落ち着いて。それで、五条がベヒモスの角から発射されたビームをまともに喰らって僕たちももうダメだって諦めたんだけど、なんと五条は無傷でその場に立っていたんだ!」

 

「本当かよ?」

 

「いや、でも……、確かにあの野郎は傷1つついちゃいなかったな」

 

「そんなのどうでもいいからよ! あの五条はどうやってあんな化け物を倒したんだ!?」

 

「そう焦らなくてもすぐに話すよ。って言っても、僕も直接見ていたけど、五条が何をしたのかまるで分かんないんだよね? こう、指先が赤色に光ったと思ったら、それをベヒモスに向けると、次の瞬間には凄まじい風が起こって、ベヒモスは反対側の壁にまで吹き飛ばされて倒れたんだ!」

 

 おお~!! っと周りの冒険者たちはマルクの語りに喰らいついている。

 なるほど、あのベヒモスとの戦いの詳細を知ろうと、全員が話しかけやすいマルクに群がったというわけか……。

 

「なら、更に盛り上がるように主役のご登場と洒落込みますか」

 

 気配を殺し、賑やかに盛り上がるテーブルに近づいてゆく。結果、誰にも気付かれる事なく、今もベヒモス討伐の話で盛り上がるテーブルに近付く事が出来た。

 

「すぅ〜、わっ!!!」

 

「「「「うわっっっ!!!???」」」」

 

 思った通り、いきなり大声で現れた五条にテーブルの周りにいた者全員がいいリアクションで返してくれる。

 

「あ〜本当にいいリアクションだな。なんかスカッとした」

 

「も〜、心臓に悪いから変な驚かせとかやめてよね」

 

 笑う五条に対してマルクは迷惑だ! という表情でやめるように言うが、きっと右から左だろう。

 

「あれ? ガキ共はどこ行ったんだ? どこにもいないけど」

 

「ああ、あの子らはご飯食べたらすぐに寝ちゃったから仮眠スペースで寝かしつけてるよ」

 

「そっか、まあ迷宮の下層まで守られながらとはいえ、ほぼ休みなしで移動したからな。それ以前に、親もなく子供らのみで生活していたんだ。とっくに限界ギリギリだったてことでしょ」

 

 考えてみれば当然の事、出会った当初も食い物を手に入れるために盗みを働き、大人に殴りつけられていた。

 そんな生活を続けていたとしたのならば、肉体的にも精神的にもだいぶ追い詰められていただろう……。

 

「もう話は終わったのか?」

 

 仮眠スペースがあるであろう部屋に続く廊下の奥から、眠たげな眼をこすりながらメグミがやって来た。

 

「おっ、起きてのかメグミ。ユウジとノバラは今もぐっすりかな?」

 

「ああ……。っで、あんたの方はどうなったんだよ? あの化け物を倒したんだ。当然、それなりどころの騒ぎじゃない報酬は貰ったんだろ?」

 

 この場の誰もが聞きたかったこと遠慮なく聞いたメグミに、その場の全員が心の中でよく言った! っと褒め称えた。

 

「あ~、それならほら、これ貰ったぜ」

 

 首にぶら下げていた金のプレートを見せる。すると、周りの冒険者たちはお~!! っとそのプレートの意味を知っているために感嘆の声をあげる。

 

「……? それだけか?」

 

「ああそっか、メグミはこのプレートの意味を知らなかったっけ? 俺ってさ、自分のステータスプレートを他人に見せるのは嫌なんだよね。だから、ステータスプレートを見せずにランクが分かるようにお願いしてた結果、こうして分かりやすいように俺にはランクの色のプレートを首飾りにしてもらってるわけ」

 

「なら、あんたは金ランクの冒険者ってことか?」

 

「そういうこと♪」

 

 自慢げに言う五条だが、そこに辿り着くまでにどれほどの時間と功績が必要か知っている周りの冒険者たちは、いやいやと首を横に振る。

 

「さて、とりあえず、今日メグミたちが働いた分の給料を払うとしようか」

 

 ジャラリ! とテーブルの上に金貨が数枚が無造作に置かれる。

 

「……は? おい、噓だろ!? いくらなんでも多すぎだろ」

 

「いやいや、金級冒険者のパーティーの報酬ならこれぐらいは当然だって」

 

「…………」

 

 そうは言ってもたった数枚とはいえ金貨の価値は高い、子供3人が暮していくには充分な金額だろう。

 が、しかし──―

 

「うんうん、分かるよメグミ。こんな大金貰ってもそれを守る手段が無いんだよね」

 

「──っ!?」

 

「そんなに驚かなくても分かることさ、この金貨1枚を取っても周りの野郎共は目を光らせてるからね」

 

 無造作に置かれている金貨を1枚手に取り、指の上でクルクルと回して遊びながらそれを周りの冒険者たちに見やすいように掲げると、大半の視線が指先の上にある金貨に集中する。

 

 そりゃ、こんだけ金にがめつい連中の目の前で金貨を渡されりゃ警戒して手を伸ばすことなんてできないよな。この後俺らから別れた後に襲われるかもしれない。大人しく金貨を渡したとしても目撃者であるガキを生かすとも思えない。

 さて、どうするメグミ? ここで金貨を突っぱねるのか、それとも懐にしまうのか。

 

 どうするのか期待……というか、どんな面白いことをしてくれるのかというワクワクといった子供っぽい感情で見つめる。

 

「……俺らには生きていく為に金が必要だ。だから、この金は貰っていく」

 

 メグミはテーブルに置かれた金貨を全て懐にしまい込む。

 

 もっと面白い行動に出てくれるものかと期待していた五条は少しガッカリしながら席を立とうとすると、メグミが先程懐にしまい込んだ金貨の半分をテーブルの上に叩き付けた。

 

「冒険者のあんたに依頼する。これで、俺がこの金を守れるくらい強くなるまで用心棒として雇いたい!」

 

「……へぇ」

 

 なるほどね、確かにいい案ではある。先程の金貨の半分を渡したとしても、残りの金貨でも充分に生活はできる。

 なら、依頼として半分を支払っても問題はないだろう。

 

 けれど──―

 

「なあメグミ。俺は金級冒険者だ。この冒険者のランクの頂点に立つ存在なんだぜ? それを子供のお小遣いで守れって言うのか?」

 

 さあどうする? これはちょっとしたイタズラ心によるものだ。これでメグミが押し黙ってしまっても、冗談冗談♪ と言って依頼を引き受けることもやぶさかではなかったのだが、そんな心配は無用のようだ。

 

「いいや、あんた俺らを守らなきゃいけない理由がある。あんた今日の昼間にパン屋の店主と約束したろ? 俺らが盗みを働いて商売があがったりになる。それを解決してやるよって、もしこの金を奪い取られたら俺らは生きるために盗みを働かなきゃなんねぇ! そんなことあんたはさせねぇよな?」

 

 これは一本取られたね。そういやそんな約束でこいつら迷宮に連れて来たんだった。

 

「まいったね。これじゃ俺が折れるしかないか……。よし、ならその依頼をこの俺五条悟が請け負うとしよう」

 

 カッコつけた言い回しで、テーブルの上に叩き付けられた金貨を懐にしまい入れると、メグミに対して握手を求めた。

 これは契約成立の意味を示したものであり、それを理解したメグミもすかさず握手に応じた。

 

「それじゃ、()()()()よろしく頼むぜ」

 

「はははっ♪ 少しの間で済むかどうかはメグミ次第だけどね」

 

 上等だよ! といった強い意志を秘めた目が五条を睨み上げる。魔物に追い掛け回されて涙目になってたというのに、俺とベヒモスの戦いで、強さの頂きを見て、憧れと目標を見つけたゆえの男の矜持によるものか? 

 はたまた、奪う側ではなく奪われる側になったゆえの長男の守る者としての責務によるものか? 

 

 どちらにせよ、そうゆう目をした者は嫌いではない。満足いくまでたっぷりとしごき倒してやるとしよう。

 

「あっ、そうだ! なあマルク? 今日の分の成果はちゃんと換金したのか?」

 

「ああ……、それなら、受付嬢さんにちゃんと渡したよ。持ってきた量と品が異常だから時間は掛かるみたいだけど」

 

 そっか……、ならしばらくはここで待ち惚けを喰らう羽目になりそうだな。

 

「っていうか、そういや俺ここに戻ってから一切飯食ってないや! すみません!! とりあえず、ここにあるメニューの中で一番高い物と二番目に高い物を持ってきて! あと、飲み物はここに書いてあるワインでOK!」

 

「はい! かしこまりました」

 

 注文を終えると、メグミは下の兄妹であるユウジとノバラの様子を見に仮眠スペースへと足を運んでいた。

 

 折角だしマルクと談話しながら食事するかと思い席に座るが、その場の周りにいる冒険者の1人が我慢できずに五条に話しかける。

 

「な……なあ、俺もあんたのパーティーに入れてくれねぇか!?」

 

「お、おい! それなら俺も頼むよ。荷物持ちだってするし、少なくともあんなガキ共よりかは力になるぜ!!」

 

「馬鹿いってんじゃねよ!? テメェら精々が紫級だろ、俺は黒級だ! なあ、あんたも俺の方が仲間になる方がいいと思うだろう?」

 

 それを皮切りに、次々とパーティー申請のお誘いが飛び交ってくるが、当然のことながら五条はそれらすべてを拒否する。

 

「ああ……、却下却下。むさ苦しいオス共なんかお呼びじゃねぇんだよ。せめてラノベの表紙を飾れるくらいの美少女になってから再挑戦してくださいまし~」

 

 おざなりに手を振って拒否する五条に文句を言いたげな者は多くいるが、そいつらが口を開く前にテーブルの上に足を乱暴にダン! と置くと、流石に怒らせたらマズいと悟り、渋々とその場から解散していった。

 

「お、お待たせしました。ご注文の品です。どうぞ!」

 

 ウェイトレスが注文した品を持って、不機嫌そうな五条の足を避けてテーブルの上に料理を並べていく。

 

「おっ! キタキタ♪ いや~、ハイエナ野郎共が群がっててウザかったからテーブルの上に足乗っけちゃったけど悪いね」

 

「いえ、ご注文の品に間違いがなければこれで……」

 

 そそくさと厨房へ帰っていくウェイトレスを横目に、五条はテーブルの上に乗せた足を降ろして、出された料理に手を付けてゆく。

 

「そういやマルクはもう飯食ったの? 腹減ってるなら追加で注文頼むけど」

 

「ああ、いいよ。ちゃんとメグミ君たちと一緒にご飯は食べたから」

 

「それならよかった。あっ、あとさっきから受付嬢ちゃんが滅茶苦茶複雑そうな顔でこっち見てるから、多分換金終わったんだと思うぜ」

 

「えっ? うわっ、本当だ。なんか行くの面倒だな~」

 

 嫌々な顔して言うも、額が額なだけに動かない訳にもいかず、渋々といった態度でマルクは受付嬢ちゃんの元まで歩いて行く。

 

これが今回のクエスト報酬と持ち込まれた素材の換金分の総額です。

 

えっ!? こんなに……、って、あの、本当にこのくだりはもういいですから。は……放せぇぇぇ!! 

 

 何やら後ろの方で騒ぎが起きているが、どうせ前回と似たような寸劇を繰り広げているのだろう。

 残り半分以下になった料理を全て平らげると、ゼェーハァーっと息を切らしたマルクが重そうに両手で持ったパンパンに膨れた袋をテーブルの上に乗せた。

 

 その際、テーブルがミシッと嫌な音を立てたが、そんなことがどうでもよくなるほど袋の中身が衝撃的だった。

 

「へぇ~、こりゃ凄いね。金貨銀貨合わせて幾らだこれ? 昨日の貴族と教会からお詫びの品として渡された金貨入りの袋よりも多そうだ」

 

「一体何をやらかしたら貴族と教会からお詫びの品なんて渡されるの? ……まあ、確かにこれはヤバいけど」

 

 開いた袋の口から見えるだけでも、先ほどメグミに渡した金貨の量を容易に上回る。

 恐らく貴族の豪邸1つくらいならば作れてしまうのではないかと思えるほどの量だ。

 

「よ~し、こんだけあってもしょうがないしな。お~い! ウェイトレスさん。とりあえず、こんだけの金渡すから()()()()()()()の酒や飯よろしく♪」

 

 無造作に袋の中に手を入れて、片手で掴めるだけ掴んで金貨と銀貨をウェイトレスの持つトレイの上に乗っける。

 その様子を近くで見ていた1人が歓喜の悲鳴を上げ、それを聞いた他の奴らも同じような悲鳴を上げて次々と酒と料理を注文していく。

 

「おら! 酒だ酒だ! 滅多に飲めないこれを10本持って来い!」

 

「肉を出せ肉を!! 五条様の奢りだぜ!!」

 

「祭りだ! 宴だ!! とにかく飲んで食って騒げ!!!」

 

「「「「いやっほぉぉぉぉ!!!!」」」」

 

 もはやギルド内は飲んで歌えやのどんちゃん騒ぎとなっている。普段の安物のエールではなく、中々頼めない上等なエールを口に含みながら、香ばしく焼かれたステーキを食う。

 

 こうして、ギルドの騒ぎを聞きつけた人々が集まって、俺も俺もとギルドに押しかけてきた。しまいには、ギルド支部長が怒鳴り声を上げながら騒ぎを沈静化させたが、騒ぎの元凶である五条の姿はその頃にはなかったという。

 

 この後日、その騒ぎも影響してか、五条が最強の魔物であるベヒモスを討伐したという話が王都を含めて城にまで伝わり、五条は再び城に呼び出されることになった。

 




俺も金が欲しい…

次のIFで五条が飛び込む世界

  • ゼロの使い魔
  • 七つの大罪
  • スレイヤーズ
  • オーバーロード
  • HUNTER×HUNTER
  • 蜘蛛ですが、なにか?
  • この素晴
  • ダンまち
  • 転スラ
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